教室

梓「……」


純「梓のやつ元気ないね。どうしたんだろ」

憂「梓ちゃん」

梓「あ、憂……」

憂「どうしたの?何かあったの?」

純「目赤いよ?」

梓「……」

純「何か嫌な事されたの?」

梓「違うよ……」

憂「悲しいことがあったの?」

梓「……」

憂「私達じゃ聞いてあげられないかな?」

梓「……」

純「梓……」



憂「そうだったんだ……」

純「私は納得できない!」

梓「でも先輩達の言ってる事は正しいから……」

純「そうかもしれないけどさ、勝手に人のカバン漁って梓の気持ちを覗いたってことでしょ?」

純「それに好きでいるのもダメとかめちゃくちゃだよ。なんでそんな事まで強制されるの?」

梓「……」

憂「梓ちゃん。確かに女の子同士って簡単な事じゃないと思うし色んな問題がでてくると思う」

憂「だから先輩達が言う事も間違ってないと思うけど、諦める必要はないんじゃないかな」


純「そうだよ。憂の言う通り」

憂「好きな人に想いを伝える……それが許されない人だっているんだよ?」

梓「え……?」

憂「そんな人から見たら梓ちゃんは羨ましいよ……」

梓(憂……)

純「ま、まあそういうこと!梓も先輩の言いなりになることないって!」

梓(憂は唯先輩の事が好きなんだ。でも二人は姉妹だから……諦めなきゃいけないんだ)

梓(私は好きって言える、可能性があるだけ恵まれてるんだよね)

梓「そうだよね。ありがとう二人とも」

憂「うん……頑張って!」



放課後

律「おーい。早く部活行こうぜ」

澪「お前は自分の掃除場所に行けよ……」

紬「私、ゴミだけ捨ててくるね」ヒョイ


ゴミ捨て場


紬「それーっ♪」ポイッ

紬「……あら?」

紬(あの袋に入ってるのって……)ガサガサ

紬(梓ちゃんの手帳と写真!なんで捨てられてるの?)

紬(梓ちゃんが捨てるわけ無いし……拾っておきましょ)ガサガサ

ブブブブブ

紬(メールだ)パカッ

紬(梓ちゃんから……えっ!?)

紬(だめ、まだ早いよ。今の唯ちゃんに伝えちゃったら……!)カチカチ

紬(繋がらない……電源切っちゃったんだ。早く止めないと!)


部室

ガチャッ

紬「はあっ、はあっ……」

律「ん、どうした?そんなに慌てて」

紬「唯ちゃんと、梓ちゃんは……?」

澪「まだ来てないけど」

紬「どこ?どこにいるか知らない?」

律「知らないけど……」

紬(どうしよう……)



空き教室

ガチャ

唯「あずにゃん……?」

梓「唯先輩、来てくれたんですね」

唯「どうしたの?こんな所に呼び出して」

梓「……」

唯「あずにゃん……?」

梓「大切な話があるんです」

唯「え……」

梓「唯先輩、私の事どう思ってますか?」

唯「あずにゃんどうしたの?怖いよ……?」

梓「答えてください」

唯「も、もちろん大切な後輩だと思ってるよ」

梓「それだけですか……?」

唯「……」

梓「私は、ずっと唯先輩の事見てました。明るくて優しくて素敵だと思ってます」

唯(えっ、これって)

梓「私、唯先輩の事が……好きです」

唯「……」

唯「……私もあずにゃんの事好きだよ?」

梓「私のはそういうのじゃありません。恋です」

唯「あずにゃんは私と付き合うとか、そういうのがしたいの……?」

梓「そういう意味です」

唯「……」

梓「好きです……付き合ってください!」ペコリ

梓(唯先輩、私も好きだよって言ってください。お願い……)

唯「……」


ガチャ……バタン


梓「……」

梓(行っちゃった……)

梓(私振られたんだ……。私達、これからどうなっちゃうんだろう)グスッ

ガチャ

紬「唯ちゃん!」

律「遅かったな。どうしたんだ?」

唯「……何でもないよ!」

紬「あ、梓ちゃんは?」

澪「そういえばまだ来ないな。何してるんだろ」

唯「……」

紬(やっぱり告白しちゃったの……?)

律「どうしたんだよ唯。まさか梓に何かされたのか?」

唯「何もされてないよ~」

律「ならいいけど……何かあったらすぐに私に言えよ」

紬(梓ちゃん……)




……


梓の部屋


梓(もしかしたらうまくいくかもって思ってた)

梓(だってあんなに抱きつかれて、頬ずりされて、可愛いって言われたら……勘違いしちゃうよ)

梓(あれは唯先輩にとって深い意味はなかったんだ)

梓(それなのに私は一人で舞い上がって勘違いして告白して……)

梓(先輩だって逃げ出したくなるよね。突然友達から告白されたんだもん)

梓(もう唯先輩と昔みたいな関係には戻れないんだ。私が全部壊しちゃったから)

梓(唯先輩だけじゃない。きっとこれが広まって、軽音部もめちゃくちゃになっちゃう)

梓(私は責任を取って部活を辞めるしかないんだ。先輩達の前からいなくならなきゃ)

梓(……)

梓(こんなことになるなら告白なんてするんじゃなかったよ……)

梓(唯先輩の側にいるだけで満足してればよかったんだ。それなのに私は……)



翌日

梓「……」

憂「梓ちゃん、どうしたの?」

梓「あはは……振られちゃった」

憂「えっ!?振られたってどういうこと?」

梓「昨日唯先輩に告白したんだけど……。ダメだった」

憂「梓ちゃん、ごめん……私があんな事言ったせいで」

梓「憂のせいじゃないよ。私が自分でやったことなんだから」

憂「……」

憂(梓ちゃんならうまくいくと思ってた……)

憂(だってお姉ちゃん、家では梓ちゃんの事ばかり……あんなに嬉しそうに話してるんだもん)

憂(お姉ちゃんも梓ちゃんの事好きなんじゃないかって思ってたのに)

憂「嫌なこときくけど、ごめんね。お姉ちゃんはなんて言ってたの?」

梓「大切な後輩で好きだって言ってた」

梓「けど、私のは恋だって言ったら……逃げられちゃった。それだけ気持ち悪かったんだね」

憂「そんなこと……ないよ」

梓「あはは。あの時の唯先輩の顔思い出したら泣けてきちゃった」

憂「……」

梓「私、軽音部やめようと思うんだ」

憂「えっ!?」

梓「私も振られちゃってショックだったけど、それ以上に唯先輩は私と会いたくないと思う」

梓「それに先輩達はこうなるのをわかって止めてくれたのに、勝手にあんな事しちゃったんだもん」

梓「私がいないほうがうまくいくと思うんだ。それに私がいなくても演奏できるしね」

憂「梓ちゃん、そんな事言わないで。今梓ちゃんは落ち込んでるからそういう考えになっちゃうんだよ」

憂「そんなに思いつめなくても大丈夫だよ。絶対うまくいくから……」

梓「……」



唯の家

唯「……」

憂「お姉ちゃん、元気ないね」

唯「え、別に普通だよー?」

憂「梓ちゃんに告白されたから?」

唯「え……」

憂「梓ちゃんから聞いたんだ。お姉ちゃんに告白したって」

憂「お姉ちゃん、断ったんだね」

唯「……」

憂「どうして?」

唯「どうしてって、困るよ」

憂「梓ちゃんの事嫌いなの?」

唯「嫌いじゃなけど、だって……」

憂「梓ちゃんが女の子だから?」

唯「……」

憂「やっぱりそうなんだね」

憂「ちょっと意外かも。お姉ちゃんってそういう偏見は持ってないと思ってた」

唯「だってそんなのおかしいよ……普通じゃないよ」

憂「そうだね……。お姉ちゃんが嫌だったらしかたないよ。ただ……」

憂「梓ちゃんが可哀想だなって思っただけだよ」

唯「……」

憂「私、お姉ちゃんは梓ちゃんの事好きなんだと思ってた」

憂「だっていつも梓ちゃんにくっ付いて、家でも梓ちゃんの事ばかり話してたから」

唯「それはただあずにゃんが可愛いからで、変な意味じゃないよ……」

憂「変な意味なんて言っちゃダメだよ。梓ちゃんは真剣だったんだから」

唯「……」

憂「ただ、お姉ちゃんにとってはただのスキンシップだったってことなんだね」

唯「うん……。私あずにゃんが私の事好きなんて思ってなかったんだよ」

唯「それなのに突然告白されたら嫌だよ……私そんなつもりなかったんだよ」

憂「……」



紬の家


紬(梓ちゃん今日も部活こなかった)

紬(このまま来なくなっちゃうのかな?そんなの嫌……)

紬(あ……そういえば梓ちゃんの写真と手帳)

紬(これ私達の教室のゴミだよね。なんで私達の教室に?)

紬(私達の教室にあったんだから、梓ちゃんが捨てたはずはないし……)

紬(よく見たらこの手帳ボロボロ。前見たときはこんなじゃなかったのに)

紬(梓ちゃんの気持ちが踏みにじられたみたいで嫌だな……)

紬(梓ちゃんにとっては宝物に違いないわ。これは梓ちゃんに返してあげよう)

ペラッ

紬(ふふ……。梓ちゃん、嬉しそうな顔してるな)

紬「あ……」




唯の家


憂「お姉ちゃん、もう大丈夫だよ」

唯「え?」

憂「梓ちゃん、部活辞めるから。会わなくてすむよ」

唯「なんで……」

憂「お姉ちゃんと会うのが辛いっていうのもあると思うけど、一番は……」

憂「皆に迷惑をかけたくないからじゃないかな」

唯「迷惑……」

憂「お姉ちゃんは梓ちゃんに告白されて嫌だったんだよね?」

唯「あ……嫌っていうか、その」

憂「困っちゃったんだよね?それで逃げ出しちゃったんだよね」

唯「……」

憂「梓ちゃんは、告白するのがどういうことなのかわかってたと思うよ」

憂「失敗した時、周りからどんな目で見られるかを考えたら怖かったと思う」

唯「でも……そんな事言われても私だって困るよ。わからないよ」

憂「ごめんね、お姉ちゃんを責めるつもりはないの。お姉ちゃんの反応は普通だと思う」

憂「ただ、梓ちゃんはそれだけ本気だったんだよ。お姉ちゃんの事本当に好きだったんだよ」

憂「梓ちゃんの気持ちにどう応えるかはお姉ちゃんが決めることだけど、迷惑とか嫌いだなんて言っちゃダメ……」

唯「……」


3
最終更新:2010年07月08日 22:10