そんな私に、ムギは続ける。
紬「やっぱり心配ですし、それに澪さんが一番律さんとお家が近いですから」
唯「はいはーい私も行…むぎゅ!」
梓(しーっ!唯先輩!ここは大人しくムギ先輩に任せましょう!)
澪「しかしだな…」
紬「駄目ですよ澪ちゃん?これは澪ちゃんにしか出来ない事なんですから」
有無を言わせない笑顔。
澪「~~~…仕方ないな、ムギがそこまで言うのなら…」
ムギが、今の私の状況を打破するキッカケを作ってくれた…。
……
一階から話し声が聞える…。
私はまどろみの中でその会話を聞いていた…。
『あら、いらっしゃい』
『こんにちは、律居ますか?』
『あら?あの子ったら連絡入れてなかったの?ちょっと風邪ひいて寝込んでいたのよ』
『え?』
『もう大分良くはなったんだけどねぇ…。あ、そうだ、少しの間律を見てくれないかしら?私ちょっとお買い物に行かなければならないの』
『はい、わかりました』
そして、階段を上がってくる足音を聞く。
律「みおー?」
扉を開ける前に言い当てた。
澪「…当たり…」
律「… … … …」
扉を開けて、部屋に入って来る澪。
澪「…風邪…、引いたんだって?」
複雑な表情…。
律「…うん、さっきまで寝てて今は落ち着いてる…」
澪「メール見てなかったのか…」
そう言われたので確認したら、ムギからのメールが一通入っていた。澪の口調からして部室からか。
律「ごめん、気が付かなかった…」
澪「…確か、よく似た事が前にもあったよな…」
思い出す。うん、前にもあったな…。
澪「… … … …」
律「… … … …」
気まずい沈黙が部屋を支配する…。そしてそのまま数分が過ぎた頃、澪が口を開いた。
澪「…なぁ、この前の事…」
思わず、被ったシーツの中で『ビクッ』と身体が反応した。
澪「…その、ごめん…、私あの時びっくりして…」
澪「…初めて見たから…その…」
澪「無神経だったよね…、誰にでも秘密はあるのに…」
(待って、違う!それは誤解だ澪!)
それと同時に、澪にそうと誤解されていると言う事実に私は泣きたくなるぐらい悲しくなった。
律「…澪は…、私があれを使ってる姿…、想像した?」
澪「…え?」
律「…想像…、したよね…?」
澪は何と答える?
想像した
してない
※した
澪「…うん、…ごめん」
澪はあえて本当の事を告白した。ここは嘘で取り繕っても仕方が無いからだ。
律「…そっか…、そうだよな…」
掠れた声。
律「私、エロいもんな…、アレ使って遊んでるんだもんな…」
澪「律…、私…」
泣きそうな律の声に澪は焦った。あからさまに何時もの律ではないからだ。
律「…今更、コレ使って遊んでないとか言っても信じないよな…使ったのは事実だし」
コマンド
なぐさめる
そのまま様子を見る
※そのまま
澪「… … …」
黙って律の言葉を聞く。そして後悔した。どうしてあの時黙っておかなかったのか…と。
たとえ見つけても、あのまま黙っていれば律のこんな姿を見る事は無かった筈である。
律「アレを突っ込んで、一人で悦んで…そうだよな?」
律「…何とか言えよ澪…、そうじゃないと私…」
起き上がる。
律「…だったら、澪の想像通りに私がコレを使って遊んでるのを見てよ!」
律はベッドの上で着ているパジャマのボタンを全部外し、下も脱いで下着だけの姿になる。
澪「うわっ!ま、待て律!落ち着け!」
律「嫌だ!澪!逃げるな!私の事をそう思ってるなら最後まで見ろっ!」
涙目で澪の制止を振り払う。
律「お願いだよ澪…、私を見てよ…」
どうする?
見守るor止める
※とめる
澪「…律、いいから落ち着け…」
律「嫌だ!澪が見てくれないなら、私もう軽音部辞めるから!」
澪(ヤバイ…、律のヤツ完全に自暴自棄になってる…)
澪(止めようと思ったけど、もし今止めたら…)
どうする?
それでも止める
暫く様子を見てから止める
※もうちょい様子見だ
律は澪が動かないのを肯定と見たのか、壁に背を預けて自分の身体を触り始めた。
律「ん…っ…」
ブラの上から胸を揉みつつ、パンティー越しに大事な部分を擦り始める。
律「…澪…、見てる…?」
熱っぽい視線で澪を見つめる律。
律「本当は…、澪にこう言った事をして欲しかった…。私澪の事好きだったんだから」
指を止めずにそう告白した。
澪「…律…」
律のその姿に目を逸らせない澪…。逸らしちゃいけない気がしたからだ。
律「…はっ…あっ…澪…澪…っ!」
そして…、律はベッドの隙間に手を伸ばしてソレを取り出した。
パンティーをずらし、恐らくまだ完全に準備の整っていない部分にソレを宛がう。
律「…澪…見ててね?」
ゆっくりと力を入れる…。
澪「律…、止めて…、お願いだからそれ以上は…」
だが律は止まらない。
しかし…。
律「…んっ…あ、あれ…?うまく、入らないや…」
澪「…律?」
律「は…ぁ…っ、このま…ま…、痛っ!嘘、何で…?」
入り口に宛がう度に逸れてうまく挿入できない…。
律「嘘っ、何で入らないのよ…、入れなきゃ駄目なのに…」
涙ぐみながら焦りの表情で尚も続けようとする律。
澪「…律、もう止めよう…」
澪は律に歩み寄ると、そっとその身体を抱きしめた。
律「…澪…ごめんね。澪の想像どおりにしなきゃいけないのに…うまく出来ないよ…」
澪の胸の中で呟く律…。
澪「ごめん…律…!ごめんね…!私、酷い事…律に…ごめんね!」
澪「…だから、もう悲しい事しないで…お願いだから!」
そう言って抱きしめながら涙を流す澪に、律もやっと心が解放されたのか…。
律「…澪…、澪…!みお…ぉ…!」
澪の背中に手を回して、号泣しだした。
お互い、どれだけの時間を抱き合ったまま泣いていたのだろうか…。
律「…ごめんね澪…私どうかしてた…」
赤くなった目を擦りながら、律は澪に謝った。
律「らしくないよね、私ってもっとこう…、どかーん!って感じで弾けてるのに」
軽く微笑んだ。
澪「うん、律はもっとどかーん!って感じだな」
同じく微笑む。
律「なぁ澪…」
澪「ん?何?律」
律「今だけは、もうちょっとだけこのまま抱いていてくれる?」
↓どうする? 抱いているor抱かない
※抱く
澪「しょうがないな…、今だけだぞ?」
律「ありがとう…、澪…」
目を瞑って、澪に身体を預ける律。そうしているとこれ以上無いぐらいの安心感が律を包んだ。
澪「…なぁ律…」
律「…何?澪…」
澪「律は普段は元気一杯で、色々とおかしいところもあるけど…」
律「…酷いなー、澪は」
澪「…でも、辛くなったら…、これからは何時でもこうしてやるからな…」
律「…今回は澪の責任だけどなー」
澪「…うっ…!ごめん…」
痛い所を突かれて思わず言葉に詰まる澪。
律「あっはっは、うん、もういいよ?」
澪「…うう…」
そして、律は何かを思いついたのか…。
律「じゃあさ、キスしてくれたら今回の事は許してあげる!」
澪「…え?」
律「ほら、ちゅーしようぜ、ちゅー」
そう言って唇をタコのように突き出す律本人も、この後の事は予想していなかった。
澪「…しょうがないな、ほら」
律(…え?)
しっかりとキスされていた。
キョトンとする律に澪は言う。
澪「ファミレスで間接キス済ませてあるんだ、女同士だしこれぐらいはな」
律「…うわぁ…」
澪「って!何だその反応は!もっと喜べよ私が恥ずかしいじゃないか!」
律「いや冗談だったのに、てっきり『調子に乗るな!』とか言ってゲンコツが来ると思ってたから」
澪「~~~!!!」
案の定、澪のゲンコツが律の頭頂部にヒットした。
律「痛たたた…、酷いよ澪~」
澪「私のファーストキス返せ!」
律「え~?さっき女同士ならとか言ってたじゃんかよー」
澪「それはそれ!これはこれだ!」
何時の間にか、普段の彼女達の遣り取りが繰り広げられていた。だけどあえて二人はそれを言わない。
これが彼女達の普通だからだ。
律「ところでさ澪」
澪「ん?」
律「これ…どうしよう…」
澪「…あー…」
例の、今回の騒動の発端となったバイブ…。
澪「捨てれば?」
凄くあっさりと澪は答えた。
律「え?でも部室で拾ったモノだよ?勝手に捨てていいのかな?」
澪「だからだよ!それよりも誰のとも分からない物を勝手に持ってくるな!」
律「うひゃあ!…分かったよ、うん、澪の言うとおりに捨てる」
澪「よろしい、捨てる時は私も確認の為に一緒に行くからな?」
後日、澪が捨て場所に選んだのは…。
①学校の焼却炉
②海辺の高い堤防の上から海中に
③近隣の男子校の塀越しに投げ込む
の三択であった…。
※②
律「色んな意味で難易度が高いぞ澪…」
はっきり言って、鞄の中にコレを忍ばせたまま遠くまで出歩くのはかなり勇気のいるミッションである。まぁ、学校から持ち帰った時に既に通った道だけど…。
澪「文句言わない。ここを選んだのは律だろ?諦めろ」
地元から遠く離れた熱く焼けたコンクリートの護岸…。真夏のこの昼の時間帯だと釣り人も居ないので捨てるにはもってこいの場所ではあるが。
澪「ほら、別れは済んだか?律」
澪が微妙に意地悪な笑みをこぼしながらそう聞いて来た。普段だとそれは私のキャラなんだけどなぁ。
律「はいはい、別れは済ませましたよっと」
私はそう言って、周囲に自分達以外誰も居ないのを確かめてからソレを鞄の中から取り出すと。
律「じゃあな諸悪の元凶!」
力いっぱい放り投げると、キレイな放物線を描いてから海中に没する…。色々な意味で感動的でもない別れであった。
そして、全てが終わったのを確認してから澪は言った。
澪「よし!今日は帰るまでに思いっきり遊ぼう!そして明日からはまた練習だ!」
そう言って、澪は私の手を取って走り出した。
そして次の日…。部室にて…。
律「うぁー…」
澪「うぅ…」
真夏の日差しの下、調子に乗って遊びすぎた二人が揃って部室でダウンしていた。
唯「どしたの二人とも…、あずにゃんみたいに日に焼けてるよ?」
梓「しかも腕と顔だけしっかりと焼けてるみたいですね…」
どうしてこうなったのか聞いてくれるな二人とも…。勢いというものは時には残酷なんだ。一夏の夢なんだよ。
唯「訳わかんないよりっちゃん、それよりも練習出来そうなの?」
澪率「「ごめん、今日は無理!」」
その様子を見ながら、部室の隅でお茶を入れながらムギが笑った。
紬「じゃあ、今日はお茶だけにしましょ。仲直りの記念に」
終わり
最終更新:2010年07月05日 03:21