唯の部屋


唯(あずにゃんと憂を妊娠させちゃった……。もしかしたら澪ちゃんも……)

唯(もしかしたらじゃない、きっと妊娠させちゃったんだ)

唯(こんな長い期間学校休んで……何より人と会えないってそうとしか考えられないよ)

唯(今、みんな妊娠して何ヶ月なんだろう……?)

唯(赤ちゃんってすぐには産まれないよね……?)

唯(このまま産まれてこなければ……!?)

唯(そうだ!産まれてこなければいい!病院にいけば、赤ちゃんを無くしてくれるかもしれない!)

唯(よ、よし。まずは調べてみよう)


唯「えっと、インターネットで……みんなに教えてもらおう」カチカチ

唯「2ちゃんねる……大型掲示板?ここなら人がいっぱいいそうだしお医者さんもいるかも!よし」カタカタ





1 名前:平沢唯[] 投稿日:2010/04/19(月) 11:07:21 ID:YaRITINYuI

友達の女の子と妹を妊娠させてしまいました。私はまだ高校生なので赤ちゃんができてもこまります。なんとか赤ちゃんを産まれてこなくする方法はありませんか?何でもいいので教えてください!お願いします!




唯「よし、誰かお願い」カチッ カキコミ



2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]

釣り乙

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]

ざまあああああwwwwww

4名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします

腹パンしろよ




唯「うう……誰も答えてくれないよぉ」


唯「えっと、ほかには……AHOO知恵袋?」

唯「質問すると皆が答えてくれるところなんだ。ここにしよう!」


唯『友達の女の子と妹を妊娠させてしまいました。私はまだ高校生なので赤ちゃんができてもこまります。なんとか赤ちゃんを産まれてこなくする方法はありませんか?
何でもいいので教えてください!お願いします!』


唯「あっ!返信があった!どれどれ……」フムフム

唯「ちゅうぜつ?」

唯「フムフム……」

唯「うーん。よくわからないけど、病院にいけばなんとかしてもらえるんだね」

唯「あ!でもお金ってどうなるんだろう……?」

唯「うーん……」

唯「でも、妊娠しちゃったのは私じゃなくて女の子達なんだし、向こうでなんとかしてほしいなあ」

唯「まあいいや!明日早速病院に行くように勧めておこう!」



翌日!

唯「ふいーっ。あずにゃん今日も学校こなかったよ」テクテク

唯「あずにゃんの家に行って直接話そう」テクテク

~~~~~~~~~~~~~~~~

ピンポーン

『……はい』

唯「あ、こんにちはー!唯です!あずにゃん?」

梓『何のようですか……?』

唯「今日はあずにゃんに嬉しいお知らせがあるんだよ!」

梓『え……?』

唯「とりあえず中にいれてよ!」

梓『……わかりました』ブッ

梓「……どうぞ」ガチャッ

唯「おじゃましまーす!」

唯「あずにゃん……なんだかおなかがちょっと大きくなった?」

梓「……そうですね。赤ちゃんいますから……」

唯「そのことでね、大切なお話にきたんだ」

梓「えっ……」

唯「あのさ、私と一緒に……」

梓「ゆい、せんぱい……?」

唯「病院へいこう?」

梓「え……?」

唯「いや、私あずにゃんのために調べたんだけどね。理由があって赤ちゃん産めない人は」

唯「病院にいけばなんとかしてくれるんだって!」

梓「なっ……」

唯「お金かかるらしいけど、私もお小遣いからちょっとは出すしさ!早めに行ったほうが体にもいいらしいし!」

梓「……帰って」ブルブル

唯「へ?」

梓「帰ってください!」

唯「はあーっ……あずにゃんカンカンだったなあ」トボトボ

唯(ちょっと私、軽く考えすぎてたのかも……)

唯(女の人にとって、赤ちゃんってすごく大切なものなんだな……)

唯(私、女の子を妊娠させる側だったから、そういうのに疎かったかも……)ガチャッ

唯「ただいまー」

憂「お帰り、お姉ちゃん」パタパタ

唯「あ、憂……走ったら危ないよ?」

憂「えっ?」

唯「え、だって赤ちゃんがいるんだし……」

憂「お、お姉ちゃん……」ジワッ

唯「わっ、なんで泣くの!?また具合悪いの?」

憂「……ううん、違うよ。ありがとう」ゴシゴシ

唯「ほえ?うん」


~~~~~~~~~~~~~~~~~

唯「じーっ」

憂「……」ナデナデ

唯「憂……あのさ」

憂「うん?どうしたの?」

唯「……ううん、なんでもないよ」

唯(憂……お腹なでてる)

唯(すごく大事そう……)

唯(やっぱり、女の子にとって赤ちゃんは特別なんだ)

唯(赤ちゃん産まないでなんて……どうかしてたよ)

唯(赤ちゃんいらないなんて、私の勝手な都合でしかないんだ)

唯(本当に、相手の女の子が大切なら……)


プルルルル

唯「あ、ムギちゃん?私だけど」

紬『唯ちゃん……こんばんは』

唯「あの……大事な話があるの。明日の朝部室にきてくれない?」


プルルル

唯「あ、りっちゃん?私だけど……。明日……」」



翌日

律「……おはよ」ガラッ

紬「おはよう」

唯「おはよう、りっちゃん」

律「で……、なんだ?話って」

唯「……」ブルッ

紬「(唯ちゃん……)」

唯「ごめんなさいっ!」ペコッ

律「……」

唯「澪ちゃんが来なくなったの……私のせいです!ごめんなさいっ!」

律「……」フーッ

紬「……」

律「説明しろよ」

唯「う、うん」


唯「~~~~~」

唯は全てを打ち明けた。澪が来なくなった理由、梓と憂の状況。そして紬からもらった薬の事。
薬のことを話すのは責任の転嫁になると思ったが、話抜きでは説明が不十分になると判断してのことだった。
説明が終わり、唯は小さく息を吐いた。隣で紬が下を俯くのが見えて、胸が痛んだ。
これは全て快楽におぼれた自分のまいた種であって、紬に責任はないと信じていたからだ。




律「……」

唯「……」

紬「……」

律「終わりか?」

唯「うん……」

律「今言った言葉に間違いないんだな?」

紬「……」コクリ

律「そうか……」


律「……最低だよ、お前」

唯「……」

律「唯、歯を食いしばれ」

唯「……っ!」ギリッ

律「……!」ブンッ

バキイッ!!

唯「ぎゃっ……!」ガッシャーン

紬「!」ビクッ!

律「ムギ、目瞑って歯食いしばれ」

紬「っ……」ギュッ

律「……」ブンッ

パンッ!

紬「っう……」ジンジン

律「くそ……いってーな……」


律「……」グイッ

唯「う……あ……」フラッ

律「唯。お前は取り返しがつかない事をした」

唯「……は……ぃ」

律「ごめんとか、そういう次元じゃねーんだよ」

律「どう責任を取るんだ?」

紬「あ、あの……私も責任があるから……私が皆をサポート」

律「唯の問題なんだよ」

唯「……」

唯「……産んでもらう」

律「……意味わかってんのか?」

唯「わかってる。私が働いて、澪ちゃんたちと、赤ちゃんを養う」

律「お前まだ高校生なんだぞ?しかも女だ。どうやって一人で養うんだよ」

唯「学校やめて……働く」

律「はあ?」


律「くそ……馬鹿すぎてまたイライラしてきた」

唯「……」

律「甘すぎなんだよお前……行き当たりばったりなんだ」

唯「……」

律「学校やめてどうすんだよ……お前、中卒になるんだぞ?どこで働くんだよ」

唯「う……」

律「この期に及んでカッコつけやがって……。学校も途中で投げ出して、どうやって社会でやってくんだ」

律「親に頭さげろよ。土下座して頼み込め。高校卒業するまでは助けてほしいって」

唯「……」

律「あと……唯の人生がどうなろうと自業自得だけど……巻き込まれた澪達はどうするんだ?」

律「高校生なのに妊娠なんてしちまって……どんな目で見られると思う?学校来れると思うか?」

唯「それは……」

律「産ませる側はいいけどさ……女の子の事考えてやれよ……守ってやれよ……」グスッ

唯「……」


律「はあっ……くそ」ズズッ

律「唯、お前は梓と憂ちゃんのことだけ考えろ」

唯「えっ……」

律「澪には私がついてる」

唯「そ、そんなのおかしいよ!私のせいなのに!」

律「だから言ったろ。お前一人でどうやって3人も面倒見るんだよ」

唯「う……」

紬「あの、私も……私も手伝いたい!」

律「いいんだよ。……澪のことは私が一番わかってるつもりだからな」

律「唯にとってはどうだか知らないけど……私にとっては一番大切な人なんだよ」

律「だから……澪は私が支える」

唯「りっちゃん……」ポロポロ

律「だから、お前はすぐに梓のとこいってこい。梓の力になるって言ってやれよ」

唯「う、うん。わかった」ダッ

律「……」

ピンポーン

唯「あずにゃん……」

ピンポーン

唯「……」

唯「あずにゃん……」ゴソッ


~~~~~~~~~~~~~~~
ピンポーン

梓「……」

ヴヴヴヴヴ

梓(メール……)パカッ



『逢いたい』



梓「……」ウルッ

シャッ

唯「!カーテン、開いた……あずにゃんの部屋」

梓「……」

唯「あずにゃん……」

唯「スーッ」

唯「あずにゃ~~~ん!!」

梓「……」

唯「好きですっ!」

梓「!」

唯「これからも!ずっと!あずにゃんと!一緒に!いた~~~いっっっ!」

梓「~~~」ポロポロ

シャッ

ガチャッ

梓「……」ポロポロ

唯「あずにゃんっ……!」ギューッ


唯「ごめんね。いっぱい傷つけちゃって、ごめんなさい!」ギュッ

梓「……」

唯「私、あずにゃんを幸せにできるように頑張ります!だから……」

唯「赤ちゃん産んでください!ずっと一緒にいてください!」ギューッ

梓「うう……」ポロポロ






私は今、憂とあずにゃんと赤ちゃんの5人で暮らしている。
結局、私は高校卒業後、進学せずに地元の小さな会社に就職した。
賃金も安くギリギリの生活で、今後の事を考えると正直気が重い……。
実家で暮らせば楽になるだろうけど、そこはケジメをつけたかったから、親の勧めは断った。
こんなボロアパートに住ませちゃって、憂とあずにゃん達には申し訳ないんだけど。

澪ちゃんは、りっちゃんやムギちゃんと同じ大学に進学した。
幸いにも澪ちゃんは妊娠しておらず、あのときはショックで引きこもっていたそうだ。
りっちゃんのサポートで昔の笑顔を取り戻しつつあるらしい……。りっちゃんには一生頭が上がらない。

あずにゃんも、赤ちゃんを産んだあと高校を卒業し、皆と大学に進学した。
赤ちゃんの面倒をみるから大学は行かないと言い張ってたけど、みんなの説得でなんとか折れてくれた。

憂は、高校を卒業した後、専業主婦となった。私は就職してあずにゃんが進学となれば、半ば自動的にこうなる。
私のせいで大学にいけなくなってしまい、泣いて謝る私に憂は赤ちゃん2人と家の事は全て任せてほしいと言ってくれた。
私と憂、私とあずにゃんの大切な赤ちゃんだからって嫌な顔一つせず……ありがとう。

今はまだまだ生活が苦しいし、将来も不安だらけだ。
でも私には愛する人……あずにゃん、憂、赤ちゃんがいる。みんなのためにも、頑張って働いて、絶対に皆を幸せにするんだ!


唯「おはよーございまーすっ!」


おわり



最終更新:2010年04月22日 21:09