梓「唯先輩、上手くいったんでしょうか」

律「もう10分か…」

澪「なあ、さっきなんか倒れる音がしなかったか?」

律「気のせいだろ?」

澪「でも唯、なんか顔色真っ青だったし…」

紬「だ、大丈夫よ…きっと…」

澪「なあ、ドア開けてみないか?」

律「そうだな…もう落ち着いてるだろ」


ガチャ

憂「…ねえ、起きてよ、お姉ちゃん…お姉ちゃん…お姉ちゃん…」



律「う、憂ちゃん?どうした?」

憂「律さん…お姉ちゃんが…さっきから呼んでるのに起きないんです…」

律「唯…?」

澪「…!!ゆ、唯…」

紬「唯ちゃん…」

梓「せ…先輩…」




……

和「ふう…考えてみたらお金返しに来たのに唯に渡すの忘れてたわ…」

和「あら?唯の家に人が…」

ザワザワ…

和「あの、どうかしたんですか?」

おばさん「なんかここの娘さんが倒れたらしくてねえ…さっき救急車で運ばれていったんだよ
 すごかったよ、友達か知らないけど、女の子たちが泣きじゃくって…」

和「…そ、それって…」




病院

律「心肺停止って…どういうことだっけ…」

澪「知らない…知らない…」

紬「唯ちゃん…」

梓「うっ…うぅ…えぐ…せ、先輩…」

憂「………」

医者「…皆さん」

律「せっ…先生!ゆ、唯は…」

医者「…親御さんは?」

憂「……」

澪「こ、この子が妹で…親は今向かってるって…」

医者「そうですか…」

紬「そ、それで唯ちゃんは…」

梓「うぅ…う、先輩…」

医者「安心してください。なんとか一命はとりとめました…が…」

律「がってなんだよ!唯は大丈夫なのかよ!」

澪「お、おい落ち着け律!」

医者「しばらくは集中治療室で治療しますので…面会謝絶ということになります」

紬「じゃあ命は平気なんですね…」

梓「よかった…」

憂「……」

律「なあ憂ちゃん」

憂「……」

律「憂ちゃん!ジャーン!すごいヒゲ!」

憂「……」

澪「律!こんなときになにを…」

律「こんなときだからだよ澪。私、憂ちゃんに話さないといけないことがあるんだ」

憂「…なんですか」

律「昨日な、唯のヤツ…」

憂「それって…全部私が悪いんじゃないですか」

紬「違うわ憂ちゃん、唯ちゃんは自分で…」

憂「だから私がお姉ちゃんにひどいこと言ったからそんなことになったんじゃないですか!」

澪「憂ちゃん、だから…」

律「…ああそうだな、憂ちゃんのせいかもな」

憂「…!」

梓「り、律先輩!」

律「こんなときに変に気をつかう必要ないだろ?
 確かに憂ちゃんが言ったことが原因かもしれない」

澪「でも…」

憂「私が…私が悪いんです…」

律「でも唯は、憂ちゃんに認められるために、頑張って自分の意思で行動したんだぞ?
 私たちのことも頼らないで野宿しようとしてたんだぞ?それって悪いことか?」

憂「こんなことになったんなら…意味なんて…」

律「私はあると思うぞ?」

憂「え…?」

律「少なくとも唯は死んじゃいないしな…これから唯はきっと色々変わってくれるよ」

憂「律…さん…」

律「そんで悪いと思うんなら、ちゃんと仲直りして謝まればいいんだよ」

憂「はい…私、ちゃんとお姉ちゃんと仲直りします!」



澪「律…お前、なんか変わったな」

梓「やっぱり先輩のキャラじゃないです…」

律「うるさい梓!グリグリするぞ!」

紬「うふふ…りっちゃん…」


唯「あるふぁるふぁ~あったかくてぽかぽかだぁ~」

唯「ん?あれは…ま、マイケルジャクソン!初めて見た…一緒にムーンウォークやる!ぽぅ!」


ガツン!


唯「いったあ…あ、ギー太!なに?ついてこいって?」

律「起きねーな…唯…集中治療室は出られたし憂ちゃんもずっと手を握ってるのに…」

憂「お姉ちゃん…」ギュッ

さわ子「そうねえ…」

澪「ていうかマイケルジャクソンの曲流すの止めてください先生!縁起悪いです!」

さわ子「だって唯ちゃん、マイケルの踊り見てゲラゲラ笑ってたからあ…」


梓「ていうか病院なのに…」

紬「皆、唯ちゃんのギター持ってきたわよ!」



唯「う……」



憂「お、お姉ちゃん!」

律「唯!」

澪「唯!」


梓「唯先輩!」

さわ子「唯ちゃあん!」

唯「あ、あれ?憂…みんな…ギー太は?マイケルは?」

憂「お姉ちゃん…う…う…」

唯「うい~…あ、そっか私…」

律「グスン…じゃあ私たちは先生呼んでくるからな」

さわ子「え?なんでえ?ちょっとー!」

澪「はいはい行くぞさわ子先生」

紬「唯ちゃん…よかった…」

梓「うぇぇ…」

憂「お姉ちゃん…」

唯「憂…」


憂唯「ごめんなさい!」


憂「あ、えっと…私…お姉ちゃんにひどいこと言って…それで…お姉ちゃんがこんなことに…」

唯「私こそ…ホントに…うぅ…ダメなお姉ちゃんで…ひっく…ごめんねぇ…」

憂「お、お姉ちゃん…泣かないで?」

唯「私…頑張って一人でいようと思ったんだけど…えへへ、ダメだね…
 やっぱりりっちゃんたちに頼っちゃったよ…」

憂「違うの!私が間違ってた…お姉ちゃんは誰かに頼ったっていいのに…それなのに私…」

唯「憂…あ、そうだ…そこの荷物取って!」

憂「え?うん…」

唯「ええと…あるかなあ…」

憂「なに探してるのお姉ちゃん?」

唯「あった…はい!こないだのプレゼント!」

憂「え…」

唯「お金はムギちゃんに絶対返すから…だから、受け取って?」

憂「うん…わかった」

憂「これ…!エプロン?」

唯「えへへ~私も同じの買ったの!二人でお料理しようね!」

憂「お姉ちゃん…ありがとう…」

唯「これで…仲直りしてくれる?」

憂「うん…お姉ちゃーん!」ギュウウ

唯「いっ、痛い!」




3日後

唯「やっと退院かあ…長かったなあ」

憂「うん…じゃあお着替えしよっか!」

澪「しかし…独創的なエプロンだな」

梓「なんかすごいです…いろんな意味で」

紬「いいセンスねえ♪」

唯「えへへ~」

憂「お姉ちゃん、ちゃんと下着着けなきゃダメだよ?」

唯「はーい」ゴソゴソ

ガラガラ

聡「こっこんにちは!今日は姉ちゃんが遅れるので俺がき…」

唯「あ、聡くーん!来てくれてありがとう!」

聡「す、すいませ…お、俺また…」

憂「…また?」

聡「ち、違うんです!わざとじゃ…」

澪「い、いいから出ていったほうがいいよ?」

聡「は、はい!失礼しました!」

バタン!

憂「…お姉ちゃん、前にも見られたの?」

唯「うん…でも私胸ちっちゃいから大丈夫だよ~」

梓「いやそういう問題ですか!」

憂「お姉ちゃん、今度からは気をつけなきゃダメだからね!」

唯「う、うん…」

紬「仲がよくっていいわねえ~」

澪「まあ…確かにな」

唯「うい~あいす~」

憂「お姉ちゃん!もう退院して1週間だよ?いい加減手伝ってよ!」

唯「いや~ん…」

憂「もう…まあ、少しずつでいいから、頑張ってよね?」

唯「うん…あ、憂!」

憂「なあに?」

唯「エプロン、似合ってるよ!」

憂「お姉ちゃん…ありがとう!」



……

聡「…なあ姉ちゃん」

律「んー?ゴクゴク」

聡「唯さんって…彼氏いるの?」

律「ブハッ!」


おわり



最終更新:2010年07月03日 05:00