梓「はよーございます」

律「こんにちわだろ」

紬「こんにちわ」

澪「よっ」

唯「こんちゃ」


梓「……」

梓(何か今日の唯先輩、不機嫌?)

紬「今日はチーズケーキよ」

梓「あ、ありがとうございます」

梓「……」

梓「あれ?」

紬「どうしたの?」

梓「あの…唯先輩?」

唯「ん?」

梓「ヘアピン、どうしたんですか?」

唯「忘れたー」

澪「タイもないしな」

唯「んむ」

律「前髪が目に掛かりまくりだしな」

紬「何だかセクシーで、格好いいわ唯ちゃん」

唯「…へへっ」


唯「そういうあずにゃんも、今日はサイドポニーだね」

梓「あ、あはは。どうですか?」

紬「かわいいわ」

唯「可愛いよあずにゃん」

梓「ありがとうございます」


紬(……私も髪型変えたんだけど)

梓(……あれ?ムギ先輩の髪型には触れないの?)


梓「……」

梓「あっ、ムギ先輩の髪型も、可愛いですね!」

紬「あ、そ、そうかな。ありがとう」

澪「ムギは何でも似合うからなー」

律「アダルティーだな」



唯「ムギちゃん」

紬「え。えっ?」

唯「とりあえずさ、うなじ、隠してくれない?」

紬「……え?」

唯「なんか……嫌なんだよね」

澪「え。何が?」

律「どうしたんだ唯」

唯「いや。いいからさ、髪形変えて」

紬「ご、ごめんなさい……」

梓「な、なんでそんなこと言うんですか唯先輩!」

唯「いいから、お願い」

紬「……」グスッ

梓「なっ!……唯先輩っ!」

澪「おい唯。ムギに謝れ」

律「どうしたんだよ一体……」


唯「……ムラムラする」


律「……はっ?」

唯「そのうなじ見てると、ムラムラする」


紬「…………えっ?」

唯「早く髪型変えてってば」

澪(なにを言ってるんだこいつは)

唯「襲うよ?」

律「なんじゃそりゃ」

紬「ごめんなさい……今変えるから」

梓(どうしたんだろこの人)


唯「変えた?」

紬「か、変えたわ…」

澪「おい唯。一体どうしたんだ?」

唯「なにが?」

律「ムラムラするってのはどういうことだ」

唯「エッチぃんだもん」

律「は?」

唯「……ムギちゃんのうなじエッチぃんだもん!」

律「……」

澪「……」

紬「……?」

梓(なに言ってんだろこの人)


紬「な、何を言ってるの唯ちゃん?」

唯「ちょっと、やめて。そんな顔近づけないで」

紬「えっ」

唯「襲うよ?」


紬「……」

澪「お、おい唯。そんな言い方しなくても」

唯「ムギちゃんがいけないんだよ。エロいから」

律「なんじゃそれ」

梓「とりあえず、ムギ先輩をいじめようって気はないんですね」

唯「そんな気は毛頭ありません」

紬「そうなんだ……よくわかんないけど良かった……」グスッ


紬「唯ちゃんに……嫌われちゃったかと……」

梓「ムギ先輩良かったですね。よしよし」ナデナデ

紬「ううっ……///」


唯「……」


唯「あずにゃん」

梓「はい?」

唯「あんまりマイスイートハートに、近づかないでくれる?」

梓「は、……はい?」

紬「……どうしたの唯ちゃん?」

唯「ほらムギちゃん。こっちにおいで?」

澪「来るなと言ったり来いと言ったり」

律「もうなんか面倒くせぇ!」

紬「えっ、えと……」

唯「ほら、私の胸に飛び込んできな」

律「その薄い胸にな」

唯「うるさい」


紬「……///」

梓「行くことないですよムギ先輩!」

唯「何を言ってるのかな中野くん?」

梓「ムギ先輩を泣かせるような人に、ムギ先輩は渡せません」

唯「中野くんは、ムギちゃんの保護者さんかな?」

澪「おい唯。目が怖い」


唯「あずにゃんはムギちゃんが好きなの?」

梓「はっ?!///」

紬「え?//」

唯「なんでそんなに頑なに渡さないの?早くちょうだいよ」

梓「ムギ先輩を、モノ扱いしないでください!」

唯「だって私のモノだもん」

澪「えぇ……」

律「ムギ、お前いつから唯の恋人に」

紬「わかんないです……」


澪「もういい。とにかく練習するぞ」

律「ぶー」

唯「ぶー」

紬「そうね。気分転換に」


梓「ムギ先輩っ」

紬「ん。どうしたの?」

梓「……また唯先輩に襲われそうになったら、私を呼んでくださいね!」

唯「あれ私悪者?」

澪「そりゃそうだろ」


紬「……ありがと、梓ちゃん///」

唯「…ときめいてる?」

律「負けたな」

唯「負けてねー!」

唯「ムギちゃん!私のギー太捌きを見て惚れ直してね!」

紬「はーい」

律「適当だな」


ギュイイイイインジャジャジャジャユィイィィィィィィィィィィンギュュンン


唯「HEY!どうっムギちゃん!!」

紬「あ~…………うん」

澪「悲しいくらい無関心だな」


梓「……勝った」

唯「勝ってねーつの」


梓「ムギ先輩♪」

紬「なぁに♪あずにゃん♪」


唯「あれ…………あれ?」

澪「練習中に遠くを見るな」


梓「私のムッタン捌き、目に焼き付けてくださいね♪」

紬「はぁい♪頑張ってね!」


ギュイイイイインジャジャジャジャユィイィィィィィィィィィィンギュュンン


梓「どうですかムギ先輩!」

紬「格好良いわ梓ちゃん!!」

梓「ムギ先輩!!!!大好きですーっっ!!!」

澪「…告白?」

紬「私もよ梓ちゃああああああああん!!!」

律「あ、承諾した」



澪「カップル成立じゃん。良かったな」

律「うん。まあ、約一名、床に膝をついてる奴もいるが」


梓「私と付き合ってくれますかムギ先輩っっ!!!♪♪」

唯「……ウボエェェェェェェ」


紬「――ごめん!!!それは無理!!!!!」


澪「……えっ」

律「あれ」

梓「…………はい?」

唯「ウボ…?」


梓「ムギ先輩……?今なんて?」

紬「ごめんなさい。付き合うのとかはちょっと……」

律「な、なんでまた」

紬「付き合うのとか、よくわかんないし」

梓「そ、そんな理由……」

唯「……イヒヒヒィィィィィィィィイイイインッッッッ!!!!!」

澪「練習中に嘶くな」

唯「ムギちゃん!!やっぱり私が忘れられないのね!!」

紬「本当に、ごめんなさい!!梓ちゃん!!」

唯「聞こえて無いんだ!!そうなんだ!!!」

律「泣くなよみっともない」


澪「……ほら梓。立て。泣くなお前も」

梓「そんなこと言ったって……失恋ですよ、失恋」

澪「仕方ないだろそんなもん。未来を見ろ未来を」


梓「………澪先輩なんて、まともな恋のひとつもしたことないくせに」ボソッ


澪「……なんだと?」

律「あ、はは。あずにゃん♪澪ちゃんにはね、そこらへんは触れちゃいけねーんだぜ?♪」

唯「ムギちゃんの目つきって常に私を誘ってるよね」

紬「へーそーなんだ」


梓「……じゃあ、彼氏とか彼女とか、できたことあるんですか?」

梓「デートとか、映画観たりとか、そこでキスとか……」

澪「な………なんだ?経験なくって何が悪いんだ、あ?」

律「澪ちゅわん♪あのね、その左手に振り上げたベースをね?とりあえずね?……ね?」



澪「おい梓。表に出ろ。お前のギターを持って」

梓「ほら。そーやってすぐに暴力で片付けようとして」

梓「そんなんだから彼女の一人も出来ないんですよ」

梓「外見は綺麗だからファンクラブまでは出来るんでしょうけどね」

澪(褒められた…)

梓「中身が伴わないから、恋人も出来ないんじゃないですか?」

澪(貶された)


唯「キスの味、知りたいって思わない?」

紬「頭かゆい」


律「まあまあ二人とも、落ち着けって」

澪「これが落ち着いていられるか。私は恋のバーチャファイターなんだぞ」

梓「恋愛のひとつもしたことないくせに?」プゲラ



澪「Nooooooooooooooooo!!!!!!!!!!!!!!!!!!fuck!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

律「お、落ち着けって!梓も、あんまり煽るな!恋に恋する年頃なんだから!」

梓「そんな年齢、とうに越してますよ…」


澪「umbrella!!!!!!temple!!!!!!!girlishness!!!!!」

律「ほら、壊れちゃったじゃんか……」

梓「叫んでる単語が意味わかりませんよ」

唯「ほんっとやらしい体してるよねムギちゃんって」

律「お前も少しは落ち着け」

梓「セクハラですよ」


紬「澪ちゃん大丈夫?」

澪「No……」


律「いまや軽音部唯一の良心だなムギは」

梓「さすが私の妻です」

唯「あははあずにゃんのギャグおもしろ~い」


紬「澪ちゃん、誰にいじめられたの?」

澪「梓にいじめられた……」

梓「なっ!?……違います!ムギ先輩!私を信じて!」

紬「梓ちゃんは黙ってて」

梓「……」


澪「恋の魔法少女としての尊厳を著しく傷つけられた……」グスン

紬「澪ちゃん……よしよし」ナデナデ

澪「ムギ……///…好きだぞ……////」

梓「え告白?」

唯「なんなんだよお前らぁぁぁあああ私の後に便乗しまくってよぉぉぉおおお」

紬「澪ちゃん……///ありがとう」

澪「ずっと前から好きだった。出会ったときから」

梓「ぜったい嘘だ。さっき墜ちたくせに」



澪「梓が入学する丁度一年前に、私たちは出会ったんだよな…」

梓「どーせ私にはわかりっこないことですよ。バーカアーホ」

紬「そうね。私たち…この部室で出会ったわね」

澪「少し埃っぽい部屋の片隅、窓からは春の柔らかい日差し…」

澪「四月の風の調べが耳に心地良く響いていたあの季節…」

澪「私たち二人は運命的な出会いから、そのままこの軽音部へと引き込まれていく…」

律「あれ私は?」


唯「なんっていうかさ、みんな二番煎じだよね。私の」

唯「私が最初にムギちゃんの体やらしいってことみんなに教えてさー」

唯「それでさー。そっからだよねー。みんな気付いたの」


澪「私たちは静かに、淡々と過ぎ行く日々の中で…確かな愛を育んでいったよな」

紬「そうね…そうやって、今日まで来たわよね…」

唯「どうすれば声って届くんだろ」


梓「……はいはい、わかりましたよ」

律「梓?」

梓「じゃあ、お二人がお付き合いすればいいんじゃないですか?もう」

澪「梓……」

紬「梓ちゃん……」


梓「私はもう、綺麗さっぱり諦めます。
そんなにお二人が、お互いのことを想っているなら……」


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最終更新:2010年04月24日 23:31