唯「しゃきーんしゃきーん!」



律「すっごいオススメのホラーゲームもってきたんだー」


澪「ホラー・・・」


律「ほら澪、ホラーゲームだぞー!」


澪「ひいいいいっっ!!」


唯「あれ?それ・・・去年もやらなかった?」


律「フッフッフ・・・たしかに去年同名ソフトを私たちはプレイしている」


律「わずか一日でパーフェクトクリアしてしまい手応えがなかったが・・・」


律「これはその続編!!パワーアップしているのだぁ!」


唯「おぉ!なんかすごそう!」

律「ふむ・・・やってはいけない鬼ごっこがある・・・か!」


澪「やってはいけない鬼ごっこ・・・いったいどんな鬼ごっこだ・・・?」


澪「幽霊に追われて・・・?捕まったら呪われたり・・・うわああああ」


律「そういや前回澪は不参加だったな・・・怖さのあまりに」


梓「こんにちはー」






梓「何の話ですか?」


唯「うん、律ちゃんがゲームもってきたんだー」


律「これ!クロックタワーってやつ!」


梓「あ、それ私知ってます」


紬「私も知ってるわ~」


律「え、ムギ?知ってるっていうか去年一緒にやらなかったっけ?」


紬「えっ?・・・あ、私その時海外に旅行いってたから・・・」


律「やったの私と唯だけだったっけ?・・・うーんごめんごめん」


梓「クロックタワーっていえば、殺人鬼に追いかけられるやつですよね」


紬「あ、ごめんなさい 私ちょっとトイ 澪「あーあーみえないきこえなーい」


唯「でも今度は鬼ごっこっていうくらいだからきっと安全だよ~」


律「凶器片手に健全な鬼ごっこする殺人鬼・・・それはそれで怖いな」


律「ま、とりあえず今日放課後私の家集合にしようぜい」


梓「じゃあ今はその分練習ですね!」


律「あー・・・梓は熱心だなぁ」


ほうかご!



律澪「いやー」


澪「今日はいい練習ができたな」
律「楽しみだなぁ」


梓「何がですか?」


律「さっきのホラーゲーム!澪がどんな反応するか・・ふふ」


澪「」


梓「悪趣味ですね・・・」


唯「あれ?・・・ねぇねぇ」


律「どうした?」


唯「ムギちゃんは?」


梓「あれ? ・・・たしかにいませんね」


律「さっきまで部室にいたよな?」

律「おっかしいなぁ・・・今日一番早く部室にきてたの見たはずなのに」


唯「突然いなくなるなんて・・・トイレかなぁ?」


律「そんな何時間もトイレ篭らないだろ・・・」


唯「ずっとお腹いたいときはあるよ~」


律「んじゃ部活中早退かぁ? でもなにもいってなかったし・・・」


律「(なんか前にもこんなことがあったような気がするな・・・)」


梓「ムギ先輩にしては珍しいですね・・・」


澪「あ、あの~・・・」


澪「私が声遮っちゃったんだけど・・・」


律「・・・」

律「・・・」


澪「どう?」


律「だめ、携帯でないし家にも帰ってないみたいだな」


梓「心配ですね・・・」


唯「ムギちゃん大丈夫かな~ トイレにまだいるのかなぁ?」


梓「でも一度も部室に戻ってこないなんて・・・」


律「もう少ししたらまたかけてみるか・・・」


律「ムギ、何してんだ・・・?」

律「出ない・・・」


律「ごめん、今日はやっぱりゲームなしにしよう」


梓「心配でゲームなんてできませんね・・・」


澪「学校に戻って様子みたほうがいいんじゃないか?」


律「早退して誰かに誘拐されてたら・・・」


唯「えぇ!けいさつに電話したほうがいいのかな!?」


律「まだ決まったわけじゃないし・・・」


律「明日、明日学校にきてなかったら電話しよう」


澪「私、家に帰ったらムギの自宅に電話してみるよ」


唯「ムギちゃん~・・・」



よくあさのきょうしつ!


律「・・・どうだった?」


澪「まだかえってきてないって・・・」


律「嘘だろ・・・?」


唯「ど、どうしよう・・・」


律「教室からするのもあれだけど、警察に電話を」


澪「いや、コトブキグループの特殊部隊と、警察がすでに捜索に出てるらしいけど・・・」


律「じゃあ、ムギの携帯は?」


澪「圏外だって・・・」


律「圏外・・・ かなり遠くにいるってことか?」


澪「海外でも繋がるところは繋がるはずだろ?」


澪「どこか地下の可能性もあるけど・・・誘拐だとしたら微妙だな」


律「とにかくあまり聞かれるべき話じゃないし、放課後部室で話そう」


澪「わかった」


律「唯も他言なしだからな」


唯「うん、わかった」



ふたたびほうかご!


澪「担任からも何も連絡なしか・・・」


律「こりゃあ本格的にやばいんじゃ・・・」


澪「ムギの携帯も相変わらず圏外みたいだし・・・」


梓「こんにちは」


梓「どうでした・・・?」


澪「駄目だ、学校にも着ていない」


梓「そんな・・・」


唯「怖くなってきたらトイレいきたくなっちゃった・・・」


唯「あずにゃ~ん・・・一緒にトイレきて?」


梓「え、一人でいってくださいよ この非常時に・・・」


唯「怖くて一人でトイレいけないよぉ・・・」


梓「はぁ・・・小学生ですか」


梓「すいません、ちょっといってきます」


澪「うん、学校は関係ないとは思うけど、気をつけてね」


梓「ほら、いきますよ先輩」


唯「う~ごめんね~あずにゃん」


唯「トイレに到着!」


梓「テンション高いですね」


唯「テンションあげないと怖いからね!あずにゃんもほら!とう!やぁ!」


梓「早く済ませてください」


唯「はぁーい・・・」



※以降こちらの表現力に限界があるため地の文ありです
かなり読みにくくなります


唯が正面のドアノブに手をかけると、異変を感じた


唯「?」


扉が重い


梓「どうしました、先輩?」


違和感に戸惑っていると、異変を感じて梓がこちらに寄ってくる

しかし、それを危険視することなど到底できなく、力一杯扉を開けた


唯「うん、なんでもないよ・・・ってうわぁ!!」


梓「唯せんぱっ・・・きゃああああ!!」


ドアの向こうには黒い大きな穴、というのだろうか

唯はそれを見たことがある気がして

答えを出す間もなく、得体の知れない空間の歪みに彼女らは吸い込まれていた

地面が鈍い音を吐いた


唯「いったぁ・・・」


何か硬い地面の上に放り出されたらしい唯は、慌てるでもなく周囲をゆっくりと見回した


唯「どこだろ、ここ・・・」


明らかに今までいた日本の一高校である桜高校にいた時とは、まるで別世界であった


唯「あ・・・雨降ってる、どこか雨宿りしなきゃ・・・ん?」


簡単に状況を把握した唯は、すぐ背後に民家があることに気づいた


唯「すいませーん!雨宿りさせてくださ・・・ってうおわぁ!」


ノックした扉はすぐに外れ、床に寝伏した


唯「わわ、どうしよ・・」


唯「あれ・・・中に誰もいない?」


民家は蛻の殻、しかしそこには誰かが住んでいた跡が間違いなくある


唯「お出かけ中かなぁ・・・お邪魔しまーす・・・」


唯「(なんで鍵かけてないんだろ)」


唯「(下の階にいるのかな?)」


玄関をくぐり、すぐ視界に入った階段を見てそう思ったのである 彼女は進んだ


階段を降り、少し長い一本通路を進み、少し開けた部屋に出た



唯「すいませーん、誰かいませんかー・・・」


唯「って・・・やっぱりいないや」


テーブルの上にはこの民家の持ち主らしい人の写真が置いてあった


唯「わ、外人さんだ・・・娘さんかな? この女の子かわいいなぁ」


唯「こっちは家族写真か・・・外人さんはみんなキレイでいいね~」


唯「あ、でもあずにゃんのほうがずっとかわいいけどね!」

唯「あず・・・」


今更になって彼女は気がついた

今まで一緒にいた、 かわいい人 がいないことに


唯「あずにゃん・・・?」

不気味な民家に対する疑心が不安を呼び、不安が不安を煽り立てる

いたはずの後輩がいないことに



唯「・・・探さなきゃ!!」


たまらず民家を飛び出して街を駆け抜けた、彼女がいることを祈って


唯「あずにゃあああああん!!!」

唯「ハァ・・・ハァ・・・」


結論から言うと見つからなかった

闇に融けて見落としたのかもしれない

もしかしたら民家で雨宿りしているかもしれない


唯「・・・もう一度探そう」


彼女は泣いていないだろうか、寂しくはないだろうか

全力で走ってきた道に振り返りまた踏み出そうとする

しかし、それは数歩走り出したところで止めることになる


唯「ピアノの音?」

大切な後輩を探すために踏み出した方向とは逆、背後からグランドピアノの音が漏れてくる


唯「ピアノ・・・あずにゃんはピアノじゃないよね・・・」


突然ずれ落ちた音が聞こえ、範奏が止まる


唯「この音・・・弦を叩くような音・・・軽音部でも似た音を聞いたことがある・・・」


唯「たしかこの音は・・・」


唯「もしかして・・・」


考えるより先に足が動いていた

音がした方向にあったのは、大層大きな屋敷


唯「もしかしてムギちゃんの家・・・なわけはないよね」


唯は大きな扉を開けた


唯「うわぁ・・・広いなぁ」


唯「(もしかしたらあずにゃんとムギちゃん、一緒にいるかも)」


思考を走らせたその時、背後の扉が"閉まった"


唯「えっ!?」


走り出しては止められ、また再び走り出す

扉は彼女が閉めたわけではない

ただそういう扉なのかもしれない しかし、状況が状況だけに殊更不安を煽る


唯「ムギちゃ~ん・・・いたら返事して?」


2
最終更新:2010年05月04日 23:40