澪「考えても見ろ!スマブラは何人用ゲームだ?」

梓「え…何人用って…ハッ!」

澪「そ…4人用ゲームだろ!つまり…ムギが入ったら一人定員オーバーなんだよ!」

唯紬率梓「「「「なんだってーーーーー!!」」」」

律「で、でもさ澪…交代制でやればいいじゃん」

唯「そーだよ澪ちゃん!それで問題ないよ」

澪「いやそれが大問題なんだ!」

澪「考えても見ろ…負けたら交代になんかしたら
  私は弱いから常に交代要員だ…実力から考えて律は常に交代せず
  ムギの実力が分からないからなんとも言えないけど私と下から二番目が常に交代することになるだろ!!」

梓「ぐっ…」

澪「つまり交代制なんて私の遊べる時間が2分の1にまで縮小する最悪のルール
  一見筋が通っていてもこんな落とし穴があるんだ
  だとしたら私はムギの加入に賛成するわけには行かないよ!」

律「確かに…」

唯「でも待って澪ちゃん、交代制は負けたら交代だけじゃないよ!」



澪「なんだと?」

唯「道は一つじゃない…私たちにはもう一つの可能性が残されてるはずだよ、つまり」


――――勝ったら交代


律「そうか!!」

梓「その手がありました!!」

紬「たしかにこれなら澪ちゃんのリスクは低くなるわ!!」

唯「どう澪ちゃん?これで私たちは手を取り合えるはず
  みんなでスマブラするという未来を生き抜くことができるはずだよ」

澪「甘いんだよ!!」

唯「!!」


律「どこが甘いんだ!?砂糖か?シュガなのか?ぐぇあなのか?」

澪「…たしかにそのルール、一部の強者がスマブラを牛耳る不平等からの開放
  理にかなったルール、真の平等、そう思えるかもしれない…
  だけどそれも実は正しくない、考えても見てくれ」

――――1位になれる物は手を抜けば2位にもなれる事を

唯「なっ…」

澪「そうなんだよ、交代したくなければわざと負けるんだよ…
  いざとなったら人間って奴はね」

律「わ、私はそんなことしねーし…」

澪「どうだかな、仮に律が全力出したとしても相手が全力出すとは限らないよ
  わざと手を抜いたら次の試合で確実な出場権を手に入れられるんだ
  そうなれば大乱闘自体が破綻、全員が手を抜き本当の勝負ができなくなる
  そんな危険性を孕んでいるんだよ、勝ったら交代って奴はね!」



澪「わかっただろう…?ムギの参入は私たちのスマブラライフを破壊しかねないんだよ
  それに交代制度はそれそのものが失敗なんだ
  コントローラーが行き交うことでコードは絡まる、時間が空いて場がしらける
  そして自分のコントローラーが他人の手に渡る、これが最悪だ
  自分の手元に戻ってきたとき手汗まみれだったり、
  最悪他人のコントローラーでプレイしなくちゃならない
  こんなんじゃ納得のいく乱闘なんて無理、わかっただろう?」

唯「…」

梓「…」

紬「…」

律「…わかった
  確かに澪の言うとおりだよ…」

紬「りっちゃん…」ワナワナ

律「考えれば答えは一つだったんだ…スマブラを5人で遊ぼうなんて…」

唯「りっちゃん…!」

紬「いや…いやよ…りっちゃん…」ググッ

律「ムギ…」

紬「わ、私はもう一人ぼっちは嫌よ…ずっと一人だったの・・・
  みんなと同じように遊びたくてテレビゲームをやってみたの…
  でも…でも…テレビゲームをいっしょに遊んでくれる人もいなかったわ…
  毎日毎日一人用ゲームで…マスターハンドを狩ってきた…
  そして気がついたの、こんなのぜんぜん楽しくないって
  一人でやるゲームになんて価値は無いって…
  わ…私はほとんど遊べなくてもいい…みんなといっしょにいられるだけでいいの…
  だから…私を仲間はずれになんかにしないで…りっちゃん…」グスッ



―――ばーか、ムギを一人ぼっちになんかするわけないだろ?



紬「えっ…?」

律「」ニカッ

律「澪ーお前の言うとおりだよ!スマブラは5人では快適に遊べないな」

澪「ふふ、やっとわかってくれたか!」

律「ああ、5人で遊べないなら4人で遊べばいいんだもんな」

澪「そうだ律!いままでどおり…ハッ」

律「でも、いままでの4人の中から一人抜けて、そしてムギが入れば…問題ない…そうだろ?」


唯「ま、まさかりっちゃん…」

梓「澪先輩を弾劾する気じゃ…」

澪「まさか…」


律「なら…」





律「私抜けるわ」


澪梓紬唯「「「「!!」」」」



澪「ど、どういう事だよ律!!」

律「へへ、聞いてのとおりだ。私ダメなんだよな…
  誰か一人をのけ者にして楽しむなんてできないんだよな」

梓「律先輩…」

律「だからきっと私がムギをのけ者にしてスマブラしたところで本気で楽しむことはできない
  そしたらみんなだってスマブラがつまんなくなっちまうだろ…?ならさ、私が抜けるのが一番いいんだよ」

澪「あ…ぁ…」

紬「りっちゃん…」

唯「…」


――澪は思い出していた。昔みんなに馴染むことができずに一人ぼっちだった頃の自分を

男の子「鬼ごっこだー」

女の子「きゃーきゃー」


澪(みんな楽しそうだな…私も仲間に入りたいな…)

小学校の頃の澪は引っ込み思案で本ばかり読んでいて友達が少ない女の子だった


?「あー!澪ちゃん何の本読んでるのー!?」

澪「ひゃっ!」

律「えへへー、面白そうだねー!いつも読んでるもん」

澪「あ、りっちゃん・・・う…うん、この本は面白いよ…」カアアッ

律「へえー」ニコニコッ

そんな私に話しかけてくれる数少ない一人が田井中律だった


律「澪ちゃんもみんなといっしょに鬼ごっこやろうよおー!」ニコニコッ

澪「え…えぇ!?いいよぉ…私そういうの苦手だもん…」

本当はみんなと混ざって遊びたかった、けど私なんかが入ったらきっとしらけちゃうよね…

女の子「あー田井中さん、鬼ごっこ中なんだから逃げなきゃダメだよー」

男の子「そうだよー!はやくみんなで遊ぼうよー」

律「あーごめんごめん」

澪「…」

りっちゃんはクラスの人気者、
私なんかにかまうよりきっとクラスのみんなと遊んでるほうが楽しいよ
りっちゃんもそう思ってるよね、だからもう私に気を使わなくていいんだよ

律「私、澪ちゃんも鬼ごっこに入れたいな♪」

―――えっ?


律「だってみんなで遊んだほうがきっと楽しいもん!」ニコニコッ

澪「!!」カアァッ


その後、私が鬼ごっこに参加しないなら私もやめるなんて、りっちゃんが言うもんだから
仕方なしに私もクラスの鬼ごっこに参加したんだっけ

あの時は本当に楽しかったなあ…
そうだった、そうだった

りっちゃんは…

律は…

そんな一人ぼっちな子を頬って置けない女の子だったんだ…


澪(それに比べて私はなんだ!?
  ただ自分が仲間はずれになりたくなくて…
  いままでの遊び場が新参者に壊されることばかり怖がってて…
  結局私がムギにしようとしてたことはただの仲間はずれじゃないか)グスッ

唯「りっちゃん…私もりっちゃんが抜けちゃったらきっとスマブラが楽しくなくなっちゃうよ
  それなら私も抜ける」

梓「私も唯先輩に同意です、誰かが抜けたらもうそれはもう私たちのスマブラじゃありません
  みんなのスマブラですから…その時はまたみんなでずっとティータイムやってたほうがきっと楽しいですよ」

紬「みんな…」グスッ

澪(私は…私は…!!)



澪「みんなゴメン!!」

一同「!」

澪「私…ムギの気持ちを考えてなかったよ…!!
  自分のことしか考えてなかった…悪気があったわけじゃないんだ…
  いやこれはいいわけかもしれないけど…ただみんなで楽しくスマブラをしたかったんだ…
  私…怖かった…ムギが私たちの中に入ることで私たちのスマブラが…
  私たちのスマブラじゃなくなるような気がしたんだ」

律「澪…」

澪「だから…」

律「みーお♪」

澪「りつぅ…」グスッ

律「ばかだなぁ…澪が優しい子だって事、最初からみんな分かってるぞ♪」

澪「りつぅ!!」

ガバッ

唯「えへへー、私コードがからまっても間が空いても
  みんなといっしょならきっと楽しいと思うな」

梓「そういうグダグダもスマブラの楽しみですからねー♪」

澪「みんな…許してくれるの?この私を」

紬「うふふ、許すも何も最初から怒ってなんかいないわよ」ニコッ

澪「む…ムギ…」

律「ほらほら、もーそんな湿っぽい顔すんなって!放課後またみんなでスマブラだからな!」

唯「りっちゃん家集合だね!」

梓「今度は負けませんよ!」

紬「お手柔らかにね♪」

澪「あぁ…ああ!」

スマブラはみんなで紡ぐもの、
私たちのスマブラはきっと傍から見ればヘンテコなスマブラなのかもしれない…
でも…私たちは私たちのスマブラが大好き!

スマブラ大好きー!


お   わ   り



おまけ

唯「ムギちゃん…これはなに?」

唯達の目の前に差し出されたそれは見た目はニンテンドー64
だがポートが5つある代物だった

紬「ふふ、琴吹家がニンテンドーと合同で作ったニンテンドー65よ!」

律「まじかよ糞箱売ってくる」

澪「ムギ…」

紬「やっぱりみんなで遊べたほうがいいでしょ、だから特別に用意してもらったの
  ポートが5つの他にコントローラーはコードレスのものもついてて、
  みんながマイコン使いたいならもちろんそれにも対応してるわ」

梓「すごいですね…」

紬「そして新婚生活でだらけている桜井氏をひっぱたいて作らせたスマブラ5人用バージョンよ」

唯「わあ、これでみんな楽しくスマブラができるね♪」

澪「ありがとう…ムギ…」


だが…それがまるでダメッ

澪「おいふざけんなチーム戦だったら2対3になっちまうだろ平等じゃない」

紬「なら私とりっちゃんが組めばちょうどいいんじゃない?」

澪「だめだめ!私は最弱だし、唯と梓も律一人に勝てなかったんだぞ、負けるに決まってるだろ」

律「あーじゃあ私が一人になって…」

紬「ちょっとそれじゃ圧勝じゃない」

唯「私とりっちゃんが組めば」

梓「ムギ先輩が律先輩に匹敵するんですから不平等ですよ!!」


律(まー、こんなグダグダだけどさ…)

唯「ならもう個人戦でいいよ」

澪「やめろよ、私に勝ち目がなくなる」

紬「アイテムありにすればいいんじゃない?」

梓「だめですよ!真剣勝負感が薄れます!!」


律(私はこんな放課後ティータイムが大好きだ!)ニコニコッ

澪「何ニヤついてるんだよ気持ち悪いぞ」

律「なんだとー!リアル大乱闘じゃーい!!」

紬「まあ♪」ニコニコ

唯「りっちゃん隊員!振動パックどぞー!」

梓「きゃっ投げないでください!に゛ゃっ!!!!」ビリビリ

澪「ぶwwwwあはははwwww」



お  し  ま  い



最終更新:2010年03月17日 00:58