唯「でも」
唯「あずにゃんが澪ちゃんと休日に出かけるだけで浮気じゃないよね」
唯「友達と出歩くなんてよくある事だよね」
唯「ちょっとだけ後をつけちゃお」コソコソ
唯「二人とも楽しそう……」
唯「あずにゃんなんて私といるより良い顔してる……」
唯「あ」
唯「洋服屋さんに入っちゃった」
唯「ガラス張りだから外からでも中が見えるね」
唯「会話は聞こえない」
唯「でも」
唯「表情と仕草でだいたい分かるね」
唯「……」
唯「あっ」
唯「澪ちゃんがあずにゃんに白のフリフリがついてるワンピースをすすめている」
唯「真っ赤になって首を横に振ってるあずにゃん可愛いなぁ」
唯「それに」
唯「あんなの着たあずにゃんを想像しただけで」
唯「……///」ボッ
唯「あ」
唯「あずにゃんがさっきのワンピースを持って試着室に行ったみたい」
唯「ここからじゃ着ている姿は見えないね」
唯「……」
唯「……」
唯「……」
唯「!」
唯「二人がお店から出てきた」
唯「あずにゃん袋持ってる」
唯「さっきのワンピースを買ったのかな」
唯「それとも別のを買ったのかな」
唯「でも」
唯「それを見せる相手は……」
唯「私なの?」
唯「澪ちゃんなの?」
唯「……」
唯「またどこかに行くみたい」
唯「……」
唯「追いかけよっかな」
唯「やめよっかな」
唯「……」
唯「次」
唯「次、どこかに寄ったらそれを見届けて帰ろう」
唯「……」トコトコ
唯「……」トコトコ
唯「……」トコトコ
唯「あっ……」ピタッ
唯「あんな小さな路地を曲がった」
唯「私も……」
唯「!!!」
唯「なん……で」
唯「なんであずにゃんと澪ちゃんが……」
唯「抱き合ってるの……?」
唯「……っ」ダッ
~平沢家、リビング
ガチャッ
唯「……」
唯「ただいま……ギー太」
ギー太「……」
唯「……」
ギー太「……」
唯「……」
ギー太「……」
唯「……ねぇギー太」
ギー太「……」
唯「さっきね、あずにゃんと澪ちゃんを見かけたんだ」
ギー太「……」
唯「それでね、興味本位で後をつけてみたの」
ギー太「……」
唯「そしたらね」
唯「……あずにゃんと澪ちゃんが抱き合ってたんだ」
ギー太「……」
唯「……浮気なのかな」
ギー太「……」
唯「それとも最初から私とは付き合ってるつもりなんてなかったのかな」
ギー太「……」
唯「……」
唯「何か言ってよ……」
ギー太「……」
唯「ギー太……」
ギー太「……」
唯「ねえったら!!」
ギー太「……」
唯「嫌い……」
唯「ギー太なんて大っきらい」
ギー太「……」
唯「大大大大っきらい!!」
ギー太「……」
唯「嫌い……」
唯「ギー太も」
唯「あずにゃんも」
唯「澪ちゃんも」
唯「私も」
唯「大っきらい!!!」バタン
~唯の部屋
唯「もう何もかもやだ……」
唯「このまま蒸発したい……」
唯「塵となって消えたい……」
唯「……」
唯「フラれちゃうくらいなら」
唯「先に別れを言い出そうか……」
唯「……よし」
唯「『お別れしよっか』」
唯「これでいいや」
唯「送信っと」ピッ
唯「……」
唯「漫画でも読もうかな」
唯「それとも」
唯「勉強でもしようかな」
唯「……」
唯「何もする気が起きないよ」
唯「もう寝よっと……」
唯「携帯の電源は切っとこ」
唯「……」
唯「おやすみ」
唯「……」
唯「zzz」
?「―――――てください」
唯「うぅん……」
?「―――きてください」
唯「ん……」
?「起きてください!」
唯「!」
唯「ああああずにゃん……」
梓「おはようございます唯先輩」
唯「おはよう……」
梓「ってそんなことはどうでもいいんです」
梓「それよりあのメールはどういうことですか!?」
梓「なんで……」
梓「なんでですか……?」
唯「……」
唯「……澪ちゃん」ボソッ
梓「!」
唯「やっぱり」
梓「……」
唯「それが」
唯「理由」
梓「……」
梓「……先輩は」
梓「勘違いしています」
唯「勘違い?」
梓「はい」
梓「勘違いです」
唯「……どこが?」
唯「どこがどう勘違いしてるって言うの!?」
唯「あずにゃんは澪ちゃんを選んだ!」
唯「これのどこが勘違いなの!?」
梓「……」
梓「……です」ボソッ
唯「?」
梓「全部です!」
梓「唯先輩の言ったこと全てが勘違いです!!」
唯「全部……?」
梓「はい、全部です」
唯「でも私見ちゃったんだよ……?」
唯「今日」
唯「あずにゃんが澪ちゃんと楽しそうにデートしてるとこ……」
梓「デート?」
梓「いえ、あれは」
梓「……あれは澪先輩に今度着ていく服を見繕ってもらっていただけです」
唯「今度着ていく……服?」
梓「!」
梓「まさか先輩忘れて……っ!」
唯「えっ……えっ……?」
梓「二週間くらい前に約束したじゃないですか!」
梓「今度二人で旅行に行こうねって!!」
唯「!!」
梓「せっかくだから内緒で可愛い服を買って唯先輩に見せてあげたくて……」
梓「だからこの二週間必死でバイトしたのに……」
唯「バイト……?」
唯「!」
唯「じゃあ」
唯「ここ最近付き合いが悪かったのは……」
梓「……新しく出たCD代やメンテナンス費用やらでお金がなかったんです」
唯「で、でもあずにゃん路地裏で澪ちゃんと抱き合って……」
梓「路地裏?抱き合う?」
梓「……ああ」
梓「あれはただ単に近道のために狭くて暗くてろくに片付けられてもない道を通ったら案の定つまづいてしまって」
梓「それで転びそうになっていたところを澪先輩に助けてもらっただけです」
唯「全部私の勘違いだったの……?」
梓「そうです」
梓「私は唯先輩一筋ですし、この気持ちが他の誰かに移るなんて有り得ませんよ」
唯「……」
梓「……」
唯「……ごめんなさい」
梓「だめです」
唯「えっ……?」
梓「許しません」
唯「そんな……」
梓「……罰として唯先輩は今度の旅行の時にうんと可愛い格好をして来ることです」
梓「そうしたら今回のことは水に流してあげます」
唯「あ~ずにゃん」ギュッ
梓「だ、だめです!///」バッ
梓「唯先輩は私の気持ちを疑って!」
梓「挙句の果てには別れようなんてメールを送りつけたんですよ!?」
梓「だから旅行まで抱きつくのは禁止です!」
唯「ぶー」
唯「!」
唯「そういえばあずにゃんさっき嬉しいことを言ってくれたよね~」ニヤニヤ
梓「?」
唯「えっと、『私は唯先輩一筋です』だっけ?」
梓「な……あ……」
唯「それに『この気持ちが他の誰かに移るなんて有り得ません』だったよね~」ニヤニヤ
梓「あ……あ……」
唯「あずにゃん大好き!」ギュー
梓「……もう、仕方ありませんね」
梓「私も大好きです!」
ギー太「……」
ギー太「……」
ギー太「……」
ギー太(よかったね!)
~fin~
最終更新:2010年04月23日 21:27