紬「澪ちゃん・・・?」
唯「おかしいね・・・確かに普段の澪ちゃんなら起きてるはずだよ」
金糸雀「・・・蒼星石、澪の夢の中に入ってみるかしら」
唯「そんなこともできるの!?」
蒼星石「そうだね、起きないのには何か原因があるのかも」
律「な、なんだよ・・・原因って・・・」
蒼星石「それは澪の心の中を覗いてみないとわからないよ」
翠星石「澪に何があったって言うですか・・・?」
金糸雀「恐らく昨日の戦いで体力を消耗したせいかしら」
紬「確かに、あの状況では私よりも先に澪ちゃんが倒れてもおかしくなかったわ」
唯「澪ちゃんは大丈夫なんだよね?・・・ね?」
蒼星石「それは・・・なんとも言えない。とにかく、澪の夢の中に行こう」
律「おうっ!待ってろ、澪・・・!」
…
…
梓「ねぇ」ポローン、ポローン・・・
水銀燈「何よ」
梓「水銀燈は、どうしてここに?」ポローン、ポローン・・・
水銀燈「さっきも言ったじゃない、あんたのギターを聴きに来たのよ」
梓「それはわかってるけど、そうじゃなくて」
水銀燈「何よぉ?」
梓「私のギターをどこで聴いたの?」
水銀燈「あんたの家から音が漏れてたのよ、決まってるじゃない。・・・馬鹿?」
梓「うっ・・・(部室じゃなくて私の家だったんだ・・・)」
水銀燈「あれは、そう・・・めんどくさい雨の日だったわぁ」
梓「雨の日・・・?(最後に雨が降ったのって・・・2週間くらい前じゃなかったっけ?)」ポローン、ポローン・・・
水銀燈「そうよぉ。ひどい土砂降りだったわ」
梓「あぁ、土砂降りの日・・・うん。覚えてるよ(あの日、確か部活を休みにして早めに帰ってきたんだよね)」
水銀燈「それで雨宿りに来たのよ。あんたの家に」
梓「そう、だったんだ・・・(全然気がつかなかった・・・)」
水銀燈「すると変な歌声が聴こえてくるじゃなぁい?」
梓「歌じゃなくてギターだけどね」
水銀燈「その時はそんな楽器あるなんて知らなかったもの」
梓「部屋の中見たらわかる筈だけど・・・」
水銀燈「カーテン閉めてたヤツがよく言うわぁ?」
梓「あれ、そうだったの?ごめんね」
水銀燈「別に謝らなくてもいいわよぉ?あんたの姿に興味なんて、微塵もなかったから」
梓「あっそう(可愛くない・・・)」
水銀燈「それにしても、あんたって毎日毎日、ギター弾くことしかやることがないワケぇ?あはっ、可哀想ぉ」
梓「うるさいなー。・・・でも、いいんだ。それが私のいきがいだから」
水銀燈「・・・?」
梓「私は音楽が、ギターが大好きなの。誰に否定されようと辞める気はないし、笑われたって構わないよ」
水銀燈「ふぅん?・・・じゃあ、私が指差して笑ってあげるわよ、感謝しなさぁい?」クスクス
梓「・・・(こいつ、ムカつくかも・・・)」イラッ
水銀燈「あは!あっはっはっは。惨めねぇ?誰からも相手にされずに、お友達は楽器だけ。笑えるぅ」
梓「・・・友達くらいいるし」
水銀燈「やだぁ、ムキになっちゃって」クスクス
梓「ムキになんて、なってないよ(あー!ムカつく!)」
水銀燈「ま、いいんだけどね」
梓「?」
水銀燈「あんたに友達がいないお陰で毎日ギターが聴けた訳だしぃ?暇つぶしくらいにはなったわぁ」
梓「・・・」ムッカー
梓「水銀燈も人のこと言えないんじゃない?」
水銀燈「はぁ?」
梓「私のギター、毎日聴いてたんでしょ?っていうかさっき言ってたよね『毎日毎日ギター弾くことくらいしか~』って」
水銀燈「そ、それがなんだって言うのよ!?あんたぁ、何が言いたいのよ?」
梓「水銀燈も友達いないんでしょ。だから毎日私の家に来てるんでしょ」
水銀燈「何勘違いしちゃってるわけぇ?」
梓「事実でしょ」
水銀燈「悪いけどぉ・・・私は友達なんてくだらないもの、ハナから必要としてないから」
梓「そうかな」
水銀燈「あんた、出鱈目ばっかり言ってると殺すわよぉ?」
梓「はい、出鱈目ばかり言ってすみませんでした(目が本気だ・・・!)」
水銀燈「第一、一人じゃ何も出来ない人間っていう生き物と、これからアリスになる私を同じに考えないでくれるかしらぁ?」
梓「わかったよ・・・」
水銀燈「あら、反論しないのねぇ」
梓「確かに、私は一人じゃ何もできないしね」
水銀燈「ふぅん?そこは認めるのね?」
梓「音楽をしてるとわかるよ」
水銀燈「なぁに?それ。ナゾナゾぉ?」
梓「そうかもね。・・・いつか、水銀燈にならこのナゾナゾが解ける日が来るかも」
水銀燈「その答えがナゾナゾみたいだわ。気にいらなぁい」
梓「そっか、なんでもないよ。気にしないで」
水銀燈「あっそぉ。って、ちょっと・・・さっきから手、止まってるわよぉ?」
梓「あ、ごめん」
水銀燈「なんでもいいから弾きなさいよ」
梓「えーと・・・」
水銀燈「ほら、早くぅ」
梓「じゃあ・・・」
ジャージャージャカジャカジャージャー
水銀燈「それ、なんていう曲なの?」
梓「ふわふわ時間」
水銀燈「あんたぁ、ふざけてると・・・殺すわよぉ?」
梓(ふざけてないのに!)
水銀燈「なんていうか・・・」
梓「わかってる。わかってるから言わないで」
ジャージャカジャカジャカ
水銀燈「・・・嫌いじゃないわ、その曲」
梓「そ、そう?」ッジャッジャ・・
水銀燈「よく弾いてるわよねぇ?」
梓「うん、バンドでやってる曲だから」ジャカジャカ
水銀燈「バンド・・・オーケストラ・・・?」
梓「うーん、ちょっと違うけど、そんな感じかな」ジャラララ
水銀燈「ふぅん。・・・でも、箱に繋がないと間抜けな音ねぇ」
梓「だから、それはさっき言ったでしょ」
水銀燈「繋ぎなさいよ」
梓「無理、さすがにもう夜遅いよ」
水銀燈「つまんなぁい、帰る」
梓「うん、私もそろそろ寝るよ」
水銀燈「そう?聞いてないけど」
梓(可愛くねー!)
水銀燈「また暇があったら聴きにきてあげるわぁ?」
梓「とか言って、明日も来るんでしょ?」
水銀燈「殺すわよぉ?」
梓「なんで!?」
水銀燈「まぁいいわ。それじゃね」バサッ
梓「あ、ちょっと待って」グイッ
ダコンッ!
水銀燈「あだっ!!」
梓「あ(やばっ)」
水銀燈「いったぁい・・・あんた、ケンカ売ってるn」
梓「梓」
水銀燈「はぁ?あんた、いい加減にs」イライラ
梓「だから、あんたじゃなくて梓だってば」
水銀燈「何それ、あんたの名前?」
梓「うん、そうだよ」
水銀燈「ふぅん、忘れなかったら覚えてるわ」
梓「それ明日になったら確実に忘れてるよね」
水銀燈「だって、あんたの名前なんて興味ないものぉ。ばーか」
梓「(むっ、やっぱこいつムカつく・・・!)・・・名前で呼んでくれないと、部屋に入れてあげないからね」
水銀燈「べっつにぃ?ギターが聴ければそれでいいわよ。勘違いしないでくれるぅ?」バサッ
水銀燈「それじゃね」
バサッバサッ・・・!
梓「行っちゃった・・・」
梓「なんだったんだろう・・・」
梓「それにしても、2週間くらい前か・・・」
梓「うーん、全然気が付かなかったや」
梓「確かにヤバそうな子だけど、思ったよりまともだったかも」
梓「・・・性格は死ぬほど悪いけどね」
…
…
蒼星石「よっと」ストンッ
律「ここが澪の夢の中か・・・」
蒼星石「みんな、揃ってる?」
一同「はーい!」
蒼星石「よし、じゃあ澪を探そうか」テクテク
紬「でも、どこを探せば・・・」
唯「ここは・・・学校、だよね?」
翠星石「澪の通ってるがっこー・・・静かでいいところですぅ」キョロキョロ
金糸雀「ということは・・・ここ、律が通ってる学校なのかしら?」
律「あぁ、そうだぜ」
翠星石「と思ったけど、貧乏くさくてチンケなところですぅ」
律「お前は何か私に恨みでもあるのか」
唯「とりあえず、音楽室行ってみよっか?」
蒼星石「音楽室・・・?」
紬「えぇ、私達軽音部の活動場所よ」
蒼星石「なるほど、行ってみる価値はありそうだね」
金糸雀「律、道案内よろしくかしら」
律「おう、行こうぜ」
…
…
翠星石「また階段ですか・・・」
唯「ほら、翠星石ちゃん!頑張って!」ファイト!
律「ここを登ればもうすぐだからな」
翠星石「がっこーってところは広くて大変ですぅ・・・」
金糸雀「・・・この亀の置物は何かしら」
律「さぁ?」
唯「意味わかんないよねー」タハハ
紬「それは生徒が亀のように長生きできますようにっていう想いから設置されたものよ」
律「そうだったのか!?」
紬「えぇ、嘘だけどね」
律「嘘かよ!」
唯「信じたのに!」
蒼星石「どうしてそんな嘘つくの」
金糸雀「しっ!静かにするかしら!」
律「どうした?」
金糸雀「中に、誰かいるのかしら」
唯「それって・・・!」
紬「ビンゴね」
翠星石「会話を盗み聞きですぅ!」
蒼星石「駄目だよ・・・。夢の中っていうのはプライベートなことがたくさんあるんだよ?」コソッ
律「お前もな」
真紅「でも、いきなり入っていくのはまずいでしょう?少し様子を伺うのは賛成だわ」
唯「うんうん、澪ちゃんびっくりするかもしれないし・・・」
紬「しばらくの間、ね?」ウフフフフ
「こっこら!ちゃんと聞いてるのか・・・?」
唯「澪ちゃんの声・・・?」
律「どうしよう、嫌な予感しかしない」
「なぁ、律・・・真面目に聞いてくれ」
紬「・・・」ハァハァ
律「やめろ・・・やめろ」
翠星石「夢の中までデコっぱちとランデブーですか、おめでてーですぅ」ハァ・・・
蒼星石「翠星石、本当のことを言ったら失礼だよ」
律「蒼星石ちゃんが一番ひどい」
真紅「・・・スールの契りを交わした仲だったのね、貴女達」
律「ばっ!///そんなんじゃねーし!」
唯「ムギちゃん、スールって何?」
紬「あとでね」ハァハァ
「私は本気なんだぞ・・・?」
紬「告白シーン・・・!?」キタァァァ!
「律、私達・・・別れよう」
紬「」
律「あいつ・・・!なんて夢見てるんだよ!」
唯「りっちゃん、フラれちゃったね・・・」
律「あいつの夢だろ!?その居たたまれない人を見る目を今すぐ止めろ!」
蒼星石「えっと・・・澪が見てるのは悪夢なのかな・・・?」
翠星石「確かにこれは澪にとって目覚めたくなくなるレベルの悪夢ですぅ・・・」
金糸雀「律にはカナがついてるかしら!」
律「励ますな!」
紬「甘いわ」
唯「?」
紬「みんな、まだまだね」
翠星石「沢庵の言う事はよくわからんですぅ」
紬「私もさっきは言葉を失っちゃったけど・・・この夢が澪ちゃんにとって悪夢かどうか、まだ決まったわけじゃないわ」
律「おい、ムギ、何言ってんだよ」
「澪ぉ・・・!待ってくれ・・・!」
翠星石「これは、デコっぱちの声ですぅ」
律「そのデコっぱちっての止めてくれ」
紬「この展開・・・やっぱりね」
蒼星石「・・・?」
「わかってくれ、律・・・」
金糸雀「わからないことだらけかしら」
「澪・・・嘘、だよな・・・?」
「嘘じゃないよ・・・ごめん」
律「一体あいつは夢の中で何がしたいんだ」
「澪、私は・・・澪のこと、好きだからな?」
律「おいー・・・///」
「ごめん・・・」
真紅「律が必死に食い下がっているわね」
「せめて、理由だけ聞かせてくれないか?」
蒼星石「そうだよっ!一方的過ぎるよ!」
律「蒼星石ちゃんは既に昼ドラをみてる感覚なんだろうな」
唯「でも私も気になるなー・・・」
「理由・・・?」
翠星石「・・・」ゴクッ
「そんなの、ないよ」
唯「澪ちゃん・・・!」
「ただ飽きたんだ、それだけだよ」
律「」
翠星石「とんだ悪女ですぅ」
紬「やっぱりね」
唯「何が?」
紬「この夢は・・・澪ちゃんの願望よ」
律「澪の、願望・・・?」
翠星石「デコっぱちをふることが澪の願望って・・・」
紬「さっき翠星石ちゃんは『悪女』と言ったわね?」
翠星石「言ったです!」
紬「大まかに言うと、それよ」
最終更新:2010年03月06日 00:12