アイスは溶けるし甘いし冷たいし沢山食べるとお腹壊すし
まるで30過ぎたニートみたいに手を煩わせる面倒食材だけど
我が家の大きな冷凍庫にはギッチリパンパンこれ以上ないくらい詰まってる
勿論全部お姉ちゃんの為に私がスーパーのレジ30分停止させて買い溜めた愛の結晶で
お姉ちゃん以外の誰にも食べさせないし触らせないし冷気の影さえ見せる気は無い
お姉ちゃんの為なら何でもできる
お姉ちゃんが大好きだ
私のお姉ちゃん
今日の学園祭ライブをきっと汗だくで終えるお姉ちゃんの服の臭いを存分に堪能して
一緒にお風呂に入って洗いっこ流しっこ舐めっ子したあとにお疲れのアイスクリームを
お腹いっぱい食べさせてあげるんだ
誰にも邪魔させない
そんなことを昇る朝日に誓いながら弁当箱4段重ねの特性お姉ちゃん弁当を作り終えた
「憂ーおはよ・・・」
人間が道歩いてて雷に撃たれる確率1/10,000,000らしい
考えることも馬鹿馬鹿しくて意味の無い数字だけ存在してるような豆知識だけど
お姉ちゃんが朝6時に起きる確率はそれを遥かに凌駕するし
その早起きしてくれた喜びと感動に比べたら雷なんか冬の脱衣所でセーター脱いで
パチパチ五月蠅い静電気にも及ばない
だから私は急いで特製お姉ちゃん弁当を更にもう4段製作しようと頑張るんだけど
お姉ちゃんは朝連があるからとトースト咥えて家を出て行った
私はお姉ちゃんが忘れていった制服と鞄とギー太とジャムとマーガリンとスプーンを持って
新幹線よりも速いスピードで追いかける
4秒くらいでお姉ちゃんに追いついて
「憂ー?」と寝ぼけ眼で状況理解してないお姉ちゃんの顔が可愛い可愛い可愛いとか思いながら
制服を魔法少女みたく一瞬で着替えさせて
「憂ー」と金魚よろしく目をパチクリさせてるお姉ちゃん愛しい愛しい愛しいと声に出しながら
鞄とギー太渡してやっぱり重そうだから私が持ってあげて
「憂ー!」と喜んでるお姉ちゃんヤバイヤバイヤバイって感情爆発させつつ
咥えてるトーストにジャムとマーガリン塗ってあげる
寝癖ってるお姉ちゃんの髪を手入れしてあげながら登校していると
軽音部長の律さんとその親友というか私から見たらレズビアンでデキてんじゃないかって感じの澪さんが
手を振りながらやってくる
「お、唯ちゃんと起きれたのかー」とか呑気言ってる律さんには分からないかもしれないけど
お姉ちゃんは超究頑張って深夜の歌ランキング番組見るの我慢して私の寝る前のお医者さんごっこの提案も
物凄い微妙な顔で拒否って死ぬほど努力して早寝した結果が今日の朝6時起きなのだ
あなたにその辛さがわかりますか?あなたにお姉ちゃんの努力がわかりますか?
へらへら笑ってお姉ちゃん舐めんなとか思いながら私もへらへら笑って「そーなんですよー」とか
上っ面だけの会話をする
てかあなたさっきから澪さんが腕組もうと頑張ってるの気付けよ何ひょうきんな顔してお姉ちゃんいじりしてんの
若干心の底のオーラが漏れて澪さんが消費者金融の犬みたくビクつき始めた頃学校に着く
軽音部は当然音楽室を利用して練習という名のお茶会もどきを楽しむんだろうけど
私はお姉ちゃんがいつもそこで具体的に何してるのか何話してるのか何食べてるのか知り得ない
何故なら授業終わって下駄箱まで下りてお姉ちゃんの靴の臭い嗅いで
自宅までウサイン・ボルトも真っ青宇宙人になるくらいのダッシュで帰った後
お姉ちゃんが超大喜びで完食笑顔でごちそうさましてくれる晩御飯を作らなければならないからだ
だから今日は見学と銘打って朝練の様子を見せてもらう
若干遅れて来た紬さんと泥棒猫の梓ちゃんを咥えて軽い演奏始めるんだけど
どう見てもやっぱり確実絶対的にお姉ちゃんが一番上手いというかお姉ちゃんの音しか聞こえなくて
他の先輩方は何考えてるんですか?って言おうとしたらお姉ちゃんがチューニングしてるだけだった
お姉ちゃんならチューニングの音だけで学園祭ライブ成功させられるのは間違いない
神に誓って万物に公平なこの私が保証するよ
セッション始まってお姉ちゃんのピッキングテクニックが限界無く明るく輝いて
あんなに熱くてカッコいい太陽を直視できないのは彼が眩し過ぎるからだよ とかキザかつ当然な台詞が
頭の中でグルグル回ってああもうお姉ちゃんカッコいい!
朝練終わってお姉ちゃんの教室まで付いて行ってお姉ちゃんの席まで付いて行って
トイレまで付いて行ったところで「憂はもう教室戻れば?」とかこれまた微妙な顔して言われたので
涙をながしながら泥棒猫と一緒の教室に辿り着く
ああお別れなんて哀しくて悲しいよお姉ちゃん神様なんていないんだ
なんか教室ざわめき始めて喧しいなぁ五月蠅いなぁ黙らないかなぁとか思ったら
教師が黒板に『ドリンクバー』とかダサい字面デカデカと書き初めて隣の泥棒猫に理由を尋ねる
「何って・・今日は学園祭じゃん」ってゴキブリが殺虫剤の成分と戦闘真っ最中のような
厳しい表情でのたまうんだけど私だって今日が学園祭ってことくらい知ってるしこの子舐めてるね
なんで蕎麦屋が掲げる『ピザ始めました』みたいなノリのショボイ看板置いてるのか聞いてるんだよって
優しく優しくもう一度噛み砕いて質問してあげると
信じられない というように私を見て「私達のクラスドンクバーやるんだよ?」と
わけのわからないことを言い出した
なんで学園祭でドリンクバーをやるんだろう
お姉ちゃんのライブの為に学校が設定した祝日なのに
クラスメイトが触角千切られた蟻の群れのようにごたごたした動きで機材を運び始める
よくわからないので机に座っていつも通りお姉ちゃんアルバム眺めてニヤニヤしよう
お姉ちゃんのシャッターチャンスはアルゼンチンアリのコロニーみたく多過ぎて
私のデジカメに刺さってる1Tのメモステはこれで3枚目なんだけどそれでこそ私のお姉ちゃん
ゴキブリみたいなツインテールした泥棒猫が働けとか言うんだけどお姉ちゃんとこのクラスを
同じ天秤に乗せようと試みるその精神からして危険思想だし理解できないしたくない
そもそもドリンクバーって機械でジュース出すだけだし手抜きだしせめてアイスにしようよ
いやホントに
そんなこんなでお昼過ぎ
ライブ開始が近づく
当番表を見ると私の名前がライブの時間に重なってたから全時間
中野梓に書き換える
お昼ご飯はお姉ちゃんの皮膚呼吸によって排出される二酸化炭素で十分だから
何も食べずに講堂へ行って最前列を含めた前方5列を全て荷物置いて占領しておいた
欲を言えば私の周囲以外漏れなく真空にしてお姉ちゃんの歌声も私が独占したいんだけどね
プログラムはまずお姉ちゃんで次にお姉ちゃんでその後お姉ちゃんで最後はお姉ちゃん
だと思ってたら合唱部とかいうジャイアン聖歌隊が最初に歌うらしいので耳栓を付ける
鼓膜はお姉ちゃん用だから無駄に揺らしたくないのだ
開演時間となり大量の立ち見客を尻目に私は一番前の席に座った
つまらない授業を寝る生徒に罪は無い
誰だってどうしようもなく興味を持てなくて意識を保てない程苦手な物があるんだ
だから私は合唱部の姿は一瞬たりとも見てないしジャズ研の演奏は刹那たりとも聴いてないし聴きたくない
精神衛生を守る為夢の世界に避難することはテストで100点満点取るよりもずっとずっと大事だし
それはお姉ちゃんが宿題で解いた二次方程式の解程に正しい
でも放課後ティータイムが所属する存在の平沢唯が舞台に上がると
夢なんか金星の向こうまで第二宇宙速度ですっ飛んで行ってそれこそ一瞬で目が覚める
お姉ちゃんは気配が違うのだ
存在そのものが特別超絶別格で 現れる というより 降臨 が正しい
そしてこの世でどんなものよりも10倍偉大な演奏が始まった
きゃーおねーちゃーん
プログラムには放課後ティータイムとか書いてあって
お姉ちゃんがそれの一部のような扱いを受けているけど実際それは真逆の正反対で0点回答
まずお姉ちゃんが絶対的な存在であとの細かいのはそれのおまけにもなりきれない不純物だ
誰が聴いてもそう確信するお姉ちゃんの演奏
私は自宅で汗水垂らし半年かけて作った特製お姉ちゃん応援グッズをこれでもかと振り回し
それを見たお姉ちゃんが私の方を見て微笑む度走る性的ともとれる快感に悶えて悶えて悶えて悶えた
あぁお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん
お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん
お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん
お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん
お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん
学園祭というかライブというかお姉ちゃん称賛会は無事終了して
臭そうで臭くない少し臭いお姉ちゃんの汗の香りを堪能しながらの帰り道
お姉ちゃんは「ちょっと歩きにくいよー」とか言うんだけど私は組んだ腕を放さない
お姉ちゃんの首筋に流れる汗の味はサハラ砂漠で脱水寸前で飲み干すアクエリアスなんかより
遥かに貴重で潤っていて酸っぱくて美味しいよお姉ちゃん
勿論今日お姉ちゃんが履いてる下着は有効利用の後真空パックで永久保存なんだけど
鼓膜と網膜にに焼き付いたあの演奏はそんな物使わなくたって絶対失わないし忘れない
帰宅してお姉ちゃんの脱衣手伝ってあげてお気に入りの入浴剤持って一緒にお風呂に入って
「憂の応援すごかったねー」とか言われて昇天しかけたけどなんとか持ちこたえて
背中洗って前もゴシゴシこっそりほっぺにキスして湯船に肩まで浸かって
冷凍庫のアイスを見せたら喜ぶお姉ちゃんの顔みたら月までぶっとぶ幸せで
でもそれより「憂も一緒に食べよ」って言葉が一番幸せで
私がレモン味でお姉ちゃんがイチゴ味で美味しくて
おそろいのパジャマを着て一緒にベッドに入って
ふかふかベッドでおやすみなさい
好き好き大好き超愛してる
明日もよろしくお姉ちゃん
おしまい
最終更新:2010年05月10日 00:04