澪「唯」
唯「なに?澪ちゃん」
澪「今からどんなことが起きても手を出さないでくれ」
唯「…」
澪「あいつと…一対一で戦いたい」
唯「…わかったよ」
澪「ありがとう」

澪「アクビちゃん、行こう」
アクビ「ああ」


アクビの体が光を放つ


唯「あ、あれは…?」
律「…メダフォースだ」
唯「メダフォース?」
律「ああ…簡単に言ってみればメダロットの必殺技みたいなもんだ」
唯「必殺技…」

澪「斉藤…お前を倒す」
斉藤「…面白い。ブラックビートル!」


ブラックビートルも同様に光りだす


唯「あっちも…!」

澪「アクビちゃん…一斉射撃!!」
アクビ「おおおおお!!」

斉藤「…一斉射撃」
BB「…」

激しい衝撃が走り、2体の魂が形となってぶつかり合う

アクビ「ぐ…!」
BB「…!」

斉藤「ほう…なかなかやるな。だが脚部の損傷が原因で威力が弱いようだ」


アクビ「ぐう…おおおおおお!!」
澪「アクビちゃん!!」


斉藤「終わりだ。」


ブラックビートルのメダフォースがアクビに直撃する

※一斉射撃だけど、アニメのようなかめはめ波みたいなものだと思ってください



アクビ「…」
澪「アクビちゃん…」

頭部以外の全てのパーツが機能停止し、立つこともままならない

斉藤「止めをさせ、ブラックビートル」
BB「…」

銃口をアクビに向ける

唯「ケロ!!」
ケロ「わかってる!」
アクビ「手を出すな!!」
唯「でも…!」
アクビ「いいんだ。俺達は全力で戦った。それで負けたなら全てを受け入れる」
澪「アクビちゃん…!」

斉藤「やれ」

容赦なくガトリングを浴びせる

アクビ「…」

視界が揺らぐ

アクビ「み…お」
アクビ「」

アクビは機能停止した


斉藤「フッ」
斉藤「天下のアークビートルも友情などというものに流されればこんなに脆い物になる」
澪「…何?」
斉藤「私は違う。メダロットはただの戦闘用の道具だ。心などない。」
唯「違う!!」
斉藤「ならばかかって来い。すぐにわかる」

唯「いけえ!ケロー!!」
ケロ「やっつけてやる!」

がむしゃらに走り出すケロ

斉藤「…くだらん。こんな奴に弾を使う必要もない。ブラックビートル、相手をしてやれ」
BB「…」

ガトリングを乱射しながら走ってくるケロをかわし、蹴りを入れる

ケロ「う…ぐぅ」
唯「まだまだ!!」

すぐに体制を建て直し、またがむしゃらに突撃する

斉藤「…」

カウンターで拳を胸部にめり込ませる
体を回転させ、蹴り付ける

ケロの体が数m吹き飛んだ

ケロ「…うう」
唯「立ってケロ!みんなの分も戦うんだよ!!」
ケロ「…わかってる…!」


しかし戦況は変わらず、ブラックビートルに触れることすらできないまま、一方的になぶられる
すでにケロの身体の損傷は重度になっていた


斉藤「勝負は決まったな」
唯「ケロ!!」
ケロ「まだ…まだ」
斉藤「まだ立ち上がってくるか」
斉藤「もう遊びは終わりだ…始末しろ」

ブラックビートルはケロの頭を鷲掴みにすると、勢い良く地面に叩きつける

ケロ「がっ…!」
唯「ケローー!!」

唯の叫びはブラックビートルには届かない
何度もケロを叩きつける

ケロ「」

斉藤「撃て」

頭を掴み、地面に押し付けた状態でライフルを発砲する

澪「…っ!」
律「…く」

あまりの残虐さに澪と律は思わず目を背けた

唯「…」

斉藤「終わりだな。」

試合場に背を向ける斉藤

唯「まだだよ」

斉藤「何?」
唯「ケロはまだ…機能停止してないよ」
斉藤「バカな事を……何…?」

斉藤が振り返ると、そこにはケロが立っていた

唯「私達の絆は…この程度じゃ壊せないよ」
ケロ「…絶対…負けない」


ケロの身体が光りだした


律「…メダフォース…か?」
澪「そ、そうみたいだ…」

斉藤「…フフフ…本当にイライラさせてくれる」
斉藤「ブラックビートル!!」


再びブラックビートルがメダフォースを発動させる


ケロ「これがメダフォース…」
唯「ケロ!いくよ!」
ケロ「うん!」

斉藤「一斉射撃だ」
BB「…」


再び2つのメダフォースが衝突する


斉藤「絆…愛情…くだらん」



(※ケロのメダフォースにも一斉射撃的なものがあると脳内補完してください)


~~~~~~

斉藤父「そんな仕事振りで執事が務まるか!!」パシン!
斉藤「すみません、父さん…」
父「本当にお前は要領が悪いな!一家の恥だ」
斉藤「…」
父「お前は後々、琴吹家に仕えるんだ。少しは自覚しろ」
斉藤「……はい」
父「もういい。今日は寝ろ」
斉藤「…おやすみなさい。父さん」

父「本当に出来の悪い息子だ」
母「ええ。兄弟の末っ子とはいえ、あそこまでとは思わなかったわ」
父「もし失態でも犯したら、私達の評価まで下がりかねないからな」

斉藤「…。」


~~~~~~

斉藤「別荘の支度が整いました、紬お嬢様」

紬「わかったわ。ご苦労様、斉藤」

斉藤「いえ、紬お嬢様のお世話をするのが私の仕事ですから」

紬「いつもわがままを言ってごめんなさい。斉藤には迷惑をかけているわね…」

斉藤「そんなことはございません。琴吹家に仕えることが私の誇りですから」

紬「斉藤…もっと砕けて話してくれてもいいのよ?私の方がずっと子供なんだから」

斉藤「とんでもありません。執事は常に主人に忠実でなければと父に教わりましたので…。」

紬「…ふふ、わかったわ」


~~~~~~

斉藤「…戯言だ」

ケロ「押され…てるよ、ゆい」

唯「頑張って、ケロ!!」

ケロ「ぐぐ…」


梓「ケロ、負けないで!!」

紬「唯ちゃん、しっかり!」

唯「あずにゃん、ムギちゃん…」

和「なにしてんの!しっかりしなさい、唯!」

純「唯さん、ケロー!」

憂「お姉ちゃん、頑張って…!」

唯「…和ちゃん、純ちゃん、憂」

律「戦ってるのはお前らだけじゃないぞ!」

澪「ああ、みんな一緒だ」

唯「りっちゃん…澪ちゃん…」

ケロ「ゆい…たーくんやアクビちゃん…みんなの想いを感じる」

唯「うん…私達は2人だけで戦ってるんじゃない!」

ケロ「身体に力がみなぎってくる…!」

ケロが放つ光が強さを増す
そして激しい衝撃と共にメダフォースの力が何倍にも上がる

律「あれは…!?」

澪「遠隔強化…」

律「メダフォース中にメダフォースが発動したってのか!?」

澪「ああ…そうとしか考えられない…それに」

律「遠隔強化はアマガエルの最終覚醒…エリオプスが使える技だ」

澪「覚醒…したんだな、ケロが。」


唯「いけえええっ!」

ケロ「うおおおおっ!」

ケロのメダフォースがブラックビートルのそれを一気に押し戻す

斉藤「何…!?」

斉藤とブラックビートルがメダフォースの光に包まれる





BB「」

斉藤「…」

斉藤の足元にメダルが寄り添うように転がる


うるち「ブラックビートル、機能停止!HTTチームの勝利です!!」


唯「勝った…」
ケロ「勝ったの…?」

律「そうだよ!!お前らが勝ったんだよ!!」
澪「やったじゃないか!」

憂「お姉ちゃ~ん!!」ギュッ
唯「うい~!」ナデナデ
梓「唯先輩、ケロ…すごくかっこよかったです!!」
唯「いや~照れるなぁ」
ケロ「照れるなー」
和「唯たちにはいつも驚かされるわ…まさか10日程度で優勝だなんて」
唯「えへへ…でも私達だけの力じゃないよ!みんなの想いが伝わってきたもん!」
ケロ「うん!あずにゃん3号やナースちゃん、すーみんの気持ちも感じたよ」
純「これで祝勝会が開けるね!」
梓「そればっかだね…純」

唯「あ…たーくんとアクビちゃんは…」
律「大丈夫だ、損傷は酷いがシラフシステムが大分修復してくれてる」
澪「何日か安静にすれば回復できるよ」
唯「よかった…」
ケロ「眠くなってきた…」


……

斉藤「…負けた、のか…」

紬「そうよ。」

斉藤「…紬お嬢様」

紬「なぜ負けたかわかる?」

斉藤「私の実力不足が原因です」

紬「違うわ」

斉藤「…」

紬「あなたも気付いたんでしょう?」

斉藤「…私は考えていました。」

斉藤「私は幼少の頃から厳しく教育され、愛情を注がれずに生きてきました」

斉藤「そして荒んだ心のまま、琴吹家に執事として仕えた」

斉藤「そこで出会ったのが…紬お嬢様、あなたです」

斉藤「あなたはとても穏やかで、いつも温かかった」

紬「斉藤…」


斉藤「私はずっと、自分は道具だと思い込んできました」

斉藤「メダロットも同様に道具として扱ってきた…」

斉藤「でもあなたに仕えていると、違った思いも芽生えてきた」

斉藤「だから…この大会で答えを出そうと思ったのです。どちらが正しい考え方なのか…」

紬「…答えは、出た?」

斉藤「…はい。」

紬「そう…よかったわ」

斉藤「申し訳ございませんでした、紬お嬢様。私は責任を持って執事を辞めます」

紬「いいえ。私の友達を傷つけた罰として、これからも私に仕えてもらうわ」

斉藤「…かしこましました。」

紬「ふふっ」

斉藤「…今まで済まなかった…ブラックビートル」

BB「…」

斉藤「お前は…ずっと私についてきてくれたのだな」

BB「…」

斉藤「今さら遅いと思うが…ありがとう。」

BB「…遅くなんてないです」

斉藤「ブラックビートル…。」

BB「やっと…信じてくれたんですね」

斉藤「…すまん」



表彰式

うるち「優勝はHTTチームです!おめでとうございます!!」

唯「えへへ…」

律「いや~アイドルはツラいね~!」

澪「調子に乗るな」

梓「なんか…気持ちいいですね!」

紬「ふふ、そうね♪」

唯「そうだ!せっかくだからここで演奏しようよ!」

澪「な、何言ってんだ唯!ここは公共の場だぞ!?」

律「そうだぞ唯、いくら優勝したからって…」

唯「うるちさん、いいでしょ~?」

うるち「もちろんです!」

澪律梓「えっ」

紬「うふふ♪」


梓「で、でも、今日は楽器持ってきてないです…」

澪「そうだぞ、全員部室に置きっぱなしだ」

紬「その心配はいらないわ!斉藤」

斉藤「はい、こちらにお持ちしておきました」

律「なんて仕事の速い…」

斉藤「平沢様、田井中様、秋山様…本当に申し訳ございませんでした」

唯「んーん、もういいんだよ!」

律「まあたーくんを痛めつけたときのあんたは別人みたいだったからな、今は優しい目してるよ」

澪「わ、私も気にしてませんから!」

斉藤「……素晴らしいお友達をお持ちですね、紬お嬢様」

紬「そうでしょ♪」

うるち「それでは、HTTのみなさんによる緊急ライブを行います!」

唯「見ててね、ケロ、みんな!」

律「よっしゃ、いくぜ! 1、2、3、4!」


おしまい



補足
唯→ケロ(セーラーマルチ)
澪→アクビちゃん(アークビートル)
律→たーくん(キースタートル)
紬→ナースちゃん(セントナース)
梓→あずにゃん3号(ペッパーキャット)

さわ子→ジャスミン(ゴッドエンペラー)
憂→すーみん(スミロドナッド)
和→レオン(ウォーバニット)
純→ポチ犬(ブルースドッグ)

斎藤→BB(ブラックビートル)



最終更新:2010年06月12日 00:26