和「じゃあ待たせてもらおうかしら」

紬「紅茶飲む?」

和「あ、いただくわ」

紬「はい」

和「早いわね…ありがとうゴクゴク」

紬「どう?」

和「おいしいわ」

紬「そう、よかった」

和「……」

紬「……」


紬「おかわりどう?」

和「あ、お願い」
コポポ…

紬「はい」

和「ありがとう…ゴクゴク」

紬「どう?」

和「おいしいわ」

紬「そう」

和「……」

紬「……」


紬「おかわりどう?」

和「あっあの…」

紬「なあに?」

和「えっと…他のみんなは?」

紬「みんな楽器屋さんよ、私は先生に用事頼まれちゃって行けなかったの」

和「あ、そうなんだ…」

紬「……」

和「……」


紬「おかわr」

和「ね、ねえ、唯たちが帰ってくるまで色々見てていい?」(気まずくてじっとしてられない…)

紬「ええ、いいわよ?うふふ♪」(メガネ掛けてる娘もなかなか…)


和「これが唯のギターかぁ…ちょっと持ってみていいかしら」

紬「ええ、少しくらいなら大丈夫だと思うわ」

和「よっと…わ、結構重いのね…唯、いつもこんなの弾いてるんだ」

紬(…ピーン!)

紬「よかったら、少し弾いてみない?」

和「え、でも…」

紬「大丈夫よ、簡単なコードならすぐ覚えられるから♪」


紬「これがC…押さえてみて?」

和「えっと…こう?」

紬「ちょっと違う、こうよ」(和ちゃんの手、意外と小さくてかわいい…)

和「ちょ、ちょっと顔近い…」

紬「うふふ♪鳴らしてみて?」

ジャラ~ン

和「わ、気持ちいい…」

紬(私も気持ちいい…)


紬「じゃあダウンストロークでゆっくり弾いてみて?」

ジャンジャジャンジャジャ~ン

和「…わぁ、楽しい!唯が夢中になるの、分かった気がする!」

紬「そうよね~」(私は和ちゃんに夢中…)


和「…ふう、ちょっと疲れた、もう終わりにするわ」

紬「まあまあまあまあまあまあ、もう少しいいじゃない」

和「ううん、そろそろ…」ガリガリガリガリ

和「え…?」

紬「和ちゃん、壁の釘にギターが…」

ガラッ
唯「ムギちゃんただいま!…っ……?」


唯「ギー太…」

和「ご、ごめん唯、これは…」

紬「ごめんなさい唯ちゃん、私がやったの!」

和「!?」

紬「私が和ちゃんにギター弾いてみせてあげるって言って、それで釘に引っかけちゃって…」


唯「ひどいよ…ムギちゃん…」



律「たっだいまー!いやあ澪が道草食ってさぁ」

澪「アイス食べたいって言ったのはお前だろ!」

梓「遅くなってすいませんムギ先輩…ってどうしたんですか唯先輩?」

唯「…ムギちゃん、どうしてこんなこと…」

和「唯、これは…」

紬「しー…唯ちゃん、ごめんなさい、ちゃんと修理に…」

唯「む、ムギちゃんの…バカ!だいっきらい!」ダッ!

和「…ちょっと唯!」



律「おい、何があったんだよ?ていうかなんで和まで?」

澪「今唯が持ってたギター、どうしたんだ?」

梓「なんか傷がついてました」

紬「…私が勝手に使って傷を付けちゃったの」

律「ええ!?マジかよ?」

澪「それはヤバい…」

和「違うの、これは…」

紬「ギターは唯ちゃんに言って修理に出してもらうから
今日はもう帰るわね…和ちゃんも来て」

和「ちょっと…」


和「ねえ、なんであんなこと言ったのよ!?悪いのは全部私なのに…」

紬「…和ちゃんは唯ちゃんの幼なじみでしょう?嫌われちゃったら悲しいじゃない」

和「だからって…」

紬「私なら大丈夫よ?ほら、家のことで嫌われるのには慣れてるから」

和「そんなのダメ!今から唯のところに行ってホントのことを話そう?」

紬「ホントに大丈夫だから…それじゃまた明日ね、和ちゃん」

和「どうして…」



プルルルルル…

和「どうして出ないのよ、唯…」
~~~~

唯「グスン…ギー太…ムギちゃんのバカ…」




翌日

和「こうなったら直接話さなきゃ…」

憂「あ、おはようございます!」

和「おはよう、唯は?一緒じゃないの?」

憂「ええ、今日は学校行きたくないって…」

和「…そうなの…」

梓「唯先輩、休んじゃったんですか…」

律「ムギもまだ部活来ないし…」

澪「…なぁ律、どう思う?」

律「どうって?」

澪「ムギが人のギターを勝手に使うなんて考えにくいし…
それに人に聞かせるほど練習もしてないだろ」

律「…ってことは」

ガララ
紬「皆さんこんにちは~」

澪「ムギ…」

紬「遅れてごめんなさいね?さ、お茶にしましょう」

律「…なぁムギ、昨日のことだけどさ」

紬「今日はおいしいカステラを持ってきたの~律ちゃんはミルクティーがいいかしら?」

律「いやそうじゃなくて…」

澪「おいムギ!話聞いてくれよ!昨日、唯のギターに傷付けたのって…」

紬「私よ?勝手に唯ちゃんの大事なギターを使って、傷を付けてしまったの」

澪「でもそれは…」


和「もうやめて!」

澪律「和…!」

梓「先輩…」

和「唯のギターに傷を付けたのは私…なのに、私をかばって…」

紬「…なに言ってるの?和ちゃんはなにも…」

和「もういい!そうやって嘘ついたって、一番つらいのはあなたじゃない…!」

紬「……」

澪「本当なんだな、ムギ」

律「なんで嘘なんてついたんだよ!」

梓「先輩!?」

紬「…確かに傷を付けたのは和ちゃんよ。でも、ギターを弾いていいって言ったのは私…
原因が私にあるのは変わらないわ」

和「まだそんな…」

紬「…ごめんなさい、私…今日は疲れちゃった。先に帰るわね?
カステラは食べていいから…あ、唯ちゃんの分も取っておいてね?」ダッ

澪「ムギ!」

律「足はえー…ってそうじゃなくて、どうすりゃいいんだ…」

梓「ムギ先輩…大嫌いって言われたのに、唯先輩のこと気を使ってましたね…」

律「…ムギのヤツ…」

澪「よし、今から唯の家に行ってホントのことを話そう。いいな、和」

和「ええ、最初からそのつもりでここに来たんだから…!」


……

唯「ギー太…こんなに傷ついて…かわいそう…」

唯「ムギちゃんの、ばか…ばか…ばか…」

唯「…ムギちゃん、悲しい顔してたな…でも、勝手に使うムギちゃんが悪いんだから…」

ピンポーン

律「おーい唯!いるんだろ?」

唯「りっちゃん…」

和「唯!出てきて!話があるの!」

唯「和ちゃん…なんで?」


澪「出てこないなー唯」

梓「わ、私がネコミミ着ければ…」

ガチャ
唯「……」

和「唯…」

唯「…和ちゃんたち、なにか用?」

律「なにか用、じゃ…」

和「待って律、私から話すわ」

唯「…?」



和「…ということ。あんたのギターを壊したのは私なの。ごめんなさい。」

唯「…嘘」

和「え…」

唯「む、ムギちゃんに頼まれてそういうこと言ってるんでしょ?
それに和ちゃんはギターなんて弾かないもん」

律「唯、お前いい加減に…」

澪「律!黙ってろ!」

和「…あの子はね、あんたが私を嫌いにならないようにって嘘ついたの」

唯「……」

和「私ね、あんたのギター弾いた時、すごくわくわくした…
あの唯が夢中になるのも納得だって…そのおかげで、唯のことがもっとよく分かった気がしたの」

唯「……」

和「それも全部、ムギのおかげ…なのにあの子は、嘘ついてまで…
親友のあんたに嫌われてまで私のことを守ってくれたの…!」

唯「……」

和「そんな子が友達じゃなくなっても、あんたはいいって言うの!?」


唯「……」

律「唯!」

澪「唯…」

梓「唯先輩!」

唯「……ムギちゃん!」ダッ

律「唯!それ…ギー太持ってどこ行くんだよ!?」

唯「和ちゃんも来て!学校行こう!」

和「え!?でももう…」

唯「いいから!」



……

紬「…はぁ…」

紬(帰るなんて言っちゃったけど、結局、戻ってきちゃった…)

紬(大嫌い…って言われちゃった…でも、しょうがないか…和ちゃんのためだもん…)

紬「あれ?な、なんで涙が…おかしいわ…私ったら」

紬(…唯ちゃん…私…嫌われたく、ないよ…みんなで一緒に…いたい…)


バッタアアアアン!
紬「!?」


唯「む…むぎ…むむぎ…ちゃ…ヒッグ…」

和「ムギ…よかった…」

紬「ゆ、唯ちゃん?和ちゃん?なんでここに…」

唯「ムギぢゃあああああん!ごべえええええええええん!!!!」ガバッギュウウウ

紬「ゆ、唯ちゃん…」

唯「わ゛…私、ムギぢゃんにひ、ひどいごど言っで…ゲッホゲッホ…ホントに…ごべええん!!!」

紬「唯、ちゃん…」


紬「でも私のせいで、唯ちゃんの大事なギターに傷を…」

唯「いいんだよぉ…
ギー太は直せるけど、和ちゃんやムギちゃんと仲悪くなったらもう二度と直らないじゃんかぁ…」

紬「唯ちゃん…ありがとう。これからも、ずっと一緒にいてくれる?」

唯「当たり前だよおお!」

和「今の…告白…?」


唯「…そうだ、ムギちゃん和ちゃん、私、ギー太弾くから…聞いて?
傷が付いてたって、ちゃんと弾けるんだから!」

紬「わぁ♪」

和「シークレットライブ…ってやつね」

ジャーン…♪♪


紬「これ…」

和「翼をください…ね」

唯「この曲のおかげで、私みんなと仲良くなれたんだ。ムギちゃん、ありがとっ!」

紬「うん…っ」


「お~い!」

唯「あ!みんなだ!私、迎えに行ってくるね!」バタバタ


紬「…和ちゃん、ありがとう」

和「私は感謝されることなんてなにも…」

紬「もし和ちゃんがずっと黙ってたら、私…軽音部にいられなかったかもしれなかったわ」

和「わ、私だって、あのままじゃスッキリしないし…当然じゃない」
紬「うふふ♪ねえ、今度二人で一緒にお買い物に行きましょ?」

和「…うん、楽しみにしとく」



とりあえずおしまいです



最終更新:2010年06月19日 23:06