和「唯、今日は生徒会もないし一緒に帰らない?」

唯「ごめ~ん和ちゃん、私部活があるの~」

和「あらそう、それじゃあ仕方ないわね、部活頑張って」

唯「うん!また明日ね~」

和(唯にも打ち込めるものが見つかったみたいね、嬉しいような寂しいような…)



帰り道

和(こんな早くに下校するのも久しぶりね)

少しだけ、ほんの少しだけ悪戯心が沸いたのは些細な変化が影響したのだろう

和(買い食いなんて何時以来かしら…)

和(高校生なんだし、別にいいわよね?)

誰に聞くでもなく目に留まった古ぼけた駄菓子屋へ足を進める

和(この露店みたいな感じ、懐かしいわね)

入り口に自動ドアなどというものはなく、壁が切り取られたように開いており、そこから雛壇に並ぶようにして駄菓子が置かれる様が良く見える

多様な菓子類が並ぶ棚、それぞれの箱には白い厚紙に太い真っ赤な文字で値段が書いてあるものが立てかけられている


奥には黄ばんだアイボリーのシューティングゲームと格闘ゲームと思しき筐体が並んでいた

和(このゲームも私が子供だった頃からあるわね…、やったことはないけど)

和(あら?)

ゲーム筐体の裏、店の一番奥の壁面にはまた別の、小さな機械が設置されていた

和(これもゲームかしら?)

近づいて画面に目を凝らすと中央にDEMOと文字が点滅し、古臭い女性の絵が足から頭へロールする

和(えっと、ザ…野球?拳…///)

和(こ、こんなの子供の情操教育に悪影響よ、まったく…)


とりあえず懐かしいと感じた菓子をいくつか買うと店を出る

和(あのおばあさんも暫く見ないうちにずいぶん老けてたわ…)

小さい頃によく通ったとはいえ、遊ぶことに疎い和にとってこの駄菓子屋にはそれほど思い入れもなかったが

ふと過去のことを思い返すと感慨深い気持ちになっていた

和(もうあと何回来れるかってくらいなものよね、よく唯と通ったのが懐かしい…)

唯…、不思議と記憶にある幼少時代の風景にはどれも唯が存在した

和(唯にはやりたいこともあるし、私も生徒会で忙しいし…)

どうしたものか、と考えながらも紐状の長いグミをかじりながら帰路につく和であった



翌日

澪「…それでさ、唯は昨日もお菓子お菓子って食べてばっかりで練習なんてこれっぽっちもできなかったんだぞ…」

和「え、そうなの?」

昼休み、澪の机に弁当を広げて昼食をとっているときにふと聞いてみた質問「唯は部活ではどう?」

澪は生真面目なためか自然と会話の内容は愚痴のようになっていた

和「それじゃああの子何も変わってないわ…」

澪「あ、いや…時には練習もするんだぞ、お茶したりもするけど…」

和「時には、ねぇ」

和(ん?でもそれって逆に言えばちょっと誘えば一緒に遊ぶなんてことも)

和「ねぇ澪、たまに見学とかしてもいいかしら?」

澪「え、う~んそうだなぁ…」

和「別に渇入れに行くわけでもないわよ、安心して」

澪「できれば演奏してるときがよかったけどな、まぁそういうことならいつでも来てよ」



放課後

和「お疲れ様でした、それじゃあ…」

生徒会の仕事を終えると外は既に日も沈みかけて薄暗くなっていた

和(まだやってるかしら)

今回は書類の整理等でいつもよりも長引いた、流石にもう誰も居ないだろうとは思いつつも

念のため、と訳の分からないことを頭で復唱しつつ音楽室への階段を登る

和(明かりは、点いてないわね)

音楽室の扉が見えたところまで登るとそれを確認して踵を返した

階段の折り返しに足が付いたと同じ頃に後ろからガタン、と物音がして振り返る

和(まだ誰かいたのかしら?)

少し恐怖を感じつつも階段を登りそろりと扉のノブを捻ってみる

和(鍵、開いてるし…)

スリットから顔を半分出してあたりを見渡すと、室内のソファに大きな黒い塊がもぞもぞと動くのが見えた


唯は震えた手つきで練習後の紅茶を啜っていた

唯「…」

紬「唯ちゃん、どうしたの?」

律「ん~?具合でも悪いのか?」

唯「う、ううん、なんでかな、えへへ…」

何に怯えているかは唯には分かっていた、が言うわけにはいかない

これは自分と、妹の憂、そして隣から偶に鋭い視線を送ってくる後輩の梓しかしらない秘密

あの日から唯は梓の玩具になってしまった

唯(昨日の今日であずにゃんはなんか睨んできて怖いし、はやく帰りたいよ…)


唯(う~、紅茶ももうない…)

最後の一口、これを飲み終えれば今日の部活は終了、解散となってしまう

唯と梓を除いて

紬「あの~、食器洗っちゃいたいんだけど…」

唯「えっ、あ、ごごごめんね!」(うぅ…)

律「ほらほら、とっとと帰ろうぜ~」

梓「そうですよ先輩、憂も待ってます」

唯(きょ、今日は何もしないのかな…?)

急に安心した唯はもう自分の体温を下回るほどまでに冷めた紅茶を飲み干すと紬に食器を渡した


律「よーしじゃあ帰るかー!」

部長である律の号令と共に部員全員が荷物を持って教室を後にする

梓「あ」

唯「ひっ!」

条件反射的にびくりと体を硬直させると梓は左の袖を小さな手で捕まえる

澪「どうした梓?」

梓「ちょっと部室に忘れ物です、皆さんどうぞ先に行っちゃっててください」

律「そうか、じゃあ鍵よろしくなー」

紬「気をつけてね」

3人に明るい表情を見せた直後唯の顔を見るその瞳に笑みはなく、ある意味合いを持った視線を投げかけた


唯「…、りっちゃん私あずにゃんと帰るよ~…」

律「それもそうだな、一人にするのもあれだし頼むよ」

唯「う、うん、澪ちゃんもムギちゃんもまたね」

澪「ああ、じゃあな」

紬「また明日」

あの目の意味することは大よそ分かる、つい先ほどまでの油断もあってか唯の絶望感も大きかった

唯(うぅ、先生に怒られて職員室に連れてかれるときの気分だよ~…)

梓「そういうときって、なんか不思議と空気が冷たくないですか?」

唯「…」

冷や汗が体中から吹き出るのを感じながら歩いてきた道を引き返す


ガバッ!

唯「んぐ…っ!!!」

梓は音楽室の扉を閉めるとほぼ同時に唯の胸に向かって抱き付いた

梓「ハァ…ハァ…」

抱き付いた、というのはかなり美化した言い方で、実際のそれはアメフトのタックルにも似ていた

梓の頭部は丁度唯の鳩尾にヒットし、思わずゴホゴホと咳き込む

梓「もう、我慢の限界です…!」

言うや否やその体に見合っていないほどの力でソファに唯を押していくと梓がマウントポジションをとる形で倒れた

唯は恐怖のあまり声を発することもできず成すがままになる

顔が青ざめる唯とは対極的に梓の顔は明かりのない音楽室の暗がりでも分かるほどまで紅潮していた

梓「脱がしますよ…」

そういって唯の制服のボタンに手が伸びる…


唯の胸が露わになると獲物を狩る魚類のように勢い良くかぶりつく梓

ぢゅる…、唾液の水音を含んだ卑猥な音が鳴ると唯は驚いたように喘ぐ

唯「んあぁっ!!」

梓「ンフー…フー…ジュジュジュちゅぱっ」

唯の手からギターが滑り落ちると梓も背負っていたものを乱雑に床に置く

レスポールのケース上に重なるように梓のムスタングがガタンと音を鳴らして置かれた様はまさに今の二人の現状を表しているかのようであった


唯の甘い声を聴くうちに梓自身の体も疼き、足を開くと唯のふとももに乗せて上下に動き始める

梓「ンン…ちゅるる…」

スカートが鬱陶しく、片手でホックを外すと下半身を下着だけの状態にしてさらに唯の足に擦りつける

唯「あず…ひっ…あっ」

梓が唯のふとももに自分の女性である部分を当てると同時に唯の股には梓の左足の付け根が当たる

梓「ハァ…ハァ…、先輩のスカートも邪魔…ふぅ…ですね…」

そう言うと梓の手は唯のスカートのホックに伸びた


和(何…あれ…)

音楽室の中は暗く廊下側の光もソファとはまるで違う方向へ向いて伸びるのでよく確認できなかったが

確かに人と見られる影が動いているのは分かった

時折女性の悲鳴のような声が影から発せられることから嫌な予感を感じていた

和(ゆ…い…?)

なるべく音を立てずに様子を伺っていると影から声が聞こえた

先輩…ートが…魔…ね…

苦しそうに息を荒げて微かに聞こえた単語にふと軽音部の新入部員の顔が浮かんだ

和(あの子なの?)

そうしていると暗闇に目が慣れてきてだんだんと中の様子が伺えてくる

和(そんな…)

和の見た光景は、唯が後輩と重なり合う姿であった


梓「かわいい…ハァハァ…先輩…唯先輩…」

興奮する梓の上半身は纏うものもなく互いの肌と肌が擦れあい、唯の胸の頂点から垂れる梓の唾液でぬちゃぬちゃと音が鳴る

唯「んっ…ふっ…だ、め…なのに…」

駄目なのに、駄目なのに…吐息混じりに何度も呟く唯の言葉を梓が理解できるはずもなかった

唯の特徴でもある黒いストッキングは梓の愛液に濡れそぼって唯の太ももに張り付いていた

上から下へと梓の秘部が触れていない所がスーっと冷たく感じたかと思うとまたすぐに下から上へと梓の体温が唯のももを暖めた

梓の顔が上下運動と共に迫ったり離れたりして、その度人間の独特な吐息の匂いが唯の鼻腔をくすぐる


和「だめ…んん…」

布擦れる音が和の下半身から聞こえる

和(本当は悲しくて逃げ出したいはずなのに)

情事を見ているうちにいつの間にか右手は自身の股を触れていた

その目からは涙さえ零れる

が、和は行為を止めることができなかった

和(唯…唯…)

体を支える左手が震えだしたのも関らずに股間を弄る右手の動きは尚も激しさを増す

握られたドアは手の振るえで微かにガタガタと音を鳴らし始めるが今の二人には聴こえなかった


梓「気持ち…イイ、ですかぁ?せんぱいぃ…」

唯「も…だ…だめだよぉ…あぁんっ!」

つい先ほどまでの青ざめた顔も今は梓と同じ色に染まっていた

長く擦られた胸の先端は既にヒリヒリと痛みさえ感じる

しかし逆にその痛みも快感の調味料になり、唯のボルテージを高めていく

梓「もう…だめ…ですっ!」

梓がとたん震えだし、痙攣が唯の全身をバイブレーションのように攻め立てる

唯「ひやあああああ!!だ、だめええええええ!!!!!」

梓「んっ、くっ…、あああ!!!」

お互いが体を硬直させたかと思うと数秒、それからすぐに軟体動物がまるで溶け合うかのように二人はソファに項垂れた


二人が事を終えたことを悟ると和は熱の上がりきった体をすぐにクールダウンさせその場を静かに、素早く去っていった



秋田、終わり



最終更新:2010年04月15日 00:13