……

純「はあ……」

純(憂のばか……)

純(これじゃ昨日楽しみで全然眠れなかった私が馬鹿みたいじゃん)

純(やっぱり私じゃむりだったのかな……)

純(もういいや。これからも憂とはいい友達として……)

憂「純ちゃ~ん!」タタタタ

純「! う、うい!?」

憂「よかった……。部活に行く前に、聞いてほしいことがあるの」ハアハア

純「……なに?」

憂「あのね、今日髪留めをつけてこなかったのは……時間が無かったからなの」

純「……」

憂「どの色のをつけて行ったら純ちゃんは喜んでくれるかなって悩んでたら、時間が……」

純「……」

憂「だから、けっして純ちゃんが嫌いなわけじゃなくて……それで」

純「そのヘアゴムは誰の?」

憂「へっ!? これ? これは梓ちゃんのだけど」

純「へえ……。そうか。憂は唯先輩に飽き足らず梓にまで手を出すんだ」

憂「ち、違うよ! これは梓ちゃんが」

純「もういいよ。ごめんね憂。私が出しゃばった真似をして」

憂「だ、だからこれは本当に……」

純「……」

憂「……」


純「……じゃあ、私、部活に行くから」

憂「ま、待って純ちゃん!」

純「なに?」

憂「わ、私……あの……」

純「……」

憂(どうして? なんで言えないの? ただ、好きって言うだけなのに……)

憂「純ちゃんのことが……その……」

純「無理しなくていいよ憂。私のことはいいから」

憂「じゅ、純ちゃん」

純「それじゃあね」

憂「あっ……」

憂「……」

憂(言えなかった……)

憂(梓ちゃんや軽音部の人たちがせっかく応援してくれたのに……私、言えなかった)

憂(やっぱり、私純ちゃんのこと好きじゃなかったんだ)

憂(勘違いしてたんだ。一時の気の迷いだったんだ。ただの私の早とちりだったんだ)

憂(そうなんだ……。そうだったんだ……)

憂(ごめんね純ちゃん……)

……



――ジャズ研

純「……」ベンベン

一年生A「どうしたんですか純先輩?」

純「えっ? なにが?」

一年生B「なんだか元気がないですよ?」

純「そ、そんなことないって」

一年生A「そうですか」

純「……」ベンベン

純(憂は……すっごく優しいから、私に気を遣ってるんだ)

純(私があんなものプレゼントしたせいで、憂は好きでもないのに私に好きって言おうとしたんだ)

純(でも……こんなのダメだよね。憂に悪いよ)

純(……あきらめよう)

……

一年生AB「おつかれさまでしたー」

純「うん、おつかれ」

バタン

純「はあ……」

純「明日っからどうしようかな……憂とどう接すれば……」

純「うん? あれは……憂?」

憂「……」

純「う、ういっ!? どうしたの? もう下校の時間だよ!」

憂「純ちゃん……私ね、純ちゃんが部活に行ってから今まで一生懸命考えたんだよ」

純「えっ……」

憂「私、純ちゃんのこと、好きかなって」

純「!」ドキン

憂「私、純ちゃんのこと大好き。友達としても、女の子としても」

純「!!」ドキドキン

憂「でも……お姉ちゃんも、梓ちゃんも大好き、なの」

純「うっ……」

憂「だから、こんな欲張りな私じゃ純ちゃんを好きになる資格なんかないの」

純「ううっ……」

憂「ごめんね……ほんとうにごめんね、純ちゃん……」ポロポロ

純「な、泣かないでよ憂」

憂「ごめんね、純ちゃん。ごめんね……ごめんね……」ポロポロ

純「あ……う……」


憂「うぅ……ひっく……」

純「……ああもう!」

憂「!!」ビクン

純「せっかくあきらめようと思ったのに……そんなこと言われたらあきらめきれないじゃん!」

憂「純ちゃん……?」

純「憂!」ガシッ

憂「は、はいっ!?」

純「欲張りだとか何だとかそんなの関係ない! 私が憂を好きだからそれでいいじゃん!」

憂「!」

純「私は憂が好きなの! 中学校のころから好きなの! 高校入ってからも好きなの! 大好きなの!」

憂「うぅ……ひっく」

純「これでいいでしょ! 憂のばかっ!」

憂「じゅ、じゅんぢゃ~ん!!!」ダキッ

純「うわっ! 急に来ないでよ……!」

憂「私も好き! 大好き! 大好きだよー!」ウワアアン

純「……えへへっ、私も大好きだよ」ギュッ

憂「ううん、私の方が大好きだよ!」

純「いや、私の方が好きだよ」

憂「私だよ!」

純「私!」

憂「私なの!」

純「私だもん!」

憂「えへへっ、やっぱりどっちでもいいや」

純「そうだね」アハハ

純「あっ、そういえばせっかく髪上げてたのに下ろしちゃったんだ」

憂「だって、純ちゃんが怒っちゃうから……」

純「ごめんごめん……そうだ!」

憂「なに?」

純「私のタイを使って……このとおり!」ムスビ

憂「じゅ、純ちゃん……///」

純「うん! 似合ってるよ!」

憂「ありがとう、純ちゃん!」

純「どたまして~」

憂「純ちゃん大好き!」

純「私も大好き!」



律「なんだあのバカップルは」

梓「見てるこっちが恥ずかしくなりますね」

澪「女の子同士……ありかも……///」

梓「まあ、成功してよかったですよ。説得した甲斐がありました」

律「そうだな! これにて『純ちゃんを応援するの会』は解散!」

澪「うん!」

律「あれ? ムギは?」

梓「ムギ先輩ならさっきの純の告白で奇声を上げながらどっかに走り去りました」

律「そ、そうか……」


唯「……」ジー

澪「ゆ、唯……」

澪(やっぱりムギの言うとおり、憂ちゃんのことが好きのか……?)

唯「……」スタスタ

梓「唯先輩!? どこ行くんですか!?」


純「それじゃ、帰ろうか」

憂「うん!」

唯「……憂」

憂「! お、お姉ちゃん!」

純「唯先輩……」


唯「これはどういうこと?」

憂「あの……これは……その……」

純「唯先輩! 憂と付き合うことになりました鈴木純です!」

唯「……」

純「協力してくださいって言ったときに逃げたってことはそうなんですよね?」

憂(純ちゃん、それは私だったんだよ!)

純「でも! 私のほうが憂のこと好きですから! どうかお許しを!」

憂「純ちゃん……///」

唯「……ひどいよ憂」

憂「うっ……」


唯「私より先に恋人作るなんて!」

憂「えっ……?」

唯「もう、私がお姉ちゃんなのに!」プンスカ

純「あ、あの……」

唯「あっ、純ちゃん! 私も妹が増えてうれしいよ! 憂のこと、よろしくね!」

純「は、はいっ!」

憂「お姉ちゃん……」

唯「憂。おめでとう!」

憂「うん! ありがとうお姉ちゃん」

律「はああ……。冷や汗掻いたわ」

澪「まあ丸く収まってよかったよ」

梓「はいっ!」

梓(……よかったね憂)

紬「こ、これで……一件落着……ね」ガクガク

律「おうムギ。戻ってきた……うわああっ!?」

梓「ムギ先輩が鼻血で死にそうだ!」

澪「ひいいいいぃぃっ!!?」

紬「これでわたしに……悔いは……ない……純ちゃん……おしあわ……せに……」ガクン

律「ムギッ!? ムギーーーーーッ!!」

……


――帰り道

梓「唯先輩、一緒に帰りましょう」

唯「うん……」

梓「いやー、まさか憂があんなことになるなんて思ってもみなかったですよ」

唯「……」

梓「ゆいせんぱい?」

唯「うぅ……やっぱりざびじいよおおぉ」ウワアアン

梓「ちょっ、いきなり泣かないでくださいよ!」

唯「びえええん!」

梓「……もう。唯先輩!」

唯「なーにー?」ヒック

梓「わ、私が憂の代わりになりますよ」

唯「あずにゃんが?」

梓「そうです。寂しいと思ったらいつでも私のところへ来てください」

唯「あずにゃん……! ありがとうっ!」ダキッ

梓「うわっ! こんな道端で抱きつかないでください!///」

唯「えへへっ」ギュー

梓「……んもう///」

……



――一週間後

憂「純ちゃん! 一緒にごはん食べよ!」

純「いいよ! 食べよう食べよう!」

憂「はい! 純ちゃんの大好きな卵焼き!」

純「……」

憂「ど、どうしたの? 純ちゃん」

純「憂があーんしてくれなきゃやだ」

憂「も、もう。はい、あーん」

純「あーん……んむ。……うまいっ! うますぎるよ憂!」

憂「えへへっ///」

純「あっ、ほら、私も弁当作ってきたんだよ」

憂「本当!? わあ、すごい独創的!」

純「一生懸命ほめてくれてありがとう」

憂「じゃあ……そのこげ茶色の物体が食べたいな!」

純「卵焼きだね。じゃあ、あーん」

憂「あーん……んむ」

純「ど、どうかな?」

憂「し、刺激的でエキセントリックな味だね!」ゴホゴホ


純「本当!? じゃあ明日も作ってこよう」

憂「じゅ、純ちゃん! 私が純ちゃんの分も作ってきてあげるよ!」

純「そう? ならお願いします」

憂「よろこんで~」

純「えへへっ、大好きだよ、憂」

憂「私もだよ、純ちゃん」


キャッキャ ウフフ


梓「……」

梓「……やっぱもげろ」


おわり



最終更新:2010年07月04日 01:53