紬パート

紬「いないわ…。一体どこに…」

唯『うい~!どこにいるの~!!私~!どこ~!?』

紬「唯ちゃん、頑張ってるわね。私も…」

紬「ういちゃ~ん!どこにい…」

黒服の男「お嬢様!」

紬「へっ!?」

タクアンの女の子「あ、金魚すくい!あれやりたいわ!」

紬(あ…)

黒服の男「お嬢様、あんまりはしゃがないほうが…危ないですから…」

タクアンの女の子「…わかったわ…」

紬(…子供の頃の私と…斉藤だ…)

斉藤「金魚すくいですか。では私も一緒にやりましょう」

幼紬「…うん」

斉藤「500円ですね」

幼紬「そうね…」

紬(そうだ…。この頃の私、友達と一緒にお祭り行くのが夢で…)

斉藤「どうぞお嬢様。金魚です」

幼紬「…自分でやりたかったのに…」

幼紬「それに…友達と来たかった…」

斉藤「…」


紬(…そろそろ30分ね。一旦戻らなきゃ…)

集合場所

律「いたか!?」

梓「ダメです…。ちょんまげ先輩も、憂も見つかりません…」

紬「あ、りっちゃんに梓ちゃん!」タッタッタ

律「ムギ!見つかった!?」

紬「ううん…。二人とも見当たらないわ…」

律「くっそー…」

紬「…」

梓「ム、ムギ先輩…?どうしたんですか?」

紬「え…?」ポロポロ

律「ムギ?なに泣いてんの…?」

紬「えっ?あ、あれ…?」ポロポロ

梓「何かあったんですか…?」

紬「う、ううん…!ふふ…ちょっと…嬉しくて…」ポロポロ

律「…?」

紬「…!」グイッ

紬「ごめんなさい!それより、早く唯ちゃんと憂ちゃんを見つけないと!」

律「ああ、そうだな。澪と唯はまだかな?」

澪「おーい!」タタタ

梓「澪先輩!」

律「と、その横のちっさいのはもしかして…」

幼唯「あ、この人猫みたいでかわいい!」

梓「…」

澪「ちび唯のほうは見つけたよ。でも憂ちゃんはまだ…」

律「ナイス澪!じゃあ、後はデカ唯が来るのを待って、もう一度探しに行こう!」

紬「唯ちゃん、よろしくね」

幼唯「たくあんだ!」

紬「…」




10分後

律「おっせーな…」

澪「何やってんだ唯のやつ…」

幼唯「わたし?」

紬「あ、そうじゃなくて、私達の友達の事よ」

梓「あの…あんまり考えたくないんですけど…もしかして唯先輩…」

律「あいつ…迷子になったのかな…」

澪「ありえる…」

紬「じゃあ、今度はおっきい唯ちゃんと、小さい憂ちゃんを探さないと…」

律「やれやれ…」




唯パート

唯「うぐぅ…中々見つからないなぁ…」

唯「おーい!うい~!あの頃のわたし~!どこ~!?」

唯「…」

唯「ダメだぁ…全然見つからないよぉ」

唯「うい~!どこにいるの~!!私~!どこ~!?」

唯「…」

唯「仕方ない、一回合流地点に戻ってみよう」

唯「…あれ?」

唯「ここどこだろ…」

唯「ど、どうしよ~!迷子になっちゃった~!」

唯「う…うう…」グスッ

唯「うえええええん」ポロポロ

唯「りっちゃーん!澪ちゃーん!ムギちゃーん!あずにゃーん!どこおお~!?」ポロポロ

女の子「うう…お姉ちゃ~ん…」ポロポロ

唯「うわああああああん」ポロポロ

女の子「うっ…ひぐっ…」ポロポロ

唯「うああああん…あ、あれ…?」

女の子「お姉ちゃ~ん…どこ~…?」ポロポロ

唯「憂っ!!」だきっ

幼憂「!?」

唯「うい~!良かった~!こんなところにいたんだね~」スリスリ

幼憂「!!?」

唯「あ、ゴメンゴメン」サッ

幼憂「…うぅ…お姉ちゃんと…はぐれちゃって…」ぐすっ

唯「うん…。私も迷子なんだ…」

幼憂「う、うぅ…」ポロポロ

唯「う…ううっ…」ぐすっ

幼憂「お姉ちゃん…」ポロポロ

唯「う…うわああああん!みんなぁ~」ポロポロ

幼憂「お姉ちゃ~ん…うえぇぇん…」ポロポロ

唯「うわあああああああん」ポロポロ



律「何だあいつら…」

梓「何で唯先輩まで泣いてるんでしょうね…」

澪「なんにせよ、見つかって良かったな」

紬「結局唯ちゃんが憂ちゃんを見つけちゃったのね」

律「ほら、妹のところに行ってあげなよ」

幼唯「うん!アリガトウお姉ちゃんたち!」タタタ


幼憂「ふぐっ…うぅ…お姉ちゃんどこ~…?」ポロポロ

唯「ふえええええええん!うわあああああん」ポロポロ

幼唯「うい~!」ザッ

幼憂「あっ…お姉ちゃん…!!」

唯「ふおっ!?」

幼唯「憂!手、繋いでなきゃだめだよ?迷子になっちゃうからね?」ガシッ

幼憂「…!…うんっ」

幼唯「じゃ、いこっか!」

幼憂「うん!」

唯「良かったね憂…」

唯「そして私は…迷子のまま…」ブワッ

唯「う…うわああああああああん」ポロポロ

唯「ふえええええええええん!みんなどこ~!?ここどこ~!?」ポロポロ

唯「うわあああああああああああああああん」ポロポロ

律「おい、もう行くぞ」

唯「うわっ!?」ビクッ





唯「いや~お恥ずかしいところを…」

梓「全く、何で高校生の唯先輩が迷子になってるんですか…」

紬「でも良かった。うまくいったわね」

澪「ああ。ここに来た目的も果たせたしな」

律「さすがに疲れたな~…。もう帰ろうぜ?」

唯「そうだね~。えっと…帰るときはどうするんだっけ?」

紬「ここを2回押せばいいのよ」

澪「よし、じゃあ帰ろう。私達の時代に」

律「じゃ、いくぞ~!」

梓「はい!」

唯「せーの!!」

ポチポチ

唯律澪紬梓「…」

律「ん?何も起きないぞ?」

澪「いや、よく見ろ。祭がやってない」

梓「戻ってこれたみたいですね」

唯「なるほど~。マシンを使ったのと同じ場所に移動するんだね」

紬「そうみたいね」

律「じゃ、この時計はムギに返すよ」

紬「もういいの?」

律「うん。私一人でいってもつまんないしな。使いたくなったら、またみんなで使おうぜ」

澪「そうだな。はい、返すよムギ」

紬「うん。わかったわ」




帰り道

律「いやー、面白かったなぁ」

澪「そうだな。たまには昔に戻るのも悪くないな」

律「私さ、実は祭のときに、さわちゃんを見たんだよ」

澪「先生を?」

律「うん!しかも男連れでさ!けっこうイケメンだったなぁ」

澪「もしかして、先生がフラれたのって…」

律「多分あの人の事だな」

澪「へぇ~。でも、二人でお祭りに行くくらいだから、いい感じなんじゃないか?」

律「うーん…男のほうは友達のつもりなんじゃないの?」

澪「そういうもんかなぁ」

律「あの頃のさわちゃんはけっこうモテそうなんだけどね」

澪「そうだな。あれでフラれるんだもんな…」

律「男ってのはわかんねーよなー」

澪「うん。よくわからな…」

澪「!!」

律「ん?澪?」

澪「な、なぁ律!もしかしてさ…!」


翌日 音楽室


澪「そう!さわちゃんは好きだった人にフラれたから、ヘビメタの道を歩み始めたんだ」

梓「あ…そうだったんですか」

澪「で、もしその人とうまくいってたら、先生はあのおしとやかな性格のままだったと思うんだよ」

律「今のさわちゃんはおしとやかキャラの皮を被った野獣だ。でも、元々はおしとやかなほうが本当のさわちゃんだったんだよ」

紬「う、う~ん…でも、私今のさわ子先生もいい人だと思うけど…」

澪「何言ってるんだ!おしとやかなままだったら、私達に変な衣装を着せる事もないんだぞ!」

梓「あ!確かにそうかもしれませんね!」

律「だからさ、もっかい過去に行って、さわちゃんとあの人がうまくいくようにするんだよ!私達が!」

澪「そうすればもう先生に胸を揉まれたり、脱がされたり、恥ずかしい衣装を着せられる事もなくなるんだ!」

梓「さすが澪先輩!ナイスアイディアです!」

唯「え~?でも、私さわちゃんの衣装好きだよ?」

紬「私も」

律「ぐっ…そうだ…。こいつらそういうヤツだった…」

梓「で、でも!面白そうじゃないですか!?さわ子先生の恋愛を応援するのって!」

唯「それは…」

紬「そうかも…」

澪(ナイス梓!)ヒソヒソ

梓(でへへ…///)

律「それにさ、好きな人とうまくいくのはさわちゃんだって嬉しいはずだよ!」

唯「それはそうだね~」

紬「わかったわ。やってみましょう。先生のためになるなら、悪用じゃないし」

律澪梓(よしっ!)グッ


紬「じゃあ、はい。腕時計」

唯「よーし!早速行こう!」

澪「待て待て。ここで使ったんじゃ、8年前の音楽室に飛んでしまう。それだといきなり私達が現れたみたいになるし、他の部員と鉢合わせになるかもしれない」

律「人目につかない校舎裏に行こうぜ」

梓「そうですね」


校舎裏

澪「じゃ、時間は8年前の…いつにする?」

律「昨日はまた後日…って言ってあるからな。とりあえず昨日行った時間の3日後くらいにしとこう」

唯「りょうかいです!」

紬「じゃあみんな、準備はいい?」

梓「やってやるです!」

唯「いっくよ~?」

唯律澪紬梓「せーの!!」

ポチポチポチ


8年前 桜高校舎裏

律「オッケーかな?」

紬「たぶん」

唯「それで、さわちゃんの応援って具体的に何するの?」

律「まずは相手の男の事を知っておかないとな」

澪「じゃあ、先生が部活を終えて下校するのを待って、直接聞いてみよう」

梓「この時代の軽音部もちょっと見てみたいですけど…仕方ないですね」

唯「なんかドキドキしてきたなぁ」

数時間後 桜高校門

さわ子「じゃ、また明日ね」

女生徒「うん。バイバーイ」



律「来たっ!」

唯「よーし!突撃ー!!」ザザーッ

さわ子「えっ!?な、何!?」

紬「どうも。ご無沙汰してます」

さわ子「あ…この前見学してた方達…」

澪「せんせ…じゃなくて…さわ子ちゃん、ちょっといい?」

さわ子「え?は、はい…」

律「さわちゃんさぁ、好きな人いるでしょ?」

さわ子「えっ…///」

律「私さ、こないだのお祭りで見ちゃったんだよ。男の人と歩いてるの」

さわ子「そ、そうですか…///」

唯「けっこういい感じだったみたいだね~?」

さわ子「そんな…いい感じだなんて…。まだ手を繋ぐ事もできないですし…」

梓(こ、これがあの先生…?殊勝だなぁ…)

律「告白しないの?」

さわ子「いつかはしようと思ってるんですけど…勇気がなくて…」

澪(先生にもこんな時代があったんだな…)

唯「じゃあさ!私達がうまくいくように協力してあげるよ!」

さわ子「え…本当ですか…?」

紬「はい!任せてください♪」

澪「だからその男の人の事を聞かせてほしいんだけど…」

さわ子「…わかりました。でもその前に…」

唯「?」

さわ子「あの…みなさんのお名前を…」


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最終更新:2010年01月25日 03:49