唯「むー…最後まかせたよ!」

紬「うん…」

紬(なんか期待されちゃってる?)

紬(くじ引きなんて運次第だし…ついてこなきゃよかったな)

ガラガラ……金色の玉が出てきた…カランカランカラン

「一等温泉旅行ペア券大当り~!」

紬「へ?」

憂「わぁ!すごい!一等だよ!」

紬(なんだか1番いいのを当てちゃったみたい)

唯「ほえー…」

紬(驚いてるのかな?なんだか嬉しくなさそうな…そっか、4等のクリスマスツリーがほしいんだった)

紬「あの、これ4等のクリスマスツリーと取り替えてもらえませんか?」

「え?構わないけど、いいのかい?」

紬「はい」

「じゃあ、これ4等ね」

紬「ありがとうございます」

紬「はい、クリスマスツリー」

唯「くれるの?」

紬「うん、あなたの福引券で引いたんだもの」

消えていた電灯が灯るようにしょんぼりとしていた顔が明るい笑顔になる

唯「ありがとう!」

紬「どういたしまして」

唯「そうだ!ついてきて!」

そう言うとまたわたしの袖を引き歩き出す

今度連れていかれたのはアイス屋さんだった


唯「ソフトクリーム下さい!」

「いつもありがとうございます」

唯「はい!ソフトクリーム」

紬「わたしにくれるの?」

唯「クリスマスツリーのお礼だよぉ!わたしたちはもう帰るから、またね~」

紬「ありがとう。またね」

2人は仲良く肩をならべて帰っていった
大きなクリスマスツリーを抱えて前が見えないまま歩いてる妹がやや不安だった

そして、わたしもソフトクリームを食べながら宛もなく歩き始めた

紬「すごく美味しいソフトクリーム」

――――――――――

歩き続けて気がつくと河原まできていた

「にゃーにゃー」

紬「猫?」

そう思ったが、そこに猫の姿はなくかわりに女の子の姿があった

梓「にゃーにゃー」

紬「ど、どうしたの?」

梓「にゃ?じゃなかった…えっと…」

紬「…?」

梓「あの黒猫見ませんでしたか?」

紬「陰陽座の?見なかったわ」

梓「いえ、違います。普通の猫です…これくらいの大きさなんですが」

紬「ごめんなさい、見てないわ」

梓「ありがとうございます」

紬「飼い猫なの?」

梓「いいえ、いつもこの辺にいる猫なんです。せっかく餌持ってきたのに…」


梓「にゃーにゃー」

紬「よかったら、わたしも捜すわ」

梓「えっ!悪いですよ…どこかに行ってしまったのかもしれないですし」

紬「いいわよ、わたしすることもないし一緒に捜すわ」

紬「にゃーにゃー」

梓「ありがとうございます!」

梓「にゃーにゃー」

紬「にゃーにゃー」

和「あの人達なにしてるんだろう…」


2人で猫の鳴きまねをして猫を呼びながら捜し続けた

道行く人から見たら可笑しく見えただろうか

梓「にゃーにゃー」

紬「にゃーにゃー」

黒猫「にゃーにゃー」

梓「あっ!いた!よかったー」

紬「よかったわ」

梓「ほら、餌だよー」

黒猫「にゃー」


紬「わたしはもう行くね」

梓「あっ、はい!一緒に捜してくれてありがとうございました」

紬「いいのよ、元気でね」

歩き出し空を見ると西の空はもう朱色に染まっていた

紬「もう帰らなきゃダメね」

紬「いろいろ普段できないことができていろんな子と会って楽しかったけど、願いごとは見つからなかったな」

さわ子「はぁっ!?やっぱ行けなくなったって何よ!私はもう向かってるのよ!」

紬「きゃっ…」


突然後ろから聞こえた叫びに驚き振り返る

さわ子「ファック!私が何しにここまできたと思ってるのよ!ドタキャンとか最悪!」

紬(不良だ…)

さわ子「あぁ!なに見てんだコラァ!」

紬「ひぃっ…」

さわ子「あ…」

紬「うぅ…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…えぇ~ん…」

さわ子「あ…あの~…えっと…私が泣かした?」

紬「うぅっ…うぇ…」

さわ子「大きい声出してごめんね、ねっ?お願いだから泣き止んでよぉ~…」

紬「えぇ~ん…」

「やだ…高校生が小さい子をいじめてるわよ…」

さわ子「あぁもうっ!ちょっとここで待ってなさいよ!」

急ぎ足で遠ざかっていく足音、少しするとまた急ぎ足で近づいてくる

さわ子「ほら、とりあえずコレ飲んで泣き止んでよ」

紬「え…これなに?」


さわ子「缶ジュースよ、そんなのも知らないの?」

わたしが渡された缶を不思議そうに見ているとおねえさんは私の手から缶を取り上げる

さわ子「もう缶ジュースの開けかたも分からないの?こうするの」

気持ちの良い音をたてて缶が口を開ける

さわ子「はい!こうやって飲むの」

紬「へー…」

さわ子「黙ってどうしたの?ジュース嫌なの?なら私の紅茶とかえてあげるけど?」

紬「え、えっと…ジュースでいいです」

私の渇いた喉をジュースが潤してくれる

紬「美味しい…」

さわ子「やっと笑ってくれたわね…」

紬「あ…泣いたりしてごめんなさい」

さわ子「泣き止んでくれたらいいのよ、私が大声出したのが悪いんだし」

紬「おねえさんは高校生ですか?」

さわ子「うん、桜高よ」

紬「高校って楽しいですか?」

さわ子「楽しいわよ。今みたいにドタキャンとかムカつくこともあるけどね…」

さわ子「なかなか出会えないおもしろい仲間と一緒に楽しいことして同じ時間を過ごす」

さわ子「どんなにたくさんのお金を積んでもかえられない大切な時間よ」

さわ子「あなたも大事な友達と時間を大切に過ごしなさいよ」

紬「…はい!」

さわ子「さっ!そろそろ帰ろっか!あなたの家はどこ?送っていくわよ」

その時こちらに一台黒い車が近づいてきた

斉藤「お嬢様!」


紬「あっ、斉藤」

斉藤「捜しましたよ、お嬢様!皆さん心配してたんですよ!」

紬「勝手にいなくなってごめんなさい…」

斉藤「まぁ、無事でよかったです」

紬「そうだ斉藤、わたしこの方にとてもお世話になったの!よかったら家に招待したいのだけど」

斉藤「お嬢様の恩人なら喜んで招待しますよ」

さわ子「わたし?いやいや、いいっていいってたいした事してないし」

紬「いい話を聞かせてもらってジュースまでもらったのに何もお礼しないなんて悪いです」

さわ子「いいわよ、友達なんだから礼なんていいのよ」

紬「友達?」

さわ子「そう!私達は大切な友達同士だから、これくらい当たり前なの」

紬「でも…」

さわ子「どうしても礼がしたいって言うならあなたが大きくなった時に美味しい紅茶をご馳走してちょうだい」

紬「……はいっ!」

さわ子「そんじゃまたねー!」


その後、帰宅した私はたくさん怒られた

きっきり怒られた後はお父様とお母様に今日あった出来事を話した

いろんな人に出会った

公園の砂場でお城を作ったこと

商店街で福引きをして一等を当てたこと

すごく美味しいアイスクリーム屋さんの話

可愛い黒猫の事や缶ジュースの事

そして、やっと見つけることができた七夕でのお願いのこと

――――――――――

次の日の学校

先生「紬ちゃんはどんな願い事を書いたのかな?」

紬「はい、わたしの短冊に書いた願いごとは…」

『桜が丘高校に入学してなかなか出会えない楽しい仲間と一緒に大切な時間を過ごしたい。琴吹紬』




・・

・・・

紬(あの時の願いごとは今しっかりと叶いました)


唯「願い事決まったー!」

梓「私も決まりました」

唯「あずにゃん何にしたの?」

梓「猫が飼いたいです」

律「うわ…普通…」

梓「いいじゃないですか」

澪「唯は何にしたんだ?」

唯「サンタさんに会いたいだよ」

律「いや、クリスマスに願えよ」

紬「うふふ…唯ちゃんおもしろい」

唯「えへへ、でしょ~」


ガチャ…
ドアが開き先生が音楽室に入ってきて席についた

さわ子「あ~疲れた~…ダラけられるここは学校唯一の癒しの空間ね~」

紬「はい先生、紅茶です」

さわ子「あら、気がきくわね。ありがとう」

紬「お味はいかがですか?」

さわ子「うん、最高に美味しいわ」


終わり



最終更新:2010年03月12日 02:37