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会場
唯「みんなどこかな…?」
律「あっ唯~!こっちこっち!」
唯「あ、りっちゃん!」
澪「今日はちゃんと遅刻しないでこれたな!」
紬「今日は頑張りましょうね♪」
梓「きっと優勝できます!」
唯「うん!でもね、和ちゃんや憂も出るからわからないよ~」
律「マジで!?和って確か相当な腕前だったんじゃ…」
澪「私は和のウォーバニットに負けたことある…」
梓「そんなに強いんですか…?」
紬「大丈夫!今の私たちだってかなりのものよ!」
唯「そうだよ!それにまずは、目の前の相手に勝つことを考えようよ!」
律「ゆ、唯が珍しくまともなことを言ってる…!!」
唯「むぅ、私だってやるときはやるよ~!」
梓「あ、そろそろ私たちの試合が始まるみたいですよ!」
律「よっしゃー!じゃあいっちょいくか!」
『おー!!』
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HTTは見事なチームワークと意外性で次々と勝ち上がり、準決勝まで辿り着いた
一方憂たちも、純の不安要素はあるものの、持ち前のコンビネーションで順調に勝ち進んでいた
しかし、
その他にも恐るべき強さで相手をあっという間に戦闘不能にするチームがいた
黒いスーツを着た初老の男性率いるそのチームは、どこか冷たい雰囲気を醸し出していた
唯「ついにきたよ…準決勝!」
澪「ドキドキドキドキ」
律「おっし!じゃあチームは…」
梓「さっきは律先輩と澪先輩が出てましたよね、少し休んで回復してあげてください!」
紬「そうね、私たちが出るわ」
律「わかった。でも唯、ケロ、お前ら全戦じゃないか、大丈夫か?」
唯「大丈夫大丈夫!みんなのおかげでほとんどダメージも受けてないからね!」
ケロ「ぴんぴんしてるよ!」
澪「が、ががががんばれよ!!!」
律「おいおい澪ちゅわん、声が裏返ってますわよ?」
唯「ありがとう澪ちゃん、私たち、絶対勝ってくるよ!」
紬「ええ、まだアクビちゃんの必殺技を見ていないもの、次に繋がなきゃ♪」
梓「大丈夫です!きっと勝てます!」
律「お、和たちだ」
和「みんな、すごいわね。ここまで勝ち残るなんて」
律「へへっまあな~!」
唯「和ちゃんたちもすごいよ!」
梓「純、ちゃんと戦ってますか?」
和「ええ、ただ純はムラがあるけどね…」
純「そんな…私が先陣を切ってるつもりだったのに…」
憂「あはは…でもさっきの試合は純ちゃんが活躍してたよね」
純「でしょ!?ほ、ほら、そうなんだよ~」
梓「はいはい」
純「流された…!」
唯「憂、ちゃんと会えたね!」
憂「うん!お姉ちゃん達と戦えるなんて嬉しいよ!」
唯「どっちが勝っても恨みっこなしだよ?」
憂「もちろん!お互い悔いの残らないようにがんばろう?」
唯「うん!」
紬「そろそろ始まるみたいね」
和「いくら唯だからって手加減はしないわよ?」
唯「うん、私たちも負けないからね!」
和「…ふふっ。がんばりましょ」
純「梓、ネコより犬の方が強いって所をみせてあげるから!」
梓「いや、純のメダルはサルでしょ…」
憂「戦う前なのに和やかだな~」
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うるち「合ファイッ!!」
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唯紬梓チーム VS 和憂純チーム
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和「レオン、調子は?」
レオン「良好だ、和」
和「よかった。ここが正念場よ、よろしくね」
レオン「御意」
憂「すーみん、私…」
すみ「お姉ちゃんと戦うのは気が引ける、か?」
憂「うん…やっぱり遠慮しちゃうよ」
すみ「憂、お前は優しいね。でもそれは優しさじゃないな」
憂「え…?」
すみ「お前のお姉ちゃんは本気でぶつかってくるはずだよ」
憂「うん…」
すみ「それを、そんな気持ちで受けてもいいのか?」
憂「…私も、本気でやらなきゃ!」
すみ「それでいいんだよ、行こう…憂」
純「よっし、ポチ犬、いくよ!」
ポチ犬「さっき調子良かったから今度は不安だなあ…」
純「ばか犬!そんなんじゃだめ!」
ポチ犬「だから犬じゃないってば~…」
純「ま、なんでもいいじゃない!今までどおり行こうよ」
ポチ犬「そうだね、やるだけやってみようか」
唯「ケロ、ついに憂たちと戦うんだね!」
ケロ「ういは優しいからゆいに遠慮しちゃうんじゃない?」
唯「そんなことないよ!」
ケロ「えっなんで~?」
唯「だって憂は私が本気でやるってわかってるから」
ケロ「そうだけど…」
唯「私に手加減することが優しさじゃないって、きっと思ってるはずだよ」
ケロ「唯はなんでもわかるんだねぇ~」
唯「えへへ…よし、いこっか!」
梓「あずにゃん3号、憂たちより早く動ける?」
3号「わからない…でもあずさが信じてくれるなら、きっと大丈夫!」
梓「うん、いつでも私はあずにゃん3号を信じてるよ」
3号「ありがと、あずさ」
梓「唯先輩とケロを…守ろうね」
3号「ふふん、まかせといて!」
紬「ナースちゃん、今回ばかりは一筋縄では行かないわ」
ナース「ええ、なんとなくそう感じていたわ」
紬「もしかしたら完全防御が間に合わないかもしれないけど…」
ナース「わかってるわ、私はみんなの補助役だもの♪」
紬「ええ…絶対に勝とう、ナースちゃん」
ナース「はい、紬ちゃん」
憂「行くよ、すーみん!」
すみ「ああ!」
静寂を破ったのはすーみんだった
疾風のごとく走り、即座にケロの背後に回る
ケロが一瞬で理解できたことは、司会からすーみんが消えたという事実だけだった
すーみんの左腕のハンマーが振りかざされる
梓「あずにゃん3号!」
3号「にゃっ」
振りかざされた左腕がケロの頭部に直撃する直前、赤い閃光がすーみんに襲い掛かる
すーみんは素早く射程距離外に出る
梓「させないよ、憂」
憂「梓ちゃん…さすがに速い」
あずにゃん3号は更に攻撃を仕掛ける
右腕のライトジャブに電撃を走らせ、すーみんとの距離を一瞬で詰める
和「レオン、シュートバレル」
目の前の敵に夢中になるあずにゃん3号の背後から、的確かつ強力なライフルが迫る
梓「!!」
紬「ナースちゃん!」
ナース「はい!」
光に包まれたナースがあずにゃん3号の援護に回り、ライフルを打ち消す
和「やるわね…ムギ」
紬「ふふ、簡単にみんなを傷つけさせはしないわ♪」
唯「は、速い…」
ケロ「ついていけるかな…」
唯「あ、ケロ、あれ」
純「は、速い…」
ポチ犬「さっきまでと全然動きが違うよ…」
唯「あずにゃんたちの動きに目が行ってるみたいだね」
ケロ「ちょっと撃ってみよう~」
軽い気持ちで撃たれた銃弾は偶然にもポチ犬の右腕を捕らえる
ポチ犬「あいたっ!」
ケロ「あ、あたった」
何の気もない弾丸は、防御体制をとらなかったポチ犬のエイムライフルを偶然破壊してしまった
和「えっ?」
梓「えっ?」
純「えっ?」
空気が一瞬にして凍りつく
和「ちょ、ちょっと純、何してんの!」
純「す、すいません!!あまりにも速かったんで見入ってました…」
憂「純ちゃん、しっかり!」
純「ご、ゴメン・・・」
唯「やった!やったよ、ケロ」
ケロ「わーい!」
梓「喜ぶのはまだ早いです!」
紬「そうね、これから攻撃の手が激しくなるわ、気をつけましょう」
梓「憂たちのスピードはかなりのものです。あずにゃん3号と同じくらい…」
唯「そうだね…私は一瞬何が起きたのかわからなかったし…」
紬「憂ちゃんのスミロドナッドは梓ちゃんにひきつけてもらうしかなさそうね」
梓「はい。おそらく和さんが援護してくると思うので…唯先輩、足止めをお願いしますね」
唯「うん、わかった!」
和「どう?梓たちのスピードについていけそう?」
憂「はい、多分、互角だと思います」
和「そう、よかった。なら問題ないわ」
憂「補助、お願いしますね、和ちゃん」
和「まかせて。純は落ち着いて攻撃を当てることに専念するのよ」
純「はいっ!」
憂「すーみん!」
梓「あずにゃん3号!」
二つの閃光が再び激しくぶつかり合う
スピードに関してはまったくの互角で、お互いに攻撃を触れさせない
唯「ケロ、パテリィバルカン!」
ケロ「うん!」
あずにゃん3号を狙うレオンとポチ犬をマシンガンで牽制する
さすがのレオンもこれには回避に徹するしかなかった
純「くっ!ポチ犬!おかえしだよ!」
ポチ犬「あたれっ!」
ポチ犬の執念がこもったライフルがケロ目掛けて撃たれる
ケロは攻撃の手を緩め、防御に転じる
ケロ「うぐぅ」
紬「ナースちゃん、継続リペアよ!」
ナース「はい!」
すかさずナースが補助に回り、ケロの回復を図る
和「これじゃ拉致が空かないわね…」
憂「私に任せてください!」
憂「すーみん、トラップ設置!」
すみ「わかった!」
あずにゃん3号との競り合いの隙を見つけ、ケロの足元にトラップを設置した
トラップはステルス仕様で、仲間以外には見えないように設計されている
すみ「これでおっけ…おっと!」
3号「よそ見してるとあぶないよ!」
すみ「…だな」
和「これでOKね…」
唯「ケロ、こっちも援護するよ!」
ケロ「おっけー!」
ケロがもう一度マシンガンを撃とうとすると、脚部に衝撃が走った
ケロ「いっ…!」
和「今よレオン、テンションアップ!」
レオン「了解した」
レオンが視線をすーみんに送ると、レオンの頭が光りだした。
すると、すーみんの体も同様に光りだす
憂「梓ちゃん、勝たせてもらうね」
梓「えっ…?」
次の瞬間、すーみんの動きが更に速くなる
あずにゃん3号が右腕を振り抜く
しかしそこにすーみんの姿はなく、空を切っただけだった
梓「なっ…!?」
3号「消えた…!」
すみ「後ろだよ」
梓たちがすーみんに意識を向ける前に、ストローハンマーがあずにゃん3号の右腕を砕く
3号「うぐっ…!!」
憂「まだだよ!」
続けざまにフレクサーソードで脚部を切り付ける
あずにゃん3号は咄嗟に避けようとしたが、あまりの速さに回避しきれず片足に深いダメージを負う
それに耐えながらも必死で走り、すーみんとの距離を大きく離す
3号「いた…」
梓「大丈夫!?あずにゃん3号!」
3号「だいじょうぶだよあずさ。でもこのままじゃやばいかも…」
梓「このスピードじゃ唯先輩はついていけない…」
唯「大丈夫!?あずにゃん!」
ケロは和たちの攻撃を避け、ナースに回復してもらいながらあずにゃん3号に視線を向ける
紬「あの脚部じゃ…憂ちゃん達のスピードにはもう…」
梓「大丈夫です!私たちが憂を倒します!」
唯「でも、どうやって…?」
梓「あずにゃん3号、いけるよね…」
3号「もちろん!」
梓「憂…勝負だよ」
憂「梓ちゃん…」
覚悟を決めたように2人と2体は対峙する
梓「あずにゃん3号…絶対勝とう」
3号「うん!」
梓「痛いかもしれないけど…こらえてね」
3号「あずさと一緒なら痛くなんかないよ」
憂「すーみん」
すみ「ああ、お姉ちゃんと戦わせてやる」
憂「ううん」
憂「梓ちゃん達は全力でくる…すみも本気でぶつかって欲しいの」
すみ「…そっか、わかったよ、憂」
2体の姿が閃光と化す
次の瞬間、2体の距離は0になっていた
お互いの左腕を相手の頭部に向けて振り抜く
憂「すーみんの方が速い…!!」
同時かと思われたスピードはわずかにすーみんの方が速かった
あずにゃん3号の頭部にとてつもない衝撃が走り、視界が激しく揺らぐ
意識が遠のく
3号(だめだった…ごめんあずさ)
倒れかけるあずにゃん3号の耳に声が響く
梓「まだ!!まだだよあずにゃん3号!!」
3号「あずさ…!」
通常なら機能停止している状態のはずのあずにゃん3号の目に光が灯る
試合前に言っていた梓の言葉が浮かぶ
(唯とケロを守る…)
3号「負けない…!!」
頭部にめり込んだすーみんの腕を押し戻しながら、自らの左腕を振りかざす
すみ「なに…っ!」
左腕が太陽のように眩しい電撃を放つ
3号「これで…最後っ!!」
最後の力を振り絞り、頭部を捉える
すみ「ぐ…ッ!!」
クリティカルヒットしたサンダー攻撃は、すーみんの頭部を打ち砕いた
すみ「」
3号「やったよ…あずさ」
3号「」
2体は力なく倒れこみ、そのまま機能停止した
最終更新:2010年06月12日 00:23