唯「カレー作るよ!」
憂(大丈夫かなぁ・・・)オロオロ
唯「まずはにんじんの皮を剥く・・・?にんじんて皮あったの?」
憂「お姉ちゃん、やっぱり私がやるよぉ・・・」
憂は仕事を奪われて涙目だ。
ざまあみろ。
唯「いいからいいから!憂はゴロゴロしてて!」
唯「これが皮むき器か~。これをにんじんにあてて・・・」
唯「あ、あれ?」ツルツル
唯「あ、反対だった。えへへ」
憂「・・・」
唯「お、お、おお・・・」ヨタヨタ、ムキムキ
憂(ああ、手が近い・・・あれじゃあ指切っちゃう・・・)
唯「慣れればこんなの簡単簡単!へへ」ムキムキ
憂(にんじんから目を離しちゃダメだよぉ・・・)
テレビ「わー」
唯「あ~!岩隈が打たれちゃった~・・・」ムキムキ
憂「や、やっぱりダメー!!!!!!!」ダキッ
唯「!?」
憂「お姉ちゃんの後ろにつくから私に合わせて手を動かしてね」
唯「うう・・・やり難い」
背中に胸を当ててくるのは私への当て付けか?
ちくしょう。
憂「優しくやれば薄く剥けるんだよ、ほらね?」シャリシャリ
唯「おお~!さすがう・・・」
いけないいけない。
感心してる場合じゃない。
唯「もう一人でできるよぉ。憂は野球でも見てて」
憂「ダーメ。お姉ちゃんとこうやってる方が楽しいもん///」
憂「ジャガイモは皮剥くの難しいから私がやるね」
唯「む~…あれ?憂は皮剥き器使わないの?」
憂「私は包丁でできるから」
憂「ほら」シャリシャリ
唯「おおー!皮がペラペラだ!すごーい!」
憂「えへへ、すごいでしょー」
唯「もっとやって、もっとやって!」
憂「ふふ、いいよー」
~~~
ブブブ
唯「あ、りっちゃんからメールだー」
律『憂ちゃんから仕事奪ってるかー?』
ちくしょう。
唯「もう!私がやるって言ったでしょー!」
憂「ええ!?さっきはもっとやってって…」
唯「いいから憂はあっち行ってて~!」
憂「わ、わかったよぅ」(今日のお姉ちゃん、どうしちゃったんだろ?)
くくく。
憂の口から火を吐くようなから~いカレーを作ってやる。
ざまあみろ。
唯「…」
辛いカレー作ったら私も食べられないじゃん。
甘くするしかない
ちくしょう。
唯「後は肉を少し炒めて野菜と一緒に煮る…と」
唯「ふむふむ」
憂(ふふ、あんな熱心なお姉ちゃん見るの久しぶりだな。お姉ちゃんかわいい///)
唯「ん?」
憂「おっと…」ササッ
唯「?ふふふーん♪」
憂(きっと、いつも私に家事をやらせて、悪いと思ってるんだろうな。だから急に料理するなんて言ったんだね。ありがと、お姉ちゃん)
くくく。
今頃憂はすることがなくて頭を悩ませているに違いない。
さすがりっちゃん。
桜高一のワルは伊達じゃない。
唯「よーし!後は煮たつのを待つだけだー!」
唯「っと、トイレトイレ」タタタ
憂「…」ササッ、カパ
憂「お姉ちゃん…カレールー足りないよ…」
憂(ちょっと甘すぎるからスパイスを入れてっと…)
カチャカチャ、グツグツ
憂「ズズッ。うん、美味しい」
憂「お姉ちゃんに見つかる前に隠れないと…」ササッ
唯「ふんふんふーん♪さーて、味見してみようっと」
唯「ペロッ。うまい!」
憂(ふふ、良かったねお姉ちゃん♪)
唯「お皿お皿~」
唯「お、お、あわわわ…」カタカタ
憂(お、お姉ちゃん…)ハラハラ
ツル、ガシャーン!
唯「ぎゃあああああ!」
憂「お姉ちゃん!」
唯「う、うい~…」
憂「お姉ちゃんは危ないからあっちに行ってて。私が片付けるから」
唯「でもでも、今日は私が…」ヒョイ
唯「いたっ!」
憂「!」
憂「危ないからあっち行ってってば!」
唯「…」シュン
唯「はい…」トボトボ
唯「…」シュン…
憂「お姉ちゃーん、ご飯だよー」
唯「…」シクシク
憂「…」
憂「さっきはごめんね、大きい声出して…」
唯「ん…」
憂「ほらほら、カレー食べよ!パクッ。ん!美味しい!」
唯「本当…?」
憂「本当だよ。ほら、アーン」
唯「…」
憂「ほらほら」クイクイ
唯「パクッ、モグモグ。うまい!」
憂「流石お姉ちゃんだね。料理も上手だよ」
唯「えへへ…///」
ピンポーン
憂「ん?お客さんだ」
唯「こんな時間に誰だろ?」
憂「私、見てくるね」
ガチャ
律「ういっす!」
唯「あー、りっちゃん!こんな夜にどうしたの?」
律「唯の料理を味見してやろうと思ってさ~」
憂「今日のカレーはお姉ちゃんの力作ですよ」
唯「へへ、めちゃくちゃ上手くできたんだー」
律(おおかた、憂ちゃんのフォローで上手くできたんだろうけど、そんなこと言ったら野暮だな)
律「どれどれー、パクッ。んん、うまいな!」
唯「えへへ」
憂「良かったね、お姉ちゃん!」
律「ハハハ、そっかあ!皿割って怒られたのか~」
唯「うん…」
憂「わ、私は別に怒ってないですよ。ただ危なかったから…」
律「まぁ、唯は何かと危なっかしいから。ところで唯、皿洗いしなくていいのか?」
唯「おお、そうだった!」
憂「?」
憂「今日のお姉ちゃん、なぜか家事をやりたがるんです。部活で何かあったんですか?」
律「実は今日音楽室で…」
律「憂ちゃんが可愛くていい子だから私の立場がないって言い出してな」
憂「え!?お姉ちゃんがそんなことを…」
律「終いには復讐したい!なんて言うから、
じゃあ憂ちゃんの家事を奪ってやれって言ったんだよ。
憂ちゃんの大変さを理解させるにはこうするのが一番だと思ってさ」
憂「お姉ちゃんが復讐…」
律「大丈夫だって。憂ちゃんの苦労を知れば今後復讐なんて言わなくなるよ」
憂「苦労だなんて…お姉ちゃんのために働くのに苦労なんて感じたことないです///」
律(まったく、仲いいんだから)
律「まぁそういうことだから今日は唯に付き合ってやってよ。
それじゃ、私はそろそろ帰ろうっかな」
憂「わざわざすいません」
律「いいってことよ。そのうちまたご飯食べに来るからよろしくね。
唯ー!私帰るからまた明日なー!」
唯「ほいほーい!じゃあねー!」ジャージャー
唯「終わったー」びちゃびちゃ
憂「お姉ちゃん、服びちゃびちゃじゃない!」
唯「あうー」
憂「もう…しょうがないなぁ」フキフキ
唯「あ、ありがと…」
憂「いいよ。お姉ちゃん頑張ったんだもんね」
唯「家事って大変なんだね…」ボソッ
憂「んー?なにー?」
唯「な、なんでもないよー!さて、お風呂の準備っと」
憂「お姉ちゃん、今日も一緒にお風呂入ろうっか?」
憂「今日のお姉ちゃん、すごく頑張ってくれたから、また背中流してあげるね」
唯「え~」
憂「嫌なの?」
唯「だって憂ったら強く擦りすぎなんだもん。また赤くなっちゃうよ」
憂「今日は優しくするから。ね、いいでしょ?」
唯「む~…じゃあ、特別だからねっ!」
憂「ありがと♪じゃあ早く入ろ!」
憂「お姉ちゃん、早く早く!」
唯「わ、わかったよ~」
憂「ほらほら、タオルとって!」
ズルル
唯「ひゃあっ!うい~…」
憂「姉妹なんだから別に隠す必要ないでしょ。ほら、座って座って」
唯「待って!私が先に洗うよ」
憂「そう?遠慮しなくていいのに」
唯「いいの、先にやらせて。憂はここに座って」
憂「わかった、お願いね」
唯「かゆいところない?」ゴシゴシ
憂「ないよ。すごく気持ちいいよ」
唯「そっか。じゃあ泡流すね」
憂「うん、お願い」
りっちゃんは、憂に熱湯をかけてやれと言ってたけど、そんなことはできなかった。
今日一日、憂の代わりに家事をしてみてその大変さがわかった。
私は一日でダウン寸前なのに、憂はこれをほぼ毎日こなしているのだ。
憂の嫌がることをしてざまあみろ、なんて言っていた自分がひどく情けない。
謝ろう、そしてお礼を言おう。
唯「うい~…ごめんね…」ポロポロ
憂「お姉ちゃん?」
唯「わだじ、今までう゛い゛にひどいこどばっかりして~!あーん!」ポロポロ
憂「お姉ちゃん…」
唯「憂が可愛くていい子なのに、
お姉ちゃんの私がなにもできないから立場がないと思って…それで、それで…」ポロポロ
憂「お姉ちゃんはそのままでいいんだよ」
唯「グスッグスッ…ふぇ…?」
憂「私はお姉ちゃんのためだから大変な家事をやってても苦痛じゃないんだよ。
もしお姉ちゃんが違う人だったらこんなに頑張ってないと思う」
唯「うい~…」ポロポロ
憂「こんなに優しくて可愛いお姉ちゃんがいて私は幸せ者だよ~」
唯「本当…?」
憂「本当」ニコッ
唯「うい~!」ダキッ
憂「よしよし」ナデナデ
唯「ごめんね、うい…ごめんなさい…」ポロポロ
憂「もういいよ。それにお姉ちゃんが私に嫌がらせをしてたなんて全然気付かなかったし」
唯「へ?そうなの?」
憂「うん。お姉ちゃんはとっても優しいから人の嫌がることが出来ないんだよ、きっと」
唯「えへへ、ありがとうい~」ダキッ
憂「もう、甘えん坊なんだからっ」
唯「ん~憂のおっぱいやわらか~い」プニプニ
憂「お姉ちゃんてば///」
憂の部屋
ガチャ
唯「うい~、一緒に寝てもいい?」
憂「ふふ、来ると思った」
唯「さすが私の妹。なんでもお見通しだね」
憂「お姉ちゃんのことならなんでも知ってるもん。ほら、おいでおいで~」
唯「んふふ、えーい!」ガバッ
モゾモゾ
唯「ぷはっ」
憂「ふふ」
唯「えへへ」
憂「お姉ちゃん、あったか~い」スリスリ
唯「ういー、くっつきすぎだよー」
憂「いいでしょ。私に復讐しようとした罰だよ」
唯「え~…まぁ、それなら仕方ないか」
憂「ぷにぷに~」
唯「ふにゃ!?急におっぱい触っちゃダメだよー!」
憂「だってお姉ちゃん可愛いんだもん」
唯「むむぅ…仕返しだー!ぷにぷに~」
憂「ひぁっ!お姉ちゃん、そこは…お嫁にいけなくな」
~省略されました~
朝
憂「んん…」
憂「ふぁ~あ、朝御飯作らないと…って、あれ?お姉ちゃんがいない」
唯『できたー!』
憂「?」
ガチャ
憂「お姉ちゃん?」
唯「あ、ういー!見て見て!目玉焼き作った!」
憂「すごーい!でもなんで急に朝御飯なんて…」
唯「えへへ、毎日憂に任せるのも悪いし、これからは私のできる範囲でお手伝いしようと思って」テレテレ
憂「お姉ちゃん…」ホロッ
唯「憂、こんな私ですがこれからもよろしくお願いします」ペコッ
憂「お姉ちゃん…お姉ちゃーん!うわーん!」ダキッ
唯「おっとと…よしよし」ナデナデ
放課後、音楽室
唯「こんなことがありましたー」
梓「そうだったんですか。今日の憂、すごく機嫌が良かったのはそのせいだったんですね」
律「私のおかげだな!うん!」
唯「本当にりっちゃんには感謝してる。りっちゃんも聡君に優しくしてあげてね」
律「ん?あー…そうだな」
澪「いいなぁ兄弟がいる奴は。なぁムギ?」
紬「そうねぇ。でも私には家政婦がいるからそんなに寂しくないけど」
梓「さ、さすがお嬢様です…」
唯「家政婦もいいけど、やっぱり血の繋がった兄弟が一番だよ~!」
律「だよな」
律(たまには夕飯でも作ってやるか。あいつ喜ぶかな)
田井中家
律「聡ー!夕飯できたぞー。今日はりっちゃんカレーだ」
聡「姉ちゃんが夕飯作るなんて珍しいな。どれどれ?」
律「ふっふっふ。力作だぞー」
聡(カレーに力作も何もないだろう…)
聡「パクッ、モグモグ。うっぷ…なんだ、豚の餌か」
律「」
聡「ギャグで作ったならそう言ってくれよ。しかもすっごい不味いわけでなく微妙な不味さだし。しっかりしてくれよな」
律「」
聡「あ、今からコンビニに夕飯買いに行くけど、姉ちゃん何弁当がいい?俺が買ってきてや」
ガッシ、ボッカ、聡は死んだ。
チリーン
おしまい!
最終更新:2010年01月06日 03:56