蒼星石「すみません、この子人見知りなんです」

金糸雀「2人共相変わらずね…なんか安心したかしら」

蒼星石「あの…ところで澪さんに何か用事ですか?」

律「あ、そうそう。澪居る?」

蒼星石「はい。でもさっき紅茶ポットに足を引っ掛けて転んでいたみたいなので…もうちょっとかかるかもしれません」

律「ならちょっと先上がらせてもらうなー」

蒼星石「はぁ…」

翠星石「……」

澪「べ、ベースにかかっちゃった! 急いで拭かなきゃ…でも翠星石達が…あわわわわ」

ガチャッ

律「☆」

澪「☆ってどんな発音だ☆って! …って律ぅ!?」
金糸雀「カナも一緒かしら」

澪「誰!?」

金糸雀「カナは薔薇乙女1の策士、ローゼンメイデン第2ドールの金糸雀かしら!」

澪「か、かな?」

翠星石「カニミソですよ」

澪「そうか…じゃあカニミソ、よろしくな」

金糸雀「カニミソじゃないかしらー!」


‐‐‐

翠星石「むぐむぐ」

蒼星石「もぐもぐ」

金糸雀「はぐはぐ」

律「にしても驚いたなぁ! 澪がミーディアムだったなんてなぁ」

澪「それはこっちの台詞だ」

律「今日、まきますかーってメールが来てさぁ…そんで金糸雀が来て契約したら、澪の付けてた指輪が私の指にも出来たんだよ。そこで確認しに来たらやっぱり…ってな」

澪「そうか…私のところには手紙で来たぞ」

律「へえ、人によって違うのか」

澪「みたいだな」

律「それにしても悪いな、金糸雀の分のケーキ食わせてもらっちゃって…」

澪「別にいいよ。美味しそうに食べてるの見てるだけで十分だし」

翠星石「もくもく」

蒼星石「まくまく」

金糸雀「はくはく」

律「だな」

澪「……こんな子達を戦わせるなんて、やっぱりおかしいよな」ボソッ

律「…うん、姉妹同士で戦うなんてな…。もし私が聡と戦う事になったら…」ボソッ

澪「律の圧勝じゃないのか?」

律「なんだとー?」

澪「そういえば蒼星石」

蒼星石「むくっ…ごくん。どうしたんだい?」

澪「蒼星石は第4ドールだって言ってたよな。第なんドールまでいるんだ?」

蒼星石「第7ドールまでだよ。でも第7ドールにはまだ会った事がないんだ」

澪「へぇ…」

翠星石「ひんへん! はんでふいへいへきにきふぁふにふぁずほうへいへきにひふへふかぁもぐもぐ…」

金糸雀「翠星石行儀悪いかしら…」

翠星石「…ごくん。なーんですってぇこの凸カナー!」

金糸雀「で!?」


‐‐‐

律「じゃ、もう帰るよ」

澪「もうこんな時間か…」

律「また明日なー」

澪「うん、またな」

金糸雀「お邪魔したかしらー」

翠星石「本当にお邪魔だったですよー」

金糸雀「酷いかしらぁ!」

蒼星石「金糸雀も律さんもさようなら」

金糸雀「うぅ…さようなら…」

パタン



‐‐‐むぎへや!

紬「ただいまぁヒナちゃん」

雛苺「あっ! ツムギーおかえりなさいっ」

紬「ちゃんとお留守番出来た?」

雛苺「ういっ! ちゃんといい子にしてたのよ」

紬「じゃーん、そんないい子にお土産よ~♪」

雛苺「オミヤゲ?」

紬「苺大福~!」

雛苺「わぁーいっ、うにゅーなの! ありがとうツムギ!」

紬「うふふ、夕食の前だから食べ過ぎちゃ駄目よ」

雛苺「わかったわ! いっこにしとくのー」


‐‐‐

紬「マンボウの真似~♪」

雛苺「ヒナも物真似出来るのよ」

紬「まあっ」

雛苺「ちょっと待ってね…えっしょ、よいしょ…」

紬(ブリッジ…?)

雛苺「じゃーん! うにゅーの真似ー!」

紬「わぁ、すごい、上手ねヒナちゃん!」

雛苺「えへへー」

紬「私も…よいしょ、うにゅーの真似~♪」

雛苺「うゆ…ヒナも負けてられないの! うにゅーの真似ーっ」

雛苺「あ、ヒナ他にも物真似出来るの!」

紬「へぇ、どんな?」

雛苺「そのいーち、真紅の真似ー! 『紅茶が不味いのだわ! 入れ直して頂戴なのだわだわーん!』」

紬「あらあら」

雛苺「そのにー、金糸雀の真似ー! 『カナが焼き鳥で好きなもの? うーん…かしらが好きかしら! え? だからかしらかしら。だーかーらぁ、かしらかしらー! …うっ、もう知らないかしらぁ!』」

紬「あらあら」

雛苺「そのさーん、翠星石の真似ー! 『です! ですですですぅ? ですです、ですぅですぅですぅ。ですぅ! 蒼星石ですぅ!』」

紬「あらあら」

雛苺「ふぃー…こんなもんなのよ」

紬「変わった喋り方の人もいるのねー」

紬「そういえば…今日は澪ちゃんに指輪の事聞くのを忘れちゃったわ」

雛苺「うゆ…そのミオと契約したドールが水銀燈じゃなきゃいいの…」

紬「水銀燈?」

雛苺「ローゼンメイデン第1ドール…ヒナ達の長女よ。アリスゲームには乗り気なの。…ちょっと怖いの」

紬「そうなの…」

雛苺「でも平気なのよ? 他の姉妹達もいるし、それにツムギもいるもん!」

紬「ヒナちゃん…」



‐‐‐よくじつ!

紬「澪ちゃん、ちょっといい?」

澪「うん、どうしたんだ?」

紬「ちょっと聞かれたらあれだから…部室に行きましょう」

澪「…? うん」


純「移動しました。…え、出番これだけ?」

‐‐‐ぶしつっ!

澪「で、どうしたんだ? 何か相談事でも…」

紬「澪ちゃん…」

澪「うん?」

紬「その指輪、どうしたの?」

澪「……っ!」

澪「や、やだな…言っただろ? 家で見付けたって…」

紬「嘘よね?」

澪「……っ」

紬「その指輪はローゼンメイデンと契約した証よね」

澪「なっ…」

紬「あ、心配しないでいいの! 私も同じだから」

澪「同じ?」

紬「私はローゼンメイデン第6ドール、雛苺のミーディアムよ」

澪「む…ムギもだったのか!?」

紬「えぇ。でも契約はまだしないから指輪はないけどね」

澪「な、なんだ…びっくりしたぁ」

紬「澪ちゃんのところのドールは何ちゃんって言うの?」

澪「あぁ…2人いてな、翠星石と蒼星石っていうんだ。双子なんだって」

紬「お人形なのに? 珍しいのね~」

澪「あと、律も契約してるんだ。確か…か、か…神奈川?」

紬「まぁ、りっちゃんも…。澪ちゃんが翠星石ちゃんと蒼星石ちゃん。りっちゃんが神奈川ちゃんね。覚えたわ」

澪「よし、じゃあそろそろ教室戻るか。もうチャイム鳴るだろうし」

紬「そうね。…ねぇ澪ちゃん」

澪「なんだ?」

紬「澪ちゃんとりっちゃんのドールも見てみたいなぁって…。だから今度家に遊びに来ない?」

澪「うん! 2人にも聞いてみるよ」

紬「お願いね♪ ふふ、嬉しいわぁ」



‐‐‐みおへや!

翠星石「こいつら音痴過ぎるですぅ。どうしたらこんなへったくそに出来るですかねぇ」

蒼星石「……」

澪「あ、そうだ。今日ムギと話したんだけどな」

翠星石「ふへぇ~」バリバリ

蒼星石「……」ズズー…

澪「ムギの家にもローゼンメイデンがいるらしいぞ。…あ、このお煎餅美味しいな」バリバリ

翠星石「美味いですよねー」

蒼星石「本当? じゃあ僕も一枚…」

翠星石「……」

蒼星石「………」

翠星石「
    ぶふうぅぅっ!」
蒼星石「

澪「汚なっ!」

翠星石「な、何さらっと言ってるですかぁ! 二度とおてんとさん拝めんようにしてやろうかぁ!? ですぅ!」

蒼星石「ごほっ、けほけほっ…けへっ、けへっ!」

澪「わ、悪い…」

翠星石「で、その麦酒だか米糠だかって奴の家の奴は誰なんですか? ん?」

澪「ムギだよ。えっと確か…ひ、ひ、ひな…ひな、ひなあられ?」

翠星石「んなめでたい菓子みたいな名前の姉妹がいるかぁおんどりゃあですぅ!」

澪「だ、だって度忘れしちゃったんだもん…」

翠星石「はぁ……きっと雛苺ですね」

澪「ああ、それだ!」

蒼星石「けほっけほっ! ごほっ、えへ…っ」

澪「で、お前はまだむせてたのか…」

蒼星石「こほっ……、雛苺か、懐かしいな」

翠星石「いきなり普通に話されても…」

蒼星石「(´・ω・)」

澪「それで、その雛苺って子はどんな子なんだ?」

翠星石「ちびちびでうにゅーうにゅー言ってるなのなの星人ですぅ」

澪「えっ、なんだって?」

翠星石「ちびちびうにゅうにゅなのなのー、ですぅ」

澪「えっ? ワンモア」

翠星石「ちびうにゅなのですぅ」

澪「蒼星石、雛苺ってどんな子なんだ?」

蒼星石「えっとね…」

翠星石「ここまでやらせて無視すんなですぅ!」

蒼星石「雛苺は姉妹の中では見た目も中身も幼くて、語尾によく『なの』って付けてるよ。そしてうにゅーが大好物なんだ。あ、うにゅーって言うのは苺大福の事ね」

澪「へぇー…成る程ぉ」

翠星石「翠星石だって同じ事言ってたじゃねーですか!」

澪「あぁ、あれはこういう意味だったのか…全く伝わらなかった」

翠星石「むきぃいいいい!」

蒼星石「大丈夫だよ翠星石! 僕には伝わったよ! だから落ち着いて!」

翠星石「あぁ、翠星石の事をわかってくれるのは蒼星石だけですぅ! 人間なんか…ベーッ!」

澪「なっ…あ、あれをわかる奴なんかそうそう居ないだろ! 完璧にわかるほうが異端だっ」

翠星石「ふぅん…? ここにいるのは3人。理解している人が2人。理解してない人は…お前1人! 多数決でお前のが異端ですぅ!」

澪「な……っ、多数決なんて卑怯だぞ!」

翠星石「卑怯? なんとでも言えです異端者。2対1ですよ異端者。精々味方の居ないこの状況であがけですこの異端者ぁ!」

澪「くッ!」

澪(ここで…ここで屈する訳には……しかし論破も出来ない! ここまでなのか? 律…)

蒼星石「待った!」

翠星石「!?」

澪「!?」

蒼星石「僕は…翠星石の味方にはなりきれない。何故なら澪さんは僕のマスターでもあるから」

蒼星石「僕は…澪さんの味方にもなりきれない。何故なら翠星石は僕の大切な姉妹でもあるから」

蒼星石「だから僕は"翠星石の味方"でも"澪さんの味方"でもない、もう一つの位置につく…」

澪「まさか…っ!」

蒼星石「僕は…… " 中 立 " だっっ!」

翠星石「そんな……! 嘘、嘘ですぅ!」

澪「嘘じゃないよ翠星石…これで1対1対1だ」

蒼星石「僕は…2人の戦いを見まもる。2人の強がりや意地の張り合いを見まもると決めたんだ…」

翠星石「……わかったです、しっかりと見届けてください! ……来いっ! どこからでも来るといいですぅ!!」

澪「勿論…やってやらぁぁあああぁああああアあああああ!!!」

澪母「うっせぇ! モンゴルまでぶっ飛ばすぞゴルァ!!」

澪「ごめんなさーいっ」

翠星石「ふぅ…お前、意外とコントとかいける方なんですねぇ」

澪「ははっ、律がたまに仕掛けてくるからな」

蒼星石「それにしてもこんなに盛り上がったのは真紅と金糸雀と僕達でやったホームズごっこ以来だね」

翠星石「ああ、真紅が急に灰色の脳細胞が~って言い始めたんですよね」

蒼星石「そうそう…クスッ」

澪「真紅?」

翠星石「あぁ…ローゼンメイデン第5ドールで、翠星石達の妹ですぅ」

澪「真紅、か…」

翠星石「…目覚めてるんですかね」

蒼星石「さぁ…」



‐‐‐あずへや!

真紅「…温いわ」

梓「えっ?」

真紅「紅茶が…温いわ…」

梓「あれ…ちゃんと沸かしたのになぁ?」

真紅「沸かした後に何をしたの?」

梓「ちょっと熱すぎて火傷しないかなーって思ったから氷を入れてみたり…」

真紅「余計なお世話よっ!」ビシッ

梓「あぃっ」

真紅「温過ぎてもはや紅茶じゃないわ! 紅茶じゃないわ!」

梓「何故2回!?」

真紅「もう普通の水道水くらいの温さになってるわ! どれだけ氷を入れたらこんなに温くなるの!?」ビシッ バシッ バチッ

梓「あぅ、6個くらい!」

真紅「入れ直して頂戴! 入れ直して頂戴! 氷はいれずに!」

梓「いたた…あぅ、わかった、入れ直してくる…」

真紅「…ギロッ」

梓「不肖梓、入れ直して来ます!」

ガチャ バタンッ

真紅「はぁ……悪い子ではないはずなのよ」

真紅(ただ、美味しい紅茶が飲みたいのだわ…)



‐‐‐りつへや!

律「ふんふーん♪ ふんふんふーん♪」キュッキュッ

金糸雀「りっちゃん、聞いてもいいかしら?」

律「おう、なんだー?」キュッキュッ

金糸雀「なんでカナのおでこを磨いてるのかしら…?」

律「どんだけ光るかなーって」

金糸雀「自分のおでこでやってくれるとカナはストレスを貯めずにすむかしら」

律「そーかそーか」

金糸雀「…聞いてる?」

律「ちょっと待て、今やっとピカピカの泥団子くらいになってきたから…」キュッキュッ

金糸雀「泥団子と同列にして欲しくないかしら!」

律「泥団子じゃなくてピカピカの泥団子だ!」

金糸雀「カナには違いがわかんないかしら! 全くわかんないかしら!」

律「ハァ…ハァ……大丈夫だ、私が責任を持って黒漆レベルまで光らせてやる…っ!」

金糸雀「そんな責任餅に包んで食われてしまえばいいかしらぁ!」


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最終更新:2010年07月22日 22:24