和「明日、北高と戦争!?てめえ、明日はライブじゃねえのかよ」
唯「さっさとケンカを終わらせてライブに行くつもりだ」
和「うまくいけばいいけどよ、北高の閣下だろ?エグい噂色々聞いてるぜ。大丈夫かよ」
唯「それなんだが、明日までに桜高の兵隊をできるだけ集めてくれ」
和「明日?無理に決まっているだろ」
唯「頼む、できるだけ無傷で終わらせたいんだ。特に指は…」
和「そういうことかよ。わーった、頑張ってみるよ」
唯「恩に着るぜ」
和「よせよ、気持ちわりいな」
日曜日
律「姉御がこねえ!」
澪「携帯も繋がらないし…もうライブ始まっちゃうよ…」
紬「どうしましょう…ライブの華、ギターボーカルがいないなんて」
律「とにかく今は信じて待つしかねえよ」
日曜日、某所
閣下「来たわね」
唯「待たせたな。さっそくだが、てめえにお願いがある」
閣下「聞こうじゃない」
唯「頼む、これで手打ちにしてくれ」スッ
閣下「…。なんのつもり?土下座なんて」
唯「今から大事なライブがあるんだ。頼む、今日はこれで見逃してくれ」
閣下「ああん?そんなむしのいい話があるかゴラア!」ドゴッ
唯「うっぐ…頼む!これは俺だけの問題じゃねえんだ!あいつらの…」
閣下「ああん?なんの話だオラア!」バキッ
唯「くっ…あいつら、この日のために頑張ってきたんだ!俺のせいで…あぐっ!」
閣下「『桜中の虎』が聞いて呆れるわねぇ?さしずめ動物園の虎か?ギャハハハハ」
唯「俺のことはなんとでも言ってくれ…でも今日だけは…」
閣下「うん、それ無理♪」
閣下「どんなすげえ奴かと思ったら、全然大したことねえな。野郎共、やっちまいな」
唯「う…うぅ」
女「この間の恨み晴らさせてもらうぜぇ!」
女「死ねオラア!」
唯「がっは…!」
女「てめえ随分手を庇うじゃねえか。なんかあんのか?」
唯「これは…」
女「まあ、いいや。だったらナイフで串刺しにしてやんよ!」
唯「や、やめろ!」
バキッ
女「ぐはあ」
唯「…?」
和「待たせてわりいな唯」
憂「水くせーぜ、姉貴。俺に黙ってこんな楽しいことしてるなんてよ」
唯「和…憂…それに」
ゾロゾロ
後輩「あいつらか?唯さんになめた真似しやがった奴らは?」
後輩「高校生のババア共が!ぶっ殺ちまえ!」
和「ほら、てめえはライブに行け。こいつらには桜高祭の邪魔はさせねえよ」
唯「和…すまねえ」
和「あとでドトールおごりな」
唯「ああ」
和「とにかく早く行け。ライブが始まる」
唯「わかった」タタタ
和「行ったか」
憂「和さんもヤキがまわりましたね」
和「いいさ、たった一人の親友だ。たとえここで死ぬことになっても後悔はねえよ」
憂「同感。姉貴のために何かできることなんて今までなかったからな」
和「喋ってる暇はねえ!来るぞ!」
学校
唯「待たせたな」
律「おっせえよ!って、ええええ!?」
澪「ちょっと唯!ボロボロ血だらけじゃない!」
唯「ちょっと色々あってな。それよりライブの準備だ。時間がねえんだろ?」
紬「でもそんな体じゃあ…病院に行った方が…」
唯「んなことしてる場合かよ。準備急ぐぞ」
律「…」
律「中止だ…!」
唯「あ?」
律「中止って言ったんだ!」
唯「んだとてめえ!」ガッ
律「きょ、今日はなんと言われようと折れないからな!リーダー命令だ!」
唯「なんだとオラア」グアッ
律「うっ…!」
唯「」プルプル
律「…。頼むよ唯…病院行ってくれよ。骨とか折れてたらどうすんだよ」
唯「今日のために頑張ってきたんだろうが!」
律「ライブは今日だけじゃないだろ!来年だってあるしライブハウスでだってできる!」
唯(来年?あんな大喧嘩して、学校に残れるわけねえんだよ。俺には今年しかねえんだよ)
澪「私からも頼む、病院に行ってくれ唯。ライブなんかより唯の体が心配だ」
紬「私も同意けんです」
唯「くそ…くそおおおおお!」バーン!
律「モノに当たって気が済んだか?」
唯「うるせえよクソが…」
律「気が済んだら病院行くぞ。私達も着いていくから」
唯「…」
律「ほら、おんぶしてやる」
唯「生き恥晒せるかよ」
律「リーダーめ・い・れ・い」
唯「まったく…てめえらには敵わねえよ」
病院
医師「骨も折れてないし、このまま帰っていいよ」
律「良かったなぁ!ホント良かった」ポロポロ
澪「泣くなよ律ぅ…」ポロポロ
紬(な、泣けない…!)
唯「ごめんなみんな。迷惑かけたな」
律「いいんだよ!じゃあ、文化祭戻ろうぜ!」
学校
律「終わってる…」
澪「もう6時だもんな…」
紬「ええ…」
唯「…」スッ
律「どこ行くんだ姉御」
唯「一人にしてくれ」
律「姉御…よし!二人とも聞いてくれ!実は」ヒソヒソ
某所
閣下「クソが…どこのもんだてめえら…」
和「桜中だ。カーッペ」ビチャ
憂「なんとかなりましたね和さん」
和「ああ、あとはライブが成功してれば言うことないんだけどな」
唯自宅
唯「ハァ」
ブブブブブ
唯「ん?メール?律からか」
律『明日朝9時に体育館に来ること!来ない者は死刑だから!』
唯「死刑て…それに明日は振替じゃなかったか?まあ、いいか」
ブブブブブ
唯「今度は誰だ?もしもし」
唯「はい、はい、そうですか。わかりました。では失礼します」
唯「まあ、こうなることはわかってたけどな…」
次の日 学校
唯「なんだ?横断幕くが?桜高軽音部ライブ会場?どういうこった?」
体育館
唯「おお、律。これはどういうこった?」
律「来たな」
澪「待ってたよ」
律「フッフッフ、これを見ろ!」
バサッ
ワーワー!
軽音部!軽音部!
唯「こ、これは…?」
律「みんな軽音部のライブを楽しみにしてた奴らだよ。まぁ、はんぶんは片っ端から電話掛けて無理矢理呼んだんだけどな」
澪「横断幕は見た?みんなで徹夜して作ったんだよ」
唯「お、お前ら…」ポロポロ
律「泣くのは終わってからにしてくれ!時間がねえんだ!行くぞ!」
ワーワー!
律「みんな、アレやろうぜアレ!」
紬「あれって?」
律「野郎部みたいなやつ!」
澪「えー…もうみんなの前に出てきたのに…?恥ずかしい…」
律「いーんだよ!羞恥心をぶっ飛ばせ!なぁ姉御!」
唯「ああ、そうだな」
律「よっしゃ、いっくぞー!軽音、ファイ!」
一同「おー!」
そこで俺は、人生で最高の瞬間を過ごすことができた
今まで人を殴ってばかりだった俺の手からは最高の音が生まれていた
律「だっいせいこー!」
澪「楽しかったな!」
紬「またやりましょう!」
唯「楽しかったよお前ら…」ポロポロ
律「なんだなんだ!もう最後みたいに顔して!またやろうぜ!な!」
唯「最後なんだ…これが」
律「…へ?」
律「どういうことだよ?」
唯「実は昨日な…」
唯「そんなわけで退学になっちまった。笑えるよな」
律「嘘だろ…だってやっとライブ開けるまでになったのに…アンコールだっていっぱい…澪なんとか言ってやれよ」
澪「…」ポロポロ
律「なんで泣いてんだよ…意味わかんねえよ…紬」
律「なんだよ、なんなんだよ。やめろよ…退学とか言うなよ…」ポロポロ
唯「すまねぇ…」ポロポロ
律「う、うわああああん!」ガバッ
唯「ごめん、ごめんな…」ポロポロ
律「うわあああ!」
唯「ホントにありがとうな…楽しかったぜお前ら…」
次の日、部室前
律「今日から姉御はいないんだな…」
澪「ああ…」
紬「寂しくなりますね…」
律「…。いつまでも暗いままじゃ姉御に笑われる!バンド練習頑張ろうぜ!」
ガチャ
唯「よう、遅かったな」
律「今日は姉御が一番かー珍しいな。って、うおい!」
澪「な、なんで!?」
律「退学したんじゃないの!?」
唯「したよ。24時間ほど」
律「は?」
唯「いやな、さっき入学願い出したんだよ。校長は「ありえん」なんて言ってたけど、脅し…穏便に頼んだら入学を認められてな?」
律「…」ワナワナ
唯「いや、いい学校だなここは。校長は泣いてたけどな」
律「うわああああん!」ガバッ
唯「おいおい、泣いてる暇はないぞ。部長、早く俺の入部を認めてくれよ」
律「姉御…あぁ!
平沢唯軽音部に入部決定!よっしゃ!そうと決まれば練習だ!次は武道館だぞ!」
澪「まったく、調子がいいんだから」
紬「りっちゃん、輝いてますね」
完
※補足
ちなみに今更だが閣下のモデルはハルヒ
最終更新:2010年04月06日 01:31