紬「これは?」

梓「ああそれはUFOキャッチャーといって──」

紬「これは?」

梓「それはバーチャファイターといって──」

紬「じゃあこれは?」

梓「それは怒首領蜂──」

~~~

紬「あーおもしろかった!」

梓「つ、つかれた……」

紬「梓ちゃんは物知りなのね!」

梓「普通だと思いますけど……次はどこいきますか?」

紬「えっと……えっと……」

グゥー

梓「……何か食べましょっか」

紬「うん……えへへ」

梓「……といってもファミレスですけど」

紬「私ファミレスなんてはじめて!」

梓「ほ、本当ですか!?」

紬「本当です!」

梓「……まぁ、安いレストランだとおもっていただければ」

紬「へぇー」

梓「じゃあ何たべましょ」

紬「あら?このボタンは何?」

ピンポーン

梓「ちょ」


「ご注文がお決まりでしょうか?」


梓「すいません間違えました……」

紬「?」

梓「ムギ先輩、このボタンはウェイトレスさんを呼ぶボタンなのでむやみに押さないでくださいね」

紬「ご、ごめんね」

梓「まぁ初めてですしね……それより食べたいものありました?」

紬「うーん、このミラノ風ドリアとか」

梓「あはは、随分安いもの選ぶんですね」

紬「……今月お金がなくて」

梓「え?でもムギ先輩ってたしかお嬢様じゃ」

紬「たしかに家はお金持ちだけど……もうバイトしてるからお小遣いもらってないの」

梓「うわぁ、えらいんですね……」

紬「ううん、これが当たり前よ。今まで散々甘やかされたんだからこれからは自分でがんばらないと」

梓「すごいですムギ先輩、尊敬しちゃいます!」

紬「そ、そう?」

梓「じゃあ、ここは私のおごりと言うことで」

紬「そんな悪い……」

梓「いいんですよ。今日遊んでくれたお礼です」

紬「でも梓ちゃんは私のために……」

梓「いいからいいから!」

――――

梓「いやぁ……遊びましたね」

紬「私はまだまだ遊びたいなぁ」

梓「でも時間も時間ですし、また今度にしましょう」

紬「うん」

紬「……」

梓「……ムギ先輩?」

紬「ねぇ梓ちゃん」

梓「はい」

紬「本当に楽しかった?」

梓「へ?」

紬「私は唯ちゃんみたいにスキンシップしないし」

紬「りっちゃんみたいに明るくもないし」

紬「澪ちゃんみたいにかっこよくもない……」

紬「だから、こんな私といて退屈じゃなかったかな……って」

梓「……」

紬「……」

梓「……バカ!」

ポカッ

紬「いた!……くない」

梓「なんでほかの人と比べるんですか!」

紬「だって」

梓「だってじゃないです!ムギ先輩はムギ先輩なんです!」

梓「私はムギ先輩と遊んだから楽しかったんです!」

梓「その場にいるだけで周りを笑顔にさせてくれる、太陽みたいなムギ先輩が大好きなんです!」

紬「梓ちゃん……」

梓「だからそんなこと言わないでください!」

紬「うん……ありがとう梓ちゃん」

梓「……あの」

紬「うん?」

梓「和先輩の言うとおり、幼馴染はなろうとしてなれるものじゃないですけど」

梓「これからもその……仲良くしてください」

紬「……もちろん!」

ギュッ

梓「うわっ」

紬「これからもよろしくね梓ちゃん!」

梓「ふぁ、ふぁい」

梓「……む、胸が顔に」

紬「え?」


――――

紬「……ごくり」

梓「ほらムギ先輩、入ってください」

紬「本当に皆怒ってないかな……」

梓「大丈夫ですって」

紬「うぅ……」

ガチャ

紬「皆、ごめんな」

唯律澪和「ごめんなさい!」

紬「ひっ」

律「ムギの気持ち考えないでごめん!」

唯「私ムギちゃんのことちゃんと大好きだよ!本当だよ!」

澪「ムギは大切な仲間なんだ。だから私達のこと嫌いにならないで!」

和「私は、えーと……えーと……」

紬「ううん、悪いのは私。私がわがままだからあんなことを……」

唯「じゃあ、おあいこだね!」

紬「うん!」

律「……そうだムギ、これ」

紬「?」

紬「これは、ティーカップ?」

律「ムギが割ったやつ……接着剤でつけたんだけどさ……もう使い物になんないよね」

紬「……ありがとう、皆。私このティーカップ宝物にする」

唯「えーでもボロボロだよ?」

紬「ううん、今まで見た中で一番綺麗なティーカップよ」

唯「?」

律「……じゃあムギ、あれいいかな?」

紬「うん、お茶にしよっか!」

唯「まってましたー!」


紬「はい、これ梓ちゃんのケーキね」

梓「どうも」

唯「む!梓ちゃんのケーキだけ違う!」

律「差別だ!」

紬「梓ちゃんにはおごってもらったから、ね」

梓「あはは……」

唯「ぶーぶー」

律「私にもおごれー」

唯「和ちゃーん私もあのケーキが食べたいー」

和「もうそうやっていつまでも甘えないの」

唯「つ、つめたい!」

和「いいかげん自立しなさい」

唯(うぅ……もしあずにゃんが幼馴染だったら)


唯「あずにゃーん」

梓「もうしょうがないですね唯先輩はー」

唯「えへへーあずにゃーん」

梓「なでなでー」


唯「……なんて」


律「あ!」

澪「ん?どした律」

律「今日漢字のテストだった!」

澪「ふーん」

律「澪ちゃ」

澪「だめ」

律「……どうしても?」

澪「ダメったらダメ。一人でやりなさい」


律(ちぇぇ……もしムギが幼馴染だったら)


律「ムギー、数学おしえてー」

紬「はいはーい」

律「英語もー」

紬「はーい」

律「ついでにケーキー」

紬「はいただいまー」


律「……だったりして」


紬「梓ちゃん、おいしい?」

梓「はい、とても」

紬「よかったぁ」

梓「ちょ、ムギ先輩顔が近い……」

唯「あずにゃん!」

梓「はい?」

律「ムギ!」

紬「へ?」

唯律「「私の幼馴染になって!」」

紬梓「えっ」



終わりです



最終更新:2011年10月13日 21:53