唯「憂~、アイス~」

憂「まだご飯食べてないでしょ?」

唯「ぶー。あ、憂。見てて」

憂「なあに?」

唯「憂は私にアイスをあげたくなる~」

憂「?」

唯「だんだんあげたくなってくる~」

憂「ほぁ……」

唯「憂?」

憂「お姉ちゃん、アイスだよ」

唯「えっ……?あの、ご飯まだだよね?」

憂「でもお姉ちゃん、アイス食べたいんでしょ?」

唯「そうだけど……」

憂「じゃあ、食べて」

唯「う、うん……」


……

唯「ねえ、りっちゃん」

律「なんだ?」

唯「これ、見てて」

律「五円玉と紐?何するんだよ」

唯「いいからいいから」

律「ん?」

唯「りっちゃんはカチューシャを外したくなるー……」

律「何やってんだ?催眠術か?」

唯「カチューシャを取りたくなるー……」

律「ふぇ……」

唯「カチューシャカチューシャー……」

ファサ

律「私、もうカチューシャ付けるのやめる!」

唯「おぉ!?」

律「どうだ?似合ってるか?」

唯「う、うん……」

唯(もしかして私、催眠術をかけられるのかな……?)

梓「あれ?律先輩、なんで前髪おろしてるんですか?」

律「お、梓。カチューシャつけるのやめたんだ。似合ってるだろ!」

梓「はあ……」


唯「あずにゃん」

梓「なんですか?」

唯「これ見てて」

梓「またくだらないことでも思いついたんですか……?」

唯「あずにゃんは猫耳を付けたくなる……」

梓「はい?」

唯「猫耳を付けたくなる……」

梓「くんか……」

唯「猫耳猫耳……」


梓「唯先輩、猫耳カチューシャってどこでしたっけ?」

唯「あそこの引き出しだよ」

梓「猫耳……ふふ……」

ひょい

唯「おぉ!あずにゃん!」

梓「唯先輩、にゃあ」

唯「うふふ~、かわいい~」

唯(やっぱり私の催眠術は本物だったんだ!)


唯「ムギちゃんは私にケーキを食べさせたくなる~」

紬「あぁ……」

唯「ケーキケーキ……」

紬「今から特製ケーキを注文するわね」

唯「わーい!ムギちゃんありがとう!」

唯(すごい、これでなんでも私の思い通りに出来る!)


唯「でも催眠術で何をすれば楽しいかなあ……」

唯「とりあえず澪ちゃんになにか催眠術をかけてみたいな……そうだ!」


唯「ねえ、澪ちゃん」

澪「なんだ?唯」

唯「これ見ててね」

澪「いいけど……」

唯「澪ちゃんは私のことが好きになる……」

澪「な、何言ってるんだ?」

唯「私と付き合いたくなる……」

澪「てへぺろ……」

唯「アベックアベック……」


澪「唯……」

唯「なあに?澪ちゃん」

澪「私、唯のこと……」

唯「ごくり……」

澪「好き……なんだ。付き合ってくれないか……?」

唯「モチのロンだよ!」

澪「本当に!?よかった……」

唯(成功しちゃった……)

唯「とりあえず部室に戻ろっか!」

澪「うん」



唯「あれ?なんでりっちゃんカチューシャつけてるの?」

律「は?いつもつけてるじゃんか」

唯「あずにゃん、猫耳は?」

梓「猫耳?し、知りませんよ?」

唯「ん……?あ、ケーキだ!」

紬「こんなケーキ、持ってきた覚えが無いんだけど……」

唯「えっ?」

唯(もしかして、催眠術が解けちゃったのかな?つまんないなー)


澪「あのさ、唯。その……キス……しないか?」

唯「え?みんなが見てる前で!?」

澪「恋人同士なんだから、いいだろ?」

唯「わかったよ」

チュッ

澪「ん!?」

唯「澪ちゃん?どうしたの?」

澪「な、なんでもない……」

律「ちょっ、なんでキスしてるんだよ!」


唯「これは、その……」

梓「どうして女の子同士なんですか!?」

紬「まあ……」

唯「私と澪ちゃんは、恋人同士なんだよ!」

澪「えっ?」

梓「澪先輩が唯先輩と……」

紬「いつから付き合っているの?」

唯「今日澪ちゃんから告白されてね、付き合うことにしたの!ね?澪ちゃん」

澪「う、うん……」


律「まさか澪がレズだったなんて……」

梓「信じられないです……」

紬「お似合いのカップルだと思うわ」

澪「じゃ、じゃあそろそろ帰ろうかな……。唯、行こう?」

唯「あ、うん」

ガチャ

バタン

律「澪……」

梓「律先輩?」

紬「りっちゃん?」

律「あ、私も帰るわ!じゃあ、また明日な!」


唯「今日は澪ちゃんとイチャイチャできて楽しかったー。でも明日になったら、きっと催眠術解けちゃってるよね……。まあ、しょうがないかー」

憂「お姉ちゃん、ご飯できたよー」

唯「今日のご飯は何かなー。わあ、今日も美味しそうだねー」

ムシャムシャ

憂「今日は何かいいことあったの?」

唯「なんでー?」

憂「だってお姉ちゃん、すごく嬉しそうなんだもん」

唯「でへへ~。実は澪ちゃんとね……」


唯「おはよー」

澪「唯、待ってたぞ」

唯「んー?」

澪「クッキー、作ってみたんだ。食べてくれると、うれしいな……」

唯「わあ!ありがと、澪ちゃん。でもどうして突然クッキーなんて……」

澪「だって、唯は私の恋人だろ?」

唯「あ、そっかー」

唯「……ん?」

唯(催眠術が解けてない……?みんなはすぐ解けちゃったのに……)

澪「ほら、唯。あーん」

唯「あ、あーん……」

澪「どうかな?おいしい?」

唯「うん、おいしい」

澪「よかったあ……」


澪「なあ、唯」

唯「なあに?」

澪「えへ……呼んでみただけ……」

唯「あはは~」

唯(なんで澪ちゃんだけ催眠術解けないんだろう……)

唯「ねえ澪ちゃん。私のこと、好き?」

澪「好きに決まってるだろ。だから付き合ってるんじゃないか」

唯「そうだよね……」

唯(まあ催眠術がとけてないならそれでもいいかな……。私も澪ちゃんの事好きだし!)



律「なあ、おかしいと思わないか?」

梓「何がですか?」

律「唯と澪だよ。突然付き合いだすなんて、おかしいだろ」

紬「そうかしら?二人が楽しそうならそれでいいんじゃ……」

律「女同士なんだぞ?よくないだろ」

梓「確かによくないかもしれませんね……」

紬「私はこのままでいいと思うんだけど……」

律「ちょっと探りを入れてみるか」


律「澪ー」

澪「律?」

律「あのさ、なんで唯に告白したんだ?」

澪「えっ?」

律「唯のことが好きだったのか?」

澪「それは……まあ……」

律「なんて告白したんだ?」

澪「なんてって……普通に好きだって言ったんじゃないかな?」

律「なんではっきりしないんだよ。告白したんだろ?」

澪「……実は、よく憶えてないんだ」

律「なんだって?」

澪「り、律には関係ないだろ!」

律「ちょ、澪!逃げられた……」



唯「このお店のパフェ、おいしいねー」

澪「そうだな……」

唯「どうしたの?なんか元気ないよ?」

澪「そ、そんなことない!」

唯「そうかなー。なにかあったんじゃない?」

澪「……私たちは、恋人同士なんだよな?」

唯「そうだよ。澪ちゃんが告白してきたんだから」

澪「憶えてないんだ」

唯「えっ?」


澪「唯に告白したこと、全然思い出せないんだ」

唯「どういうこと?」

澪「私は、唯に告白したのか?」

唯「……そうだよ」

澪「…………」

唯「でも告白したのは、澪ちゃんの意志じゃないんだ」

澪「どういうことだ?」

唯「実は私、人に催眠術をかけられるみたいなんだ」

澪「催眠術?」

唯「でね、いろんな人に催眠術をかけて、澪ちゃんにもかけようと思ったの」

澪「どんな催眠術をかけたんだ?」


唯「澪ちゃんは私を好きになる、私と付き合いたくなるって」

澪「それで私は告白したのか?」

唯「うん……」

澪「そっか……」

唯「ごめんね、勝手に催眠術なんてかけちゃって」

澪「いいんだ。私、唯のことはもとから好きだったし」

唯「えっ?」


澪「実は前から唯のことが気になってたんだ。でも私と唯は女同士だから、なかなか言い出せなくて……」

唯「そうだったんだ……」

澪「なあ、唯。改めて告白してもいいかな」

唯「……うん、いいよ」

澪「じゃあ……唯。私と付き合ってくれないか?」

唯「喜んで!」

澪「唯……」

唯「澪ちゃん……。ん……」


唯「ところで催眠術っていつ解けたの?」

澪「唯と初めてキスしたときに」

唯「ああ、だからあの時びっくりしてたんだね」

澪「でも、唯とキスができて嬉しかった」

唯「私もだよ」

澪「これからは、一生一緒だぞ」

唯「うん。よろしくね、澪ちゃん」

澪「こちらこそ」


梓「だから私は猫耳なんてつけてたんですか……」

唯「ごめんね、あずにゃん。りっちゃんもムギちゃんも、本当にごめん」

紬「いいのよ。おいしいケーキも食べられたし……」

律「気がついたらカチューシャがなくてびっくりしたよ」

唯「それでいろいろあったんだけど、私と澪ちゃんは付き合うことになりました!」

梓「澪先輩が唯先輩のことを好きだったなんて、意外でした」

律「澪は私に気がある思ってたんだけどなー」

紬「りっちゃんもその気があるの!?」

律「えっ!な、ないない!」

澪「それじゃあ、そろそろ練習始めるか!」

唯「うん!」





最終更新:2010年05月13日 21:52