唯「ひ、光ったね…」
梓「揺れましたね…?」

梓「あ、もう140km超えてますよ! ストップ! ストップ!」

唯「え? あ、わわ」


梓「な、なにか起きたんですか…?」

唯「なんか明るくない?」

梓「あれ? さっきまで夕方だったのに……」

唯「もしや、本当にタイムスリップ!?」

梓「えぇ……」


梓「とりあえず降りてみましょうよ」

唯「えーと……」


唯「どうやって降りるの……?」

梓「え」






ガコン!
ウィィィィン

梓「……い、一時はどうなるかと思いましたよ!」

唯「無事降りれてよかったね~」

梓「全然無事じゃないですけど……」


唯「あ、ここ」
梓「?」

唯「学校の裏だ」



梓「学校まで走ってた…いや飛んでたんですね」

唯「あーあずにゃん! こっちこっち! ここから学校入れるよ!」

梓「ちょ、勝手に入っていいんですか?」

唯「生徒なんだからなんら問題はないよ!」

梓「それもそうですね……」

ガサガサ

梓「んー。やっぱり学校……なにもかわってない気が……」

唯「どうすればいいのかなぁ?」

梓「とりあえず、メモの通りにはしましたし……もしかしてあのメモが嘘だったとか…」

唯「え?なにが?」

梓「ん?」

唯「うーん、運動部は上手くやっていけるかだし……かといって美術部は難しいし……」

梓「ん? ん?」

唯「茶道部は……! しっくりこないなあ……」

梓「せ、先輩が二人……?」



一年唯「んーどうしよう」

梓「ちょ、唯先輩隠れて!」

唯「へ? なんで?」

梓「いいから! この掲示板の裏に!!」

グイッ

唯「わわっ…」

一年唯「んっ?」

梓「……!」(見つかった…?)

一年唯「あの」

梓「……は、はい!!?」

一年唯「もしかして……同じ一年生?」


梓「え、あ、はい! そ、そうです!!」

一年唯「部活とかもう入ってるのー?」

梓「えっ、あ…軽音部に……」

一年唯「軽音部? なにする部活なの?」

梓「ライブで演奏とかやったり……」

一年唯「ライブかぁ。私には無理だなあ」

梓「……」

一年唯「ありがとー、じゃあねー」

タッタッタッタ

梓「……ふぅ……」

唯「あ、あずにゃん…! 今のは……」

梓「どうみても唯先輩……でしたね、でも私と同じくらいの歳でした」

唯「と、ととということは……本当に……」

梓「タイムスリップしたみたいですね……」

唯「一年の頃の私ってあんな感じだったのかぁ」

梓「何のんきなこと言ってるんですか! はやく帰りましょうよ!」

唯「えー、もうちょっとみていこうよー」

梓「ダメです! もし未来に関わる重要なことしちゃったらどうするんですか!
映画や漫画でよくあるパターンです」

唯「えー」

梓「とにかく、さっきの車まで戻りましょう」


ガサガサ

唯「ここだー」

梓「運転覚えてますよね?  はやく行きましょう」

唯「うーん」


梓「……先輩?」

唯「ホントにこのまま帰っちゃっていいのかなぁ」

梓「何言ってるんですか。さっきも言ったじゃないですか、未来が変わっちゃったら大変です」

唯「そーじゃなくてー」

梓「ダメなものはダメです!」

唯「ぶー わかったよー」


唯「ここに行きたい日時を入れればいいの?」

梓「たぶんです。だってこれ以外にそれっぽいものないし……」

ゴォォォォォォ

梓「結局わからずじまいでしたね」

唯「へ?」

梓「あのメモの意味ですよ。そりゃタイムスリップしましたけど……」

唯「元へ帰ったらりっちゃんたち元に戻ってるかなあ」

梓「どうでしょうね……」


ゴォォォォ

バシュッバシュッ
バァン

梓「も、戻りました?」

唯「うん、あ、ここ……」

梓「あっ…」

唯「例の路地だね」

梓「あ!」

唯「へ?」

梓「あ、あれ」


五人『うーん……』

唯「わ、私たちだ!」


梓「唯先輩! ちゃんと日にちあわせたんですか!!」

唯「え、あ、一日間違えてる!」

梓「もー!! はやく逃げましょう!!」

唯「わ、わかった!」

ウィィンン
ダッ

唯梓「……」





紬『凍ってるわね…』
澪『あ、ちょっとムギ、近づいて大丈夫なのか?』
唯『ちべたっ!』
律『あれ、誰も乗ってねーな…?』


梓『あのときと……同じ、ですね』

唯『ということは……』


唯『みてみてりっちゃん! 乗ってみた』
澪『ちょっと唯!』


梓「そろそろですね…」


ガシャン!

唯「あ、ドアがしまった! たしかここだよね?」

梓「そうです。これで外にでたらみんながいなくなってて……」



澪紬律『……』

梓「!」

澪『あれ? なんで私こんなとこに……』
律『ん? 澪今日文芸部じゃなかったのか?』
紬『?』
澪『ん? ムギも? 今日合唱部の練習あるって言ってなかったけ』
紬『そうだわ、なんでこんなとこにいるのかしら……』

律『意味わかんねーな、帰ろうぜ』
澪『あっ! 律ー!』


唯梓「……」



梓「みんな突然記憶がなくなったようですね…」

唯「み、みんな……」


ウィィン

唯『うーん、いくらりっちゃんでもさすがにそれはないと思うけどなー…』
梓『私もそう思いますけど……とりあえずさっき来た道に戻ってみましょう』


梓「ちょ、こっちにきます」

唯「隠れようあずにゃん!!」
ダッ




梓「やりすごし……ました?」
唯「うん、もう誰もいないよ」

梓「……」
唯「……」

梓「だめ、でしたね…」

唯「なにがいけなかったんだろう……」

梓「やっぱり、あの車が原因ですよね……、なにか…先輩たちが変わってしまうような…
軽音部がなくなってしまったような……」

唯「うーん……どうすればいいのかなぁ?」

梓「……!」

唯「ん?」

梓「今、なんていいました?」

唯「えっ、どうすればいいのかなーって」

梓「……」

唯「へ? どうしたの?」

梓「もしかして……あれが原因、でしょうか……」

唯「あれ?」


梓「唯先輩が軽音部に入ろうと思ったきっかけってなんですか?」

唯「えーっとね、たしか、軽音部の張り紙をみたんだよ。
それで軽音楽を勘違いして、私でもできるかもーって思って!」

梓「それって、さっき一年生の唯先輩にあった場所じゃないんですか?」
唯「へ、うーん、そうだったような……そうじゃなかったような……」

梓「もしかして、私、唯先輩が軽音部に入るきっかけをなくしてしまったんじゃ……」

唯「え!? そんなわけないよ! だって私が入ってないとしても軽音部がないのはおかし……」

唯「あ!」

梓「なんですか…?」

唯「あのとき、部員が足りなくて、私が入らなきゃ廃部になるはずだった……」
梓「えっ…それじゃあやっぱり……」

唯「あ、あずにゃんは悪くないよ! 一年生の私が悪いんだよ!」

梓「……」
唯「あ、あずにゃん……?」

梓「戻りましょう」

唯「えっ…?」

梓「過去へ戻りましょう」


バシュンッ バシュンッ
バァァン!

梓「スムーズにいけましたね」

唯「なれたもんよ! ドライバーっぽい?」


唯「で、どこに降りればいいのー?」

梓「学校の裏……じゃあダメですね、どこか別の場所にしましょう」

唯「……で、どうやって降りれば……」

梓「えぇ!!」


ガコン!
ウィィィィン

梓「毎回肝心なところは忘れてるんですね……」

唯「へへーすごいでしょ~」

梓「ほめてないです……」


タッタッタッタッタ

唯「今回は普通に門から入るんだね」

梓「堂々とします…あっ!」

唯「ん?」

梓「さっきの私たちです! こっちの木に隠れて!」

唯「ここんとこ隠れること多くない?」

梓「早く!」


梓『ライブで演奏とかやったり……』
一年唯『ライブかぁ。私には無理だなあ』
梓『……』
一年唯『ありがとー、じゃあねー』
タッタッタッタ

唯『えー』
梓『とにかく、さっきの車まで戻りましょう』

タッタッタッタ


唯「……」

梓「……」

唯「い、行ったね…? こうしてみるとへんな気分…私が二人…いや三人!」

梓「先輩……」

唯「へ?」

梓「重いです…」

唯「あ、ああ! ごめんね! 思わず…」

梓「ふぅ……とりあえず、あの一年生の唯先輩を、どうにかして軽音部に入部させなきゃいけません」


唯「でも、どうすればいいの? あ、もう一度軽音部の張り紙をみせれば! 私単純だからっ!」

梓「どうでしょうか……私のせいでライブなんて無理って思わせちゃったようですし……」


唯「あ、そうだ! じゃあ今の私が昔の私にかわって入部すればいいんじゃない!?
それなら軽音部は少なくともなくならないよ!」

梓「でも、それだと一年生の唯先輩が戸惑いませんかね…?」

唯「私ならきっと大丈夫だよ!」

梓「うーん……」


梓「とりあえず今のとこそれしか思いつきません…。
一年生の唯先輩には悪いですけど、やってみましょう」


3
最終更新:2010年05月26日 23:04