紬『ま、また……』
唯『何だか怖いよ…』
律「4だってー怖いねー」
澪「これは、もう直せないかもな…」
唯「このまま…粉々に割れちゃうんだよ…きっと」
根拠は無い…だけど本当に割れる気がする。
もう…鏡が割れてそっちの世界のみんなとは話せないそんな気がする。
唯「………………」
唯『うぅ…早く鏡会社に電話しなきゃ…』
澪『鏡会社って何だよ……』
唯『鏡を作ってる会社なら直せるかも…』
唯「………手遅れだよ…もう直せない」
律『あぁ…私も思う…それに鏡が割れて…もう話す事が出来なくなるんじゃないか?』
律「そんなの嫌だ…嫌だよぉ!もっと私とお話ししたいよぉ」
私も私ともっと沢山、話したい。
それは、一人を除いてみんな同じ事を思っているだろう。
鏡が割れる…私達にはこれはもう直せない気がする。
絶対に…直せない。
この鏡は諦めよう…もうじき粉々に割れて向こうの私とも二度話せない。
だから最後に私はみんなにある事を提案した…。
唯「みんなもうこの鏡はダメだから…最後に話さない?」
紬「何を話すの…?」
唯「だからさ…向こうの世界とこっちの世界の同じ自分で最後に話すんだよ…伝えたい事を」
律「うん…………」
唯『私は賛成だよ』
澪「いや…みんな賛成だと思うよ」
梓「…………え?」
唯「最初は誰にする?」
律「はい!はい!」
唯『じゃあ、りっちゃんからだね』
律『そ、そうか…緊張するな』
律「私は緊張してないよー」
唯「じゃあ話して来ていいよ」
律「うん!」
律「ねーねードラムが上手くならないんだけど!」
律『いいのか?最後に話す会話がドラムの話しで』
律「ううん…ダメ」
律『あのさ…頑張れよ軽音部』
律「頑張る…私も頑張ってね…そっちの澪ちゃんもよろしくね」
律『あぁ……』
律「あのね…私、澪ちゃんに心配をかけてばかりかけてね…」
律『そ、そっか…私と一緒だな』
律「そーなんだ…私は澪ちゃんにいっつも守って貰ってばかりで…澪ちゃん迷惑かなぁ?」
律『ばーか…アイツがそんな事思うと思うか?少しだけしかお前らの事見て無いけど…それでも分かるお前達はいい友達だよ』
律「そーだよね……いい友達だよね…ありがとう」
律「あ…ヒビが…」
律『うん…他のみんなも待ってるし行こうか』
律「うん……バイバイ」
律『あぁ…じゃあな頑張れよ』
律「ありがとう…」
律「ただいま…」
律『みんなただいま』
唯「次は秋山さんだよ」
澪『あぁ……』
澪「じゃあ行ってくるな…」
唯「………うん」
澪『…………えっと』
澪「バンドする事になったんだ私」
澪『そうなんだ…頑張って下さいね』
澪「うん…あのさ、律の事…何だけど」
澪『律の事?』
澪「アイツ…私の事迷惑って思ってる感じがするんだ」
澪『え……律が?』
澪「ずっと私は律に着いて回ってるし…守ってあげたくなる性格してるし」
澪『律はそんな事思って無いと思う…だってアナタといる律はとっても楽しそうだから』
澪「………ありがとう」
澪「また…ヒビが……さっきよりも増えてないか?」
澪『本当だ……じゃあそろそろ、みんなの所に行こっか…』
澪「あ、あぁ…さようなら私」
澪『うん…さようなら』
澪「終わったよ…確か次は中野だったよな」
梓「あ、……はい」
梓『じゃあ行って来ますね』
唯『あずにゃん行ってらっしゃい…』
梓『はい…』
梓「えーと…どうしよう…」
梓『あのー…』
梓「え!な、何?」
梓『そっちの世界では何をやってるの?』
梓「えーと…憂や純と遊んでるよ」
梓『よかった…そっちの世界でも二人と友達なんだね』
梓「当たり前じゃん私を誰だと思ってるの?ってかそっちの世界って何?」
梓「何で鏡の私が喋ってるの?」
梓『え?まだ聞いてないの?』
梓「うんうん聞いてない」
梓『そっか…憂や純と仲良くしてね!』
梓「分かってるって…それで何で鏡が喋ってるの?」
梓『またヒビが…』
梓「うわ…私何もしてないよ?」
梓『じゃあ…戻ろうか』
梓「先輩の所に?鏡が喋った事は教えてくれないの?誰が1番綺麗かも教えてくれないの?」
梓『は、早く戻ろうよ』
梓「チッ…わかった…」
梓『戻って来ましたよ』
唯『う、うん…次はムギちゃんだよね』
紬『えぇ……』
紬「………………」
唯「琴吹さん行かないの?」
紬「行くよ……」
紬『早く行きましょうヒビが酷くなってるわ』
紬「……うん」
紬「………………」
紬『黙っててもいいから私の話しを聞いてね』
紬「………………」
紬『あのね…私はアナタの事を何でも出来る人だと思ってるわ』
紬「…………………」
紬「私は何も出来ないよ……」
紬『出来るわ…何をするにしても最初はみんな自信が無いものよ…』
紬「バンドの事も誘われた事は嬉しかったんだけど…今は自信が無いよ……みんなに迷惑かけそうな気がするよ……」
紬『迷惑かけていいじゃない…アナタが迷惑かけても誰もアナタを咎めたりしないわ次頑張ろうよ…きっとそう言ってくれるわ』
紬「私…頑張るよ……」
紬『うん…頑張ってみて私が言った事はほんの慰めしかならないと思ってたけど…その言葉を聞けて嬉しいわ』
紬「ありがと……」
紬『私の方こそありがとう』
紬「…………」
紬『ヒビが酷くなって来たわね』
紬『唯ちゃん…』
唯『うん!』
紬「……………」
唯「次は私か……」
紬「ありがと……私達を先にしてくれて」
唯「ち…違うよ私はただ…」
唯『早く行こうよ鏡が粉々になっちゃうよ』
唯「う、うん……」
唯「えと……」
唯『よかったねバンド組めて!』
唯「う、うん…あのさ」
唯『なぁに?』
唯「あの…………」
唯『早く言わないと鏡割れちゃうよ!』
唯「バンドって楽しい?」
違う私が言いたい事はそれじゃない。
唯『うん!楽しいよ』
唯「そーなんだ……」
鏡のヒビが酷くなって行く。
もう向こうの私の顔なんか見えないぐらいに…。
私は…私は……。
唯「…………私は最初友達なんかいらないって思ってた」
唯『うん…………』
唯「だけど………」
唯『だけど…?』
唯「アナタがバンドを進めてくれたから…あの映像を見せてくれたから…今みんなと一緒にいる」
鏡の破片が床に落ちた。
唯「アナタが…この鏡が無かったら…私はあの人達とバンドをやる事は無かった」
唯『うん…寂しくなるね…』
鏡の破片がパラパラと落ちて行く。
床に落ちた破片は砕け散らばる。
いつの間にか私の頬には涙が流れていた。
唯『でも…寂しいよぉ……私ともう会えなくなるなんて…寂しいよ……』
唯「……私も嫌だ」
唯『ひっぐ…嫌だよぉ……私もっと…お喋りしたいよぉ…』
唯「泣かないで……」
涙が頬を伝い床に落ちた破片に落ちる。
唯『嫌だよ……』
唯「あのね……最後にアナタに言いたい事があるの……」
だけどそれはもう無理そうだ。
最後に残っていた鏡の破片が砕けた。
もう…向こうの私の声は聞こえない…私は結局言えなかった。
私はその場に座り込み制服で涙を拭う。
私は結局言えなかった。
ありがとうとさようならを言えなかった。
馬鹿だ…私は馬鹿だ。
唯「うぅ…嫌だよ…まだ、まだ言って無い事があったのに…」
記憶を辿る。
向こうの私との会話を…私は記憶を辿る。
彼女はいつも笑いとっても楽しそう。
彼女は私にバンドを進めてくれた。
彼女のおかげで友達が出来た。
1番大きな破片を広い上げる。
破片には私が小さく写っている。
唯「ありがとう…そしてさようなら」
聞こえるはずが無いのを分かって私は言った。
唯『私もありがとう…さようなら』
鏡の…破片が砕けた。
よかった聞こえてたんだね……。
一ヶ月後。
唯「お疲れ様でした~」
バイトが終わり夜の11時間。
家に帰る道を照らすには月明かりじゃ頼りにならない、だけど綺麗な月明かりだ街灯の光が無ければいいのもっと綺麗なんだろうな。
でも…何をするにも足を動かすという作業はやっぱり面倒だ。
夜道をただひたすらに歩く。
そして、考える今日の事を…。
楽しい一日。
友達と話し部活もやって。
青春を満喫してる…そんな事口に出すのも恥ずかしいけどね。
学校は勉強さえ出来れば物足りてる、だけど友達と話したりするのも楽しい。
朝起きて学校に行って友達と話しバイトで金を稼ぐ。
友達何ていたって損をするだけだけど私はそれでもいい。
スムーズに生きたいんだけど人生は少しぐらい凹凸があった方が楽しいよね。
唯「ただいま…」
憂「あ…お姉ちゃん!お仕事お疲れ様」
食卓には料理が並んでいる。
これ全然憂が作ったんだ…。
唯「美味しそうだね」
憂「うん!頑張ったんだぁ…」
唯「偉い偉い」
琴吹さんは優しくて静かな人、私の1番の親友だ。
田井中さんはドジだけどみんなを和ませてくれる。
秋山さんは私達を率先して引っ張ってくれる。
梓ちゃんはうるさいけど最近あの子の面白さが分かって来た。
みんな私の大事な友達これからも付き合って行こうと思う。
私は憂の料理を口に運ぶ。
唯「美味しい……」
END
最終更新:2010年06月06日 23:11