リビングの扉を開けると、その中には唯、澪、律、ムギがいた。
「和ちゃんどうしたの? 怖いか顔して」
 唯が無邪気に寄ってくる。
「解けたのよ全て、この梓ちゃん連続殺人事件の謎がね」
「えっ!」
 みんな驚きこちらを見る。

「犯人はこの中にいる! 外部の犯行や不可能犯罪なんかじゃないわ!」
 メガネをクイッと上げて宣言した!


「この中にっ!」
 そう言われてみんな、おろおろしはじめた。
「全ては密室の事件、この連続殺人の鍵はそこにある!」
「密室って、私達が海から帰ってきたら梓がキッチンで死んでた事件か?」
 律が確認を取ってくる。
「そうよ、あれは密室なんかじゃないわ。私達が外にいた時に死体はまだ別荘の中に無かったの! 私達が中に入った時に死体が別
荘に入ったのよ!」
「い、意味が分からなんだけど?」
 澪が混乱した様子で聞いてくる。
「つまり、私達が海から帰ってきてムギが別荘の扉を開けくれてる時、誰かが持ってたのよ梓ちゃんの死体を!」
「!」
 みんな驚き固まっている。
 「犯人は何食わぬ顔でキッチンに行き、そこに死体を置いた。そして第1発見者を装うために悲鳴をあげたのよ」
「あの時の第1発見者って……」
 みんなが一斉に唯の方を向いた。
「そう、犯人は唯! あなたよ!」
 唯を指差して、そう宣言した!


「えへへ、バレちゃった?」
 唯は頭に手を当ててそう答えた。
「どうしてこんなことしたの?」
「ううん、なんとなく!」
「はぁ、本当にもう、人騒がせなんだから。そして、それに乗ったあなた達もね!」
 澪と律とムギの方を指差す。
「自分だってノリノリだったじゃねえか!」
 律が反論してくる。
「じゃあ、次の事件ね」
「無視かよ!」
「っとそのまえに唯、死体はどこに隠してたの?」
「カバンの中だよ」
 笑顔でそう答えてくれた。


「次は毒殺事件だけど犯人はたぶん、ムギでしょ」
 律を無視して、ムギの方を向く。
「ごめんなさい、実はそうなの、お騒がせしちゃったわね」
 ムギが申し訳なさそうに話し始める。
「あそこに毒を置いたのは私よ。梓ちゃんが勝手に食べちゃったんだけど……」
「そんなところだと思ってたわ。次、梓ちゃんの死体がカメラにずっと写ってた事件。犯人は名乗り出なさい」
「わ、私だけど……」
 律が手をあげてこちらに来る。
「どうしてそんなことしたの?」
「まさか、カメラで撮影してると思ってなかったんだよ。いたから殺して捨てただけなのに……」
「偶然にしてはでき過ぎだけど、まあいいわ。次、死体が消えた事件」
「私だけど……」
 澪がうつむきながら答える。
「窓を開けたのも澪ね。死体を風で飛ばすために」
「うん……」
「もう、澪のせいでダイニングめちゃくちゃじゃない!」
「ごめんなさい」
「どうしてそんなことしたの?」
「だって死体を直接処理するの怖かったんだもん!」
 澪が涙目で訴えてくる。
「ふぅ、こんなところね……」


 もう、分かった?
 そう、この事件の鍵とは死体は全て、

 ゴキブリ

 だってことよ。

 唯はゴキブリの死体をあらかじめ用意し、カバンの中に入れて別荘に持ち込んだ。
 ムギはゴキブリを駆除する毒を部屋に置いた。
 カメラにずっと写っていた死体は律が殺したゴキブリの死体。
 ゴキブリの死体だから風で簡単に飛ばされて死体が消失した。

 梓ちゃん=ゴキブリ
 これが事件の真相よ!


「そして、最後の事件だけど……」
「あっ、船が来たみたいよ」
 ムギがそう言って立ち上がる。
「行きましょうか。続きは船の中ってことで」
 私がそう言うとみんな賛成したようで、荷物をまとめ始めた。

 別荘を出て、乗船する。
「これで全員ですか?」
 船長が確認を取る。
「ええ、5人全員乗りました」
 ムギがそう答えると船長は船を出発させた。


 船が出発して、みんながワイワイとやっているなか、私は1人海の方を見ている。
「梓ちゃん、ドレミといろは歌をダイイングメッセージに使うなんて考えたわね」
 紙に目を落としてつぶやく。
 その紙を手から離すと浜風に乗って飛ばされていった。



 ドレミフソラシ
 いろはにほへと
 ちりぬるをわか
 よたれそつねな
 らむうゐのおく
 やまけふこえて
 あさきゆめみし
 ゑひもせす

 完







あとがき
死体が人間じゃなかったら密室作るのって簡単だな、といのが最初にあって
それを書きたくて、この作品を書きました。
あずにゃん=ゴキブリが確立しているので、書きやすかったです。
こんなアホなSSに付き合ってくれてうれしかったぜ。

駄文をお読みいただき、ありがとうございました。



※ネタバレ注意 反転

※CASE5で死んだのは本物のあずにゃんってことか!

そういうことだ。説明しないと分からないっていうのは俺の文章力無さだな

夕日が沈む中、船に揺られて着いたのは無人島。私、唯、澪、律、ムギ、梓ちゃんの6人は船からおりて地に足をつけた。って書いてあるけど

「ええ、5人全員乗りました」ムギがそう答えると船長は船を出発させた。では「ええ、5人全員乗りました」ってムギが言ってる

1人船に乗ってないってことだ
最終更新:2010年04月12日 07:10