唯「昔だよ、昔、過去なんてやめてよ」
梓「あぁ、そうでした。すいません」
澪「………それで?」
梓「はい、帰還した大抵の人は昔を忘れろって言われて最初は無理ですし、だから昔に呼ばれるんですよ」
唯「昔も過去も同士討ちはしないからね」
梓「昔に襲われたら、それは今って事です」
澪「そうなのか。もの凄く怖かったけど」
唯「私達がついていたから大丈夫だったよ」
梓「確かに」
澪「えっ?」
澪「二人ともつけてたのか!?」
梓「当たり前です」
唯「丸腰の女手で昔は倒せないよ」
澪「………全然気づかなかった……」
唯「今に生きてると自然に身に付くようになるよ」
梓「狩りも結構やりますしね」
澪「狩り……」
梓「嫌なんて言わせませんよ?」
唯「捕まえたらちゃんと捌いてね?」
澪「うぅ……」
唯「まだ何か質問はある?」
澪「あ……それじゃあ」
梓「はい」
澪「さわ子先生が襲ってきた時に何人目とか言ってたけど、あれってなんだったんだ?」
梓「…昔はよく同じのが出るんですよ」
澪「同じの?」
梓「基本昔も過去も消えないし、倒してもまた現れるんです」
唯「記憶の中にさえいれば、別にその人の事を考えてなくても、割とほいほい出てくるんだよ、昔は…」
梓「あの人は割と常連です」
澪「そうなのか…」
梓「とりあえず昔は縁が薄い人、過去は縁が深い人と考えるのが良いです」
澪「さわ子先生は縁が薄いのか……」
梓「そんなに絆が深かった訳じゃありませんでしたしね?」
唯「悲しい現実だね」
澪「…………」
唯「他に何かある?」
澪「………いや、今のところ無いよ」
梓「そうですか」
唯「じゃあ帰ろう?ムギちゃんが待ってるよ」
澪「うん」
数日後
澪「ゼェ、ゼェ」ザクッザク
梓「澪先輩、頑張ってくださいね」ザクッザクッ
紬「がんばってー」ザクッザクッ
唯「よいしょ、よいしょ」ガラガラ
梓「あ、唯先輩」
唯「猫車もってきたよー」
梓「お疲れさまです、収穫した作物は私達が入れますから」
唯「うん、わかった」
澪「うぅ……疲れたよ」
澪「駄目ですよ、澪先輩怠けると体鍛えられませんよ?」
澪「あ、あぁごめんな」
澪「畑仕事って本当にきついな…」
梓「ようは慣れですよ、慣れ」
紬「お芋掘り楽しいわよー♪」
澪「しかしジャガイモやさつまいもとかばっかりだな……」
梓「たくさん採れますからね、他のはよく全滅してるし」
紬「お手入れあまり出来ないから」
澪「たまには他の物が食べたいな…」
梓「あんまり考えないでください」
ダ ダ ダ ダ ダ!!
澪「………私のせいかな?」
梓「そうかもしれませんね」
夜
紬「今日はコーンスープもあるのよー♪」
澪、唯、梓「おーーー」
澪「芋以外の料理は初めて見るな」モグモグ
梓「豆とかも良く食べてるじゃないです」モグモグ
澪「なんか芋の印象が深いんだよな」モグモグ
唯「食べられる幸せだよ」モグモグ
紬「一杯食べてねー♪」
唯「ムギちゃんも食べなよ」モグモグ
紬「はいはーい♪」
澪「ふぅ、結構食べたな」
梓「収穫した後は結構色々食べられますよ」
唯「後に芋だけになるけどね」
澪「…………」
梓「黙らないでください!」
唯「時々お肉が食べれるよ?」
紬「肉を撃ち殺したらだけどね♪」
梓「……唯先輩射撃あまりうまくないから」
唯「あずにゃんもね」
澪「ハハハ」
唯「……どうしたの?」
澪「いや、考えてたより皆変わってないなと思って」
梓「そうですか?」
澪「いや、皆この世界ですっかり熟練したサバイバーになってるのかと思ってたから」
唯「投票して最後の一人を決める?」
梓「いや、ネタが古いですよ」
紬「昔テレビでやってたみたいねー♪」
澪「ハハハ」
梓「…………」
澪「?」
澪「…………!」
澪「…………」
唯「…………」
梓「…………」
紬「…………」
澪「…………」
澪「な、なぁ」
唯「な、なに?」
梓「な、何か聞きたいことあるんですか!?」
澪「あ、あぁ」
澪「畑で作業してる時にも感じたんだけど、なんで警備する人達って外側ばかりに集中してるんだ?」
澪「高い壁でも作って入り口だけ守れば、ずっと定住出来るじゃないか」
唯「あぁ、あれね」
梓「簡単な事ですよ」
澪「?」
唯「壁を透けるんだよ、昔達」
澪「!?」
梓「壁なんか作っても透けて入ってこられたら意味ないですからね?」
澪「…………」
唯「それやって定住しようとした人達皆いなくなっちゃったんだよね」
梓「今の体制の方が確実ですよ」
澪「な、なんで!?」
唯「端を人で囲うとなぜか昔は中に入ってこれないんだよ」
梓「皆は結界って呼んでますよ」
紬「不思議よねー?」
澪「…………」
梓「どうしてなんて聞かないでくださいよ?私達にも良くわからないんですから」
澪「あ、あぁ………」
唯「とにかく明日は朝早く町を探索だよ?」
梓「せっかく収穫も終えたんだし、調味料の補充も欲しいところですからね」
紬「色々…切れかかってるから…」
唯「……ムギちゃん美味しい物作って待っててね」
紬「う、うん」
梓「澪先輩もそろそろ拳銃を卒業する頃ですからね」
澪「えっ?」
梓「何時までもムギ先輩の手伝いばかりじゃ駄目ですし」
紬「…………」
澪「町に……」
梓「嫌なんて言わせませんよ?」
澪「わ、わかってるよ」
唯「知っている人が出てきてもちゃんと確認して殺すんだよ?」
澪「殺す……」
梓「大体昔ですけどね。まぁ細かい事は私が教えますよ」
澪「う、うん」
唯「今はとにかく眠ろうよ」
梓「そうですね」
紬「お、おやすみなさい」
唯「うん、おやすみ」
梓「蝋燭消しますね?」フッ
澪「………………おやすみ」
翌日
唯「ついたよ、澪ちゃん」
梓「大丈夫ですか?」
澪「あ、ああ………」
梓「小銃と装備、そんなに重かったですか?」
澪「ちょ、ちょっと……」ゼェ ゼェ
唯「……慣れると楽に持てるよ?」
梓「大体の事は慣れれば解決です」
澪「皆いつの間に体育系に……」ゼエ ゼエ
唯「慣れだよ」
梓「慣れですね」
唯「じゃあ、私はこっちに行くからあずにゃんと澪ちゃんはあっちね?」
梓「わかりました」
澪「えっ?皆で一緒に行かないのか?」
唯「うん、そうだよ」
梓「大勢で固まって探索なんて効率が悪いじゃないですか」
澪「そ、そうか」
唯「大丈夫だよ、あずにゃんに任せておけば」
梓「任せてください!」
澪「た、頼りにしてます…」
梓「はい!」
探索中
澪「……………」キョロキョロ
梓「澪先輩、挙動不振にならないでくださいね?もしもの時に銃口が狂いますよ?」ガサガサ
澪「うん……」ピタ
梓「何か無いかなー?」ガチャガチャ
澪「…………」
梓「澪先輩も何か探してください」ガチャガチャ
澪「う、うん」ガラ ガラ
梓「塩や砂糖が見つかれば一番良いんですけど…」ドン バタ
澪「あっ」
梓「何か見つかりましたか?」
澪「トイレットペーパーが沢山ある」
梓「俗にいう札束ですね」
澪「プッ」
梓「小ボケかまさないでください」
澪「ご、ごめん!」クスクス
ガタッ!
梓「!!」澪「!!」
??「やぁ……」
??「やあ、梓さ
ダ ダ ダ ダ ダ!!
梓「びっくりしましたね」
澪「い、いいのか!確認しなくて!」
梓「いいんですよ、親戚の叔父さんでしたから」
澪「一回出てきたのか?」
梓「はい、昔の知ってる人で助かりました」
澪「…………」
梓「この家にはもう何も無いいですね。他に行きましょう」
澪「わかった」
澪「なぁ、梓」
梓「何ですか?」
澪「さっきの昔は何であんなに早く死んだんだ?」
梓「あぁ、頭がパカッて割れる前の昔は割とあっさり死ぬんですよ」
澪「そうなのか」
梓「はい、だから昔に見かけた昔は先制攻撃でドンです」
澪「知り合いを殺すのは気が引けるな…」
梓「慣れる事ですね。慣れれば全て解決します」
澪「そう…かな」
梓「はい」
梓「次は飲食店を狙いましょう。誰かが根こそぎ持って行ってるかもしれないけど可能性はあります」
澪「わかった」
梓「それじゃあ………」
梓 ー 梓 ー
梓「……………」
澪「梓?知ってる人
ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ ダ!!
梓「……………」
澪「知っていた人だった…のか?」
梓「行きましょう澪先輩、死体は後で唯先輩と合流したら一緒に片づけますよ?」
澪「…わかった」
梓「……………」
澪「結構大きな建物だな、このレストラン」
梓「………そうですね、きっと高級レストランだったんですよ……」
澪「…………梓、大丈夫か?」
梓「えぇ、別になんともありませんよ?」
澪「そう……か」
梓「入りましょう、高級食材がまだ眠ってるかも知れませんよ?」ガシャン!ガシャン!
澪「さ、さすがに腐ってるだろ?」
梓「そうですね」ガシャン!ガシャン!
澪「…………」
梓「ガラスは割りました。中に入りましょう」
澪「……うん」
澪「結構まだ整ってるな」
梓「これは期待大です」
澪「手分けして色々探そう!」
梓「はい、色々収穫できそうですね」ガタガタ
梓「キッチンに突入!」ガタガタ
澪「梓、元気だ…な」ガタガタ
探索中
澪「おぉ!小麦粉が一杯あるぞ!」ガタン
梓「こちらには各調味料が色々ありますよ」ガチャ
澪「でもさすがに食材は無いな」
梓「腐ってますからね」
澪「まぁ、これだけあれば十分だよな?」
梓「えぇ、合流ポイントに戻りましょう」
澪ー 澪ー
澪「!!」 梓「!!」
??「……………………」
梓「………澪先輩の知り合いですか?」
澪「……………」
梓「………?」
澪「ママ…………」
最終更新:2010年06月03日 00:16