梓「第7学区…?………って誰ですか!?」

初春「私は初春飾利です、一応ジャッジメントですから困ってるのなら力になりますよ」

梓「ジャッジメント…?まぁいいや、桜ヶ丘はどこか分かりますか?」

初春「桜ヶ丘?ちょっと分からないですね…」

梓「そう…ですか」

初春「まぁでも支部に行けばすぐに分かると思いますよ、ここからそう遠くはないのでついてきてください」

梓「はぁ」

梓「………」

梓(何だろ、この人…)

梓(何で花を頭に乗せてるんだろ)

初春「名前は何て言うんですか?」

梓「うぇ!?あ、中野梓…と言います」

初春「中野さん、ですか」

初春「あ、もう見えてきましたよ」

梓(ま、悪い人じゃなそうだ)



【第177支部】

黒子「初春、遅いですのよ」

初春「す、すいません」

黒子「あら、そちらの方は?」

初春「どうやら迷子みたいです」

梓「あ、中野梓です」

黒子「まぁ我々の手にかかればすぐに目的地に行けるでしょうから安心してくださいな」

梓「わざわざすみません…」

初春「中野さん、確か桜ヶ丘で良かったんですよね」

梓「はい」

初春「ん~、何学区にある学校ですか?」

梓「学区?」

初春「………もしかして外部の生徒さんですか?」

梓「外部…って、どこのですか?」

初春「………」

固法「牛乳うめ」


初春「あ~学園都市って知ってます?」

梓「知らない、です」

初春「白井さ~ん、どうやら仕事が増えたようですよ」

黒子「どうしたんですの?」

初春「実は………」

………………

黒子「本当に学園都市が分からないんですの?」

梓「はい、すみません」ジワッ

黒子「あ、いや、謝ることじゃないんですの」

黒子「ちょっとあちらでコーヒーでも飲んで落ち着いてくださいな」

梓「は…い」

黒子「………」

初春「で、どうします?」

黒子「ふむ、まさか侵入者ではないでしょうし…どうやって学園都市内に入ってきたのか気になりますわね」

黒子「もしかしたら記憶の方に問題があるかも知れませんわよ」

初春「記憶喪失…ですか?名前は覚えてましたよね?」

黒子「そういう能力者もいますわよ、この学園都市には…」


固法「牛乳混ぜる?」

梓「いえ、大丈夫です」


黒子「それに考えたくはないですが密偵…スパイの可能性も捨てきれませんわ」チラッ

初春「そんな…」

黒子「ま、あくまでも可能性があるというだけですの」

固法「私の牛乳が飲めないって言うの!?」

黒子「中野さん、ちょっと来てくださいな」

梓「あ、はい」

梓(助かった…)


黒子「初春と会う前、何をしていましたの?」

梓「え?………、あれ?思い出せない…」

黒子「あなたの名前は中野梓さんで良かったんですの?」

梓「はい」

黒子「初春?」

初春「はいはい、あ、やはりバンクには一致しないですね」

黒子「あなたは桜ヶ丘から来たんですの?」

梓「はい…」

黒子「桜ヶ丘という住所も学園都市には存在しない…やはり」


固法「ちょっと、そんな尋問みたいに問いたださなくてもいいんじゃない?」

黒子「あ、先輩…」

固法「ねぇ、学園都市は本当に知らないのよね?」

梓「…はい」

固法「で初春さんに会うまでの細かい記憶が無い…」

固法「能力者による記憶の改竄かもしれないわね…」

梓(能力者…?何の話をしてるんだろ…)

固法「初春さん、それぐらいの事ができる能力者は何人くらいいる?」

初春「ちょっと調べてみます」カタカタ

初春「洗脳能力に心理掌握、そう多くはないようですね」

初春「この方達の今日の動向を調べてみます…」カタカタ

固法「白井さん、桜ヶ丘調べてみて」

黒子「もう調べてますの、ふむ、桜ヶ丘というと東京にありますわね」

黒子「聖蹟桜ヶ丘駅に桜ヶ丘記念病院…」

固法「心当たりはある?」

梓「いえ…」


梓「あれ?そもそも桜ヶ丘ってどこだっけ…?」

固法「え?」

梓「ん?桜ヶ丘って何…?」

梓「私は………誰?」

固法「記憶が弱まってる…?」

黒子「…これは一度医者に見てもらった方が…」

初春「え?でもそれじゃあ外部の人間だって…」

黒子「幸か不幸か記憶が弱まってるからそこら辺は大丈夫ですの」

黒子「信頼できる医者を知ってますの、一度そこへ行きましょう」



【病院】

蛙「ふむ…」

初春「先生、中野さんは…」

蛙「実に不可解だね」

黒子「どういう意味ですの?」

蛙「何も異常が無いんだ、記憶以外のことにはね」

黒子「やはり能力ですか?」

蛙「考えにくいね、能力者の記憶の洗脳にここまで時間がかかるとは思えない…」

蛙「ま、実際は記憶がじわじわ消えていったみたいだけど、それも含めて能力による干渉はないと思うよ」

黒子「そう、ですの…」

蛙「ま、しばらくは様子を見た方がいいね」

蛙「それと彼女、能力開発は受けてないみたいだったよ」

黒子「やはりそうでしたの…」

蛙「ま、記憶以外は問題がないから退院はすぐにできるよ」

蛙「早ければ今日にはね」

蛙「その後、どうするつもりだい?」


初春「あの!私が何とかします!」

蛙「何とかって、どうするつもりだい?」

初春「私がルームメートになります」

黒子「初春、本気で言ってますの!?」

黒子「考えたくはないですが、外部からのスパイの可能性だってあるんですのよ?」

初春「だったらどうするんですか!!!」

蛙「…」


初春「あの子、中野さんは…何となくですけど、ほっとけないんです」

黒子「何となくって…」

初春「分かってます、もしもの時は学園都市を出ていく覚悟もあります…」

黒子「なっ…」

蛙「子供が舐めた口を聞くんじゃないよ」

初春「え?」

蛙「君は誰のお陰で学園都市に来れたと思ってるんだい?親御さんの事を君は考えたことはあるかい?」

初春「………」

蛙「君は誰のお陰で学園都市にいられると思ってるんだい?友達の気持ちも分からないのかい?」

初春「それは…」

初春「すみませんでした…」

蛙「と、今のが君の発言に対する説教」

蛙「私は別に彼女を養うなとは行ってない」

初春「え?」

蛙「私はこう見えて学園都市でも結構顔が広いんだよ」

蛙「小さい我が侭から大きな命令まで大抵のことなら聞いてくれる」

蛙「君が良いのなら、彼女と暮らしてやってくれないかな?」

初春「………」パァ

蛙「もちろん生活費は僕が出すし、もしもの時は僕が責任を取ろう」

初春「いいん…ですか?」

蛙「これは僕のお願いだよ?」

初春「ありがとうございます!」

黒子「………」ヤレヤレ


ピロリピロリーンリン

佐天「ん?メールか…初春から…何々?」



FROM 初春
SUB 重大発表!
本文
実は…

またルームメートができちゃいました(*^o^*)ノ



佐天「え!?まじ?」

佐天「………ふむ」メルメル



ギンギラギンニサリゲナクッー

初春「あ、返事きた!」



FROM 佐天涙子
SUB RE:重大発表!
本文
は?何?どういう意味?詳しく教えなさいよ!




初春「え?怒ってる?」

初春「ちょっと丁寧に返事しとこ」メルメル


ピロリピロリーンリン

佐天「来た!何々?」

佐天「え?どういう事?記憶喪失の子を助けたってこと?」

佐天「ふ~ん、初春らしいな」

佐天「今日いっぱいは入院するのか…」

佐天「うぇ?じゃあもう明日っから一緒に暮らすの?」

佐天「とりあえず返信しとこ…」

佐天「明日遊びに行っていい?っと」メルメル

佐天「送信!」ピッ


ギンギラギンニサリゲナクッー

初春「あ、返事…」

初春「良かった、怒ってなかったみたいですね」

初春「じゃあ適当に返しとこ」

初春「詳しい事は明日学校で話します、それではまた明日…っと」メルメル

初春「送信!」ピッ

初春「さぁ、明日には中野さんが来るから掃除しとかなかくちゃ!」



翌朝

初春「………」テクテク

バサッ

初春「!?!?」

佐天「おっはよー初春!」

初春「さ、佐天さん!せめて何か言ってからにしてくださいっ!」

佐天「分かった、じゃあめくるよ~」バサッ

初春「めくらないでください!…///」

佐天「どっちなのよ…」


佐天「で、噂のルームメートは?」

初春「今日の放課後に病院に行ってそのまま連れて帰ります」

佐天「ふ~ん、私も行っていい?」

初春「もちろんですよ」

佐天「でもさ~」

初春「はい?」

佐天「春上さんはどうするの?」

初春「………………」

佐天「え?まさか忘れてたの?」

初春「はは、そんな訳…ないですよ?ほら、春上さんが退院したら…三人暮らし?」
佐天「忘れてたんだな…」


佐天「白井さんは知ってんの?」

初春「あ、はい。一緒にいましたから」

佐天「じゃあ白井さんと御坂さん呼んで歓迎会しない?その、誰だっけ?」

初春「中野梓さんです」

佐天「その中野さんの歓迎会!」

初春「まぁ白井さんも今日は非番のはずですし、一応連絡しておきましょうか」

佐天「やたっ!」

初春「放課後、御坂さんと病院に来るらしいです」

佐天「どこの病院?」

初春「………春上さん達が入院してる…」

佐天「あぁ…一応春上さんに言っとこか」

初春「はい…」

大圄「こらそこっ」

初春・佐天「すみませ~ん」



【放課後】

佐天「ようやく放課後かぁ」

初春「白井さん達は少し遅れるようです」

佐天「じゃあ先に私たちだけで行こっか」

初春「そうですね」

佐天「そういえば中野さん、学校はどうするの?」

初春「柵川ですよ」

佐天「中一なの?」

初春「分からないんですけど能力に関する知識が無いから中一からでいいだろうということらしいですね」


佐天「じゃあレベル0なの?」

初春「これは機密情報なんですけど、どうやら学園都市外部の人間らしいんです」

佐天「え!?それってヤバいんじゃ…」

初春「それが…統括理事が黙認してるらしいです」

佐天「ふ~ん、何か事情でもあるのかな?」

初春「分かりません…、あ、病院が見えてきましたよ」



初春「はい、ありがとうございました」

梓「ありがとうございました~」

蛙「うん、それじゃあお大事にね」

佐天「あ、こんにちは!私、初春の友達の佐天涙子って言うんだ!よろしく!」

梓「あ、うんよろしく、私は中野梓です」

佐天「はは、敬語じゃなくてもいいよ~、それより初春!」

初春「あ、はい、そうでした」

初春「実はもう一人ルームメートがいるんですけど」

梓「え!?どこに」

初春・佐天「ここに」

梓「入院してるんだね」

初春「はい、でもまだこの事言ってないから今から言いに行こうと思って」

梓「あ、私も行くよ」

佐天「私も!久しぶりだなぁ春上さん」

梓「え?でもその子が退院したらどうするの?」

佐天「………」

初春「………………」

初春「さ、三人暮らし…」

梓「え?大丈夫なの?」

初春「たぶん…」

梓(まぁその時には私も家に帰れてるかな?)


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最終更新:2010年04月13日 16:14