和「あ、律」

律「お?」

和「ありがと」にこっ

律「!おっおう」カァ

唯・澪「………」

唯「………」バシッ

律「いてっ!なにすんだよっ!」

唯「ふんっ」

律「お前なー」

澪「………」バシッ

律「いてっ!お前もかっ!?」

澪「ふんっ」

律「なんだってんだよ…」

紬「ふふっ」クスクス


律「おい、いつまで拗ねてんだよ」

唯「…」プイッ

律「ったく…っていうか生徒会長ってそんなに忙しいのか?」ぱくっ

澪「和が言うんだから忙しいんじゃないか?」もぐもぐ

律「昼休みまで~?」

紬「早めにお仕事片付けちゃう気でいるんじゃないかしら?」

律「ふーん…もしかして逢引だったりしてな!」わははっ

唯「っ…!」

澪「じょっ女子高だぞ」

律「それもそうかー」

澪「………」シュン

律「ん?」

紬「…」ぽわーん

律「ムギ、帰って来い」

唯(……………和ちゃん)


……

和(律のおかげでなんとか抜けられたわ…)

和(律ってふざけてるようで一番周りのこと見てるのよね……いい加減な部長だと思ってたけど案外向いてるのかもね)クスッ

和(………それにしても唯どうしたのかしら…?最近やけに甘えてくると言うか…)

和(………これじゃあ明日も一苦労しそうね)

コンコンッ

和「失礼します」ガチャッ

さわ子「」

和「ちょっ…先生…?」

さわ子「」

和「先生っ」ユサユサ

さわ子「」

和「………さ…さわ子さんっ…」ぼそっ

さわ子「!」ハッ


さわ子「あ、和ちゃん」ぼへー

和「…寝てたんですか?」

さわ子「ん?んー………違うわよ!待ちくたびれて気絶しちゃったのよ!」グゥー

和「ごめんなさい…はい、これ」

さわ子「わぁ!いっただきまーす!」

和「召し上がれ」

さわ子「うん!おいしい!」バクバク

和「よかった」パク

さわ子「で?どうしてこんな遅かったの?」

和「えーっと、実は唯が………」


さわ子(………唯ちゃんもしかして…?)

和「これじゃ明日も抜け出すの大変そう…」もぐもぐ

さわ子「…」ムッ

さわ子(っていけないいけない…私のが大人なんだから…)

さわ子「………じゃあ一日置きとかにする?」

和「えっ?」

さわ子「一緒にお昼食べるの…」

和「嫌です」キッパリ

さわ子「」

和「先生も休日に必ず会えるわけじゃないだろうし、私もこれから受験で忙しくなってくると思うから…二人の時間はなるべく大事にしたいんです」

さわ子「…」きゅーん

さわ子(でもお友達も大事にしなきゃダメよ?)

さわ子(………そう言わなきゃ)

さわ子(言わなきゃいけないのに…)ぎゅっ

和「…あっあの私まだ食べ終わってないんですけど」カァ

さわ子(もし唯ちゃんが和ちゃんを好きでも…)

さわ子(それでも私は…渡したくない…)

和「先生…?」

さわ子「今、二人っきりよ…?」

和「………さわ子さん」

さわ子「和ちゃん」スッ

和「ん…」


小さくて、柔らかな唇

さわ子(女の子の唇ってこんな感じなんだ…)

そっと重ねただけ

ただそれだけのことが

すごく嬉しい

和「………」カァ

さわ子「ふふっ…しちゃった」

和「………」カァァァァ

さわ子(真っ赤…可愛い…)ちゅっ…

和「んっ…」

もう一度重ねる

今度は少しゆっくりと

私の彼女への気持ちが唇から伝わっていくようにと、願いながら




夜 さわ子自宅

さわ子「………」ぼー

さわ子「………」ぼーーー

さわ子「……………柔らかかったなぁ…」

さわ子「!」ハッ

さわ子(あああああ!また私!)ジタバタ!

さわ子「はぁー…(あれからずっとこのことばっかり…)」

さわ子(初めてキスした中学生じゃあるまいし…)はぁ…

さわ子(どーしちゃったのかしら…私)

さわ子「……………」ぼーーーーー


和『ん…』

さわ子「~~~~~!」ジタバタジタバタ!

さわ子「はぁー………明日どうしよ…(二人きりになったら絶対したくなる…)」

さわ子「っていうか学校でって…」ズーン

さわ子(自己嫌悪だわ…)

さわ子(それに唯ちゃんのことだってどうすれば…)

さわ子(………なんか…年取るって嫌ね…考えなきゃいけないことが多すぎて…一点だけを見つめることできなくなってる…)

さわ子(………あの子…唯ちゃんに告白されたらどうするのかしら)



……

唯「私も行く」

和(………ついにこうきたか…)

律「唯ー和は仕事なんだぞ?」

唯「やだ。行く」

紬「…」オロオロ

澪「唯、あんまり和を困らせちゃ可哀想だぞ?」

唯「…邪魔しないから」

和「………唯、どうしたの?最近変だよ?」

唯「……………嫌い」

和「………え…?」

唯「和ちゃんなんか嫌い!」

和「…!」

律「おい唯いい加減にしろよ!何が気に入らないんだよ!」

唯「…りっちゃんには関係ないよ」

律「…は?」

唯「関係ないから口出さないでって言ってるの!」

律「おっ前…」ギリッ

澪「律!」

律「……っ…」

紬「ゆ、唯ちゃんも落ち着いて、ね?」オロオロ

唯「……………」プイッ

律「…ずっとそうやってろよ!」スタスタスタ

澪「っ律!」ダッ

和「唯…」

唯「和ちゃんなんか嫌い…だもん…っ…」ぐすっ…

唯「…っ…ひっ…」ポロポロ


紬「………あの…二人で話し合ってきたほうがいいんじゃないかしら」

和「………そうね。唯、とりあえず教室からでましょう?」

唯「行かないっ…」ポロポロ

和「唯…」

紬「唯ちゃん…」

唯「行かないっ…!!」ボロボロ

和「………」

唯「うぇっ…ぐすっ…っ…」ボロボロ

紬「…唯ちゃん。いいの?」

唯「………」グスグス

紬「泣いてたって解決しないよ?」

唯「………」ぐすっ

紬「ちゃんと向き合わないと。ね?」

唯「…………………」コク…ン

紬「はい、じゃあいってらっしゃい」ニコ

和「…行こうか」

唯「…うん」

和「ムギ」

紬「はい?」

和「…ありがとう」

紬「…」にこっ



屋上

和「誰もいないわね…」

唯「……風…強いからね…」

和「そうね…」

唯「……………」

和「……………」

和「…あのね」

唯「……うん」

和「……好きな人が、いるの」

唯「…っ……」ドクン

和「…その人と一緒にお昼の時間過ごしてるの」


和「黙っててごめんなさい。でもその人女の人だし…」

唯「…………教師…だし?」

和「え……唯あんた…(知ってた…?)」

唯「…キスしようとしてた」

和(やっぱり見られてたのか…)

唯「………なんで?」

和「え?」

唯「なんでさわちゃんなの?」

和「なんでって…」

唯「なんで…」

唯「なんで私じゃないの…?」

和「え……?(今なんて…)」

唯「なんで…」

和「唯…?」

唯「なんで私じゃないのっ!!!?」

和「!」ビクッ

唯「私なんか幼稚園の時からずっと和ちゃんのこと好きだったのに!!!」

唯「それなのになんで!?なんで出会ってまだ数年の女に横取りされなきゃいけないの!!!?」

唯「ずっと大好きだったのに!ずっと横にいてくれるの思ってたのに!!!」

唯「私のがっ!私のが和ちゃんのこと好きなのにっ!!!!!」

唯「なんでっ…なんでよおっ…!」

唯「うっ…ふぐっ…ふえええええ!」ボロボロ


和(……好き?)

和(唯が私を…?)

和(…いや好きでいてくれてるのは分かってた。それに私も唯のことが好き)

和(でも…私の好きと唯の好きが違ってたのは…知らなかった)

唯「ぐすっ…ひっ……」

和「……唯」

唯「のどがちゃん…」グスグスッ

和「唯、ごめんね?気づいてあげられなくて…」

唯「……」ぐすっ

和「そばでずっと見てたのに…それなのに唯の気持ちに気づけなかった…」

唯「…………」

和「ごめんなさい…」スッ

唯「……和ちゃん…」ぎゅっ

唯「謝らないで………そんな風に頭下げないで…」

和「………」

唯「私はそんなこと和ちゃんにさせたいわけじゃないの…ただ和ちゃんが好きなの…」ぎゅうっ

和(唯…)

唯「好き。大好き。付き合って」

和「………ごめんなさい」

和「私は…唯のこと親友としか思ったことないわ」

唯「………」ぎゅ

和「だから……ごめんなさい」

唯「……?和ちゃん…?泣いてるの…?」

和「泣いてなんか…ないわ…」グッ

唯「…私和ちゃんが泣いてるところ初めて見たよ」

和「…泣いてないってば」グスッ

唯「…ごめんね。そうさせたのは私なんだよね…」

和「違うっ…!泣いてないわっ!」ポロッ

唯「涙…溢れてきちゃったね…」ソッ

和「…!」

そう言って私の涙を拭う親友の顔にいつもの甘えたような表情はなく

私が見たこともないような大人の顔をしていた

和「…私も唯のそんな顔見たことなかったわ」

唯「?」

和「ううん」

唯「…もっと早く告白していたら何か変わったかな?」


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最終更新:2010年05月23日 21:59