憂「お姉ちゃん、いつまでも寝転がってないで寝なよ?」

唯「う~ん、テレビ見てから~」

憂「んもう…
あ、こんなところにギター置きっぱなしにしてしょうがないなあ、部屋に置いて来るね?」

唯「いいよ自分で持ってくからあ」

憂「いいから…あっ!」


ツル…ガタン!

唯「ギー太!」

憂「お、お姉ちゃん、ごめ…」

唯「傷が付いちゃった…憂、ひどいよ!」

憂「わ、わざとじゃ…」

唯「持ってかなくていいって言ったじゃん!どうして勝手なことするの!?」

憂「お、お姉ちゃんだって…
そんなところに置いとくのが悪いんじゃない!」

唯「う…」

憂「だいたいそんな大事な物だったらちゃんと保管しとけばいいんだよ!」

唯「う…で、でも落としたのは憂でしょ!?開き直らないでよ!」

憂「それは…だ、だいたいお姉ちゃんはいつもいつもだらけすぎだよ!
もっとちゃんとしてよ!」

唯「そう…そういう風に言うならわかったよ…」

憂「…え?」

唯「私、いつもだらけてるから…いつも真面目な憂とは合わないんだね…」

憂「お、お姉ちゃん、何言ってるの?」

唯「私もうこの家出ていく!憂なんて大っ嫌い!」

憂「…!お、お姉ちゃ…」

唯「今までお世話になりました!お父さんたちにもよろしく!」


バタン!


憂「……」

憂(どうしよう…今追いかければ…)

憂(でも…お姉ちゃんがだらしないのは私が甘やかすからじゃないの!?)

憂「だったら…私、追わないほうがいいよね…どうせすぐに帰ってくるはずだし」

憂(ごめんねお姉ちゃん…私、今は追わない!)



……

唯(あれ、憂追いかけてこない…ふんだ!絶対帰らないもんね!)

唯「はあ…とはいったものの…これからどうしよう…
周り真っ暗だし携帯も忘れちゃったし…怖いなあ…」

唯「そうだ!和ちゃん家に…
あ、でも多分すぐに帰れって言われちゃうか…」


唯「こうなったら…あそこに行こう!」


ピンポーン

聡「はーい!あ、えっと、確か姉ちゃんの…」

唯「あのう…りっちゃんいますか?」

聡「おーい!姉ちゃーん!友達が来てるぞー!」

律「誰だよこんな遅くに…って唯!?
どうしたんだよそんな格好で!」

唯「りっちゃん…」

律「ふーん…憂ちゃんとそんなことがねえ…」

唯「それで家飛び出して来ちゃって…
りっちゃん、ご迷惑でしょうが今晩泊めてくだせえ!」

律「よっしゃ!親友の頼みとあっちゃほっとくわけにゃいかないぜ!
何日でも泊まっていきな!」

唯「りっちゃああん!ありがと~う!」

律「あ、でも憂ちゃんに一応連絡はしとくぞ?」

唯「いいよしなくて!私はもう家出したんだから!」

律「いいか唯、冷静に考えてみろ?
このまま憂ちゃんがお前の居場所を知らないままだととどうなるか」


唯「うーん?」

律「心配した憂ちゃんは警察に通報、当然学校にも連絡は行くよな?」

唯「うん」

律「夜中に一人で外出したことがバレれば、先生たちは激怒…軽音部の廃部を決定!」

唯「そんなあ!」

律「そして私たちはバラバラに…絶望した澪はアブナイ仕事に手を出して…」

唯「や、やだよそんなの!りっちゃん、早く憂に電話して!」

律「よし!」


律(やれやれ、唯を納得させるのも骨が折れるぜ…)

憂(もう0時…お、お姉ちゃんまさか変な人に誘拐されて…!?)


プルルルルルルルル

憂「もしもしお姉ちゃん!?」

律『あー、えっと、律だけど…』

憂「律さん…すいません、お姉ちゃん今ちょっといないんでまた…」

律『あ、唯なんだけど、今ウチに来てるんだ』

憂「え?ホ、ホントですか?」

律『う、うん…それで今日は唯泊めるから、憂ちゃん心配しないでな?』


憂(お姉ちゃん、また人に迷惑かけて…もう知らない!)

憂「わ、私別に心配なんてしてません!」

律『いやそんな意地張らないでさあ…』

憂「お姉ちゃんに伝えてください!私お姉ちゃんがいなくてせいせいしてるって!それじゃ!」

律『ちょ…』

律「…だってさ」

唯「う、憂め…私、絶対帰らないもんね!」

律「お前らやっぱり似てるんだなあ…お互いに意地張っちゃって」

唯「似てないもん!…あ、私ここ来るまでに汗かいちゃった…お風呂借りていい?」

律「おー、ってお前手ぶらじゃん…
着替えは私の貸してやるから入ってこいよ」

唯「ありがとうございますりっちゃん!」

唯(りっちゃん家のお風呂入るの初めてだなあ…なんか落ち着かないや)

唯「憂のバカ…」

唯(でも…やっぱり私が悪いのかなあ…あーもうよくわかんないや!)

聡「あ、あのー…」

唯「ん、この声は聡くん?なあに?」

聡「き、着替えとタオルここに置いとくんで!それじゃあ!」

唯「はーい…あ、ちょっと待って聡くん!」

聡「はい?なん…」

唯「私、聞きたいことがあるんだけど!」


ガラガラ

聡「んなっ…!」

唯「聡くんはさ、りっちゃんとケンカしたらいつもどうやって仲直りするの?」

聡「あ、あ、あの…ちょ、ちょ…」

唯「私、妹とケンカしちゃったんだけど…どうすればいいのかなあ?」

聡「あ、あ、あ、あ、お、お、っ…俺…し、失礼しましたあ!」


バタン!ダダダダ…

唯「ありゃ?聡くんどうしたんだろ?」

律「おかえり唯ーさっぱりしたか?」

唯「うん!でも聡くんがちょっと変だった」

律「変?」

唯「なんか私が話しかけたら走って逃げちゃったの…」

律「ん?あいつ照れてんのかな?まあ明日ちゃんと言っとくよ」

唯「うん!じゃあ寝ようか!」

律「そうだなあ」

唯「りっちゃん!枕投げやろう!」

律「やるか!部屋が散らかるだろ!」

唯「ぶー…」




深夜3時

唯「うぅ…う…」

律「うーん…唯?」

唯「うぅ…ういぃ…ごめんね…うい…」

律「唯…よしよし、どうした?」

唯「えぐ…私…夢見たの…憂が…いなく…なっちゃ…うぇぇ…」

律「唯…」

律「大丈夫だよ、明日ちゃんと仲直りできるから」

唯「…ほんと?」

律「ホントだって!私と聡もしょっちゅうケンカするけどいつも仲直りできるからな」

唯「…うん」

律「さ、寝るぞ?」

唯「うん…ねえりっちゃん、一緒のベッドで寝ていい?」

律「おう、おいで」

唯「わあい♪」




翌日

唯「おはようりっちゃん…」

律「おふぁよう」

唯「あれ、なんでほっぺ腫れてるの?」

律「お前がひっぱたくからだろが!タオルケットは一人じめするし!」

唯「ご、ごめーん…ところでなんで制服?今日土曜日だよ?」

律「いや今日は全校登校日だろ?」

唯「あっ…」

律「おっす聡!」

唯「おはよう聡くん!」

聡「お、おはよう…ございます」

律「ん、なんかやつれてるぞ?顔赤いし…どした?風邪か?」

聡「な、なんでもない!俺は友達ん家遊び行くから!じゃ!」

唯「ばいばーい」

聡「あ、その前に…昨日の質問の答えなんですけど…」

唯「ん?」

聡「えっと…その、仲直りするのには…やっぱり離れちゃいけないと思います」

唯「離れちゃいけない?」

聡「兄弟とか姉妹って…小さい時から一緒だし、
近くにいればお互いの気持ちが分かって、自然に仲直りできると思うんです」

唯「聡くん…」

律「なんだあ聡、ずいぶんかっこいいこと言うなー?」

聡「う、うるさい!」

唯「ありがとう聡くん!私、自信出てきた!」

聡「は、はあ…」

唯「よし!ごほうびになでなでしたる!」ナデナデ

聡「あ、あ、あ、そ…」

律「阿蘇?山か?」

聡「そ、それじゃまた!」


ダダダ…

唯「ありゃりゃ、また走っていっちゃった…」

律「唯、お前も罪な女だな…」

唯「ふえ?」

律「さ、今日学校だし、制服だって家だろ?早く家帰らなきゃな」

唯「うん!私、憂にちゃんと謝る!」

律「おう!とっとと仲直りして気持ちよく部活やろうぜ!」

唯「おう!じゃあ行くね!りっちゃん、一晩ありがとう!」

律「いいってことよ!頑張れよ!」




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最終更新:2010年07月03日 04:59