美輝「おっ、めぐみー!!
    けいおんって面白いぞ~、私すっかりはまっちゃったよー」

権藤「本官もハマってしまいました!!
    神無月さんもいかがです?」

めぐみ「いかがです、じゃありませんわー!!
     ミイラ取りがミイラになってるじゃありませんの!!」

美輝「うるせえ!!
    つべこべ言わずにお前も見ろってんだ!!
    権藤!!」

権藤「はいっ!!」

めぐみ「!?」

権藤「権藤流捕縛術……極緊達磨吊し!!」

シュバッ
めぐみ「なっ……これはっ!!」

権藤「ふっ、動けないでしょう」

めぐみ「どうしようっていうんですの!?」

美輝「ふふふ、その状態ならピクリとも身動きが取れまい?
    そしてお前の視線の先にテレビを置き、けいおんを流すのさ……
    お前はけいおんを嫌でも見なければならないという寸法だ」

めぐみ「この悪魔!!
     太田さんよりタチ悪いですわね」

美輝「いいからお前はここでけいおん見てろ、私たちは表でバンドやってっから」


――
――――
――――――

美輝「よーし、これでめぐみもけいおんの良さを分かるだろう」

勘九郎「次々にけいおん仲間が増えていくニャー」

太田「ようし、この調子でみんなをけいおん好きにして、
    俺たちの放課後ティータイムを始めるぜ!!」

勘九郎「おう、だニャ!」

権藤「ところで、誰が誰なんです?」

太田「俺が唯ちゃんで、勘九郎があずにゃんだ」

美輝「何でお前が梓なんだ、全然似てねぇ……いや、やっぱピッタシだわ」

勘九郎「そうかニャー、照れるニャー」

美輝「で、私がりっちゃんで」

権藤「私がムギちゃんですね」

辻「みなさん、こんにちはー」

太田「おう、辻か」

辻「えーと、何をやってらっしゃるんですか?
  ……ああ、チンドン屋ですか」

太田「こんなチンドン屋ねえよ!」

美輝「辻~!! 鞄の中身見せろおおお!!」

辻「ひ、ひいいいいい!!」

太田「や、やめろ美輝ちゃん!!
    りっちゃんは他人のカバンを奪うようなマネはしないぞ!!」

美輝「お、おっとそうだったな、今の私はりっちゃんだった」

辻「りっちゃん……? ああ、もしかしてその楽器……
  けいおんに影響されてバンド始めたとか、ですか?」

太田「おう、そうなんだよ」

辻「あはは、いやーホントにいるんですねえ、
  あんなつまらないアニメで音楽始めちゃう人」

太田「!?」

辻「あのアニメのどこに影響される要素があるんですかねえ」

権藤「……」

辻「ろくに楽器にも触らず、お茶のんで喋ってるだけじゃないですか」

勘九郎「……」

辻「たまーに練習したと思ったら、まともに描写されないし」

美輝「……」

辻「なんの努力もなしにライブ成功しても寒いだけですよねえ」

太田「……」

辻「あんな上辺だけの糞アニ……ぐはああっ!!」
バタッ

太田「こ、これは……串!?」

めぐみ「それ以上けいおんへの冒涜は許しませんわ」

太田「めぐみちゃん!」

美輝「ふはは、なんだかんだ言いつつも、
    お前もバッチリけいおんにハマってんじゃねえか!」

権藤「ていうか、よく抜け出せましたね、私の捕縛術から」

めぐみ「最終回で感動のあまり泣きじゃくっていたら
     いつのまにかほどけていましたわ」

勘九郎「ほら、神無月めぐみ、お前もバンドに……はっ!」
    (また幽霊扱いされて串を投げられるニャ……)

めぐみ「西山さん」

勘九郎「な、なんだニャ!」

めぐみ「西山さんは……私にけいおんの素晴らしさを伝えるために
     現世に舞い戻っていらしたのね……」

太田「はっ!?」

勘九郎「そ、そのとおりだニャ!!
     面倒だからもうそういうことでいいニャ!!」


めぐみ「で、私はどの楽器をやれば良いんですの?」

太田「そうだな、金髪だからやっぱムギちゃんポジションかな」

権藤「ま、待ってください。
    キーボードはすでに本官が……」

太田「ううむ、そうか……」

美輝「よーし、辻!
    権藤とめぐみを手品で合体させろ!」

辻「む、無理に決まってるでしょお!!」

美輝「うるせえ、けいおんをバカにした罰だ!
    もしやらねえなら……」

辻「無理なものは無理ですよ!」

権藤「まあまあ落ち着いてください、二人とも。
    キーボードは私たち2人でやりますから」

めぐみ「ええ、それがいいですわね」

勘九郎「妙なバンドだニャー」

茅原「あら、何をやっているの?」

太田「お、茅原先生」

茅原「鬼丸さん、今日はお店は……」

美輝「母さんが商店街の慰安旅行に行ったから、今日は休業だよ。
    私一人でもやってやろうと思ったけど、
    頼むから休業にしてくれってうるさくてさ」

太田「そりゃそうだろうな」

茅原「あら、おやすみなの……残念だわ」

めぐみ「お、お、お、お、お、」

権藤「? どうされました?」

めぐみ「怨霊ですわあああああああ!!!」

茅原「!!」

太田「お、落ち着けめぐみちゃん!
    あれは怨霊じゃない、秋山澪だ!」

めぐみ「えっ!?」

太田「ほら、よく見てみろ」

めぐみ「……」

茅原「?」

太田「黒い髪、つり目……」

めぐみ「……」

茅原「?」

太田「ほら、どこからどう見ても澪ちゃんだろう!」

めぐみ「ど、どこからどう見ても澪ちゃんですわ!
     秋山澪って実在しましたのね!!
     ぜひうちのバンドに入ってくださいまし!」

茅原「何が何だからよく分からないけど……
    私は神無月さんに受け入れられているのかしら?」

太田「ええ、それはもう!」

茅原「そう、それは良かったわ!
    音楽の力で私と神無月さんがつながったのね……!」

辻「多分ちが……ぐはっ」


茅原「私はベースをやれば良いのね」

太田「おーし、これでバンドの人数が揃ったな!」

勘九郎「花見町ティータイム、本格始動だニャー!」

美輝「よし、じゃあ景気づけに一曲演奏すっか!」

太田「おうよ!! 曲は、ふわふわ時間!!」

ジャカジャカジャージャカ
ジャッカジャカジャカ
ジャカジャカジャージャカ
ジャッカジャカジャカ

太田「君を見てるといつもハートドキドキ!!」

勘九郎「揺れる想いはマシュマロみたいにふーわふわだニャー!」

辻「……」

――
――――
――――――

ジャーン

太田「ふう……」

美輝「心に染み入るいい曲だな……」

めぐみ「ホントですわ……」

勘九郎「で、どうだったかニャ? 俺たちの演奏は」

辻「ひどかったです」

勘九郎「バッサリだニャー!」

辻「ていうかみなさん、ろくに練習してないでしょ。
  ただ楽器を好き勝手にかき鳴らしてるだけじゃないですか」

美輝「アニメでは練習せずに弾けてたぞ」

辻「あれはアニメだからですよ! 実際はちゃんと練習しないと駄目ですよ」

美輝「えーめんどくさー」

若菜「あっ、みなさんこんにちは」

太田「おお、若菜ちゃん」

若菜「あーすごい、バンドですか?」

太田「おうよ! けいおんっていうアニメにハマってな、
    みんなでバンドやってんだ」

若菜「あ、アニメですか?」

太田「うん、そうだけど」

若菜「えーっ、大人の人もアニメなんて見るんですね~っ!!」

勘九郎「……!!」

若菜「アニメ見るのなんて小学生だけだと思ってましたよ」

権藤「……!!」

若菜「大人なのにアニメ見てて恥ずかしくないんですか?」

めぐみ「……!!」


太田「何を言っているんだ若菜ちゃん!!
    けいおんは子供が見て楽しむようなアニメじゃない!!
    大人の視聴にも耐えうる物語なんだよ!!
    なあ勘九郎!!」

勘九郎「……若菜ちゃんの言うとおりだニャー」

太田「は?」

権藤「そうですね……いい大人がアニメに夢中になって、
    楽器まではじめてしまうなんて」

めぐみ「よく考えてみれば、正気の沙汰じゃありませんわ」

太田「な、何いってんだよ!
    お前らあんなにけいおんにハマってたじゃないかよお!!」

勘九郎「……もう気づいてしまったんだニャー、
     己の恥ずかしさに……」

めぐみ「バンドは太田さんだけでやってくださる?」

権藤「本官も抜けさせてもらいます……」

太田「おーい!!」


太田「み、美輝ちゃんは一緒にやってくれるよな!」

美輝「……ええい、もう私も辞める!
    練習なんてしんきくさくてやってらんないよ!!」

太田「そ、そんなあ!!」

美輝「そうだ太田ぁ、仕返しがまだだったなあ……
    昨日一晩中大音量で安眠妨害したことへの仕返しが!!」

太田「ひいっ!!」

勘九郎「あ、ズルいニャー、戦うなら俺と戦うニャー!!」

美輝「おらああああ!!」

勘九郎「ギャーッ!!」




茅原「なんだったのかしら……」

辻「まあ、結局いつもどおりってことですね……」


若菜「おしまい☆」



最終更新:2010年03月11日 00:41