律「私の友達の唯ってヤツが、真紅のミーディアムになった」
金糸雀「嘘っ!?真紅もミーディアムを!?」
律「もう一度言うぞ、私の友達がミーディアムなんだ」
金糸雀「えーと、それで?」
律「二人は、アリスゲームでローザミスティカを奪い合うつもりはない」
金糸雀「そ、そんなの油断させるための嘘かしら!金糸雀はそんな言葉に騙されないんだから!」
律「嘘じゃない。唯も真紅ちゃんも、そんな嘘をつくようなヤツじゃないよ」
金糸雀「・・・!」
律「なぁ、金糸雀。こういう言い方はよくないと思うけど・・・」
金糸雀「何かしら?」
律「カナ達がアリスゲームで戦ってアリスを目指すのは、みんなが望んでいることならしょうがないと思うんだ」
金糸雀「そうね!アリスになりたいという気持ちは姉妹みんな同じ気持ちかしら!」
律「でも・・・私の友達が巻き込まれたんだ」
金糸雀「律・・・」
律「黙って見てるわけには、いかないんだよ」
金糸雀「それって、どういうことかしら?」
律「力を貸してやる。だから・・・私にもカナの力を貸してくれ」
金糸雀「それって・・・?」
律「どうしたらいいのか、まだわからないけどさ・・・」
金糸雀「・・・」
律「このまま指咥えて見てるのは御免だ」
金糸雀「・・・わかったわ」
律「カナ、ありがとう」
金糸雀「こちらこそ」スッ
律「それじゃ・・・」
金糸雀「指輪の誓いを・・・」ドキドキ
律「あぁ、誓うよ」
チュッ
律「!?」
キィィィン!
金糸雀「すぐ済むわ、安心するかしら」
律「わ、わかってるよ・・・(唯の契約を見たけど、やっぱりビックリするな、この光)」
金糸雀「力が、みなぎってくる・・・!」
律「・・・指輪、確かに熱いな」
金糸雀「・・・律?」
律「なんだよ」
金糸雀「これから、よろしくね」
律「こちらこそ。デコ同士仲良くしようぜ」
金糸雀「なっ!カナはデコじゃないのかしら!」
律「いや、寧ろカナの方がデコなんじゃないかー?」ニヤニヤ
金糸雀「なー!!」
律「お前、やっぱ可愛いな」ニシシ
金糸雀「うううるさいのかしら!///」
律「あと、もう一つ話しておかなきゃならないことがあるんだ」
金糸雀「?」
律「私の友達のムギってヤツが・・・」
金糸雀「律は友達が多いのね」
律「まーなー」フフン
金糸雀「その、ムギっていう子がどうしたの?」
律「私や唯と、同じ指輪をしてたんだ・・・」
金糸雀「それって・・・!」
律「あぁ、ムギもドールと契約したらしい」
金糸雀「真紅だけじゃなくて、他にも目覚めたというの・・・!?」
律「私はよくわからないけど、7体のドールが一斉に目覚めたことはないらしいな?」
金糸雀「そうね。もし、
その他のドールも目覚めていたとしたら・・・!」
律「ムギのドールはな、アリスゲームに勝つ気満々らしい」
金糸雀「誰かしら・・・」
律「話を聞いている限りだと、頭のいい子みたいだな」
金糸雀「じゃあ雛苺ではないわね」
律「雛苺っていう子がちょっと可哀想になったぞ、おい」
金糸雀「他には?」
律「うーん、ムギには自分が誰なのかは内緒にして欲しいって言ったらしい」
金糸雀「どういうことかしら・・・」
律「さぁ、手の内を明かしたくなかったんじゃないか?」
金糸雀「・・・うーん、そうすると翠星石でもないのかしら」
律「翠星石?」
金糸雀「えぇ、あの子はそこまで頭が回らないと思うから」
律「カナ、さっきからちょいちょい酷いぞ」
金糸雀「事実を述べたまでかしら!」
律「おい!・・・それでな」
金糸雀「?」
律「私も、まだカナのことは話してないんだ」
金糸雀「・・・案外、頭が回るのね、律って」
律「案外は余計だ、案外は」
金糸雀「確かに、私が目覚めたことはまだ秘密にしておいた方がいいのかしら」
律「やっぱりそうか」
金糸雀「えぇ。他のドールが目覚めた、それだけで動き方が変わってくるから」
律「あぁ、でも、奇襲をかけるために内緒にしたんじゃないからな?」
金糸雀「わかってるかしら」
律「あまり物騒なことはするなよ?」
金糸雀「律の気持ちはわかるのかしら。律がミーディアムになったのは友達を守るため、でしょ?」
律「そうだ。なんてったって部長だからな!」
金糸雀「部長・・・?長・・・?」
律「なんだよ」
金糸雀「全っ然見えないのかしら・・・!!」
律「うっせー!!」
金糸雀「あれ?じゃあなんで律はカナのこと、秘密にしたのかしら?」
律「そっそれはだな・・・」
金糸雀「きっと何かすごい作戦があるのよね!?」
律「・・・ったんだ・・・」ゴニョゴニョ
金糸雀「へ?」
律「だから、私がドール持ってるなんて柄じゃなくて恥ずかしくて言えなかったんだよー!///」
金糸雀「律って・・・」
律「なんだよっ」
金糸雀「やっぱりちょっとアホなのかしら」
律「なっ・・・!」ガーン
…
…
唯「ただいまー!」
憂「おかえり!」
鞄「早く出して頂戴」
唯「あー!ごめんね!」バコンッ
真紅「ふぅ・・・」
憂「真紅ちゃんも、おかえり」
真紅「えぇ、ただいま」
唯「そうだ、憂!みて!」スッ
憂「これ、どうしたの?」
唯「誓いの指輪です!」フンスッ
憂「・・・誰と?」
唯「へ?だから」
憂「どこのどいつと?」
唯「ちっ違うよ!?これ、結婚指輪の場所だけど違うよ!?」
憂「何がどう違うのかな?」ニコッ
真紅(・・・この子、あまり怒らせない方がいいみたいね)
唯「だから、真紅ちゃんとお揃いなんだ!」
憂「・・・へ?真紅ちゃんと?」
唯「うん!だから安心して?」
憂「・・・へー、真紅ちゃんと・・・」ブツブツ
真紅(どうしよう、身の危険を感じるわ)
唯「これはね、ミーディアムになった証なの!」
憂「みーでぃあむ?」
真紅「憂にも知る権利があるわ。私から説明するわね」
唯「うん!よろしくぅ!」
…
…
真紅「というわけなの」
憂「つまり、アリスゲームで戦うために、お姉ちゃんの力を借りるっていうことだね?」
真紅「そうよ。憂は話が早くて助かるわ」
唯「いやーそれほどでもー」
真紅「貴女には言ってないわ」
唯「・・・」ショボーン
憂「私、お茶淹れてくるね!」トテトテ
真紅「えぇ、お願いするわ」
唯「ねぇ、真紅ちゃん?」
真紅「何かしら?」
唯「やっぱり、戦うしかないのかな?」
真紅「安心しなさい。私は強いわ」
唯「そういう問題じゃないよ・・・」
真紅「わかってるわ。でもね、こちらから仕掛けないにしても、自己防衛くらいはすべきよ?」
唯「うん・・・」
真紅「貴女は・・・優しいのね」
唯「そうかな」
真紅「えぇ。それでいて、とても暖かい人間よ」
唯「えへへ、なんか照れるな」
真紅「でもね、それだけじゃ駄目なの」
唯「ほえ?」
真紅「戦うことは生きること。それは私達ドールだけじゃない、人間だって変わらないわ」
真紅「いつか、立ち向かわなければならないことが、絶対にある筈よ」
唯「・・・」
真紅「貴女が争い事を嫌うのも理解できるし、友人を大切にしたい気持ちも理解できるわ」
唯「うん・・・」
真紅「でもね、もしそうなったら、立ち向かう勇気も大切なの」
唯「でも、アリスゲームなんて・・・!」
真紅「それは心配しないで。唯、貴女は私の隣で、貴女らしくいてくれれば・・・それでいいわ」
唯「うーん、やっぱり真紅ちゃんの言うことは難しいなー」ムー
真紅「いつかわかるときがくるわ」クスッ
ピンポーン!
唯「あれ?誰だろう?」
真紅「私はここで待ってるわ」
唯「うん、ちょっと行って来るね!」
バタバタ・・・
唯「はーい?」ガチャ
和「突然ごめんね」
唯「和ちゃん!」
和「ちょっと話があるのよ。上がってもいいかしら」
唯「いいよー!当ったり前じゃん!・・・って」
和「?」
唯「」
和「どうしたのよ」
唯「・・・え?え?」
和「何よ」
唯「和ちゃん、その鞄って・・・」
和「そうそう、この件で少し話があるの」
唯「あはは・・・奇遇だねー?私もだよ」タハハ
和「?」
唯(何この状況)
唯「ま、まぁとりあえず上がって?」
和「えぇ、お邪魔するわ」バタンッ
唯「ねぇ、和ちゃん?」
和「何?」
唯「あの・・・驚かないでね?」
和「何よ、リビングに何かあるの?」
唯「うん、きっと・・・びっくりすると思う」
和「そう。唯もこの鞄の中身を知ったら、きっと驚くと思うわ」
唯「うーん・・・どうだろう?」
和「?」
ガチャ
真紅「あら、遅かったわね」
和「」
和「えっと、唯・・・これは・・・?」
唯「真紅ちゃん」
真紅「初めまして、真紅よ」
和「いや、そうじゃなくて・・・でも、唯なら話が早いかも」ゴトッ
真紅「貴女、その鞄は・・・!」
唯「やっぱりその中にもドールが?」
和「えぇ、とっても可愛いのよ?」バコンッ
雛苺「苦しかったのー!」
唯「!?か、可愛い!!!」
真紅「雛苺!!」
雛苺「し、真紅なの!すごいの!久々なのー」タッタッタッ
真紅「やめなさい、はしたない」
雛苺「ヒナ、まだ何もしてないの・・・」
真紅「両手を広げてこっちに走ってきた段階で何をされるのかは予想がつくわ」
雛苺「ぶー」
唯「和ちゃん、この子可愛いね!」
和「でしょう?唯みたいで可愛いわ」
唯「えー、私はもうちょっとお姉さんだよー?」
憂「お待たせしました」トテトテ
唯「憂!お茶が入ったんだね♪」
憂「うん!って、和さんじゃないですか」
和「お邪魔してるわ」
憂「こんにちは。この子は・・・?」
和「私のドールよ。雛苺っていうの」
雛苺「ヒナって呼んでね!」
憂「そっか、ヒナちゃんかー。・・・可愛いですね」
真紅「さっきから雛苺に可愛い可愛いって・・・!」
唯「真紅ちゃんは綺麗だよ?」
真紅「ふんっ、そんなこと知っているわ」ツーン
和「あら、不貞腐れちゃったかしら」
真紅「雛苺と一緒にしないで頂戴」
憂「それじゃみなさん、お茶にしましょう?」クスクス
唯「うん!」
憂「はい、これは真紅ちゃんの分ね」
真紅「ありがとう。・・・うん、とてもいい香りだわ」
憂「えへへ、よかった」
真紅「まだよ、味わうまでは気を抜かないこと」
憂「はーい」
唯「うん!美味しいね!」
和「本当、丁寧に淹れているわね」
憂「えへへ」
雛苺「ヒナもヒナもー!」
憂「え?ヒナちゃんも?」
雛苺「これ!ヒナのカップなの!」
唯「うわー、ヒナちゃんもMYカップ持ってるんだー!」カワイー!
雛苺「これに淹れて欲しいのっ!」ズイッ
憂「うん、わかったよ。ちょっと貸してね?」ソッ
和「それにしても・・・まさか唯もドールを持ってたとはね・・・」
唯「昨日郵便で届いたんだ!」
和「何それ」
真紅「ところで、貴女は?」
和「あら、自己紹介が遅れたわね。私は和。唯の幼馴染よ」
真紅「そう、よろしくね」
和「えぇ」
真紅「それにしても驚きだわ」
唯「何が?」
真紅「唯にこんな落ち着きのある幼馴染がいたなんて・・・」
和「確かに、私達は一見ミスマッチかもしれないわね」クスクス
唯「でも、だからこそ一緒にいて楽しいんだよ!」ギュー
和「こら、離れなさい///」
憂「そう、離れなさい」
和(憂ちゃん・・・相変わらずね)
唯「あー!」
真紅「静かに。どうしたの?」
雛苺「あー!」
和「こら、雛苺。静かにね?」
唯雛苺「指輪だー!」
和真紅「!?」
最終更新:2010年03月05日 23:57