唯「がおー」

紬「あーれぇー」

唯「えんぴつをよこせぇー」

紬「はい」

唯「しょりしょりしょり」

紬「ああ、私のえんぴつがけずられちゃうー」


梓「……なにやってんですか」


唯「えんぴつ削り星人だよ」

梓「いや、だからなんですかその鉛筆削り星人って」

紬「エンピツ削り星人にエンピツを渡すと削られちゃうのよ」

唯「がおー」

梓「わけがわかりません」


唯「がおー」

梓「えーと…どういうことなんですか、これ」

律「あー、なんか新しいエンピツ削りを買ったのが嬉しいらしくて、朝からあんな調子なんだ」

梓「はぁ……なるほど」

唯「くくく、こよいのえんぴつ削りはえんぴつに飢えておるわ…くくく」

紬「きゃー!あんなに削ったのにまだ満足してないなんて!なんて恐ろしいえんぴつ星人!」

唯「くっくっくっ」

紬「きゃー!きゃー!」



澪「やれやれ」 ハァ


澪「おい唯、鉛筆もいいけど、いいかげんに」

唯「おおーっ!!!?」

澪「?」

紬「正義の味方よ!正義の味方が現れたわ!!」

澪「!?」

唯「おのれ、地球のえんぴつを守る……なにトラマン?」

澪「えっ?え、えーっと」

紬「ミオトラマン?」

唯「おのれ、ミオトラマンめー!」 ばばっ

澪「え!ちょ、ちょっとまって!それはなんか嫌だっ!」

唯「えー?じゃあなんか考えてよぉ」

澪「う、うーん……トラマン、トラマン…」 ぶつぶつ



梓「澪先輩……っ」

律「ミイラ取りがミイラになってやがる」



唯紬「ごにょごにょ(決まった?)」

澪「ごにょごにょ(う、うん)」


唯「おのれ、パヨトラマン・レディー!地球のえんぴつを守りに来たかー!」

紬「いやーん!たすけて、パヨトラマンレディー!」

澪「えーと、鉛筆削り星人め、どこからでもかかって来い。」



梓「……なんですか、パヨって」

律「なんとなく語感が澪っぽい気がしないでもない」


唯「くくくく、そんな軽口をたたけるのもいまのうちだよ!これを見ろっ!」

澪「あっ」

紬「ああっ!あれは、パヨトラマンレディーのふで入れ!?」

澪「……」

唯「くくくっ、そこで見ているがいいよ、おまえの愛用のえんぴつの先をみんな尖らせてや……っ!?」

澪「ふっ」

唯「ぐ、ぐわわあーっ!」

紬「ああっ、突然えんぴつ削り星人が苦しみだしたわ!なにがおこったの!?」

唯「こ、これは!これはーっ!」


澪「私は……シャーペン派なんだッ!!」 ドカーン


唯「ウギャアーッ!!」 バターン


唯「うぐぐ」 ぴくぴく

紬「ありがとう、パヨトラマンレディー!おかげで地球のエンピツたちは救われました!」

澪「いやあいやあ」 テレテレ

紬「パヨトラマンすてき!かわいい!かっこいい!」

澪「いやあいやあ」 デレデレ


梓「……あのう」


澪「はっ!?」 ビクゥ


梓「澪先輩……」 ジトー

澪「」 カアァァァ

澪「い、いやこれは違うんだ!いや何が違うのかというとえーと」

律「ノリノリだったじゃん」

澪「ちが!イヤイヤだったんだ!そりゃ少しはアレだったけど、それはあくまでイヤイヤのノリノリであって」

梓「澪先輩……」 ジトー

澪「はううぅぅぅぅ」 カアァァァ

唯「よっこいしょ」 むくり

律「あ、復活した」

紬「きゃー!えんぴつ星人が復活したわー!!」

唯「あずにゃんはえんぴつ持ってる?」

梓「えんぴつですか?いえ、私もシャープペンしか持ってないですけど」

唯「ちぇー」


紬(あ、おわってたんだ……)


唯「りっちゃーん、のはもう削っちゃったしぃ」

律「休み時間のたびに来られるのはちょっと迷惑だぞー」

唯「むむむー。もう削れるえんぴつがないよう」


ガチャ

茜「おはようございまーす」


唯「は!」

唯「デビちゃーんっ!」 がばっ

茜「ひゃあ!?」


唯「もむもむもむ!」 もごもごおっぱもご

茜「ひゃああ!?ちょちょ、ちょっと唯先輩っ? /// 」

唯「ぷは!デビちゃんはもちろんえんぴつ派だよね!?」

茜「え?えんぴつ、ですか?はい、使ってますけど」

唯「やったあーーーー!!」 パアァァァ



梓「…」 ぺた ぺた

律「生きろ」


茜「はい、これです」

コト

唯「こっ、これは!」

紬「あらぁ」

律「おおー」

澪「うわ、懐かしい」

梓「鉛筆キャップとか見たの、小学生の時以来だよ…」

茜「えっへん」


唯「ちょっといい?」

茜「はい?」

すぽん

律「わ、みじかっ!」

茜「えへへ」 テレテレ

梓「相変わらず物持ちいいよね、茜は」

茜「えへへー」 テレテレ

唯「削れない…」 しゅん

茜「?どうしたんですか、唯先輩」

律「あー、新しい鉛筆削りがかくかくしかじか」

茜「そうだったんですかー」

唯「ごめんね、返すよデビちゃん」

茜「いえいえ、こちらこそお役に立てず」

澪「でも、削る時はどうしてるんだ?それ」

茜「はい、これはナイフを使って、浅く浅く削るんです!」

梓「なんかもう職人芸だよね、それ」

茜「そうだ!よかったら唯先輩にもナイフで削るやりか…」


                憂(ニコ)


茜「!?」 ゾッ

唯「ん、なあに?デビちゃん」

茜「い、いえなんでもない…です(なんかどこからかお姉ちゃんに刃物持たせんなよ的な殺気が…)」


澪「ほら、もう鉛筆はないんだから、そろそろ練習するぞ?」

唯「ぶー。わかったよミオトラマン」

澪「みっ、パヨトラマンレディーだっ!」

唯「えー?」

梓(パヨトラマンレディーならいいんだ……)


茜(え、私のおかしは?貴重なカロリー摂取源はっ!?)

紬「ふふ、ちゃんと取ってあるから。練習終わってから、ね♪」

茜「ムギ先輩ッ!」 ジーン



~~~~~~~~~~~~~つぎのひ!~~~~~~~~~~~


唯「むっ、りっちゃん勉強してきてない!」

律「わ、わるかったな!ていうか、家で勉強する時は別のえんぴつ使うだろ!」

唯「けち」

律「ケチなん!?これケチなん!?」

紬「うふふ♪」


唯「しょうがない、遠征に赴くとするよ」

紬「遠征?」



唯「がおー」 しょりしょり

風子「あ、ありがとう…」


唯「がおー」 しょりしょり

姫子「ふふ、ありがとっ」



律「おお、大人気だ……」

紬「うふふ、そうね♪」


唯「くっくっくっ、見よ、この戦果!」 カパ

律「おー」

紬「大量ね!」

唯「ふっふっふー」 えばりっ

律「で、どうすんだ?この削り節」

唯「ごみ箱に」 ぽんぽん

律「ですよねー」



~~~~~~~~~~~おひるやすみ!~~~~~~~~~~~


唯「ムムムー」

律「どしたん?唯」

唯「教室中のえんぴつを削りきっちゃったよう」

律「ついにやったかー」

唯「どうしよう、これじゃあもう削るえんぴつが」

紬「唯ちゃん、はい」

唯「おおう!」


唯「いいや」 ポン

紬「あら?」

唯「やっぱりもっと丸くなってないと、削った気がしないもん」

紬「それで2時間目のりっちゃんのエンピツにも興味を示さなかったわけね」

律「昨日よりも通になってやがる……」

唯「こうなったら、遠征だよ!」

紬「あら、また?」

唯「今度は前とは違うよ!大遠征だよ!!」

唯「いってきます!」 びしっ

だだだだだだだっ



紬「いってらっしゃーい♪」 ひらひら

唯「他のクラスに迷惑かけなきゃいいけどなぁ」

紬「ふふ」


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最終更新:2010年06月28日 23:40