紬「……え?」
梓「……先輩?」
澪「……何言ってんだ?」
律「え?」
紬「え?」
梓「え?」
澪「え?」
律「え?」
律「……え?」
紬「いや、似てるけど……」
梓「でも、似てるだけです」
澪「律だけど、律じゃないな」
律「かもなー」
律「……」
紬「でも、似てるわね」
梓「今ならドラムも叩けるんじゃないですか?」
律「いっそ双子って設定にするか!」
澪「おっ、それいいかもな」
律「……」
ガチャ
さわ子「今日のお菓子は……え?」
紬「あ、先生」
梓「こんちわー」
さわ子「な、なんで二人……ふ、双子?」
律「(このまま双子ってことで通してみるか!)」チラッ
澪「(それも良いかもな)」
律「そうなんだよねー」
澪「先生、知らなかったんですか?」
さわ子「そうだったんだ……」
律「……」
さわ子「で、妹なの? この子」
律「うん、そうだよ」
律「!」
さわ子「あら、そうなの……」
さわ子「(無口な妹……いいわね!)」
さわ子「この子の名前は?」
律「(やばっ!)あー、えっとねー……」チラッ
澪「(ほらっ、なんか適当に名前付けろって!)……」
さわ子「まぁいいわ、妹ちゃんで」
律澪「(良かったぁ……)」
律「……」
さわ子「まぁ手始めに……」
さわ子「何を着せよっかな♪」ガラッ
梓「このクローゼット何かと思ったら……」
紬「わぁ♪」
澪「どんだけあるんだよ……」
律「……」
さわ子「これは似合いそうね……あっ、これもいいかも……」ガサゴソ
梓「……完全にスイッチ入りましたね」
澪「……だな」
律「……まぁ、いいんじゃねーの?」
律「……」
1時間後……
さわ子「ふぅ……」
梓「(満足し切った顔してますね)」
紬「(まぁ良いもの見れたもの♪)」
澪「(……抵抗されなかったからかな)」
律「(だろうな)」
律「……」
さわ子「んじゃ、私は帰るわね」
律「うーっす」
さわ子「ちゃんと戸締りするのよー? んじゃあね」
ガチャン
律「ふぅ……」
律「……」
律「……もういいんじゃね?」
澪「……だな」
紬「よく頑張ったね♪」
梓「ほんとです」
律「……疲れたぁ」
律「いやぁ名演技名演技」
澪「よくここまで耐えたな」
紬「先生も全然気づいてなかったものね」
唯「前髪変になっちゃったよう……」
梓「まぁ帰るだけだし良いんじゃないですか?」
律「カチューシャつけたまんま帰れば?」
澪「憂ちゃんも騙されたりしてな」
梓「いやぁさすがに憂は気付くと思いますよ?」
紬「憂ちゃんは唯ちゃんの事、大好きだものね」
唯「憂なら分かってくれるハズ……」
澪「しかしここまで似るもんだとはなぁ」
律「もしかして生き別れの妹だったとか……」
唯「さすがに私はお父さんとお母さんの子供だよ!」
律「やっと会えたね、妹よ……」
唯「もう!」
唯「それより何で私がりっちゃんの妹なの!?」
律「え?」
澪「いや、だって」
梓「唯先輩って」
紬「全然お姉ちゃんじゃないじゃない」
唯「憂のお姉ちゃんやってるもん!」
律「まぁたしかに生まれは早いかもしれないけど」
澪「とてもじゃないけど、なぁ」
梓「姉なんかには見えませんよ」
紬「まぁそうよね」
唯「……」
律「まっ、ゲームに負けたお前が悪い」
唯「そうだけど……」
梓「負けたら誰かになりきるとは言いましたけど……」
梓「ムギ先輩が負けてたらどうしたんですか?」
紬「そうしたらカツラとか買ってくるわ♪」
律「あー、ムギならそれくらいしそうだな……」
澪「てか、ムギが負けるとは思えないな……」
梓「たしかにこういうのに滅法強いイメージが……」
紬「私も自信あるしね♪」
唯「前髪ピョンピョンなるよう……」
律「もう帰るぞー」
澪「カチューシャつけて帰りなよ」
紬「そして憂ちゃんにも見せてあげれば?」
梓「大丈夫ですよ、憂なら必ず分かりますって」
梓「(あの子は先輩の事大好きなんですし……)」
唯「んじゃつけて帰る! そうちゃーく!」
澪「あはは、やっぱり似てるや」
紬「ホントそうね♪」
梓「……街で会ったら間違えそうです」
律「何!? この律様を見間違えるだと!?」
梓「や、やめてください! 抱きつかないで下さいっ!」
紬「あらあら♪」
おわり
唯「んじゃ私はこの辺で。んじゃねー」
律「じゃーな、律」
紬「また明日ね、りっちゃん」
唯「もう私だってば! ばいばーい」
梓「ギター背負ってなかったら……」
澪「完全に律だな」
唯「……うーん、そんなにりっちゃんに似てるのかなぁ」
唯「まぁ、楽しかったしいっか!」
和「あら、律の家ってこっちなの?」
唯「あ! 和ちゃん!」
和「ん? 唯も一緒?」
唯「(あ……カチューシャ……そっか……)」
和「てか何で律がギターケースを?」
唯「(よしっ! このままなりきってみよっかな♪)」
和「しかも唯は……どこだ?」
唯「(りっちゃんの声は……こんな感じかな)あ、あー……」
和「?」
唯「あ、あぁ唯のこと?」
和「うん。今声が聞こえたと思ったんだけど」
唯「うーん、気のせいじゃないかな?」
和「そう? まぁいいわ」
唯「(バレてないバレてない……♪)」
和「で、なんで律が唯のギター持ってるの?」
唯「あぁこれ? あいつ部室に忘れてったんだよ」
和「こんな大事な物を……」
唯「あいつは忘れっぽいし、危なっかしいからなー」
和「それはあんたも一緒でしょ。何度私が助けてあげたと思ってるのよ」
唯「申し訳ないです和様!」
和「まぁ唯を預かって貰ってるようなもんだから良いけどね」
唯「預かってる……」
和「今までの唯を知ってる身からするとね……」
和「あの頃のままだったら絶対将来はニートだろうからね」
唯「うっ……」
和「私も結構心配してたのよ? あの子は基本的にぐうたらだから」
和「やるときはやるんだけどね。やるときってのが物凄く限られてるし」
和「まぁそれでも良いかなー、なんて思って今まで一緒にいたけども」
和「……だからさ、高校に入っていきなりギター弾きます! なんて言ってさ」
和「その時はすごい心配だったわ……」
唯「(和ちゃん……)」
和「でもね、軽音部のみんながいい人たちばっかりで安心したわ」
和「今年は梓ちゃんって子も入部したんでしょ?」
和「多分その子も軽音部の雰囲気が気に入ったんだと思うよ」
和「だってあんた達、楽しそうだもの」
和「唯もきっとそこに惹かれたんだと思う」
和「なんだか恥ずかしいけれど、ありがとうね律」
唯「は、恥ずかしいよ和ちゃん……」
和「……?」
唯「(やばっ!!)」
和「今の唯の声……? すごいわね、そんな声まで出せるのね」
唯「(セーフ……かな?)」
和「上手いわね、声真似」
唯「そ、そんなことないよー」
和「……ほう」
唯「ははっ、そうだろ?」
和「すごいわ、私が聞き間違えちゃうくらいだから相当よ?」
唯「(ホントは私なんだけどねー……)」
和「まっ、とにかく唯をこれからもよろしくね」
唯「お、おう」
和「頼んだわよ? んじゃ私あっちだから」
唯「うん、んじゃなー」
和「気を付けてね、それじゃ」
唯「……なんとかごまかせたかなぁ」
唯「でも、和ちゃんも分かんなかったか……」
唯「嬉しいのやら悲しいのやら……」
唯「……憂は大丈夫かな」
唯「……心配だなぁ」
ガチャ
唯「ただいまー」
憂「お姉ty――あ、律さん」
唯「!」
憂「あれ? お姉ちゃんは?」
唯「……」
唯「あ、唯なら……」
憂「どうしたんですか!? 何かあったんですか!?」
唯「あ、あぁすぐ来るよ……」
憂「ほ、ホントですか!? ……良かったぁ」
唯「……ぐすっ」
唯「ぐすん……」
憂「え、あ、あの律……さん?」
唯「違うよ……」
憂「えっ?」
唯「違うよっ!!」
唯「私だってばっ!」
憂「あ、あれ? お姉ちゃん……?」
唯「もう憂までっ!」
憂「えっ? あれ……? でも……」
唯「……もう、ぐすっ、みんな、して……」
唯「うわあああぁぁああああああぁん!」
憂「お、お姉ちゃんなの?」
憂「な、なんでカチューシャ?」
唯「もう、憂、までっ!」バッ
憂「お、お姉ちゃん!!」
唯「ほらっ! わたし、でしょ!」
憂「ほ、ホントだ……」
唯「みんな、して、にてるから、って……」
憂「な、泣かないで、ね? お姉ちゃんだって分かるから……」ぎゅうぅ
唯「うわああああぁぁああぁぁああん……」
―――――
唯「んっ、もう大丈夫だよ、憂」
憂「ごめんね、お姉ちゃん……」
唯「ううん、憂が分かんないんだもん、しょうがないよぉ」
憂「お姉ちゃん……」
唯「でも、ちょっと悲しかったなぁ……」
唯「――ということがありまして」
憂「そうなんだー」
唯「さわちゃんも和ちゃんも気付かなかったんだよ?」
憂「それだけ似てるってことだよ、律さんとお姉ちゃん」
唯「ホントそうだよね」
唯「でも……もうやんない!」
憂「あんなに泣いてるお姉ちゃんも久々だったもんね」
唯「……お恥ずかしいところをお見せしてしまいました……」
憂「そんなことないよ?」
唯「まぁいいや! 憂、お腹すいた!」
憂「うん! 今日はね――」
おわり
最終更新:2010年01月26日 03:01