唯「う、そ・・・」

憂「私と・・・唯さんが・・・血のつながった・・・兄弟・・?」

唯「憂・・・」

憂「そして・・・お父さんが・・・本当のお父さんじゃ・・ない・・?」


実「すまねえ!いつか言わないといけなかったんだ!」

実「だけど・・兄貴は憂さんのこと凄い大事に思ってて・・」

実「だから・・だから・・」ポロポロ

いきなりわけのわからないことを打ち明けられた憂は、状況を受け入れられずにいた。
実は涙を流し憂と唯に頭を下げた。唯も呆然としていた。
そして憂は一度頷いた。

憂「うん・・いいよ実さん・・私今すごく幸せだから・・」



憂の優しさに実の涙腺は崩壊した。自分が憂の人生を変えたことを悔やんでいた。
唯の人生をかえてしまったことも。そして心のなかでテツに何度も謝った。
憂と唯は優しい笑顔でこう呟いた。

憂「泣かないで実さん・・・」

唯「辛かったね実さん・・でも打ち明けてくれてありがとう」


憂と唯は少しずつ冷静を取り戻していた。
実は「これでよかったのか?」と必死で自分に問いかけた。
テツに勘当されるかもしれない、とういことを考える余裕は今のテツには無かった。









そして、そのときは悪魔のささやきのごとく訪れてしまった

午前7時をまわった頃だった


スッ

?「ここが厨房か・・・随分とボロいじゃねえか」

実「お、おい・・あんた誰だ・・?どっから入ってきた!」

?「裏のドアが開いてたんでね。入らしてもらったよ」

実「なんだ?部外者は帰ってくれ」

唯「・・・」

憂「・・・?」


?「おう実、随分でかい口叩くな」

実「なんで俺の名前を・・・あんた誰だ・・・?」

?「ふふふ・・・俺も随分なめられたもんだ」

実「・・・・」

?「この刺青を見ればわかるか?」

そういうと謎の男は上着を脱ぎ捨てた。
そこに映った光景に実は目を疑った。

バッ

実「あんた・・・・まさか・・・」

?「ふふふ・・・そうだ俺は」






仲居「須磨会一代目、仲居正広だ」


実「あんたが・・・仲居・・・」

仲居「そうだよ・・・」

仲居「15年前うちの吾郎が世話になったな」

実「あんた・・・それで・・・」

仲居「ここを探すのに随分時間がかかったよ」

仲居「このガキも大きくなりやがって」

憂「ひぃぃ・・・」

仲居「あの日、このガキを誘拐しろと命令したのは俺だ」

実「おまえが・・・おまえが憂ちゃんの人生を!」

仲居「コイツの人生をムチャクチャにしたのはおまえらだろうが!!!」


実「・・・・」

仲居「おまえらがおそこに置いとけばなんてこと無かったんだよ!!!」

実「それは・・・・」

憂は「そんなことない!」と反論したかったが、体が震えて声にならない。

仲居「だからよ、おまえらが幸せにしてるの見てると、虫唾が走るんだよ・・」

仲居「・・・」ギロ

唯「!!!!!!」

仲居「おまえ・・・」

唯「ひいいいい・・・」

仲居「おまえ見てるとムカつくんだよ・・・幸せに満ちた顔しやがって」

シャキーン

仲居はナイフを取り出し唯を威嚇した。
唯は完全に足がすくんでいた。

仲居「まずはおまえからだ。今あの世に送ってやるからな」

唯「!!!!!」

仲居「ヒャッハッハッハ!!!!」

仲居「死ねえええ糞ガキがああああ!!!!!」

唯「きゃあああああああ」







グサッ

仲居「!!!!!!!!!!!!!!」




実「グッ・・・・」

唯「み、実さん・・・・!!!」

憂「!!!!!!」

唯の前には血を流す実の姿があった。
苦しそうな表情の実を、唯はただ見ることしかできなかった。

仲居「邪魔すんな実ぅう!!!!!」

実「この子たちだけは・・・絶対に手を出させねえ・・・」

唯「実さ・・ん」

仲居「チッ・・・」ギロ

憂「ひぃいいいい・・・」

仲居「次はおまえだ平沢憂!!!!」

憂「いやああああああ」





グサッ






実「へへ・・・させねえよ・・・」


憂「いやああああああ」

実「ぐ・・・いてえ・・・」

仲居「邪魔しやがって!死ね!!!!!」

グサッ

実「うう・・・・」





下が騒がしいことに気がついたテツは様子を確認するために階段を降りた。


店長「おい、なんの騒ぎ・・・

仲居「お~・・・やっと登場か佐藤テツ」

店長「!!!!!!!」

仲居「覚えているよなテツ」

店長「仲居か・・・」

仲居「おう覚えてたか。吾郎を殺ったことも覚えてるんだろうな・・?」

店長「・・・・」

仲居「あのときの恨み、晴らさせてもらってるぜ・・ほら見ろよ」

店長「・・・・!!!!」

店長「実・・・・」

店長「おい、実しっかろしろ!!!」

実「兄貴・・・俺もうダメみたいっす・・・・」

店長「バカやろう・・・誰が勝手に死んで良いって言った・・」ポロポロ

実「へへ・・・すいません・・」

実「唯ちゃんと・・・憂ちゃんに・・喋っちゃいました・・・」

店長「・・・」チラ

憂「・・・・」gkbr

唯「実さん・・・」

実「すいません兄貴・・・約束・・やぶっちまいました・・・」

店長「バカやろう・・気にすんな・・・」ポロポロ

実「すいません・・・」

店長「もう喋んなバカ・・・」

実「憂ちゃんと・・・唯ちゃんを・・・」

実「よろしく・・・おね・・・が・・い・し・・・ま

実「       」

店長「みのるううううううう!!!!」



実は二人を守って死んでいった。


仲居「テツ、全部おまえのせいでこうなったんだよ」

店長「仲居おめえ・・・ゆるさねえ!!!!」

仲居「おっとそうはさせねえよ」

そういうと仲居は懐から拳銃を取り出し三人を威嚇した。

憂「お、お父さん逃げて!!!」

唯「おじさん!」

店長「仲居てめえ・・・どこまで汚えやつなんだ・・」

仲居「ほらテツ、頭つけろ」

仲居「そしたらこのガキ二人は許してやるから」

店長「ほ、ほんとか!?」

仲居「ああ」

テツは床に頭をつけた。屈辱的だったが、二人のためにやるしかなかった。
二人は泣きそうな顔でテツの背中を見つめていた。

店長「すいませんでした・・・」

仲居「足りねえな」

店長「本当に申し訳ありませんでした!」(実すまねえ!!!)

仲居「ふふふ・・・・ははははは!!!」

店長「・・?」

仲居「無様だなテツさんよ!!許すわけねえだろ馬鹿!」

仲居「このガキは絶対にぶっ殺す!!!」

憂唯「きゃあああああああああ!!!!」


店長(憂・・・・唯・・・!!!)

テツの体は自然に動いていた。自分のせいで命を絶たれそうな二人を守るために。
それが他人でも。

しそて銃声は響いた。

店長「ぐああああああああああ」

唯「!!!!!!!!!!」

憂「!!!!!!!」

仲居「テツ・・・てめえ・・・」


警察「なんだ今の音は・・・」

警察「何事だ~!!!!!」

仲居「やべえサツか・・・」

そういうと仲居は姿をくらました。


憂「お父さん!!!!」

唯「おじさん!!!」

店長「すまねえな二人とも・・・・」

店長「俺・・のせいで・・・人生メチャクチャにしちまって・・・」

憂「そんなことない・・・」ポロポロ

唯「そうだよおじさん・・おじさんがあの時憂を助けなかったら・・」

憂「私死んでたかもしれない・・・」

テツ「バカ・・・おめえは強い子だ・・・」

憂「お父さん・・・」

店長「お父さんなんて呼ぶな・・・・俺は犯罪者だぞ・・・」


店長「俺はおまえの父親じゃねえ・・・」

唯「おじさん・・・」ポロポロ

憂「お父さんはお父さんだよ・・・!!!」

店長「憂・・・おめえは・・唯んとこで暮らせ・・・」

憂「え・・・?」

店長「俺は・・もう・・ダメだ・・・」

唯「おじさん!ダメだよ死んじゃ!」

店長「唯・・憂は頼んだ・・・親御さんにもよろしく頼む・・・」

憂「お父さん・・お父さん!!!」

店長「憂・・・・ありがとう・・・・・・・・・

店長「     」



数日後

唯「憂~元気だして~」

律「そうだよ憂ちゃん!私達はずっと友達だよ!」

澪「そうだよ憂ちゃん。いいお姉ちゃんもいるだろ?」

紬「そうよ憂ちゃん。元気だして?」

梓「憂・・唯先輩はずごくいい人だから・・・」


憂「みなさん・・・ありがとうございます・・・」ポロポロ

唯「憂・・・私がついてるよ?」

憂「うん・・・・!」

仲居は逮捕された。テツと実の葬儀も終わり一息ついたころ、
憂が唯の家で暮らすことが決まった。
憂は少し悩んだが、実の父母に会いたいという気持ちとテツの勧めを思い出し、決まったのだ。
唯のある言葉も背中を押した。


唯「あのあとね、お父さんとお母さんが憂のことはなしてみたらね
憂のことは一度も忘れたことは無いって言ってたよ」

唯「謝りたいし、憂にもう一度会いたいから一緒に暮らさないかだって」




そして憂は実の母と父と再開した。
父母は泣きじゃくり、憂にひたすら頭をさげた。
憂はこの人たちならついていけると確信した。
家族の絆は時間がすぐに埋めてくれた。

律「よかったなあの二人」

澪「ああ、悲しいこともあったけど、やっぱり家族が一番だな」

紬「そうね。あの二人を見ていると姉妹っていいなって思えるわ!」

梓「私もです!」



仲居「くっそ~ブチ込まれた~」




数年後

憂(テツさん・・・いや・・・お父さん)

憂(実さん・・・私忘れないよ二人のこと)

憂(今は幸せです。二人が唯さんに合わせてくれたから・・・)

憂(感謝してもしきれないよ!)


母「憂~唯~ご飯よ~!降りてきなさ~い!」

憂「は~い!今いく~お父さんお母さん!!」

ガチャ

唯「憂~ご飯だって!早く下いこ!」




憂「うん! “お姉ちゃん”!!!!」



fin



最終更新:2010年04月01日 22:17