―――放課後、憂のクラス
紬「う~いち~ゃん」
憂「目の前に居ますよ」
紬「分かってるわ♪」
憂「な、何なんですか…」
紬「何か分かった事はあった?」
憂(…)
憂「コードネーム¨姉思い¨よりコードネーム¨沢庵眉毛¨に報告があります!」
紬「了解、コードネーム¨シスコン¨報告しなさい!」
憂「…」
憂「さっきトイレに向かった和さんを捕まえて話を聞いたんですけど」
紬「抜目ないわね、流石憂ちゃん」
憂「あの後澪先輩が和さんに色々昨日の事話してたみたいなんです」
紬「澪ちゃん、結構和ちゃんには気を許してるのね」
憂「和さん自身、人から話を聞き出すのが上手なのもあると思いますけど」
紬「なるほど…」
憂「話によれば、昨日澪さんも律さんやお姉ちゃん、梓ちゃんと同じく放課後の音楽室での出来事は記憶にないそうなんです」
紬「でもならどうして昨日の話を持ち出した時、あんなに恥ずかしがっていたの?」
憂「そこなんです。えっと、どうやら昨日澪さん、律さんの家に寄って行ったみたいなんですよ」
紬「あ~…確かにそんな事言ってたわ。りっちゃん、澪ちゃんを自分の家に誘ってた」
憂「はい。それで、どうやら澪さんの意識がハッキリした時…」
紬「ハッキリした時…?」
憂「澪さん、裸で律さんのベッドで一緒に寝ていたそうです。勿論、律さんも裸」
紬「…」ボタボタボタ
憂「紬さん、鼻血鼻血」
紬「なるほど、それでさっきりっちゃんに話をした時、りっちゃん顔赤くしてたのね」
憂「でも紬さん、私達、音楽室で起きた事の記憶が無い=犯人では無い、と仮定してきましたから…」
紬「皆シロになっちゃったわね」
憂「もう一度昨日の事を詳しく思い出してみませんか?」
紬「そうね、そうしてみましょうか。」
紬「…ところで、私の眉毛はそんなに沢庵に見えるかしら?」
憂「私、シスコンって言われる程お姉ちゃんにベッタリですかね?」
紬「…」
憂「…」
―――昨日、放課後
律「あれ?もう鍵空いてるじゃん」
唯「きっとさわちゃんが開けといてくれたんだよ~」
梓「今日はしっかり練習しますよ!」
澪「梓の言う通りだ、学祭近いし、みっちりやろう!」
唯「でもやっぱりその前に」
律「ティータイムだな!」
紬「ケーキはしっかり持って来たわよ~」
澪「お前等…」
澪「ったく…じゃあお茶飲んだら練習始めるからな?」
唯「大丈夫!分かってるよ澪ちゃん!」
紬「じゃあ紅茶いれるわね~」
梓「も~…もっと練習しなきゃいけないのに…」
律「今日のおっかしはなぁにかな~」
紬「今日はケーキを持って来たのよ」
唯「やった、ケーキ♪ケーキ♪」
梓「ケーキ…」ウズウズ
律「なんだかんだいって、梓も楽しみなんじゃないか」
澪「あ、ムギ、運ぶの手伝うよ」
紬「ありがとう澪ちゃん。じゃあお願いするわ」
澪「…ほら、ムギが紅茶入れてくれたぞ」
紬「それじゃあ、はい、ケーキ。好きなの選んで」
唯「どれにしようかな~」
律「いやぁ、それにしてもやっぱりムギのいれるお茶は美味いな~」ズズズ
澪「音立てて飲むなよ、律」
律「それくらい別にいいだろ~?」
紬「と、確かこんな感じだったわ。そして>>5に繋がるの」
憂「…少し気になる所があるんですけど」
紬「気になる所?」
憂「まぁ別にたいした事じゃないので置いておきましょう。それより実際に音楽室に行ってみませんか?何か分かるかも」
紬「もう多分りっちゃん達は居ると思うから、鍵は空いてると思う。行ってみましょうか」
※>>5
唯「あずにゃ~ん、はいあ~ん」
梓「せっ、先輩。恥ずかしいですよ」
唯「食べてくれないんだ…」
梓「あっ、えと、あ~んです。」モグモグ
唯「美味しい?」
梓「はい!とっても美味しいですよ。じゃあ…せ、先輩にも…あ~ん」
唯「わ、あ~ん。ん…美味しい~」
梓(先輩可愛いなぁ…)
―――音楽室
律「おっ、ムギ、遅かったじゃん。って、憂ちゃんどうしたの?」
憂「あ~、えっと、助手です」
律「助手?」
唯「助手って何か楽しそうだね~。ムギちゃんに憂、二人で何してるの?」
紬「犯人探しよ唯ちゃん」
律「は、犯人?」
紬「それよりりっちゃん、澪ちゃんと梓ちゃんは?」
憂「梓ちゃん、今日は確か日直じゃなかったかな?」
律「じゃあ梓はそれが理由だな。澪は…分からん」
紬(澪ちゃんが来てない理由…。なるほど…、段々分かってきたわ)
憂(紬さん、ちょっとこっちに来てください)
紬(…?)
憂(これ、白い粉が床に…)
紬(…きっとこれをお茶の中に入れたのね)
憂(ペロッといかないんですか?)
紬(コ○ン君じゃないんだから、そこら辺に落ちてる白い粉を舐める勇気なんてないわ…)
紬「りっちゃん!」
律「わ、突然大声出してどうしたんだよムギ」
紬「りっちゃんは澪ちゃんの事、好き?」
律「は、はぁ!?」
唯「ムギちゃん、いきなりどうしたの?」
紬「これはとっても重要なコトなの。答えて、りっちゃん」
律「…そりゃあ小学校からの付き合いだし、親友だから、好きだよ?」
紬「それは…友達としての、好き、でしょ?」
律「そっ、それ以外にどんな好きがあるんだ?」
紬「…りっちゃん、今から私が話す事を良く聞いていて欲しいの」
紬(っとその前に、憂ちゃん)
憂(何ですか?)
紬(私のカバンの中にビデオカメラがあるから、それで今から起こる事を撮影していて、お願い)
憂(な、なんで…。というかどうしてビデオカメラなんて持って来てるんですか…)
紬「まずは、昨日の話から。りっちゃんと唯ちゃんに澪ちゃん、それに今は居ないけど梓ちゃん…」
紬「昨日、皆は覚えていないと思うけど…皆、音楽室で凄い事をしていたの」
唯「私達の記憶が無いのと関係あるの?」
紬「ええ、皆が記憶を無くしたのは、お茶に入っていたある薬が原因なの」
律「く、薬ぃ?」
紬「そう。体が熱くなって、えっちになっちゃうお薬」
憂(紬さん、ストレートだなぁ)
紬「もう今思い出しても赤面する位凄かったわぁ…」
唯「ムギちゃん、私どんな感じだったの?」
紬「憂×唯も良いけど、梓×唯も悪くないと思う位の感じよ」
憂「紬さん、話が脱線してます」
紬「とと…ごめんなさい。」
律「なぁ、そんな事一体誰がするっていうんだよ?それに、皆をそんな風にして誰が得すんだ…」
紬「まぁ、この話は一旦横に置いておきましょう」
律「…は、はぁ?」
紬「私がこれからするのは、ある少女のお話よ」
律「ある少女?何かその、関係あるのか?」
紬「ええ、大アリ。」
紬「これからお話するのはあくまで、私の”想像”よ」
憂(紬さん、語り口がなんか…)
紬(最近あるライトノベルにはまってるのよ)
紬「その少女にはね、とっても仲の良い女の子が居るの」
紬「小学校からずっと一緒、いわゆる幼馴染ってヤツね」
紬「少女が困っている時、女の子はいつも助けてくれた」
紬「例えば少女が男の子に虐められていたら、すぐに駆けつけて男の子を蹴散らして」
紬「少女が転んで泣いていたら、少女を抱えて保健室まで行ったり」
紬「とにかく二人はとっても仲が良かったの」
紬「女の子は少女が大好きだったし、少女も女の子が大好きだった」
紬「だけど、ある時少女は自分の本当の気持ちに気付いたの」
紬「自分のその女の子に対する 好き が、友達に対しての 好き じゃないことに」
紬「少女は女の子のコトを、一人の女性として愛してしまっていたの」
紬「ねぇ、唯ちゃん」
唯「は、はいっ!?」
紬「女の子が女の子を好きになるって、おかしいことかしら?」
唯「ん、ん~…でも、その人が本当に好きなら、好きになっちゃたならしょうがないんじゃないかなぁ…?」
憂(…お姉ちゃん)
紬「ふふっ、私も唯ちゃんの言う通りだと思う」
紬「りっちゃん、りっちゃんはどう思う?」
律「どう…って言われても…続き…、話してよ、ムギ」
紬「うん。そして少女はこんな気持ちに気付かなければ良かったと思ったの」
紬「もう女の子を仲の良い友達というふうに見れない」
紬「もし彼女にこの気持ちを伝えたら、彼女は何て言うだろう」
紬「気持ち悪いといわれるだろうか」
紬「どちらにしろ、この気持ちを伝えれば女の子と普通に接する事はできなくなる」
紬「それならば、今のままでいいじゃないか」
紬「と、そう少女は思ったのよ」
紬「だけどある時、女の子がクラスの男の子に告白されてるのを見て」
紬「少女は耐えられなくなったの」
紬「少女は、もう自分の気持ちを伝えて楽になろう、とそう思ったのよ」
紬「ただ、少女には面と向かって女の子に自分の正直な気持ちを伝えられる程の勇気を持っていなかった」
紬「そこで…」
律「薬の力を借りた、って事か?」
紬「もう分かったわよね?」
紬「昨日、私がお茶を淹れる時にカップを運んでくれたのは澪ちゃんよ」
紬「その時に多分…何処で手に入れたのかは分からないけど、さっきの薬を入れたんだわ」
律「でも…その薬って言うのは、自分に素直になれる薬ってコトか?」
紬「興奮状態から、しばらくすると薬を飲んだ前後の記憶を忘れちゃうみたいね」
唯「そうしたら、告白して振られてもその記憶を忘れられるから…?」
紬「多分、そういうことなんだと思う」
律「でも待ってよ、それだと私のに入れる必要は無かったんじゃ…」
紬「多分、結局はりっちゃんの答えを聞くのが怖かったんだと思う…それが後で忘れてしまうとしても。ね、澪ちゃん?」
紬「居るんでしょ、澪ちゃん。扉を開けて入ってきて」
澪「…」
律「澪…」
澪「律、ごめん、その、私、最低だよな…ハハ…」
澪「学校の帰りにさ、突然変な奴に呼びとめられてさ」
澪「スゲーうさんくさい事言うんだ。これを飲めば素直になれるって」
澪「信じてなかったけど、無理やり手にそれ握らされて」
澪「でも、私本当に悩んでで…それで…使ってみたら…本当にゴメン、律」
律「…なぁ、澪」
澪「許されないって分かってるけど…」
律「なぁ、私昔からずっと気になってる奴が居たんだ」
澪「…え?」
律「ソイツ、スゲーほっとけない奴でさ…」
律「ずっと、小学生ん時からずっと好きだったんだよね。ソイツは私のことなんて、何とも思ってないと思ってた」
律「それにさ、別に友達のままでいいと私は思ってたんだ」
律「でもさ、ソイツの気持ちを私は今、知っちゃたから」
律「澪、好きだ!」
澪「…っえ!?」
澪「なんだよ…それ…馬鹿…馬鹿律…!」
律「ずっと一緒にいよう、な?好きだ、大好き」
澪「う…ぐすっ…私も好きだ…大好き…本当に好きっ…」
唯「ふぇ…良かったね澪ちゃん、りっちゃん…」
紬「憂ちゃん!?しっかり今の告白シーン取った!?」
憂「取りましたけど…ビデオカメラはこのためですか…」
紬「でもこれで一件落着ね!良かったわ!」
憂「…紬さん、私ちょっと行くところあるんで、ビデオカメラ、はい」
紬「行く所…?」
憂(そもそもおかしいでしょう…)
憂(澪さんが律さんのカップだけに薬を入れたなら)
憂(お姉ちゃんや梓ちゃんはああはならなかったハズ…)
憂(それにそ例の薬とやら…、床に落ちてたのはどうみても普通の食塩だった…)
憂(開いていた音楽室の鍵もそうだし…)
憂(澪さんに薬を渡した怪しい人物…)
憂「…さわ子先生、こんにちは。今から音楽室に向う予定だったんですか?」
さわ子「あ…憂ちゃん…こんにちは」
さわ子「ここの階段ですれ違うなんて偶然ね~」
憂「今、私音楽室から降りてきた所なので偶然じゃ、ないですけど」
さわ子「あらそう?」
憂「職員室まで行く手間が省けて良かったです」
さわ子「私に何か用でもあった?ごめんね~、私急いでるんだ、テヘ☆」
憂「紅茶の葉は全部変えておいたので、今音楽室に行っても先生が頭に描いてるような光景は広がってませんよ?」
さわ子「な…」
憂「昨日、お姉ちゃんたちより早く音楽室に行って、紅茶の葉に何か混ぜましたね?」
さわ子「…う」
憂「なんでそんなコトいしたんですか?」
さわ子「面白そうだったんで…」
憂「それで、バレた時に自分が責められない様に澪さんまで使って…」
さわ子「…」
憂「まぁ別にそんなことはどうでもいいんです」
さわ子「み、見逃してくれるの?」
憂「お姉ちゃんといちゃいちゃしていいのはですね、私だけなんです」
さわ子「…なんの話…?」
憂「昨日お姉ちゃんとベタベタしていた梓ちゃんは」
憂「きっと今頃、体育用具室で尿意と戦っているハズです」
憂「手足を縛って、口はガムテープで縛ってあるので」
憂「多分、助けも来ないだろうし、漏らしちゃうと思いますけど」
憂「ふふっ、高校1年生になってまでお漏らしするなんて…ふふふふ」
さわ子「ちょ…憂ちゃん?」
憂「もちろん、原因を作った先生にもそれなりに罰を受けて頂きます。何がいいですか?」
さわ子「ちょ、憂ちゃ…!?いやぁぁぁぁぁあああああ!」
―――――――――
紬「というお話なの♪どうだった?」
澪「どうだった…って聞かれても…」
梓「そもそも!私は唯先輩と間違ってもこんなことはしません!」
律「あーでも私たちはあるかもなぁ~」
澪「な、無いわっ!何言ってんだ馬鹿律!絶対無いっ!」
紬「み、皆が聞きたい~って言うから折角読んだのに酷いわ~…」
律「そりゃ部活中に必死に何かかいてたら、気になるでしょ…」
唯「ね~ね~ムギちゃん、それより決定的におかしい個所があるよコレ」
紬「え?」
唯「ムギちゃんも紅茶のんでるハズなのに、私たちみたいになってないじゃん」
紬「…あ」
おしまい
最終更新:2010年06月20日 02:08