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梓「唯先輩、今なんて言いました?」

私、中野梓は思わず聞き返してしまいました。

唯「だから、憂って邪魔だよね、あずにゃんって言ったんだよ」

梓「はぁ……」

一瞬先輩が何を仰っているのか理解できなくて、ほんの少し考えてようやく
私は唯先輩が妹である憂の悪口を言っているのだと理解しました。

梓「あの……唯先輩、憂と何かあったんですか?」

唯先輩がほっぺを膨らまします。

カワイイ……ではなく、どうやら怒っているみたいです。


唯「ふん、何にもないもんっ」

まもなく先輩と後輩の関係も一年になろうとしている私たちですが、唯先輩が悪口を人の悪口
を言うのを初めて聞いた気がします。

いえ、割かし本人は褒めているつもりで、実はというと悪口を言っているというのなら
今までもあった気はしますが。

それでもこんな風に人の悪口を悪意を持って言うのは初めて聞いた気がします。

ましてや今時天然記念物と言っても過言でもないほどに平沢姉妹は仲良しだと
私は思っていたのに。

梓「何があったんですか?」




唯「あーっ!あずにゃん!猫だよ!!」

梓「本当だ。飼い猫でしょうか?」

唯「あっ逃げた!待てー!!」

梓「ちょっとせんぱーい!待ってくださーい!!」


その日、結局唯先輩と憂の間に何かあったのか聞くことはできなかった。
でもあまり心配していませんでした。

先輩と憂は本当に仲が良い。
すぐに仲直りするだろう。

明日憂の話も聞いてみよう。
憂との会話で唯先輩の話題が出ない日は無いから。
仲直りしていないようだったらお節介をしよう。
後輩として、友人として。


───翌日
憂は学校を休んだ。

朝、家の人から病欠すると連絡があったらしい。
ご両親は海外出張中らしいから唯先輩が連絡したんだろう。


放課後

唯「昨日の夜から具合悪くなってねー、朝も辛そうだったからお休みさせたんだー」

梓「先輩看病とか出来るんですか?」

唯「うーっ!あずにゃんひどーい!」

昨日先輩の様子も変だったがこの分なら大丈夫だろう。
いつもの唯先輩だ。

梓「そうだ、今日プリント預かってきたんですけど、お見舞いに行って大丈夫ですか?」

唯「ありがとーあずにゃん!でも、部活後だと遅くなるから、お見舞いはいいよ。プリントは私が渡しておくね」

梓「え?ああ、じゃあお願いします」

唯「ねぇあずにゃん?あずにゃんは憂がいなかったらさみしい?」

梓「?それはそうですよ。友達ですし」

唯「わかったよ!あずにゃんがさびしくならないように明日は学校行かせるね!」

梓「いや、完治してなかったら休ませてください」

翌日、憂は学校に来ました。
でも今日は唯先輩が休みでした。


次の日も憂は学校に来ました。
でも唯先輩は休みでした。

そろそろ心配になったので唯先輩の様子を憂に聞きました。

憂「今朝は少し楽になってたみたいだけど、まだ熱あるみたいだったから今日もお休みさせたの」

梓「そう。でもさすがに3日も休むと心配だな…」

憂「軽音部にも迷惑かかるし、おねぇちゃん受験生だしね。ねぇ、梓ちゃん?」

梓「?」

憂「梓ちゃんはおねぇちゃんが居なかったらさみしい?」


さすが姉妹。似たようなことを聞くんだな。
私はもちろんさみしいと答えました。

授業を終え、部活。
唯先輩が居ないから軽く合わせて雑談。
あ、唯先輩居てもこの流れは変わらないか。

部活を終え帰宅。憂からメールが届く。
明日は唯先輩学校に出られるくらい回復したらしい。


翌朝、登校中にギターケースを背負った見慣れた背中を見かける。
唯先輩だ。



梓「唯先輩!!」

唯「あ、あずにゃんおはよう」

梓「もう大丈夫なんですか?」

唯「うん!もうバッチリだよ!休んじゃった分がんばるよー」

梓「はは、無理してまた体調崩さないでくださいね。あ、そういえば」

唯「なんだいあずにゃーん?」

梓「憂とは一緒じゃないんですか?」

唯「ああ、憂はね今日お休みなんだ」

おかしい。
ここ数日2人揃って学校に登校している日は無い。
少し、怖い。

考えすぎだろうか。
先輩たちに相談してみよう。


放課後、真っ先に部室へと足を向ける。
一番乗りかと思いきや、すでに部員は揃っていた。
唯を除いて。

梓「あ、あのー唯先輩は?」

律「休んでいた時の課題やってなくてな。今泣きながら課題やってるよ」

ほっとする。さすがに本人がいる中では話し辛い。

梓「最近の唯先輩のことなんですけど…」

澪「どうかしたか?」

梓「何か、変わった様子ありませんでしたか?」

紬「別にいつも通りだったけど?」

梓「憂と2人そろって学校に来ている日が最近無いんですよ」

そう、唯先輩と憂に日常的に会う機会があるのは私だけなのだ。
先輩たちはこの事を知らない。


律「あっはっは!考えすぎだろー」

紬「そうね。唯ちゃん休んでる時にメールしても返信来るし」

梓「でも…」

そう、メールは帰ってくる。

梓「唯先輩休んだ日に電話してみたんだけどに出ないんですよ」

澪「寝てたんじゃないのか?」

梓「メールの返信来たあとすぐに電話かけたんですよ?」

紬「休むぐらいだから話をするのがつらいとか」

梓「憂が休んだ日もメールは帰ってくるけど電話には出ないんですよ。夜には電話出るんですけど」

澪「あーあーきこえないー」


澪先輩が怯え始めた。
それを見て律先輩がからかいだす。
こうなると止められません。落ち着くのを待つことにします。
その時、部室の外から声が聞こえました。

「あら、平沢さん入らないの?」

唯先輩とさわ子先生だ。

唯「あーっさわちゃん。今来たとこー」

私の話を聞いていたのだろうか。

唯「澪ちゃんどーしたのー?」

律「実はなー」

澪「あーあーきこえないー」

もう今日は相談できなさそうだ。
紬先輩は唯先輩とさわ子先生のお茶を入れ始めている。

そういえば以前、さわ子先生は唯先輩のフリをした憂を見破った。
今回は何も言わない。
担任でもあるし、入れ替わって授業を受けようものならカミナリが落ちているはず。
ということは、目の前にいる唯先輩は唯先輩ということで良いのでしょうか?

明日は休みだし、憂の家にいってみよう。


夜、憂に明日遊びに行って良いかメールを送る。
返信は、明日は唯先輩と出かけるとのことでした。
今日学校を休んだのに?

翌日憂の家へ向かう。
何か腑に落ちなかったから。

平沢家に到着し、家の中の様子を伺ってみたが人気はない。
インターホンを鳴らしても案の定誰も出ませんでした。

律先輩に言われたように考えすぎかもしれないし、もう少し様子を見よう。
そう思い、その日は帰りました。


月曜日、憂は学校に来ていませんでした。
お昼に唯先輩、律先輩、澪先輩、紬先輩みんな休んでいる事を知りました。
さわ子先生がさすがに怪しみ、先輩たちの家に連絡したそうです。

先輩達は、休日は唯先輩の家に泊まり、
そのまま直で月曜日は学校へ行くと、家の人に話していたそうです。

唯先輩の家にはだれもいなかったみたいです。
電話を掛けてもつながらないそうです。

私も連絡を取ろうとしましたが、返事がありません。

警察の人と話をしましたが、今のところ何もわからないみたいです。

1人では部活もできないので早めに帰りました。

夜になっても先輩たちからの連絡はありません。
もちろん憂からもありません。

なんだか疲れたので、今日は早めに眠ることにします。

風強いのか窓がガタガタいってます。

おやすみなさい。



               ._
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                 `''|/ノ
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最終更新:2010年05月06日 22:53