すうじゅっぷんご!
唯「ごちそうさまー」
梓「おいしかったよ憂」
憂「ありがと。じゃあ私はお皿洗ってくるね」
唯「よーし!」
梓(唯先輩、ついに自分からお手伝いを?)
唯「ごろごろするぞー」グタ…
梓「あらら……」ズルル
梓「はいはい、お手伝いしましょーねー」グイ
唯「あーうー」ズルル
憂「でも皿洗いは一人のほうが効率いいし……」
唯「ほらぁ、憂もそう言ってる事だし一緒にごろごろしようよぉ。アイスでも食べながらさ」
梓「ダメです。お姉ちゃんでしょ?」
唯「お、おぉ! よーし! やるぞぉ!」
憂(梓ちゃんはお姉ちゃんの扱いうまいな~)
憂「それじゃあお姉ちゃんはお風呂掃除をお願いしよっかな」
唯「おっけー! 任された!」
梓「食器下げたら私も手伝いに行きますから。サボっちゃダメですよ」
唯「わーかってるよぉ」
――――――――――――
――――――――
――――
おふろば!
梓(さーて、唯先輩はっと)
唯『ふんふんふーん♪ ちゃらっちゃー♪』
梓(ぷぷ、鼻唄なんて歌ってかわいいな。ちゃんとやってるみたいだね)
ガチャ
梓「やってますねー」
唯「あずにゃーん。そりゃあ私だってやるときゃやる女なんだよ!」
梓「えへへ、そうですよね。ん?」
唯「どしたの?」
梓「何かやけにいい匂いがしますね」
唯「いい匂いの洗剤使ってるからね! でもいくら擦っても泡立たないんだ~」
梓「そんな馬鹿な。どんな洗剤使ってるんです?」
唯「これ」ヒョイ
梓「これリンスじゃないですか!」
唯「へ? ダメなの?」
梓「そりゃダメですよ! せめてシャンプー、いやそれもおかしいけど……」
唯「あはは、失敗失敗。まあこれでも汚れは落ちるし」ゴシゴシ
梓「あの、それって体洗い専用のタオルじゃ……」
唯「うん、そうだよ。どれで擦ればいいかわかんなかったから、とりあえず使ってたんだ。ザラザラしてて結構汚れ落ちるよ~」
梓「浴槽ブラシを使うんですよ! 常識じゃないですか!」
唯「そうなの?」
梓「もぅ! 今までごろごろして憂に家事を任せっきりだったから、そんなこともわからない子に育ったんですよ!!」
唯「あう……」
梓「大人になってもこんなだったらどうするつもりですか! お姉ちゃん失格ですよ!」
唯「……!?」ガーン!
梓(あ……言い過ぎた……でもきっと唯先輩のことだから……)
ポワワワーン
唯『あずにゃ~~~ん、許ちて!』ダキッ
梓『んもぅ! 全然反省しないんだから……』
シュワワワーン
梓(なんてことに……)ササッ
唯「……」
唯「……ぅうあぁ~ん!!」ポロポロ
梓「……」
梓「へ?」
梓「ゆ、唯先輩……?」
唯「うわぁーん! あぁ~ん!」トボトボ
梓「あ、あの」
ガチャ
唯『うあぁ~ん!』ビエー
梓「」
梓「なにこれ」
梓「い、行ってしまわれた……。一体どこに号泣する要素が……。と、とにかく今はお風呂掃除の続きを……」アタフタ
梓「……」ゴシゴシ
梓「あ、しまった……。これ浴槽ブラシじゃなくて自分の髪だった……」
唯の意外な反応に、動揺する梓であった。
梓「反省してまーす」
だいどころ!
梓「うい~……」
憂「梓ちゃん、お風呂掃除は終わった?」
梓「うん……それよりここに唯先輩来なかった?」
憂「うん? 来てないけど。お姉ちゃんがどうかした?」
梓「実はかくかくしかじか」
憂「お、お姉ちゃんが……」
梓「ちょっときつい事言ったとは思ったけど、泣くなんて思わなかったからビックリして……」
憂「お姉ちゃん、梓ちゃんに姉らしいところを見せるって意気込んでたから……」
梓「お姉ちゃん失格って言ったのがまずかったのかな……?」
憂「多分……」
梓「……」
梓(唯先輩なりに姉らしいところを見せたかったんだな……そんなことにも気付かず私は……)
梓「……謝ってくるね」
ゆいのへや!
唯「どっ」ポロポロ
ガチャ
梓「失礼しま~す……」
唯「えぐっ……えぐっ……」ポロポロ
梓「唯先輩、顔を上げてください」
唯「ぐすっ……」ポロポロ
梓「唯先輩、あの……さっきは」
唯「ふぇえぇ~ん」ポロポロ
梓「あのですね……唯先輩みたいなお姉ちゃんがいてもいいと思います!」
唯「……? 私みたいなお姉ちゃん?」
梓「ちょっと抜けてる所もあるけど、頑張ってる唯先輩は可愛いし、格好いいと思いますよ! だから憂は唯先輩に尽くすんじゃないかな」
唯「……本当ぉ?」
梓「本当です。さっきは……唯先輩の将来が心配になってちょっときつく言っちゃっただけです! そのだから……ご、ごめんなさい!」
唯「ぐすっ……えへへ/// 私の方こそごめんね。これからは憂に任せてばっかりじゃなくて、お手伝いするよ! 少しは姉らしくならないとね!」ふんす
梓「なれますよ。唯先輩なりの、唯先輩らしいお姉ちゃんに」
唯「えへへ、妹に教えられるなんて私はまだまだだね。姉レベル1だよ」
梓「そんなこと……」
唯「そうだ! あずにゃん、せっかくだからギターの練習しようよ! こんな機会めったにないしさ!」
梓「はい!」
憂「……(チラッ」
憂(ふふ、仲直りできたみたい。良かったねお姉ちゃん、梓ちゃん)
いちじかんご!
唯「そろそろお風呂入らなきゃー」
梓「そうですね。って、お湯出しっぱなしだった!」
唯「ええ!? もう一時間以上経ってるよ! タプタプじゃん!」
梓「は、早く止めに行かないと!」
ガチャ
憂「お姉ちゃん、そろそろお風呂入ってー」
梓「憂! 私お風呂の栓閉めるの忘れてて、もう1時間以上も出っ放しで……!」アタフタ
憂「うん、私が止めておいたよ。ギターに熱中してたから忘れてるんだろうな、と思ってたんだ」
梓「なぁんだ、良かったぁ……。言ってくれれば良かったのに」
憂「練習の邪魔したら悪いと思って……」
唯梓「……」
唯梓(できた妹だぁ~)
唯「あずにゃんも憂を見習いなさい」ポン
梓「はい……返す言葉もな……いやいや、唯先輩に言われたくないです」バシッ
唯「のりつっこみ!」
憂(ふふ、なんだか前より仲良くなってるみたい)
唯「それじゃあ入りますか~うい~」
憂「うん」
梓「最初は唯先輩ですか? それじゃあ私と憂はテレビでも見ながら」
憂「?」
唯「何言ってるのあずにゃん」
梓「え?」
唯「みんなで一緒に入るんだよー」ケラケラ
梓「」
梓「いやいや! それはないですよ! ……いや姉妹いないからわからないけど……でも普通に考えたらないですっ!」
唯「なんで~? 普通じゃん。姉妹なんだし」
憂「ね~」
唯「あずにゃんも合宿の時、軽音部のみんなと一緒にお風呂入ったでしょ? それと同じだよ~」
憂「そうそう」
梓「ん~、まぁ確かにそうか……」
梓(いややっぱり何か違うような……)
唯「おふろば!」
憂「それ、お姉ちゃんが言わなくてもいいんだよ~」
唯「あ、そっかぁ」
梓「……」
カポーン
唯「いい湯だな~っと。ビバノンノ。ふぁ~気持ちいいな~」
憂「お姉ちゃん、掃除頑張ってたから余計気持ちよく感じるんじゃない?」
唯「おぉ、確かにそうかも!」
梓「いいものでしょう? 自分で汗をかいて働くって」
唯「そだね。てへへ、今まで憂にまかせっきりだった自分が恥ずかしいよ。これからはしっかりと自分の足で歩いていかないとね。そして自分の行動に責任を持つことが大切なのかな」
梓「それに気付いただけでも大きな一歩です。人は失敗を繰り返すけれど、反省することができる生き物なんです。失敗をどう次に生かすか、それが大事だと思うんですね」
唯「うんうん。その通りだね」
憂「……」
憂(なぜ急に重い話に?)
唯「そうだ! あずにゃん、背中流してあげるよー」
梓「やです!」
唯「ガーン!」
梓「冗談ですよ。お願いします」
唯「お、おお。意外な反応」
梓「今日はお手伝いを頑張って(唯先輩なりに)ましたからね。そのご褒美ですよ」
唯「そっかぁ。ありがとあずにゃん!」
梓「早くしてください。体冷えちゃいますよ」
唯「ちょ、ちょっと待って」
唯(体洗う用のタオル、私と憂の分しかないな。私達が使ったやつじゃ、あずにゃん嫌だろうし……。これでいいか、浴槽ブラシ)ジャジャーン
梓の背中を浴槽ブラシで洗おうとしている唯をよそ目に、憂は……
憂「しゃらんらしゃらんら~」ブクブク
タオルでブクブクしていた。
梓「早くしてくださいよ」
唯「おっけー、ムフフ、あずにゃんの背中小さくてスベスベで可愛い///」
梓「い、いいから早くしてくださいっ! 寒い!」
唯「ほいほい、いきまーす! おりゃあああああ!」
ザラララ!
梓「ぬわーーーーーーーーっ!」ゴロゴロ
唯「あずにゃーーーん!」
憂「ぱぱす!?」
ふろあがり!
梓「バカ! すんごいバカ!」ヒリヒリ
唯「うぅ……」
憂「梓ちゃん、もうその辺で……」
梓「やっぱり唯先輩にお姉ちゃんは無理っすわ! 唯先輩はこの先も憂に頼りっきりで日がな一日ごろごろしてるがいいですっ!」
唯「ふぇえ~……」ポロポロ
梓「その手はもう通用しませんから!」
唯「あそ」ケロッ
さっきのも嘘泣きでした。
唯「テヘッ☆」
しんしつ!
唯「そんじゃあ夜も更けてきたことだし、寝るとしますか」
憂「そだね! おやすみお姉ちゃん、梓ちゃん!」
梓「おやすみ憂。って、私はどこに寝れば……」
唯「せっかくだから一緒に寝ようよあずにゃん! むふぅ///」
梓「むふぅって……へ、変なことしたら許さないんだからねっ」
唯「しないよー/// ん?」
憂「……」ジー
唯「憂も一緒に寝よーよ」
憂「え? 私もいいの?」
唯「いいよー。私達は3姉妹でしょ!」
憂「うん! ありがと、お姉ちゃん///」
梓(ふふ、憂の顔を見ただけで気持ちがわかっちゃうんですね。なんだかんだ言って、やっぱりお姉ちゃんなんだな)
唯「ほいじゃあ、あずにゃんは一番ちっこいから真ん中ね」
梓「小さいとか関係あるんですか? まあいいですけど」
ごそごそ!
唯「ん~3人だと狭い!」ギュウギュウ
梓「あ、当たり前ですよ!」
憂「梓ちゃん、もっとくっついていい? これじゃあベッドから落ちちゃう……」
梓「ええ!?/// それはさすがにちょっと……」
唯「いいよいいよ! くっついちゃえ!」
梓「あんたが言うなよ!?」ガーン
憂「じゃあ遠慮なく」ギュギュ
梓「ぐう……せ、狭いし暑い……」
モンモンモン
唯「ぐへへへ、あずにゃんの背中ツンツン」
梓「ひゃわっ!?」
梓「背中はやめてください! まだひりひりしてるのに!」
唯「めんごめんご。それよりこれ、私の方も結構圧迫感がすごいんだけど、あずにゃんは眠れそう?」
梓「無理ですよ……憂と唯先輩の胸に挟まれてかなり息苦しいです」
憂「zzz」
唯梓「寝とる!?」ガーン
唯梓「……」
唯「おやすみー!」
梓「ちょ、ちょっと待って! マジで苦しくて……これ……無理……」
唯「zzz」
こうして、梓の妹生活1日目の夜が更けていった。
梓「くる……し……誰かたす……」
よくあさ!
梓「zzz……ん、ふぁあ~あ。アレ、ここは……そっか、昨日唯先輩の家に泊まって……」
唯「zzz……むにゃむにゃ」
梓「ふふ、可愛い寝顔しちゃって」
梓(私は結局、息苦しくてあんまり眠れなかったな……。今日は澪先輩の家だから、理由を説明すればゆっくり眠らせてくれるよね)
唯「んん…りっちゃんやめて! そんなとこ舐めちゃダメ! そこはおっしこするところだよ、きたないよ!……むにゃ」
梓「!?!?!?!?!?」
梓(い、一体何の夢を見てるんだろう……?)ドキドキ
唯は泣きながら言ったが、律は便器を舐め続けた(夢の中で)。
梓「あれ、そういえば憂がいない?」
だいどころ!
梓「おはよう憂」
憂「おはよー梓ちゃん」
梓「早いね。毎日朝食を?」
憂「うん。お姉ちゃんは朝が苦手だから、私が作らないとね」
梓「なるほど……」
梓(唯先輩と憂、なぜ差がついたか……慢心、環境の違い)
環境は同じである。
憂「もうこっちはできるから、梓ちゃんはお姉ちゃんを起こしてきてくれるかな?」
梓「おっけー」
ゆいのへや!
梓「唯先輩、朝ですよー。起きて下さい」
唯「ん、んん~……やらぁ……」ゴロン
梓「やだじゃないですよ。時計を見てください。遅刻しますよ」
唯「んん……」
唯「……」ジー
唯「え゛!?」
唯「は、8時!? 遅刻遅刻~!」ズダダダダ
梓「なんで急ぐの?」
憂「お姉ちゃんおはよー。もうご飯でk」
唯「遅刻~! あわわわ……」ツルツルツル
唯「でっ!?」ズデーン
唯「ふぬ……遅刻~!」ダダダ
憂「?」
梓「憂~、唯先輩は?」
憂「もう行っちゃった。なんであんなに急いでたんだろ?」
梓憂「?」
おしまい!
最終更新:2010年03月08日 01:47