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唯「はあぁー練習疲れたーちょっと休憩しよー」

律「さんせー」グデー

紬「あらあら」

澪「まだ十分しか練習してないだろ・・・」

梓「そうです!せっかく澪先輩が新曲書いてきてくれたのに!休憩はもう少しちゃんとこの曲を練習してからです!」

唯「あずにゃーんそんな怖い顔しないでー」ダキッ

梓「ちょ、唯先輩そんなにひっつかないで・・・」

唯「ほら、ケーキだよ。あーんしてあーん」

梓「あ・・・あーん・・・」パク

唯「おいしい?」

梓「お、おいひいれふ・・・」

唯「じゃあ休憩だね!」

梓「なんでそうなるんですか・・・ほんとに少しだけですよ・・・」

澪「結局こうなるのか・・・」

律「それじゃー今日の部活終わり!おつかれ!」

澪「全然練習してないから疲れてないって・・・」

梓「そうです。ちょっとって言ったのに結局あれからずっと休憩しっぱなしでした」プクー

唯「ほらあずにゃん、だからそんな怖い顔しちゃだめだよー。一緒に帰ろー」

紬「最近このあたりで物騒な事件が起きてるみたいだから皆帰りは注意してね?」

律「ああ、ニュージェネか」

唯「にゅーじぇね?」

律「ニュージェネも知らないのかよ。ちょっとぐらいはニュースとか見ろって・・・」

梓「最近このあたりでニュージェネレーションの狂気って呼ばれる異常な殺人事件が連続して
  起きてるんです。
  一件目が集団ダイブって呼ばれてて高層ビルの屋上から高校生五人が飛び降りて亡くなっ
  たって事件で、二件目が妊娠男って呼ばれてて男性の遺体のお腹の中に胎児が詰められて
  たって事件で・・・」

澪「ミエナイキコエナイミエナイキコエナイ・・・」

律「梓、あんまり澪を怖がらせるんじゃないぞー」

紬「そういうわけだから、ほんとに気を付けてね。私は車で迎えに来てもらうけど・・・」

唯「私はあずにゃんと一緒に帰るから平気だよ!」

律「私も澪と帰るから大丈夫だよ。ほら澪いくぞー」

澪「ミエナイキコエナイミエナイキコエナイ・・・」

紬「そっか。じゃあ帰りましょう」



帰り道

唯「にゅーじぇねかー。全然知らなかったよー」

梓「律先輩も言ってましたけどニュースぐらい見ましょうよ・・・」

唯「ええー、そんな怖いニュースなら知らない方がいいよー」

梓「一般常識ですよ。それに最初からニュース自体見なかったら怖くないニュースも見逃しますよ」

唯「うーん・・・気が向いたら見てみるよ」

梓(絶対見ないんだろうなあ・・・)



その日の夜

唯(アイスが切れてたから買いに外に出たけど・・・今日にゅーじぇねの話聞いちゃったからなんか怖いよ・・・憂と一緒に来ればよかった・・・やっぱり怖いニュースなんて知らない方がいいんだ・・・)

唯「あれ・・・何だろこの音・・・」

唯の家からコンビニに向かう道の途中、突然脇道から金属音が聞こえてきた。
カーン、カーン、と一定のリズムを刻んでその音は鳴り続ける。

唯は恐怖や不気味さを感じるより先にその音の正体を確かめたくなり、ついその脇道に入っていった。
道を進むにつれて音は大きくなっていく。確実に音の発信源に近付いているようだ。

唯(この曲がり角の向こう、かな?)

唯は本当に軽い気持ちで、何も考えず、その曲がり角を曲がった。
そして、そこから見える景色に目を見開いた。


そこから見えたものは、人の死体。
体中に杭をうたれ、血まみれの状態で壁に磔にされている。
そして、その死体の前に立っていたのは―――梓だった。

唯「あず・・・にゃん・・・?」

梓「唯先輩・・・」

梓も唯に気付いたようで、振り返り唯を見つめてくる。
しかし振り返った梓の姿は返り血を浴びて真っ赤に染まっており、
手には死体に刺さっているのと同じ杭が握られている。


うわあああぁぁああああぁぁああぁあああああああ


梓の次の言葉を待たず、女の子らしからぬ絶叫とともに唯は来た道を全力で引き返していた。
脇道を抜けたところで一度振り返ったが、梓は追ってきてはいないようだ。
それでも家まで全力で走った。
家に飛び込み、慌てて鍵をかけた。


憂「お姉ちゃんおかえりー」

唯「・・・・・・」

憂「おねえちゃん?」

唯「憂・・・・・・」

憂「ど、どうしたの?汗びっしょりだよ?それにアイス買いに行ってたんじゃなかったの?」

唯「え・・・」

唯(そっか、アイス買いに外出てたんだっけ・・・でもあずにゃんが・・・)

唯「なんでもない・・・やっぱりアイスは食べたくなくなった・・・」

憂「そうなの?珍しいね」

唯「あはは・・・今日はもう寝るよ。おやすみ・・・」



次の日

唯(全然寝られなかった・・・当たり前だよね、あんな怖いところ見た直後だもん・・・
  学校・・・行きたくない・・・今は外に出たくない・・・でも・・・)

憂「おねえちゃーん朝だよー」

唯(憂に心配かけるわけには・・・)



通学中

律「よう唯!
  昨日またニュージェネ起きたな。ちゃんとニュース見たかー?」

唯「あ、りっちゃん・・・おはよう・・・って、え?にゅーじぇね?」

律「やっぱり知らないのか。昨日言っただろ。ニュージェネレーションの狂気。それがまた起
  きたんだよ。
  今度はなんかおっさんの死体が壁に磔にされてたとか・・・そういや唯ん家の近くだった
  ぞ」

唯「え・・・」(磔って昨日のあずにゃんの・・・!?)

律「なんだよ元気ないなー。そんなんで放課後までもつのか?」

唯「あ、私ちょっと体調悪いかも・・・」

律「それじゃ学校着いたら保健室連れてってやるよ。部活までには治すんだぞー?
  さすがに昨日だらけすぎたし今日はちょっとまともに練習しようと思ってたんだから」

唯「うん・・・」


律「ベッド使わせてもらえるってさ。」

唯「ありがとうりっちゃん・・・」

律「おー、いいってことよ。じゃあゆっくり休めよー」ガラガラ ピシャ

唯(私どうしたら・・・放課後部活行くのがこわい・・・
  あずにゃんはどうなんだろう・・・私を見たら、口封じのために私も殺すのかな?
  それとも昨日のは見間違い・・・その可能性も十分あるよね。普通に考えてあずにゃんが
  犯人なわけないし・・・
  でも私があずにゃんを見間違えるなんて・・・それもあんな殺人現場で・・・)

様々な考えが頭の中を巡ったが、身体は疲れていたようで考えているうちに眠ってしまった。
そしてそのまま放課後まで目を覚ますことはなかった。


放課後

唯(音楽室に入るのが怖い・・・こんなの初めてけいおん部に入った時以来だよ・・・
  たしかあの時はこうやって入るの躊躇してたらりっちゃんが・・・)

律「おー唯、来てたのか。何やってんだ、早く入れよ」

唯(こんな風に私を引いて部屋に入ったんだっけ)


唯「こ、こんにちはー・・・」

律「唯、もう大丈夫か?」

紬「唯ちゃん大丈夫?」

澪「無理はするなよ?」

部屋に入るなり律と紬と澪が優しい言葉をかけてくれる。ありがたいが、今の唯にとって何より大事な問題が別にあった。

唯(あずにゃんは・・・)

梓「唯先輩」

唯「あ、あずにゃん・・・」

梓「どうしたんですか?そんな怖いものを見るような目で見て・・・」

唯「・・・」

梓「やっぱりまだ体調悪いですか。
  あ、あの、少しでも元気出るなら今日はいくらでも私のことぎゅーってしてもいいです
  よ・・・」

唯(あずにゃん・・・なんでそんなに何もなかったかのようにしていられるの・・・?)

律「ま、とにかく練習始めるかー。唯は調子悪いんだったら遠慮なく言えよ。休憩にするから」

唯「うん、ありがとう・・・」

紬「昨日もちょっと練習した新曲だったわね」

唯(そういえば昨日は澪ちゃんが新曲書いてきたんだったっけ。あまりちゃんと見てなかったな 今日はまず歌詞をちゃんと読んでみよう)


杭を打て 杭を打て
闇夜を切り裂き 月光を浴びて

唯(!?)

幾千もの鉄槌は 汝の痛みとなりて
今 解き放たれる

唯(これって昨日のにゅーじぇね・・・磔?)


唯「澪ちゃん、この詞どうしたの・・・」

澪「ん、ああ最近グラジオール記黙示録詩篇って本読んだからそこからちょっと思いついた詞を書いてみたんだけど・・・」

律「甘々な恋愛ソングしか書けないと思ってたのにこんな詞も書けるとはなー。
  どっちにしろすごいクセのある詞だけど」

紬「たまにはこういう雰囲気の違う曲もいいと思うわ」

唯「そうじゃなくって、この詞って・・・昨日のにゅーじぇね・・・」


律「ニュージェネ?ああ、言われてみれば・・・磔か」

唯「なんでそんな殺人事件のことなんか歌にするの!?澪ちゃんおかしいよ!」

紬「落ち着いて唯ちゃん。この曲は昨日の部活の時点でもうできてたの。だからこれは昨日の夜に起こった事件のことを書いたものじゃないのよ?」

唯「あ・・・そっか・・・」

澪「自信作だったのに・・・ひどい言われよう・・・」

律「おーい澪、元気出せってー。唯も間違いだって解ってくれただろー」


律「よーし今日の部活はここまで!おつかれ!」

澪「今日はかなり練習できたな。毎日こうだといいのにな、律?」

律「え、いつもこんなもんだろ?」

澪「どの口がそんなふざけたことを抜かすか・・・」

紬「あらあら」

唯(全然集中できなかった・・・早く帰りたい・・・)


唯「それじゃ帰るね・・・」

紬「あ、私は今日も車で迎えに来てもらうんだけど・・・昨日あんな事件があったばかりで怖いし皆私の家の車で帰らない?送っていくわよ」

唯(あ、それありがたい・・・外は歩きたくないし)

梓「大丈夫ですよムギ先輩。唯先輩は私と帰りますし、律先輩と澪先輩も一緒に帰るんですから。そこまで気を使ってもらわなくても」

唯(え!?あずにゃん!?)

律「そうだぞー。小学生じゃないんだから大丈夫だって」

唯(・・・)

紬「そう・・・?じゃあ皆、ほんとに気をつけてね?」

律「ああ大丈夫だって。じゃあまた明日なー」



帰り道

唯「・・・」

梓「・・・」

唯(あずにゃん全然喋ってくれない・・・やっぱり昨日のこと・・・)

梓「・・・あの」

唯「えっ、な、何?」(急に話しかけられた・・・びっくりした・・・)

梓「唯先輩・・・今日はなんだか私を避けてたみたいでした。
  ぎゅーってしてもいいって言ったのに無視しましたし・・・」

唯「え、いやちょっと体調悪かったから元気なかっただけだよ!
  いつもならぎゅーってしてたよ、あはは・・・」

梓「そう・・・ですか」

唯(あずにゃん・・・昨日のはやっぱり幻だったの?あずにゃんじゃなかったの・・・?)



その日の夜 唯の部屋

唯(部活中は納得したけど・・・
  やっぱり普通に考えてこんなタイミングで磔っぽい詞書いてその後すぐにあんな事件が起
  きるなんて普通じゃないよ・・・
  でもそれだと澪ちゃんとにゅーじぇねに関係が・・・?)

唯(澪ちゃんが犯人・・・?)

唯(そんなわけないよね。にゅーじぇねの話聞くだけで怖がる澪ちゃんが殺人なんて無理に決まってるじゃない・・・)

唯(じゃあ澪ちゃんが突然あんな詞を書いたのは・・・)

唯(予知能力?)



次の日

唯(今日も寝られなかった・・・)

唯(昨日は昼間あれだけ寝たんだし仕方ないよね)

唯(学校行きたくないな・・・)

唯(ほんの二日前までは学校行って皆に会うのが楽しみだったのに・・・今はあずにゃんや澪ちゃんと会うのが怖いよ・・・)


通学中

和「おはよう唯」

唯「和ちゃんおはよう・・・」

和「あら、元気ないのね。そういえば昨日は一日中保健室だったって聞いたけど・・・」

唯「いや、大丈夫だよ・・・」

和「そう?ならいいんだけど」


和「それにしても最近このあたりも物騒になったものよね。
  近くに殺人犯がいるかもしれないのに呑気に学校行ってて大丈夫なのかしら・・・」

唯(またにゅーじぇねの話か・・・)

和「未だに最初の事件についても何も明らかにされてないんだから警察の捜査もなかなか進まないんでしょうね。」

唯「和ちゃん・・・私怖いよ・・・」

和「ああ、ごめんね唯。怖がらせるつもりじゃ・・・
  でも磔については目撃者がいるみたいだし、警察の捜査もきっともっと進んでいるわよ」


唯「目撃者?」

和「ええ。現場の近所に住んでる人が言ってたの。杭を打ちつける音が鳴ってたと思ったら突然女性の悲鳴が聞こえて、外を見たら誰かが走っていくのが見えたって。恐らく殺人現場を目撃した人が慌ててその場から走り去ったんじゃないかって言われてたわ」

唯(それって)

和「ただその人は夜だったからよく見えなくて服装とか年齢とかは詳しく分からなかったみたいだけどね」

唯(私のこと・・・)



放課後

唯(今日も音楽室に入るのが怖い)

唯(でも大丈夫だよね?あずにゃんか澪ちゃんが犯人だとしても、りっちゃんとムギちゃんもいるし)

唯「こんにちはー」ガチャ

澪「おう唯」

梓「唯先輩こんにちはー」

唯(普通だ・・・)



二週間後

唯(あれからしばらく経ったけど・・・新しいにゅーじぇねも起きないし、
  あずにゃんも澪ちゃんも今まで通りだし、やっぱり私の考えすぎだったみたい)

唯(それにもうすぐ学園祭だし、いつまでもこんなこと引きずってちゃだめだよね!)



学園祭三日前 放課後

律「おー皆いい感じだなー。これはまた澪が転びさえしなけりゃ最高のライブになるんじゃないのか?」

澪「もう転ぶか!ていうか思い出させるな!」

唯「あはは、大丈夫だよりっちゃーん。皆で澪ちゃんに注意しててこけそうになったら支えてあげればー」

梓「澪先輩に注意するあまり自分が転ばないようにしてくださいね・・・」

律「あっはっは、それこそ大丈夫だって。あんなところで転ぶような真似するの澪だけだ・・・ってあれ」フラッ

紬「りっちゃん!」

澪「律!」

律「いやいや大丈夫大丈夫。ちょっとフラッてしただけだって。
  前から貧血気味だったんだ。心配ないから」

唯「貧血?」

律「ああ、ちょっと前からな。くそー血が足りないぜー。
  B型の血液が不足しています!誰か分けてください!」

梓「その様子だとほんとに大丈夫そうですね・・・」

律「悪い悪い。ほんとにどってことないから」




帰り道

唯「いやー、それにしても今日のりっちゃんにはびっくりしたねー」

梓「そうですね。心配ですけど本人が大丈夫って言ってますし、
  私達も今まで知らなかったぐらいですから本当に大した症状ではないんでしょう」

唯「そうだといいんだけどね」

梓「それより、もうすぐ学園祭ですけど唯先輩こそ大丈夫なんですか?」

唯「なにが?」

梓「演奏ですよ!もうあの曲完璧に弾けるんですか?」

唯「うん。だいたい覚えたし、あと二日もあれば余裕だよ」


次の日 朝

律「おー唯おはよう」

唯「りっちゃんおはよー」

律「昨日久しぶりにニュージェネ起きたなー」

唯「そうだねー・・・って」

唯「え」

律「なんだよ、やっぱり今回も知らないのか」

律「駅のトイレの中から、血を抜かれてミイラみたいに干からびた人の死体が発見されたらし
  いぞ。
  しかもその事件が発覚する前に、既にその遺体の写真がネットオークションに出品されて
  たんだってさ。
  出品者名はヴァンパイ屋って名前で、そのオークションの見出しが『B型の血液が不足し
  ています!』だって。
  血を抜き取った犯人がそんなこと言ってるんだぜ?ほんとどうかしてるよな・・・それは
  前から分かってたことだけどさ」

唯(なにそれ・・・またにゅーじぇね・・・もう起きないと思ってたのに・・・)

唯(いや、でも今回は私が目撃したわけじゃないし関係ないよね。第一の事件と第二の事件も私とは何の関係もないし。 たまたま第三の事件だけ現場を目撃しちゃっただけで・・・)


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最終更新:2010年04月05日 01:34