澪「お、お前、なんで平気なんだ……?」

澪「本当に人間なのか……?」

唯「はぁ……、まぁ……」

和「日笠、あなたこの人間のことを閻魔さまに頼まれてるんでしょう?」

和「ほら、隠れてないで」

澪「いっ、いやだ!こいつ、横浜アリーナの罰もデビルナイトメアマンションの罰も平気な顔して耐えたんだ……!!」

澪「絶対に人間じゃないよ……!!私はもう嫌だ……!!」


和「しょうがないわね……。どうしようかしら」

唯「あの、ちょっといい?」

和「なに?」

唯「ここって地獄だよね?どうして釜茹で地獄とか針の山地獄とかはないの?」

澪「ひぃっ!!」

澪「見えない聞こえない見えない聞こえない……」ブルブル

和「それは、この子がそういうのを見ちゃうとショックで気絶しちゃうから全部撤去しちゃったのよ」

和「あと時代遅れっていうのも大きかったわね、維持費も結構かかるし」

唯「そうだったんだ……」


ピンポンパンポーン

唯「何の音?」

アナウンス「平沢唯さん、平沢唯さん、閻魔さまがお呼びです。至急、地獄の三丁目本部までお越しください。繰り返します……」

和「あら、ちょうどよかった」

和「閻魔さまがあなたのことを呼んでるみたいね」

和「本部まではこの道をまっすぐ歩いていけば5分くらいでつくわ」

澪「うぐっ、うぅ………、ぐすっ……」

和「私はこの子の面倒をみなくちゃいけないから、悪いけど一人で行ってくれないかしら?」

唯「うん、分かったよ和ちゃん」

和「和ちゃん……?」

唯「それじゃあまたね、澪ちゃん」

澪「」ビクゥッ!

澪「おっ、お前になんか二度と会わないからな!!」

唯「じゃあね~~」タッタッ

和「……………」

和「私の名前は藤東なのに……」




唯「間違い?」

さわ子「ええ、書類に不備があってね。あなたは本当は天国に行くはずだったのよ」

さわ子「私もおかしいと思ったのよ。あなたはとても悪い人のようには見えなかったし」

唯「そうだったんだ……」

さわ子「だからとりあえず、日笠さんにあなたの事を頼んだのよ」

さわ子「あの子の罰は全然辛くなかったでしょ?」

唯「辛いっていうか、とても楽しかったです!!」

さわ子「それはよかったわ。やっぱり地獄にもああいう子は必要よね」

さわ子「コスプレのさせがいもあるし」

唯「(やっぱりあれはコスプレだったんだ……)」

さわ子「それじゃあそこの天国行きのエレベーターに乗ってちょうだい」

さわ子「話はついてるから」

唯「は~い」

そうして私はエレベーターに乗り、天国に向かいました。




天国!

梓「申し訳ありません、私達の不手際で……」ペコペコ

唯「だ、大丈夫だよ、私は気にしてないよ」

梓「本当に申し訳ありませんでした……。それではこの書類を持って呼ばれるまで待合室で待っていてもらえますか?」

梓「後日、正式な形でお詫びさせていただきますので……」

唯「あんまり、気にしないでね?」

梓「はい、それでは失礼させていただきます」

アナウンス「平沢唯さん、三番窓口までお越しください」

唯「あっ、私だ」




窓口!

紬「先ほどは申し訳ありませんでした……」

唯「大丈夫だよ、全然気にしてないから!!」

紬「本当にすみませんでした……。それでは手続きに入らせていただきます」

紬「名前は平沢唯さん。死因は事故死で前科は無し」

紬「問題ないようなので1週間程度で天国の住民票が発行されますので」

唯「はぁ……」

紬「それでは、案内係のものが今来ますのでこちらの書類を持ってあちらの席でお待ちください」

唯「は~い」



そして待つ事15分、案内係の人がやってきました。

律「おいっす!!案内係の佐藤です。よろしく!!」

唯「よ、よろしく……(うわぁ…律ちゃんそっくりだよ……)」

律「今から天国の案内をするけど、何か聞きたい事とかある?」

唯「ここって本当に天国なの?全然イメージと違うんだけど……」

律「ここは間違いなく天国だよ」

律「まぁ、天国のイメージなんて人間が勝手に考えたものだから実際とは違うよ」

唯「そうなんだ……。全然死んだ実感わかないよ……」

律「まぁまぁそんな辛気臭い話はやめて、私と一緒に遊びに行こうぜ!!」

唯「うん、そうだね!!」

律「その意気だ!!じゃあ最初はゲームセンターにでも行くか!!」

そうして私と律ちゃんは天国のゲームセンターに向かいました。


律「まずあれなんてどう?今日は私のおごりだから」

唯「天国の記念にプリクラかぁ~、面白いかも」

律「プリクラ~?これだから下界モンは困るなぁ~」

唯「えっ?プリクラじゃないの?」

律「あれは心霊フォトショップっていうんだ」

律「人間界の写真を心霊写真にしちゃうっていう機械さ」

唯「へぇ~、面白そうだね」

律「だろ!?じゃあ早速やってみよう」

律「希望のターゲットとかいる?」


唯「えっと、じゃあ澪ちゃんで」

律「フルネームは?」

唯「秋山澪だよ」

律「秋山澪……、よしこいつだな?」

唯「うん、そうだよ」

律「しっかし、地獄の日笠によく似てるなぁ~。他人とは思えない」

唯「地獄の日笠さんのこと知ってるの?」

律「ん?ああ、日笠とは幼なじみなんだ。怖がりのくせに鬼になるなんてあいつも馬鹿だよな~」

唯「この秋山澪ちゃんも怖がりなんだよ」

律「へぇ~、じゃあうんと怖い写真を作らなきゃな」


律「丁度現像に出してるフィルムがあるみたいだな」

律「手とか顔とか素材を買って、好きな写真に貼り付けちまえ」

唯「ねぇ、チョキとか笑顔のパーツは無いの?」

唯「全部、怖い顔やパーとかばっかりじゃん」

律「あ~、そういう珍しいのは高いんだよな~」

律「だから私ら庶民には手が出しにくいんだよ」

唯「ふ~ん、だから似たような心霊写真ばっかりになるんだね」

唯「じゃあこの手でいいや」

唯「この写真のこの辺に……」

律「おお、怖っ!!」

唯「澪ちゃんびっくりするだろうな~」



唯「これは何をする機械なの?」

律「それを使うと人間の夢の中に出ることが出来るんだ」

律「でも今は人間界は夕方だからまだ使えないんだよ、残念なことに」

唯「そっかぁ~」

唯「あっ、あれは何?」

律「おっ、それに目をつけるとはなかなかやるな」

律「それは今天国で大人気のdevil beats!っていう悪魔と戦う格闘ゲームなんだ」

唯「面白そうだね!やってみようよ!!」

律「よし、やるか!!久々に腕が鳴るぜ……!!」


唯「やったーー!!私の勝ちだね!!」

律「素人がガードスキルを使いこなしているだと……!?」

律「なぁ、本当にこのゲームやるのは初めてなのか!?」

唯「うん、初めてだよ?」

律「(平沢唯……恐ろしい子……!)」

唯「そういえば、私の体がどうなったのか知りたいんだけど……」

律「じゃあ次はこれをやってみよう」

唯「なにこれ?」

律「これは人間界の様子を見れる望遠鏡だよ」

唯「どれどれ……」

そして私はその望遠鏡をのぞきこみました。

唯「とりあえず病院を見よう」

唯「あっ、お母さんとお父さんと憂だ。軽音部のみんなもいるよ」




病院!

唯母「じゃあ……、唯はもうずっと目を覚まさないんですか!?」

医者「申し上げにくいのですが……手の施しようがありません……」

唯父「そんな……。なんとかできないんですか……!?」

憂「…………」ダッ!!

唯「あれ?憂はどこに行くんだろう?」

唯「あそこは……、神社?」

憂「神様、お願いします、お姉ちゃんを返して下さい……!!!」

憂「私に出来ることならなんでもします……!!お姉ちゃんをまだ失いたくないんです……!!!」

唯「憂………」

唯「……次は律ちゃん達を見てみよう」


律「私がっ、ひっく、あの時、唯に、うぐっ、ちゃんとっ、注意してたらっ、うっ、あんなことにっ、はっ、ならなかったのに……!!」ボロボロ

澪「律のせいじゃない……」

澪「今は唯が目覚めるって信じて待つしかないよ……」

あずにゃんとムギちゃんは両手で顔を覆ったまま、泣いていました。

唯「あはは……」

唯「今までで一番心配かけちゃってるね……」

唯「これからはもう少し気を付けておっちょこちょいをなおすよ……」

律「……………」

唯「あ……、そうか……」

唯「私、もう死んじゃってるんだ……」

唯「だからもうこれからなんてないんだ……」ポロポロ

私の目から涙が溢れてきました。



唯「うっ……、うぅ……」

唯「私、まだ生きていたいよ……!!」

唯「死にたくない……!!またみんなに会いたいよ……!!」ポロポロ

律「……そう思えるってことは幸せなことだよ」

唯「え……?」

律「世の中には自殺とかいう馬鹿なことをして、自分からこっちに来る奴もいるんだから」

律「それに、こっちで待ってればいずれみんなに会える」

律「……それまで頑張れ」

唯「……………」

唯「そうだね………」

唯「分かったよ、律ちゃん。私、みんなが来るまで頑張るよ!!」

律「ああ、その意気だ!!あと、私の名前は佐藤だからな」


律「そうと決まれば職探しだな!!手伝うよ」

唯「職探し?」

律「ああ。天国にも通貨があって自分で金を稼がないといけないんだ」

唯「そうなんだ……」

律「エンジェルロードの清掃なんてどうだ?時給もいいし」

唯「他にはどんなのがあるの?」

律「あとは……ってちょっと待って、電話が来た」

律「はい、もしもし」

律「今案内中だよ。え?戻ってこい?なんでまた?」

律「分かった、急いで戻るよ」

唯「なんの電話?」

律「なんか急いで戻ってこいってさ」


唯「帰れる?」

紬「はい、そうです」

紬「あなたの場合人間界の体がほぼ無傷で残っていますよね?」

紬「事故で強打した脳の状態が奇跡的に回復したので希望するのであれば帰れるそうです」

唯「……本当に?」

紬「はい、本当です。よかったですね」ニコッ

律「やったな!!」

唯「うっ、うっ……」

律「どうした?」

唯「うわぁぁ~~ん!!!よかったよぉぉぉ~~~!!!」

律「おいっ、こんなところで泣くなよ!!」

紬「あらあら」

唯「ごめんね律ちゃん、帰ることになっちゃって」

律「気にすんなよ。死んだ人間が生き返るってのはたまにあるんだ」

唯「私、律ちゃんのこと忘れないよ……」

律「残念だけど、天国での記憶は消えちゃうんだ」

唯「そうなんだ……。じゃあまた来た時よろしくね」

律「ああ、待ってるよ」

梓「それじゃあそろそろいきますよ」ポチッ

―――シュンッ!!

その瞬間私の体は消えてしまいました。


律「案内係なんていえば聞こえはいいけど」

律「実際は本人に死という現実を理解させる残酷な役回りだよ」

律「あいつが現世に戻れてよかった……」

梓「…………」

律「なぁ竹達……」

梓「なんですか?」

律「仕事が終わったら日笠に久しぶりに会いに行こうぜ」

律「寿もつれて」

梓「……そうですね」

律「今日は朝まで飲むぞーーー!!!」





――――パチッ

唯「(あれ……?ここは……?)」

憂「お姉ちゃん!!」

唯「憂……?ここどこ?」

憂「ここは病院だよ……!!今先生よんでくるね!!」

唯「うっ、うん……」

唯「なんか、変な夢を見てたような……?」

唯「うーん、思い出せない……」

その後、病室にお父さんとお母さんと憂が入ってきて、お母さんは私を見た途端泣いてしまいました。憂も私に抱きつきながら泣いています。

軽音部のみんなも急いで病室に駆けつけてくれました。

律ちゃんも澪ちゃんもムギちゃんもあずにゃんも私の事をとても心配してくれていたそうです。

みなさんも階段でふざけるのはやめましょう。




後日!

律「みーおー!!唯のお見舞い行こうぜーー!!」

澪「なんだ、律か……」ゲッソリ

律「!!」

律「どっ、どうしたんだよ、そんなにやつれて……」

律「何があったんだ……?」

澪「昨日、現像に出してた写真を取りに行ったんだ……」

澪「そしたら中にこんな写真が……」スッ

律「ん?この写真がどうしたんだ?」

澪「わっ、私の肩のところ……」

律「………」

律「なっ、なんだこれ…………」

律「怖ぁあああああああ!!!!」




※このSSはほぼそれ町のパクリです。支援してくれた皆様ありがとうございました。



最終更新:2010年04月14日 22:39