憂「おねえちゃん、起きる時間だよ」

唯「ん~、もう少し大丈夫だよ」

今日は、おねえちゃんは夏フェスに行く日です。

集合場所に一番に行くんだって、張り切って早く寝たはずなのに
なかなか起きてくれません。

憂「おねえちゃん、集合場所に一番乗りするって言ってたでしょ。起きてよ~」

唯「は!そうでした。ただいま起きます」

やっと起きてくれました。


憂「早く顔洗って、着替えてね。私朝ごはん準備するから」

私は台所で朝ごはんの準備。

お姉ちゃんが出かける準備が完了する頃に、
朝ごはんの準備も完了します。

いつもより、ほんの少し速いペースで朝ごはんを食べ終わったお姉ちゃんに、
荷物を渡しました。

酔い止めを飲んでもらうのも忘れません。

憂「お姉ちゃん行ってらっしゃい」

唯「うん、憂、行ってくるね。お土産買ってくるからね」

ううん、お姉ちゃんが楽しかったって笑顔で話してくれることが一番のお土産だよ。


お姉ちゃんは楽しそうに出かけていきました。

ドアが閉まったとき、寂しい気持ちになりました。
明日の夜まで、お姉ちゃんは帰ってこないよって言われた気がして…

朝ごはんの片づけをした後、コーヒーを飲みながら
早朝のニュース番組を見ていました。

天気予報がやっています。
夏フェスの開催地の天気は晴れの予報でした。

晴れだって。良かったね、お姉ちゃん。


嬉しくなったので、お姉ちゃんにメールをしようとしたら、
お姉ちゃんからメールが来ました。

このタイミングの合いかただけで、嬉しくなってしまいます。
もちろん、すぐに返信しました。

お姉ちゃんはバスの中から、メールをしていました。

無事に出発したみたいです。よかった。
でも、集合場所に一番乗りだったのに、誰にも気がついてもらえなかったみたい。

お姉ちゃん、かわいそう。私だったら、すぐに気がついてあげるのに。

…それにしても、バスの中でメールして大丈夫なのかな。
酔い止め飲んでも、酔うときがあるお姉ちゃんなのに。


梓ちゃんから、メールが来ました。
やっぱりお姉ちゃんは、酔ってしまったそうです。

ちなみにさわ子先生は二日酔いだそうです。

具合が悪い人が二人もいて軽音部の皆さんも大変です。
到着するまでに良くなってくれるといいな。

朝の涼しいうちに、宿題をやってしまおうかと思っていたけれど、
落ち着かないので掃除と洗濯をしました。

じっとしているよりも、体を動かしているほうが
心配がまぎれます。


いつもは出来ないところまでお掃除をしたので、
ちょっとした大掃除になりました。

お掃除も終わって、お昼の準備をしているとき、
お姉ちゃんからメールが来ました。

アイスを食べている写真がついていました。

車から降りたら、すぐに元気になったみたいです。
アイスを食べているみたいなので、もう大丈夫でしょう。

お姉ちゃんが元気になって、よかった。

さわ子先生は大丈夫かな?


午後からは、お隣のおばあちゃんの家の
草むしりのお手伝いに行きました。

おばあちゃんは元気だけど、
やっぱり一人で草むしりするのは大変です。
だから、時々、お手伝いをしてるんです。

おばあちゃんはとても喜んでくれました。
でも、これくらいは当然だと思ってます。

だって、いつもお世話になっているんですから。


お姉ちゃんからは、時々、メールが来ました。

夏フェスには人がいっぱいいるそうです。
迷子にならないでね、お姉ちゃん。
一人で勝手にどこかに言っちゃだめだよ。

焼きそばを買おうとしたけど、売り切れだったみたいです。
かわいそうなおねえちゃん、おなかすいてないかな?
紬さんも、せっかく楽しみにしてたのに、残念だな。

河原でみんなでたこ焼きを食べたみたいです。
よかったね、お姉ちゃん。

お姉ちゃんが楽しんでる様子が伝わってきて、
私も嬉しくなってしまいます。


今日は、おばあちゃんの家にお泊りです。

草むしりを手伝ってくれたお礼にって、
ご馳走を作ってくれました。

いつもお世話になってるお礼に、お手伝いをしたのに
また私がお世話になってしまいました。

でも、おばあちゃんが作ってくれるご飯はとても美味しかったです。
味付けを教えてもらいました。
今度、お姉ちゃんにも食べさせてあげよう。

ご飯を食べた後は、おばあちゃんと一緒に野球を見ました。
応援していたチームは負けてしまいました。残念です。


朝も早かったし、大掃除と草むしりをして疲れたので、
ちょっと早めに寝ることにしました。

お布団はおばあちゃんの隣です。
お姉ちゃんに、おやすみなさいのメールをして、お布団に入りました。

きっと今日はおねえちゃんは遅くまで起きていると思います。
お姉ちゃん、いっぱい楽しんでね。おやすみなさい。


夜中に、ふと、目を覚ましました。
一瞬、自分がどこにいるのか分からなくなりました。

ああ…お姉ちゃんはいないので、
おばあちゃんの家にお泊りしてたんだっけ。

急にお姉ちゃんがいないことが、寂しくなってきました。
おばあちゃんがいるから寂しくないはずなのに…
急に泣きそうになってしまいました。

涙をこらえていると、おばあちゃんが私の頭を撫でてくれました。
おばあちゃんはとても優しい顔をして、私を撫でてくれました。

おばあちゃんのお布団に一緒に入って寝ました。
暑かったでしょう、おばあちゃん。ごめんなさい。

朝は、少し寝坊してしまいました。
おばあちゃんは、もう起きて朝ごはんを準備してくれています。

美味しい朝ごはんをご馳走になって、家へ戻りました。
おばあちゃん、ありがとう。お世話になりました。


午前中は、読書感想文用の課題図書を読んでいました。
自分の読書感想文は早めに終わらせています。

もしかしたら、お姉ちゃんの分も
書かなきゃいけないかもしれませんから。

ううん、きっと書くことになるでしょう。
受験勉強に集中させてあげないと。

時々お姉ちゃんからメールが入ります。
昨日は遅くまでみんなで起きていたみたいです。

でも、寝不足だとまた車に酔わないかな…?
ちょっと心配です。


午後は、和さんが家に来てくれました。
和さんは美味しいケーキを持ってきてくれました。

和さんと一緒に勉強をしました。
宿題で分からないところは、教えてもらいました。

勉強が終わったら、ケーキを食べておしゃべりです。
和さんは進路のこと、将来のことを色々と話しをしていました。

さすが、しっかりしています。
お姉ちゃんのことも、心配していました。
お姉ちゃんのお姉さんって感じです。

それだったら、私は和さんの妹にもなるのかな。
しっかりもののお姉さん。それが和さん。


和さんと、おしゃべりしているときに
お姉ちゃんからメールが来ました。これから帰るそうです。

今からだったら、到着するのは夜遅くになるでしょう。
もちろん、お姉ちゃんが帰るまで起きて待っているつもりです。

元気に帰ってきてね、お姉ちゃん。
でも、車酔いはするかもね…

そう思っていたら、梓ちゃんからメールです。
またお姉ちゃんは酔ってしまったそうです。

ただの車酔いと分かっていても、心配になってしまいます。
和さんは、そんな私を微笑みながら見ています。


夕食を食べた後、和さんは家に帰りました。

梓ちゃんから、今どの辺にいるかを伝えるメールが来ていましたが、
そのうちメール止まってしまいました。
多分、寝てしまったんでしょう。仕方ないですね。

テレビを見たりゲームをしながら、到着のメールを待っていました。

もうそろそろ、眠くなってきたとき、お姉ちゃんからメールが来ました。
帰ってきたそうです。
このメールを、どれだけ待ったことでしょう…少し大げさですね。


私はすぐに、お帰なさいメールを返しました。
それから夜道は危ないから、タクシーで帰ってくるように、とも。

しばらくすると、車の音が聞こえてきました。
そして、車は家の前で止まりました。

私はすぐに玄関に向かい、ドアを開けると、お姉ちゃんがいました。

唯「憂、ただいま」

憂「おかえり、おねえちゃん」

おわり



最終更新:2010年07月06日 22:14