唯「あ、あの!」

女「…」

唯「私、元の世界に帰りたいんです」

唯「帰る方法を教えてくれないかな…なんて…」


女「…」

唯(話かけちゃった…)

女「…」

唯(…)

唯(だめかあ…)

唯「次は1階…」ピッ

唯「…」

女「…」

           ガタンッ

唯「!」

           パチンッ

唯(前と同じ…ということは…)


           パチンッ

唯「…」

唯「いなくなってる…」

唯「…」

唯「…ん?」

唯「何か落ちてる…」

唯「これは…鍵?」

唯「…」

唯「一応拾っておこう」ヒョイ

  チ―ン…ガ―

唯「ついた…」

唯「あの世界かな…?」

唯「マンションの外にでてみよう」


-------------------------------------------------------

唯「赤い…」

唯「戻ってこれたんだ!」

唯「…」

唯「でも、喜ぶとこじゃないよね…」

唯「…りっちゃんを探そう」

唯「家にいるのかな?」

唯「よし」

唯「りっちゃんの家にいってみよう」


------------------------------------------------

---律の家

唯「いるかな…」

唯「…」ガチャ

唯「りっちゃん…?」

唯「部屋かな?」

唯「…」トテトテ

唯「りっちゃん?」ガチャ

唯「いないや…」

唯「…」

唯「あ!私の家かも」

唯「いってみよう」



-----------------------------------------------------

---唯の家

唯「ただいま~…」

唯「…」

唯「りっちゃん?」

唯「…」テクテク

唯「…」ガチャ

唯「いないや…」

唯「…」

唯「…学校」

唯「学校にいるんだ、きっと」

唯「学校にいってみよう」



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---学校

唯「やっぱり学校といえば音楽室だね」

唯「…」テクテク

唯「あ…」

唯「…」

唯「ドラムの音が聞こえる!」

唯「やっぱりいるんだ!」タタタッ

唯「りっちゃん…」タタタッ

唯「りっちゃん!」バターン!

律「うおおい!?」ビクッ


唯「いた!」

律「唯!?」

唯「りっちゃぁん!」ダキッ

律「ちょ…唯…」

唯「よかった…また会えて…」

律「びっくりした…いきなり現れて…」

唯「ごめんね」

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律「いままでどこにいたんだ?」

唯「それがね…」

   唯はこれまでのいきさつを話した

律「そうだったのか…」

唯「うん」

律「そこでは、私はもともといないことになってたのか…」

唯「うん。でね、私考えたんだ」

律「なにを?」

唯「私一人で行った世界は、りっちゃんがいないこととか以外は普通の
  世界だったんだよ」

律「うん」

唯「私しか行かなかったからりっちゃんはいなかったんだよ」


律「ふむふむ」

唯「だから…私とりっちゃん、2人で帰れば完全に元の世界に帰れる
   と思うんだ」

律「そうか…!唯にしては冴えてるな」

唯「えへへ」テレテレ

律「でも、どうやって帰るんだ?」

唯「それは…」

律「そうだよな…わかんないよな…」

唯「…」

律「なんかふりだしに戻った感じだな…」

唯「そうだね…」

律「でも…」

唯「え?」

律「唯にまた会えて…本当によかった」

唯「りっちゃん…」


律「私…一人で寂しくて…」

唯「りっちゃん…泣いてるの?」

律「な、泣いてないよ!」

唯「えへへ」

律「ふふ…でも本当によかった…」

唯「うん…あ!」

律「どうした?」

唯「そういえば…」ガサゴソ

唯「こっちに来る時乗ったエレベーターでこれを拾ったんだ」

律「これは…鍵?」

唯「そうみたいだね」

律「ん…鍵…」

律「…」

律「あ!」


唯「え?何?」

律「もしかして!」

唯「どうしたの?」

律「唯!もしかしたら元の世界に帰れるかもしれないぞ!」

唯「え!?本当!?」

律「ついてこい!」


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---マンション

律「これだ…」

唯「これは…鍵穴?」

律「そうだ、前にみつけたんだ」

律「その時はそんなに気にしなかったんだけどな」

唯「もしかしてこの鍵って…」

律「ああ…」

律「さしてみよう」

唯「う、うん」

律「…」ゴクリ

唯「…」

律「…」グサッ


唯「あ…」

律「刺さった…!」

唯「おお!」

律「回すぞ…」

律「…」カチャ

パアアアア…ヴ―ン

唯「エレベーターが…点いた!」

律「やっぱりか…!」

唯「エレベーターが点いたってことは…」

律「これに乗れば帰れるかもしれないな」

唯「乗ろう!」

律「ああ!」



---------------------------------------------------

---5階

女「…」

律「話かけるなよ」ヒソヒソ

唯「分かってるよ」ヒソヒソ

女「…」

律「1階…」ピッ

唯「…」

律「10階…」ピッ

唯「…」

女「…」


         ガタンッ

唯「…」

律「…」

           パチンッ

唯「…」

律「…」

          パチンッ…ガタンッ…チ―ン

唯「着いたね」

律「降りるぞ」

唯「…」

律「…」

唯「戻って…きた?」

律「外にいってみよう」



-------------------------------------------------------

---外

唯「ひっ…」

唯「空が…赤い…」ビクビク

律「唯…よく見てみろ」

唯「え?」

律「これは夕焼けだ」

唯「あ…」

唯「ということは…」

律「ああ…戻ってきたんだ!」

唯「戻って…これた…」

唯「やったー!」


律「ふふ…」

律「しかも○月×日。私達が異次元に行った日だ」

唯「よかったあ」

律「そうだな」

唯「お家へ帰ろう!」

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唯「じゃあ、私こっちだから」

律「ああ、また明日」

律「ちゃんと学校こいよ?」

唯「うん!」

唯「じゃあね!」タタタッ

律「…」

律「やっと戻れたか…」

律「…」

律「そうだ!澪の家に行ってみよう!」


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律「唯の行った世界は私はいないことになってたんだよな…」

律「…」ピンポーン

澪「はい?」ガチャ

澪「なんだ律か」

律「なあ、澪」

澪「え?」

律「私のこと知ってるよな?」

澪「何言ってんだ」

律「私のフルネームを言ってみてくれ」

澪「なんで?」


律「いいから」

澪「?桜高軽音部、田井中律」

律「…」

澪「どうした?」

律「澪~!」ダキッ

澪「な…!」

律「うお~!大好きだ~!」スリスリ



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---翌日 放課後

梓「ええ!?じゃあ本当に異次元に!?」

律「そうだぞ~、大変だったんだぞ~」

紬「すごいわ…」

澪「だから昨日あんなこと言ってたのか」

律「あ、そういえばあの時なんて言ったんだ?」」

澪「な、なんでもない!」

律「?」

唯「私、何回も泣いちゃったよ…」

澪「まあこれに懲りたら、もう変な遊びはしないことだな」

唯律「もうしません!」 



           おわり


最終更新:2010年04月12日 09:06