梓「ちょっとちょうだい」パクッ
純「え?ちょっと待っ……」
梓「モグモグ」
梓「うん、普通に食べられるよ」
梓「ちょっと味薄いけど」
純「そ、そう?それはよかった」
梓「あ、ジャーキーはどうなの?」
純「え?い、いや美味しいんじゃない?」
梓「ちょうだい」
純「……はい」
梓「ありがとう」パクッ
梓「ああ、ジャーキーは食感は悪くないけど、味がほとんどないね」ペロリ
純「そ、そうなんだ。いやあ猫のえさは基本薄味だからねはははは」
梓「塩でもかけたら食べられるようになるんじゃないかな?」
純「いや、ほら、ほらここにたけのこの里があるから、これ食べよう」
梓「それよりも……」
純「はい」ゴクリ
梓「キャットフードはどんな味なの?」キラキラ
純「うわあああああああああああああああ」
純「イマノハワスレマショウ」
梓「ねえねえキャットフ
純「イマノハワスレマショウ」
梓「まあいいや」
純「さあさあ!他にも猫について何か聞きたいことはある?」
梓「はい」
純「なにかな?」
梓「猫の抱き方なんだけど……」
純「うんうん」
梓「抱き方っていうか、掴みかたっていうのかな?」
純「ああ、もしかしてこれ?」ヒョイ
梓「そうそうそれ!」
純「猫の首もと持って持ち上げるやつね」ヒョイヒョイヒュン
梓「おお~」
梓「それどうやってやるの?」
純「いや、誰でも普通にできるでしょ?」
梓「やらせてやらせて」
純「はいよ」
梓「えーとここらへんかな?ここを優しくゆっくり持って……」ドキドキ
純「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」
梓「ああ!」
梓「ダメ!私にはムリ!そんな首を掴むなんて野蛮な行為は!」
純「まあ、しなくてもいいよ」
梓「普通に抱いていい?」
純「どうぞどうぞ」
梓「噛んだりしないよね?」
純「大丈夫だよ。それに猫の噛みつきなんて知れてるし」
純「試しに私がやってみせてさしあげよう、ほら」ヒョイ
梓「おお」
純「ほら、肩に乗せることもできるよ」
梓「わあ、すごーい。私もやらせてやらせて」
純「はいよ」
梓「よいしょっと……」
梓「わあ、見て見て純、私の肩にあずにゃん二号が乗ってる!」
純「おお上手上手~」
梓「っと、とと?」フラフラ
純「もっとバランス保たなきゃあずにゃん二号が落ちちゃうよ」
梓「意外と、バランス、とるの、難しい」
純「あ、あずにゃん二号落ちる」
猫「にゃあ」キャッチ
純「あ、梓の片方のツインテールに絡み付いた」
梓「あだだだだだだだだだだだだいたいいたいとって純っ!」
純「はいよ」
梓「とりあえず今後猫を買うことがあっても絶対に肩にはのせない」
純「うん、それがいい」
梓「さて、それはおいといて、純」
純「次はなに?」
梓「あずにゃん二号は歯磨きするの?」
純「全っ然っ」
梓「虫歯にならないの?」
純「考えたこともないから、知らないけどたぶん、なってないでしょ」
梓「ふうん、歯が丈夫なんだよ」
純「どうかな?」
梓「テキトーだね」
純「うん。ていうかたぶん食べてるものがいいから歯が丈夫なんだよ」
梓「へえ、食べてるものが」
純「……うん」
梓「そういえば今ので思い出したけど、私、まだキャットフードは食べてないよ」
純「食べんでいい!」
梓「ねえ、純」
純「はい」
梓「なんであずにゃん二号はさっきから私にお尻を向けてフリフリしてるの?」
純「さかりだよ」
梓「さかり?」
純「発 情 期」
梓「いや、区切らなくていいから」
純「試しにお尻をつついてみなよ」
梓「えい」
猫「ぅう~ん」
梓「……」
純「エロいでしょ?」
梓「えい」
猫「うぅぅ~ん」
梓「えい」
猫「ぅぅぅ~ん」
梓「それそれ」
猫「うぅぅ~んうぅぅー」
梓「ねえねえ、純」
猫「うぅぅ~ん」
純「うん、なに?」
猫「うぅえ~ん」
梓「猫が鳴いてるのに猫じゃないみたいだね」
猫「うん~」
純「とりあえずうちのあずにゃん二号を辱めるのはそれぐらいにして」
梓「はーい」
猫「うぅん~」
純「やめい!」
梓「さかりのあずにゃん二号もかわいいね」
純「でも猫年齢に換算するとあずにゃん二号って六十近くなんだけどね」
梓「発情期ながっ」
梓「あずにゃん二号の赤ちゃん産ませてあげないの?」
純「今のところはそんな予定はないなあ」
梓「産ませてあげればいいのに……」
純「簡単に言うけど一度にいっぱい生むから、面倒見きれないし
新しい飼い主を探さないといけないから大変なんだよ」
梓「そっか……」
純「そうなんだよ」
純「たけのこの里食べる?」
梓「悪いけど、私きのこの山のほうが好きだから」
純「なんだって……?」
梓「聞こえなかった?」
純「もう一回言ってみな」
梓「きのこの山最高、たけのこの里最悪」
純「戦争だ!戦争!!」
梓「のぞむところ!」
猫「にゃん」ス-ッ
30分後!
梓「結局、結論は、出なかった、ね」ハアハア
純「いや、ていうか、なんで、たけのこの里か、きのこの山、かでこんなに激しく、争ったのか」ハアラア
梓「まあ、今思うとどっちも好きだよ」
純「私もだよ」
梓「……」
純「……」
梓「あれ、あずにゃん二号は?」
純「私らの不毛な争いに嫌気がさしてどっか行ったんだよ」
さらに30分後!
梓「さっきから勉強してるけどあずにゃん二号こないね」
純「うん、ちょっとおかしいかも」
梓「連れ去られたかな?」
純「まさか」
梓「でも……」
純「まあいいや。勉強の息抜きにあずにゃん二号を探そっか」
梓「うん」
20分後!
純「どう、いた?」
梓「ううん、部屋中探し回ったけどいないよ」
純「うん、そりゃこの部屋しか探してなきゃ見つからないわ」
梓「そっか、純意外と頭いいね」
純「うるさい」
梓「おーい、あずにゃん二号ー」
純「あ……もしかして」
梓「あずにゃん二号がどこいったかわかったの?」
純「たぶんね」
純「やっぱり」
猫「にゃうう」
梓「外にいたんだね」
純「こいつ、時たま出窓から外出たりすると、絶対に戻ってこないんだよね」
梓「入口を忘れるってこと?」
純「かもね」
梓「でも無事でよかったね。逃げ出されることもなく、ずっと玄関の側で待っててくれて」
純「まあね。まあ、猫は人に、じゃなくて家になつくって言うからね」
梓「なるほど」
梓「でも、だったら外に放し飼いでもいいんじゃないの?」
純「もとが野良猫だったらそれでもいいけど……」
梓「何か問題あるの?」
純「うん……ああ、ちょうどいい時にトラックが来たね」
梓「え?」
猫「にゃあああ」
梓「うわ、トラックが来たと思ったら……脱兎のごとく逃げちゃったね」
純「そうなんだよ。うちの猫はまだ慣れてるほうなんだけど」
純「飼い猫は、急に外に出たりしてトラックや車を見たりすると頭がおかしくなるよ」
梓「なるほど、だからあずにゃん二号は外にはあまり出ないんだね」
純「まあね。まあ、とりあえず無事あずにゃん二号が見つかってよかったよ」
梓「めでたしめでたし」
3ヶ月後!
純「最近猫にすっかり詳しくなった梓ちゃん」
梓「ん、なに?」
純「実は相談があります」
梓「どうしたのそんな風に改まっちゃって」
純「うん、今から真剣な話だから真面目に聞いてね」
梓「うん」
純「言うよ」
梓「うん」
純「覚悟してよ」
梓「うん」
純「せーの
梓「前置きが長い!」
純「ゴメンゴメン、じゃあ話すよ」
純「なんと……妊娠しちゃいました」
梓「ま、まさか純が……」
純「猫だよ!あずにゃん二号!」
梓「ああ、そっちか。びっくりしたってええええ!?」
純「いいリアクションだ」
梓「あずにゃん二号、じゃあ……」
純「うん、お母さんになるんだよ」
梓「……ごめん、こんなときどんな言葉をかければいいかのかわからない」
純「フツーにおめでとうでいいと思うよ」
梓「そっか……あずにゃん二号もお母さんになる、か」
純「そして、梓もおめでとう」
梓「?」
純「いや~だってうちだけじゃ面倒見きれないからさ」
純「あずにゃん二号の子供を梓にあげよう……いや、あずにゃん二号の子供の面倒を見てください、かな?」
梓「本当に?本当にいいの?」
純「うん、いいよ」
梓「やったー!ありがとう純!」ダキッ
純「うおっびっくりしたー」
梓「本当にありがとう!純大好き!」
純「だ、抱き着くだけじゃなく、大好きだなんて……」
純「よっぽど嬉しいんだね」
梓「うん!」
純「じゃあこの抱き着かれた状態で聞くけど、梓はさ」
梓「うん」
純「あずにゃん二号が生む子供になんて名前つけるの?」
梓「名前?名前か……うーんそうだなあ」
梓「………………よし、決めた」
純「ほうほう、それでは発表をお願いします!」
梓「新しい赤ちゃんの名前は――――」
おわり
最終更新:2010年06月02日 20:47