律「あー、腹減ったなー!」
唯「ペコペコだよう・・・あずにゃんのほっぺ美味しそう~♪」
梓「きゃっ、やめてください、ちょ! んぁ・・・」
澪「はは、今日は目一杯練習したからな」
紬「あら、あの行列はなにかしら・・・」
瞳に確固たる意思を宿らせた人々の列。
行列の先には、黄色く目立つ看板が掲げられている。
ラ ー メ ン 二 郎
澪「すごい人数だな・・・人気店なんだろうか」
律「おお、美味そうだな!食っていこーぜ!」
梓「あ、でもここは・・・」
紬「これが、あの“ラーメン”のお店!?私、はじめてなの!」
唯「ラーメン大好き~♪あ、憂にメールしとかなきゃ」メルメル
律「よっしゃー!突撃ぃ―!」
梓(しょうがないですね・・・ジロリアンの端くれとして、先輩たちを正しき道へと導かなければ・・・!)
梓の瞳には、列を成す人々が抱くものと同じ、誇り高き“意志”が宿っていた。
澪「みんな本を読みながら並んでる・・・」
梓「この行為は、戦士(ジロリアン)たちの“知恵”なのです」
澪「え?」
梓「二郎と向き合う前に、まずは己と向き合う・・・待ち時間という二郎必然の課題を克服しつつ、
自らの精神を清める・・・数多の戦場をくぐり抜けてきた彼らがたどり着いた『答え』です」
律「お、おい・・・梓・・・?」
梓「ハッ、す、すみません!つい・・・」
「このお店・・・『ラーメン二郎』にはコアなファンが多くて、だいたい行列で並ぶことになるんです。
常連はそれが分かってるので、本や携帯ゲーム機など、暇つぶしの道具を持参することが多いんですよ」
紬「へぇ~」
唯「あずにゃんも常連さんなの?」
梓「ま、ホームではファースト張ってますから。ちなみに店主と会話したこともありますんで(笑)」
唯「よく分からないけど、すごいんだね~」
澪「さて、食券を買うのか」
律「よっしゃー!大盛りいっちゃうぜー!」
梓「だめです!」クワッ
律「ひっ」ビクッ
梓「二郎のメニューは、小ラーメンでも通常店の大盛りに相当します。
ましてや初心者が大なんて・・・おこがましいとは思わんかね!」
律「ひぅ・・・」
梓「初めての人は小を頼んで店の盛りを確認し、己のレベルとの比較をおこなうべし。分かりましたか!?」
律「はひ、すみましぇん・・・」ウルッ
澪(いつもの梓じゃない・・・)
紬(梓ちゃん、輝いてるわねぇ)
唯「わたし烏龍茶飲もーっと」
食券購入
唯:小ぶた 黒烏龍茶
澪:小ラーメン
律:小ラーメン
紬:小ぶたダブル
梓:大ぶたダブル 黒烏龍茶
律「お、席が空いたな・・・けど一人か。みおちゅわーん、一緒に座ろーz」
梓「何言ってるんですか!」クワッ
律「ごめんなさい!」
梓「これだけ人が並んでるのに、回転をさらに鈍くするような行為は慎んでください!」
律「も、申し訳ありませんでしたぁ!」
梓「とっとと座る!」
律「ハ、ハイ!ただいま!」シュバッ
紬(倒錯的ねぇ・・・ウフフ)
ガタ ゴッソサーン ガタ ガタガタ
唯「あ、結局みんなで座れそうだよ♪よかったねー」
律「もうやだ・・・早く食べて帰りたい・・・お、来たか?」
店主「お客さん、ニンニクは?」
律「!?」ビクッ
店主「・・・・・・」
律「あ、え、うぅ・・・」
梓(入れてください)ボソッ
律「い、入れてください!」
店主「あいよ」
店主「そちらの方々は?」
梓「ニンチョモヤサイマシマシカラメアブラブラ」
澪「え、えと・・・ニンニクは無しで・・・」
梓(二郎の魅力半減じゃねーかクソが)
紬「お願いします♪」
唯「じゃあ、私はましましー!」
梓「!?コールを知ってるんですか!?」ガタッ
唯「隣のおじさんの真似してみたのさ!」エッヘン
梓(なんという度胸・・・唯先輩、恐ろしい子っ・・・!)
ド ン
律「でかい・・・ん・・・?」
ド ド ン
律「」
律(梓の・・・本当にラーメンなのか・・・?)
それは麺というにはあまりにも大きすぎた。大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。
それはまさに塊だった
律「てか、野菜の山・・・どうやって食えば・・・ん、梓・・・?」
パキッ チャッ ヒュバッ
律「なん・・・だと・・・!?麺と・・・野菜が・・・・・・逆転!?」
梓「『天地返し』二郎を食す上での基本技です。
野菜をスープに浸して味をつけると同時に、麺を冷まし、伸びを防ぐ。一石三鳥の技です。
もっとも、私ほどのジロリアン(レベル5)になれば、割り箸を使わずとも可能ですが・・・参考になれば、と思いまして」
唯「こう・・・かな?」
ヒュバッ
唯「やった、できたよー」
梓(!!)
紬「よぉ~し!」
澪「ついていけない・・・」
律(あーもう、味なんていいから、早く食って出よう・・・)
チュルリッ
律「!あ、美味い!」
面白おかしく作られたコピペ、外見、まことしやかに囁かれる噂・・・
不本意な話題性が豊富な二郎であるが、
「味」という料理本来の魅力は、それらに見劣りすることなく丼の中で輝きを放っている。
律(コシのある麺、オリジナリティを主張するスープ、味わい深いチャーシュー・・・
モヤシとキャベツのフレッシュさが嬉しい・・・
そして全てを鮮やかに引き立たせる役割を果たす・・・ニンニク!)
全ての食材がそれぞれの個性を発揮しつつ、
決してわがままではない
互いを引き立てあい、一つとなり
―すなわち、『二郎』となり―
食すものに感動をもたらす。
まさに、ラーメン界の「けいおん!」
律「ハフ、ハフ」
梓「律先輩も、理解したようですね・・・二郎の魅力を」
「さて、では私も・・・」
チュルルズズーシャクシャクハフリチュルルルゴクゴクシャキッチュルル
唯「ふふー♪ましまし~♪」
澪「やっぱり多いな・・・ん?」
紬「うふふふふー♪」無音完食(スープ完飲)
澪(さすがお嬢様―!)
つぎのひ!
唯「二郎って美味しかったねー!また行こ~♪」
律「はは、今度はマナー覚えていかないとな・・・梓に殺される」タラッ
澪「私はしばらくいいかな・・・ハハッ」
梓「遠征に行くのもいいですね・・・あれ?ムギ先輩がいないですけど・・・」
唯「早くお菓子食べたいよ~」
ガチャッ
紬「みんな、お待たせー!」
律「!?ムギ・・・後ろのセットは・・・!?執事さんまで・・・」
紬「どうしても“じろう”の味が忘れられなくて・・・
斉藤に特訓させて、一人前になるまで仕込ませちゃった♪
ラーメン二郎桜ヶ丘高校店、開店よ!」
一同「えぇー!」
おわり
最終更新:2010年11月11日 19:49