――放課後・音楽準備室――
唯「おっす!」
律「おっす!」
唯「あずにゃーん!」
梓「にゃっ! やめてくださいー」
唯「可愛いー」
紬「うんうん」
澪「相変わらずだな」
アーチャー『……』
澪「ムギ、アイスコーヒーくれる?」
紬「ミルクは?」
澪「もちろん」
梓「もう! 離れてください!」
唯「あうー」
紬「どうぞ、澪ちゃん」
澪「ありがとう」
アーチャー『のどが渇いた』
澪『黙っててくれ』
アーチャー『ちぇ』
唯「りっちゃん。聡くんは元気?」
律「元気だぞー。なんといっても夜な夜な部屋から変な声が聞こえるくらい
だ!」
唯「聡くんも男の子なんだねー」
梓「唯先輩も律先輩もなに言ってるんですか!」
律「なにが?」
梓「――むー」
律「ほらほらー。梓ー、何想像したんだ? 人の弟で」
梓「離れてくださいー」
梓「うう……。聡くんだって、思春期なんですから……」
唯「あずにゃんったら、やらしー」
梓「にゃー」
律「おっかしいよなー」
唯「まあいいや。あずにゃんのえっちー」
梓「みおせんぱーい」
澪「コーヒー美味しい……」
紬「よかったわー」
アーチャー『座りたい』
澪『黙ってろ』
唯(あ、あそこにアーチャーがいるんだ)
――練習終わって――
唯「なんか、今日は頑張ったねー」
梓「唯先輩が練習したいって言い出すとは思いませんでした」
唯「ひどいなー。エロエロあずにゃんはー」
梓「エロくないです」
律「にやにや」
梓「にゃー!」
澪「梓も完全に向こう側になってきたな」
紬「私は?」
澪「向こう側だろ」
紬「しょんぼり」
アーチャー「!?」
澪『どうした?』
アーチャー『見られてる』
澪「……あ! 忘れ物した! みんなは先に帰っててくれ!」
唯「……じゃあ、ね」
澪「ああ」
澪(あわよくば、セイバーを連れてきてもらいたいけど……)
アーチャー『いくよ、ミオ』
澪『う、うん』
唯「――!」ダッ
ランサー「これは驚いたな――」
澪「!?」
アーチャー「なにが?」
ランサー「なにがって、お前は俺が知ってるサーヴァントじゃないってことさ。
念のため聞くが、なんのクラスだ?」
アーチャー「弓兵――」
ランサー「ケッ。いけすかねえな」
アーチャー「やるなら早くしよう。人が来たら、少し面倒だから」
唯「――セイバーちゃん!」
憂「おかえり、お姉ちゃん!」
セイバー「おかえりなさい。ユイ」
唯「セイバーちゃん、怪我は!?」
セイバー「……おかげさまで、完治しましたけど」
唯「早っ!」
セイバー「ユイと契約したのと、憂の料理をいただいたら、自分でも不思議な
くらいに早く回復しました」
唯「じゃあよかった! 来て!」
セイバー「……もしかして」
唯「サーヴァント! 澪ちゃんが危ないの!」
セイバー「――ウイ、食事は帰ってきてからで」
憂「うん。いってらっしゃい」
セイバー「それでは唯。私におぶさってください」
セイバー「飛びますよ――!」
唯「ふわあああああああああああああああああああ!!!!!」
憂「い、いってらっしゃい……」
セイバー「ユイ! 学校はどこにあるんですか!?」
唯「あっち!」
セイバー「わかりました! 速度を上げます!」
唯「ふわあああああああああああああああん!!!」
住民「?」
唯「見られてない?」
セイバー「普通の人間が視覚出来る速度ではありませんから、平気です」
唯「そっかぁ。えへへー」
セイバー「全開とまではいきませんが、ユイの魔力供給で十分戦えるくら
いに充実しています。感謝していますよ」
唯「うん! それじゃあ、澪ちゃんを助けに行くよー!」
ランサー「ああ! うざってえ奴だ!!」
アーチャー「?」
ランサー「てめえ! 弓はどうした!」
アーチャー「家に忘れてきた」
ランサー「死ねィ!」
アーチャー「弓兵は目が死ぬほどいいのを忘れたの? これくらい楽々
避けられるよ」
ランサー「なら――スピードをあげて――!」
アーチャー「だから、そういう問題じゃないの。天津飯にかめはめ波がき
かないのと同じだよ」
澪「アーチャー!」
アーチャー「心配無用だよ、ミオ。武器なら持ってきてるから」
ランサー「なんだと!」
アーチャー「秋山家のフライパン」
ランサー「は?」
アーチャー「だから、フライパンだって」
ランサー「馬鹿にしてんのか!」
アーチャー「してないって。本気じゃないけど、ふざけてはいないよ」
ランサー「てめえに宝具に対する誇りはねえのか!」
アーチャー「もちろんあるよー」
ランサー「くそったれ!」
澪「……」
アーチャー「このフライパンだって、意外に強いんだから」バコン!
ランサー「ゴッ」
アーチャー「……あーあ。フライパン壊れちゃった。もうこれ、ただの凶器
だね」
ランサー「――殺してやる。受けろ、我が必殺の――」ズオ……
アーチャー「しまった。これはやばい」
唯「とー!」
セイバー「ちゃーーーーーく!!!!」
地面「バコオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!」
ランサー「は?」
アーチャー「よっし。これで因果律狂った! さすが私の幸運!」
セイバー「――」
唯「ほら、セイバーちゃん。言ってよ。アレ、言ってよ」
セイバー「言いません」
唯「言ってくれたら、私の分のおかず半分あげるよ」
セイバー「正義の味方、セイバーさん参上!」
アーチャー「……」
ランサー「セイバー、もしかしてお前も俺が知らないセイバーなんじゃ……」
唯「セイバーちゃんカッコいい!」
セイバー「ありがとうございます。ユイ」
澪「唯!」
唯「澪ちゃん! お助けに来たよ!」
アーチャー「登場したまではいいから、もう帰っていいよ」
唯「ぶー! セイバーちゃん!」
セイバー「はい!」
アーチャー「ちょっと聞いてる? 邪魔なの。じゃ、ま」
セイバー「貴女がアーチャーですか」
アーチャー「そうよ。セイバーって、意外に小さいのね」
セイバー「貴女も対して変わらないでしょう」
アーチャー「……ま、そうね。セイバー、あの子供を連れて帰ってくれない?」
セイバー「あの子供というのは、私のマスターのことか」
アーチャー「やっぱりそうなんだ。セイバーって最良のサーヴァントっていう
のに、随分とまあ貧相なマスターね。うちのマスターはもうバインバインよ」
セイバー「マスターを愚弄するか。弓兵」ギリ
アーチャー「ありゃりゃ。冗談よ冗談。アンタを敵に回してもウマくないわよ」
セイバー「ユイ、敵はどちらですか?」
唯「青いほうだよ。ちょっとむかっとするけど、アーチャーは仲間」
セイバー「わかりました。たとえ人間的に欠陥があったとしても、味方は
味方です」
アーチャー「ミオー。やっぱりランサーしか狙っちゃダメ?」
澪「当たり前だ。それに、今のおまえはフライパンが武器じゃないか」
アーチャー「変形させれば、結構凶(わる)い武器になるのよ?」
澪「そんなことはどうでもいいから、ランサーだけだ」
ランサー「やっべえ……」
ランサー「二人がかりはきついな。しかも、相手はセイバーときたもんだ。
これは、逃げさせてもらうぜ!」ヒュン
アーチャー「ミオー。いい?」
澪「え? よくわからないけど、うん」
アーチャー「せいやっ」ヒュッ!
唯「フライパンを投げた!」
ランサー「は?」
フライパン「ギュルルルルルルルルル!!!」
ランサー「おいおい、どこの世界にクリモミ回転で飛んでくるフライパンが
あるんだよ!」スコン!
アーチャー「一応命中だけど、さっすがランサー」
セイバー「問題なく逃げていきますね」
澪「もしかして、これがアーチャーの宝具?」
アーチャー「そんなわけないでしょ。これは私自身のスキルみたいなものよ」
セイバー「投擲のスキルですか」
アーチャー「そんなところかな。どんな物体でも超高速で遠くまで投げられる
のよ。まっすぐオンリーだけど」
唯「役に立たない力だね。セイバーちゃんの方がよっぽどすごいよ」
アーチャー「なに?」
唯「べーだ」
セイバー「やめてください」
澪「アーチャーもいい加減にしろ……」
アーチャー「はいはい。このちんちくりんが引けばおとなしくしてるのよ」
唯「フンだ!」
澪「……それで、唯。考えてくれたか?」
唯「セイバーちゃん、澪ちゃんとアーチャーと協力するけど、いい?」
セイバー「いい作戦だとは思います。ユイは聖杯戦争について詳しくない。
それに、学校の友人なら、ユイもミオも信頼しあえるでしょう」
アーチャー「ワタシは無視?」
セイバー「アーチャーには令呪が効いていると見受けるが?」
アーチャー「素晴らしい。さすがは騎士(セイバー)のクラス」
セイバー「……私は、賛成です」
唯「だってさ! よろしくね、澪ちゃん!」
澪「あ、ああ!」
――?――
キャスター「あらあら、セイバーとアーチャーが手を組んだのね」
キャスター「少し、困ったわね」
アサシン「なにがだ?」
キャスター「あらアサシン。山門は?」
アサシン「この屋敷の門は厳重だから、問題ないと言ったのはお主であろ
う? 拙者はお主の用心棒といったところだ」
キャスター「ああ、そうだったかしら」
アサシン「年増となると、耳が遠くなるのか?」
キャスター「アサシンのクラスは、魔力遮断するとどれくらいで消えるのかしら」
アサシン「勘弁してくれ。笑えない」
キャスター「……このアーチャーを、私は知らない」
アサシン「?」
キャスター「白髪の双刀を操る弓兵が、私の知っているアーチャーよ」
アサシン「ああ」
キャスター「じゃあ、このアーチャーはだれなの?」
――次の日の学校――
唯「澪ちゃーん」
澪「あ、唯。今日は早いな」
唯「セイバーちゃんって、朝が早いんだよー」
澪「そうなのか。真面目そうだもんな」
唯「アーチャーは?」
澪「一応、側にいるよ。もう令呪が使えないから、置いてくるわけにもいか
ないんだ」
唯「そうなんだー」
澪「……そういえば、憂ちゃんは大丈夫?」
唯「憂ならセイバーちゃんと仲良くやってるよ」
澪「そうじゃなくって、聖杯戦争のこと話したのか?」
唯「言ってないけど、セイバーちゃんが走るところは見られちゃってるよ」
澪「じゃあ、セイバーが人間じゃないことは知ってるのか」
唯「……でも、憂はいい子だよ」
澪「それは知ってるよ」
アーチャー『眠い……』
澪『寝てろ』
唯「澪ちゃんとアーチャーって、仲良いよね」
澪「そうかな? まあ、なんとなくやりやすい奴ではあるけど」
アーチャー「――」
唯「うーん。私はやりにくいかなー」
澪「なんでだ?」
唯「なんか、苦手なの」
澪「珍しいな。唯が人のことを苦手だなんて」
唯「私も。こんな人がいるなんて思わなかったよ」
澪「お、律が来た。それじゃあ、この話は終わりにしよう」
唯「うん。秘密だもんね」
律「おはよ、唯と巨乳」
唯「おっはー」
澪「ぶん殴るぞ!」ゴチン
律「殴ってるじゃん!」
紬「あらあら」
律「いててて。和ー、助けてー」
和「助けないけど」
律「ちくしょー!」
紬「なでなで」
律「むぎゅうマジ天使!」
紬「そんなことないわよ~」
唯「あははー」
姫子「おはよ、みんな」
律「うおっす!」
姫子「ホントに、律たちっていつも元気だよね」
律「元気なのが軽音部の持ち味だー!」
唯「イエイ!」
和「軽音部じゃないんですけれども……」
姫子「和も同じようなものだってー」
澪「姫子もずいぶんなことを言うな~」
紬「でも、和ちゃんが軽音部だったら、もっと楽しくなりそうよね」
和「そうかしら?」
唯「和ちゃーん!」がば
和「せめて脈絡をつけてから抱きつきなさい!」
姫子「あはは……」
アーチャー『……』
最終更新:2010年06月25日 21:20