唯「ただいまー…」

憂「あ!お姉ちゃんおかえり~」

梓「お邪魔してまーす」

唯「えと…誰この人?」

梓「中野梓でーすよ」

憂「私のお友達だよ」

唯「そ、そうなんだよろしくね」

梓「あはっ!よろしくです」

何だか変な子だな…。

梓「先輩もぷよぷよで私と勝負しましょー」

馴れ馴れしいなこの子…私に抱き着いて来たよ。


唯「きょ…今日は疲れたからやらないよ」

梓「えー残業…先輩お腹がぷよぷよしてますね~」

うるさいよ!

唯「アハハ…じ、じゃあ私は部屋に行くから」

梓「えーー!」

私は梓ちゃんを無理矢理振りほどき自分の部屋へと戻った。
馴れ馴れしい過ぎるこんな奴見た事無いぞ。

私はすぐにベッドから鏡を取り出す。

唯『あ!来た来た澪ちゃーん来たよー』

澪ちゃん?それに鏡に写ってるのは何時もの向こうの私の部屋じゃない。
多分…学校だ。

澪『だから…鏡に写ってる唯が勝手に喋る分けないって言ってるだろ…』

唯「秋山さん…?」

澪『しゃ…喋った!』

唯『ほら!鏡の中に誰も写って無いし私が喋ってる』

律『す、すげー!』

紬『これって何かの魔法かしら?』

梓『こんな事って本当にあるんですね…』

唯「ちょ…え?もしかして喋ったの?」

唯『うん!』

うん!じゃないよ…あぁ頭が急に痛くなってきた。

唯「ど、どうしよう…なんで喋ったの?」

唯『だってそっちの世界の私を見て貰いたかったから!』

この子は考え無しに行動してるよ…。
それに琴吹さんや秋山さん田井中さんや梓ちゃんもいるし…。


紬『そっちの世界の私は何してれか教えて欲しいわ~』

律『いや!先に私が!』

梓『わ、私も知りたいです』

澪『………喋った』

信じてるこの人達もこの人達だよ。
普通SONYか何処かが作った通信機器と思うでしょ…私は思わなかったけど。

唯「えーと……」

紬『何だかこの唯ちゃんカッコイイわね~』

律『キリッとしてるな!』

うるさいなぁ…。

梓『そっちの唯先輩ってバンドやってるんですか?』

唯「あ…やってないよ梓ちゃん」

梓『あ…梓ちゃん…』

律『私は?私は?』

この田井中さんは何だかうるさそうだなぁ…。
それにカチューシャしてるし。

唯「私がって何が?」

律『名前だよ何て呼んでる?』

唯「あぁ…えーと田井中さん」

律『田井中さんだって…!』

唯『田井中隊員!』

さっきのうるさいと思った事をもの凄くうるさいに訂正するよ…。


唯『ねーねーキリッってするから見てて~』

律『わかったー』

唯『キリッ!』

紬『凄くカッコイイわ~』

確かに何だかこの琴吹さんはぽわぽわしてる。

澪『アハハ…喋ってる』

秋山さんは何故か隅っこで震えている。
どうしたんだろう?


唯『そーいえばムギちゃんは大丈夫?』

紬『私がどうかしたの?』

唯「こっちでは琴吹さんはイジメられてるんだ」

紬『そうなの?許せ無いわね…』

唯「でも…大丈夫だから…秋山さんと田井中さんが助けた」

澪『わ、私が?』

唯「うん、秋山さんがおまえらやめろぶっ殺すぞって言った」

澪『そっちの私はそんな性格なのか…』

少し嘘も混じってるけどね。

唯『私は何もしてないの?』

唯「いや…少しだけ言ってやったよ迷惑って」

紬『ありがとうね唯ちゃん』

梓『あの…そっちの私はどんな性格ですか?』

唯「今、家に来てるよ」

梓『ほ、本当ですか?』

唯「うん…私にいきなり抱き着いて来たからびっくりした」

梓『私が唯先輩に抱き着いたなんて…信じられません』

唯「自分でも抱きしめてればいいのにね」

律『あ…もうこんな時間だな~』

澪『帰るか…』

うん、それがいいよ。

唯『だね~じゃあ帰ろうよ!』

紬『そうね~』

唯『あ…私ちょっと待っててね』

唯「う、うん」


唯『おまたせ~』

鏡に写っているのは青空と私。
みんなはもう帰ったらしい。

唯「う、うん…あのさ」

唯『なぁに?』

唯「あの人達は友達?」

唯『うん!それに放課後ティータイムのメンバーだよ』

唯「そーなんだ」

唯『うん!私はバンドやらないの?』

唯「やらないよ…疲れるだけだから」

唯『えー!面白いのに』

バンドか…いかにも青春って感じ。
何だか向こうの私は凄く楽しそうだ…後悩みがなさそう。


唯「あ……そう言えば思い出した私の押し入れにギターがあったんだっけ」

唯『本当?』

唯「うん…お父さんが使ってた奴を貰ったんだ持ってくるね」

唯『うん!』

随分、長い間触って無いから忘れてた。
小さい頃は夢中で練習してたっけ。
結局、指が動か無くて三日で辞めたんだけどね。

唯「あったあった…これだよ」

唯『ギ、ギー太!』

唯「ギー太って誰?」

唯『そのギターの名前だよ!やっぱりギー太はそっちの世界でも受け継がれてるんだね!』

ハハハ…何だそりゃ。


唯『私も帰ったら見せたい物があるんだ!』

唯「へー何?」

唯『私達が文化祭で演奏したDVDがあるんだ見たい?』

唯「ちょっと見たいかも…」

唯『わかった!家に着いたらすぐに見せるからね!』


それから私達はたわいのない話しをした。
主に向こうの私が話して私は適当に頷く。
しっかし…本当にこの私は憂に似ている。
語尾が伸びる話し方も笑い方も性格も似てる。
そう言えば聞いていなかったなぁ…。
向こうの世界の憂の事。
どんなんなんだろう?凄く気になる。


唯『着いたよ~』

唯「知ってるから言わなくていいよ」

唯『じゃあ私DVD探してくるから待ってて~』

唯「わかった」

唯『あ…憂ー!こっちに来てー』

憂『なぁにお姉ちゃん?』

唯『私が退屈だと思うから鏡の中の私と話してていいよー』

唯「…………え?」


鏡には私の妹、憂が写っている。
何だか雰囲気違うなぁ……。

憂『お姉ちゃんが言ってた話しって本当だったんだ…』

唯「う…憂?」

憂『あ…そっちの世界のお姉ちゃん初めまして平沢憂です』

唯「う…うん…」

何だかしっかししてるなぁ…。

唯「こ、こんにちは」

何だか私、妙に緊張してる。

憂『こんにちは…あの、そっちの世界の私って何してるの?』

唯「今は梓って子と遊んでるよ」

憂『そっちの世界でも梓ちゃんと友達何だ…よかった』

私もよかったよ…こっちの世界でもあっちの世界でも優しいのは変わって無いみたいだ。


唯『DVD見つけたよー』

憂『あ…お姉ちゃん!』

唯『そっちの世界の私はどうかなぁ?』

憂『優しそうでカッコイイよ』

唯「………………」

唯『よかった~あ!すぐにDVD見せるからね~』

でも…向こうの世界の憂は嫌だな。
別に嫌いって意味じゃない…ただ私は憂の世話がもっとしたい。

唯『じゃあDVD見るからね~』

唯「うん…」

唯『私達の演奏凄いんだからね~』

唯「大丈夫期待はしてないから」

唯『酷い!あ…始まるよ』


最初、私はただ見てた。
何も考えずなんとなく見てた。
だけど…いつの間にか私は虜になっていた。
放課後ティータイムの虜に…演奏はただひたすらにカッコよかった。
DVDが終わり私の頭の中にある考えが浮かんだ。
バンドをやってみたい。


唯『どーだった?』

唯「カッコイイよ凄くね」

唯『えへへ~ありがとう!』

唯「ね…ねぇ私も…」

唯『なぁに?』

唯「いや…何でも無い……」

このバンドをやりたいって感情は一時的な感情だ。
すぐに消えるだろう。
だだ…少し羨ましい私より充実した毎日を向こうの私は過ごしている。


思えば私は今までずっと同じ毎日を繰り返してた。
小学校でも中学校でも今でもそうだ…。
友達なんか今まで出来た事なんて無かった…私はワイワイ騒いでいる人間を頭の中で馬鹿にするだけだった。
次第に友達はいらない…そう思うようになっていた。
だけど…さっきのDVDを見て私は確信した。
私はただ友達がいない寂しさを人間を馬鹿にする事で紛らわしている。
本当は友達が欲しいんだ私は…。


向こうの世界の私が本当に羨ましい。

唯『おーい!聞いてる~?』

唯「あ……う、うん」

唯『大丈夫?何か考えてたみたいだけど…』

唯「いや…何でも無いよ…憂のご飯の支度するからまた明日ね」

唯『うんバイバイ~』



唯「はぁ………」

憂「あ、お姉ちゃんどうしたの?」

唯「いや…何でも無いよ…えっと梓ちゃんは?」

憂「ついさっき帰ったよ」

唯「そっか…ご飯作るねパスタでいい?」

憂「う、うん」

憂「お姉ちゃんアイス食べていい?」

唯「ダメご飯食べてからならいいよ」

憂「じゃあ我慢する~」

唯「うん、もう少しで出来るから待っててね」

憂「うん!」

憂「ごちそうさま~」

唯「美味しかった?」

憂「うん!アイス食べていい?」

唯「いいよ、私の分も食べていいから」

憂「ほ、本当に?」

唯「いいよ」

憂「ありがとう!」


ついさっき見たライブ映像が私の頭の中でぐるぐる。
バンドがやりたい、この一時的な感情は寝れば忘れる。
今日は寝てもう忘れよう。
しばらく天井を見ながら考え事。
琴吹さんは確かピアノをやっている。
私がギターで琴吹さんがピアノいや…考えるのはよそう。
バンドがやりたい何て考えるのはよそう。
寝れば忘れる。
私は静かに瞼を閉じた。


憂「お姉ちゃん朝だよ起きて」

唯「ん………憂?」

憂「もう7時だよ」

唯「え!ご、ごめん目覚ましは…セットし忘れてる…」

憂「えへへ~今日は私の方が早起きだね」

唯「ごめん弁当作れなかった…」

憂「えへへ~じゃーん!」

憂が私の前に差し出して来た物は一つの弁当箱。

唯「え?……まさか」

憂「うん!…お姉ちゃんのお弁当だよ作るのに2時間掛かっちゃった!」

唯「憂……うぅ……」

涙腺が思わず緩み私は涙を流した。

憂「お、お姉ちゃん何処か痛いの?」

唯「違うよ…嬉しいんだよ」

憂「そうなんだぁ!よかったぁ~」

唯「本当にありがとう……」

唯「制服に着替えるから待っててね」

憂「うん!」

とうとう…一人で弁当作れるようになっちゃったか…。
嬉しいような悲しいような。
こうやって巣立って行くんだと思うとまた悲しくなる。

唯「よし…行こうか」

憂「うん!」

家を出て二人で歩く。
鞄には憂が作ったお弁当とあの鏡。

唯「今日のお昼楽しみだよ」

憂「えへへ…味は保証出来ないよ!」

唯「大丈夫きっと美味しいから」

憂「じゃあね!私、教室に行くから」

唯「うん、今日は私バイトだから先に帰るから」

憂「うん頑張ってね~」

憂は二年の教室へ向かって行った。
私も行こうかな。


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最終更新:2010年06月06日 23:07