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紬「あのね、唯ちゃん」

唯「うん、どうしたの?」

紬「時々だけど思い出すの私達が軽音部だった頃の事」

唯「あの頃は楽しかったね」

紬「えぇ、とっても楽しかったわ…あの三年間が生きてて1番楽しかった」

唯「私も1番楽しかったな」

紬「懐かしいわね……またみんなと一緒に演奏したりティータイムしたいわ」

唯「もう一度高校生の時に戻りたいよね」

紬「私も戻りたいわ」

唯「うん、またみんなと遊びたい」

紬「みんなそうなのかな?」

唯「何が?」

紬「みんな戻りたいって思ってるのかな?子供の時に」

唯「大人はみんなそうだよ」

唯「あの時の年齢でしかやれない事をもう一度戻ってやってみたいなぁ…」

紬「うん……」

唯「悪い思い出でも良い思い出でも、大人はみんな子供の時に戻りたいと思ってるんじゃないかな?」

紬「そうよね……」

唯「うん、きっとそうだよ」

唯「ねぇムギちゃん?」

紬「…なに?」

唯「ムギちゃんや放課後ティータイムのみんな和ちゃん……今でもみんなは私の大事な友達だよ」

紬「私も同じよ」

唯「今はまったく会ってないけどこの思いは変わらない」

紬「唯ちゃんも会ってないんだね……」

唯「うん」

唯「みんな何してるのかな?」

紬「わからないわ…」

唯「また、みんなとお話ししたいな」

紬「そうね……」

唯「何だかせっかく会ったのに暗い話しばかりしてるね!」

紬「そうよね!何か明るい話しをしましょう?」

唯「うん!」

唯「楽しい話…楽しい話……」

憂「あ!お姉ちゃん保母さんになるんですよ!」

紬「そうなの?」

唯「う、うん……私子供が好きだから」

紬「頑張ってね!唯ちゃん」

唯「ありがとう」

紬「唯ちゃんが保母さん…何だか似合ってるわね」

唯「そ、そうかな……」

紬「そういえば…唯ちゃん高校生の時ヘアピン付けてたでしょ?」

唯「あ…付けてたね」

紬「ヘアピン外してる唯ちゃんも可愛いわ~」

唯「えへへーイメチェンしてみたんだ」

紬「イメチェンね~私もしてみようかしら?」

唯「う~ん…ムギちゃんは今のままがいいな~」

紬「そう?ありがとう……あ!ごめんなさい電話だわ」

唯「うん気にしなくていいよ」

紬「ありがとう……はい、もしもし?」

紬「あ……お父様」

ムギちゃんは私達から少し離れる。

唯「ムギちゃんってお父さんの事、お父様って呼ぶんだね~」

憂「凄いねー」

唯「うん、凄い凄い!」

10分ぐらい経ってムギちゃんは話し終わった。

紬「ご、ごめんなさいお父様から電話だったから」

唯「ううん!大丈夫だよじゃあまた話そう?」

紬「あの……ごめんなさい私、帰らなくちゃ」

唯「そうなんだ……残念」

紬「あ、電話番号教えるわ!」

唯「あ、うん!」

ムギちゃんは電話番号を紙に書いて私にくれた。

紬「何時でも電話して来て待ってるから」

唯「うん、わかったぁ~」

紬「それじゃあ…さようなら」

唯「バイバイ」

憂「さようなら」

私と憂はムギちゃんを見送った。
夕日、ひぐらしの泣き声。
何だか凄くムギちゃんの後ろ姿が悲しく見えた。

憂「私達も帰ろっか」

唯「うん…そうだね」

ムギちゃんから貰った電話番号大事にしなくちゃ―――


唯「これでムギちゃんの話しは終わり」

女の子「お姉ちゃんはムギちゃんに電話番号貰ったんだよね」

唯「うん、毎日のように電話してたよ」

女の子「そうなんだぁ~」

唯「でもね、一ヶ月後には東京へ行っちゃった」

女の子「そっかぁー」

男「うっ……ううっ…」

唯「…………?」

女の子「どうしたのかな?」

男「すみません……ぐすっ……アナタの話しを聞いてたら子供の頃を思い出して……」

唯「大丈夫ですか?」

男「はい……盗み聞きしてすみません……」

唯「いえ、いいんですよ」

男「はぁ…子供の頃に戻りたいですよ」

唯「そうですね……」

男「あの頃に……すみませんまた涙が……」

男「会社の上司にこき使われて……何が目的かも分からずにただ働いて」

唯「………………」

男「あの頃はよかった……母親から貰った100円を握りしめ……友達と一日中町を駆け回って……本当に戻りたい」

唯「はい……」

女の子「あ……お姉ちゃんバス来たよー!」

唯「うん……じゃあ乗ろっか」

女の子「うん!」

唯「あの……」

ハンカチで涙を拭う男に私は一言声をかけた。

唯「お仕事頑張って下さいね!」

男「はい、素敵なお話ありがとうございました」

唯「いえ…じゃあ行こっか」

女の子「うん!」

私達はバスに乗り席に座る。
しばらくしてバスは走り出した。

女の子「早く桜ヶ丘高校に着かないかなー」

唯「うん、早く着かないかな」

女の子「そう言えばお姉ちゃんは何しに桜ヶ丘高校に行くの?」

唯「みんなと会う為に行くんだ」

女の子「みんなって!」

唯「うん!放課後ティータイムのみんなや私の高校時代の友達に今日会えるんだ」

女の子「お姉ちゃんよかったね!」

唯「うん!凄く楽しみ!ムギちゃんも東京から帰って来て電話で言ってた凄く楽しみだって」

女の子「私も早くお母さんに会いたいなぁー」

唯「お母さんもきっと会いたがってるよ」

女の子「あ…そう言えばお姉ちゃんのお名前まだ聞いてなかった!」

唯「私の名前?」

女の子「うん!教えて」

唯「私の名前は唯だよ平沢唯

女の子「私と一緒の名前だぁ!」

唯「そっか、一緒の名前なんだアナタのお名前?」

女の子「豊口唯だよ!」

唯「そうなんだ、あ!いい物あげよっか?」

女の子「なになに?」

バックからヘアピンを取り出す。

唯「私が高校時代付けていたヘアピンだよ!コレあげるね」

女の子「ありがとー!」

唯「うん、いいよ」

女の子「えへへ~」

女の子は早速、ヘアピンを髪に取り付ける。

女の子「似合う?」

唯「とっても可愛いよ」

女の子「お姉ちゃんこのヘアピン大事にするよー!」

唯「うん!あ…もうすぐ着くね桜ヶ丘高校」

女の子「本当?やった!」

唯「ドキドキするなー」

女の子「緊張してるの?」

唯「うん!凄く緊張するなー」

女の子「なんでぇ?」

唯「だって久しぶりに会うんだもん緊張するよ」

女の子「そっかぁー」

私はバスの窓から風景を見る。
見慣れた町、でも何処か懐かしい。


しばらく見ていると桜ヶ丘高校が見えて来た。
私の1番の思い出の場所。
校門の前で見慣れた顔の5人組が何かを笑いながら話している。
バスのアナウンスが桜ヶ丘高校に着いた事を告げる。
私は唯ちゃんと手を繋ぎバスを降りる。
みんなはまだ私に気付いてない。
本当に緊張するなぁ。


女の子「じゃあ私は病院に行くねー!」

唯「うん!」

懐かしい風が私と唯ちゃんの髪をなびかせる。

唯「道は分かる?」

女の子「うん!じゃあバイバイ!」

唯ちゃんは私に手を降る。
私も唯ちゃんに手を降る。

女の子「また会おうねー!」

唯「うん!」

唯ちゃんは走って病院へ向かった。

唯「私も行こうかな」


桜ヶ丘高校の横断歩道の前で校門の前にいるみんなを見る。
みんな変わってないなぁ…。
でも、みんな雰囲気が大人っぽくなっている。
私も雰囲気が大人っぽくなってるのかな?
子供のままの雰囲気でいいな。
まだ、みんなは私に気付いてない。
みんなをジーッと見ているとトラックが私の目の前に止まった。

唯「みえないよ……」


トラックが走り出したと同時に信号も青になる。
私は歩を進めた。
ムギちゃんが私を見た。
そして、みんなに話す。
みんなは私を見て笑って手を降ってくれた。
私も笑って手を振り返えす。
暑さも蝉の泣き声も全ての空間がとっても新鮮に感じる。


空気を深く吸い込んで吐く。
今日、みんなと何を話せばいいかな?
今日、みんなはどんな話を私に聞かせてくれるのかな?
昔、見た映画の言葉を思い出す。
何かいい物語があってそれを語る相手がいるかぎり人生捨てたもんじゃない。
その通りだよね。
とりあえず、私がみんなと最初に話す言葉はもう決まっている。

唯「みんな!久しぶり!」



END



最終更新:2010年07月13日 21:25