りっちゃんとあずにゃんからはもう何と言うか
抵抗の意思があまり感じられなかったから、私は二人をそのままにして自分の部屋に上がった

ガチャ

澪「スー…スー……」

澪ちゃんは可愛らしい寝息を立てながら眠っていた

唯「失礼するよ」

私は澪ちゃんのスカートのポケットから携帯電話を取り出した

唯「よっと…」

『ちょっと唯の家に来てくれないか?
唯が具合悪そうなんだ』

この内容のメールを和ちゃんに送信した

唯「……きた」

しばらくすると返信が着た

『わかった、今から行くね』

唯「これでよし……」



ガチャ

和「澪ー?」

10分ぐらい経った後、和ちゃんがきた
インターホンも鳴らさずに入って来るところが図々しい

まあ、そりゃそうか
この家には今は監禁されてる人間しかいないんだから

と、言っても和ちゃんもすぐに仲間入りだけどね

唯「ふふ……」

私は自分の部屋に隠れて和ちゃんを待ち伏せた
和ちゃんをどうやって捕まえようかあれこれ考えたけど
やっぱり薬で眠らせることにした

唯「(階段を上る音…もうすぐ来る…!)」


ガチャ

部屋のドアが開いた瞬間、私は和ちゃんの口にハンカチを当てにいった

唯「つーかまえ……」

つーかまえた!
そう言おうとした私は唖然とした

なぜなら和ちゃんに腕を掴まれていたから

唯「な…な…なん…で…」

和「何年幼馴染してると思ってるの? 唯の考えなんてすぐに読めるわよ」

唯「くそっ!!」

私は何とか薬を嗅がせようとする

でも、正面から襲うのは背後から襲うのとはわけが違う

唯「ちくしょう……和…ちゃん…」


思えば、うまく体に力が入らない
さっきまで監禁されていたからか

和「ホラ、足が震えてるわよ?」

唯「ち、ちがう…そんなこと……」ガクガク

和「もういいから…おやすみ」

和ちゃんは呆然とする私から薬品付きのハンカチを奪い取った

唯「あ…あ…」

私は和ちゃんから逃げるように、後ずさりした

ドン……

唯「あっ!?」

いつの間にか、私は壁に追い詰められていた


和「もう分かったでしょ? 唯は誰のモノなんだっけ?」

唯「う、うう……」ポロポロ

人間って脆い
完璧だと思った計画が急に破綻すると、ここまで無様だ

唯「やだよ…嫌だよお…監禁しないで…」グスッ

和「ふふ…泣き顔も可愛いわよ」

唯「だ、誰か…澪ちゃん…」

和「澪は唯が眠らせたんでしょ」

唯「りっちゃーん!! 助けてええ!!」



リビング

律「今の声…唯?」

梓「助けてって聞こえましたけど……」

律「何かやらかしたのか?」

梓「さあ……」

律「どっちにしても動けないけど」

唯の部屋

唯「和ちゃん…許して……」

和「だーめ」

唯「て、抵抗しないから! おとなしくするよ!」

和「本当かしら?」

唯「本当だよ! だから……薬は勘弁して……」



私はさっきの苦しさを思い出し
泣きながら頼み込んだ

唯「お願い…お願い…」

和「…………」

唯「お願いだよお……」

和「まあ、抵抗する気もないみたいだしね」

唯「あ、ありがとう……」

和「じゃあとりあえず縛らせてもらうわね」

唯「うん……」

私は和ちゃんに両手両足縛られた


唯「あの……みんなはどうする?」

和「別にどうもしないわよ、今まで通り」

唯「そっか…じゃあ頼み聞いてくれる?」

和「何?」

唯「りっちゃんとあずにゃんにはご飯食べさせたけど、憂はまだだったから…」

和「うん、分かったわ」

ガチャ

和ちゃんは私の部屋を出て、1階に向かった

唯「お願いねー」

甘いよ…和ちゃん……


和「憂、入るわよ?」

憂「(和…ちゃん…!?)」

和は憂の口からガムテープを剥がすと、近くに座った

憂「さっき…お姉ちゃんが何か叫んでたよね?」

和「唯的にはうまくいくと思ってたんでしょうね」

憂「お姉ちゃんをまた捕まえたの…?」

和「そうよ」

憂「…………」

和「とりあえず水でも飲みなさい」

憂「う、うん……」


唯「カッターナイフ~」

と、言うわけで私は隠し持っていたカッターナイフを取り出した

でもまだ行動は起こせない
和ちゃんは思っていた以上にガードが堅い

すでに2回も返り討ちにあっている私は慎重になっていた

唯「よっと……」

紐はすぐに切れるようにしておいた
憂への用が終わったらきっとここに帰ってくる

その時にまた様子を見よう

澪「う、うう……」

唯「澪ちゃん?」


どうやら澪ちゃんが意識を取り戻したらしい

唯「澪ちゃん大丈夫?」

澪「ゆ、唯……?」

澪ちゃんはまだ瞳がとろんとまどろんでいる

唯「ごめんね、苦しかったでしょ」

澪「あれ…? 唯、お前……」

唯「和ちゃんは強敵だった……」

澪「なんだ、せっかく逃げられたのにな」

あ、澪ちゃん今鼻で笑ったね?
まあいいよ すぐに和ちゃんも私のモノになるから……





翌日の桜ヶ丘高校 軽音部部室

そこには紬と和の二人

紬「今お茶入れるわね」

和「ありがと」

紬「澪ちゃんどうだった?」

和「信じられないって顔してたわ」

紬「うふふ…仕方ないわよ、裏切られたようなものだから」



回想

澪「え…和…!?」

和「ごめんね澪…澪にはしばらくこのままでいてもらうわ」

澪「え…え…?」


和「簡単に唯に捕まるようじゃ駄目よ、反省しなさい」

澪「い、嫌だ……」

唯「…………」

私は特に何も言わなかった
だって、澪ちゃんにはこのままでいてもらったほうが都合がいいから

澪「和! 約束が違うだろ!!」

和「約束? そんな約束したかしら」

澪「おい……」

和「別に一生監禁するわけじゃないわよ」

澪「でも…でも……」

和「もう観念しなさい」


澪「んっ!?」

唯「あっ…」

澪ちゃんは口をガムテープで塞がれた

和「唯…」

唯「分かった…」

和ちゃんは私の口にもガムテープを貼った

でも、こうされることは予想通り
今は不審な行動を取らないのが重要

和「じゃーね二人とも」

和ちゃんは部屋から出て行った

回想終わり


紬「あらあら澪ちゃん可愛い」

和「そうね」

コンコン

紬「あら? 誰かしら?」

純「失礼します……」

紬「あら純ちゃん?」

純「あの…ちょっと聞きたいことがあるんですけど…」

和「どうしたの?」

紬「まあとにかく座ってちょうだい、お茶入れるわね」

純「あ、すみません」

和「それで…どうしたのかしら?」

純「憂と梓のことなんですけど……」


和「…………」ピク

純「最近、二人が学校に来ないんです 連絡も取れないし…」

紬「はいお茶入ったわよ~」

純「あ、ありがとうございます」

和「梓ちゃんは知らないけど、憂なら風邪よ」

純「風邪…ですか?」

和「唯もね」

紬「(相変わらずの演技力ね)」

純「あの……」

和「ん?」

純「なんで軽音部だけ学校休んでるんですか?」

和「…………」

純「ちょっと調べたら…憂のお姉ちゃんと律先輩、それに澪先輩も今日学校きてないんです」

和「はぁ…勘がいい子で困るわね」

純「え…? 会長何か知ってるんですか?」

和「5人は唯の家よ」

純「え・・・なんで…」

紬「(あらあらあら)」

和「私たちがあの子たちを監禁してるの、OK?」

純「い、意味がよく……」

和「純ちゃん、今から選んでちょうだい」

純「え、選ぶ…?」

和「私たちに協力するか、それとも唯たちと同じように捕まるか」

純「な、何を言って・・・・・・」

和「もう知っちゃったからね、その二つ以外に選択の余地はないわよ」

純「え…えっと……」

紬「(和ちゃんって何気にひどいわよね…)」

和「と、言っても答えを聞くことは出来ないみたいだけど」

純「あ、あれ…(なんだか・・・眠…)」

紬「ごめんね純ちゃん、さっきのお茶・・・睡眠薬入りなの♪」

純「う・・・・・・」ドサッ

和「で、この子どうするの?」



夜、唯の家

唯「私の家の人口がどんどん増えていく…」

紬「まあみんな一緒がいいでしょ?」

唯「そりゃそうだけど・・・てゆーかムギちゃん久しぶりだね」

紬「本当ね」

和「元はと言えば唯から始まったんだからね」

唯「むっ、失敬な 最初は澪ちゃんだよー」

澪「…・・・・・・・・・」

和「唯・・・随分余裕ね」

唯「別に・・・だって暴れても無駄じゃん」

和ちゃんの前で隙を見せるわけにはいかない
今は期を待つことが大事

純「・・・・・・・・・・・・」

隣で寝てる純ちゃんには起きたら事情を説明してあげよう

澪「うー・・・んー・・・」

唯「ねえ澪ちゃんの口も解放してあげれば?」

和「澪は・・・まだ駄目ね」

澪「うう・・・・・・」

唯「なんか眠くなってきちゃった・・・私寝るね」

和「そう、じゃあ私たち帰るわね また明日来るから」

唯「うん、じゃーね・・・・・・」



帰り道

和「唯・・・何か企んでるわね」

紬「あらやっぱり?」

和「何か考えがないとあんな余裕は見せれないわよ」

紬「もし、その余裕も唯ちゃんの計画だったら?」

和「その時はまた捕まえるまでよ、だって唯は私のモノなんだから・・・」

紬「(うふふ・・・また面白くなりそうね・・・)」

唯の部屋

唯「さーて・・・・・・次は逃さないからね・・・・・・ふふ・・・・・・」


“唯「監禁!2」”おわり

“唯「Confinement!3」”に続く?




最終更新:2010年06月08日 21:15