澪「なぁ、衣装なら普通に…」

律「澪さん、発言の際には挙手をなすってくださいます?」

澪「何キャラだ…。はい」

律「澪さんどうぞ」

澪「普通に制服でいいんじゃないか?」

律「つまらん! 却下」

澪「つま…!」ガーン

梓「あの…」

律「挙手!」

梓「はい」

律「梓さんどうぞ」

梓「歴代のミュージシャンのコスプレとかどうですか?」

律「そんないかつい軽音部いやだ」

梓「じゃあ律先輩は何がいいんですか!」

律「んー…ハリーポッターの格好で、かな(キリッ」

澪「いやそっちの方が変だろ!」

梓「まともな意見がないです! ムギ先輩、ムギ先輩はどうですかっ?」

紬「んー…そうね…。あっ、自分家のドールの格好なんかはどう?」

律「……これは…いいん…じゃないか!?」

唯「自分ちのドール…銀ちゃんの格好!? ふあぁっ!」

澪「おぉ、これならいいかもなっ」

梓「まともな意見で良かった…」

紬「気に入って貰えたなら良かったわぁ」

律「よし、じゃあさわちゃんには明日にでも頼むか」

紬「今から楽しみだわ~」

唯「でもドールと同じ服を作ってもらうなら、どうやって見本を見せるの?」

澪「写真でも撮ればいいんじゃないかな」

唯「おぉ、なるほどー!」

梓(良かった…何も言われなかったら実物持ってくるつもりだった…)



‐‐‐よくじつ!

佐々木「時間が経って」

‐‐‐ほうかご!

ガチャッ

さわちゃん「やほー、衣装決まったぁ?」

唯「決まったよ!」

さわちゃん「おっ! 何々? ナース? スク水? 巫女? セーラー服? それとも…」

律「違う違う。この写真の通りに作って欲しいんだけど…」

さわちゃん「写真? …あら、これ人形? アンティークドールね」

梓「この通りに出来ますか?」

さわちゃん「もっちろんよ! これくらいならお茶の子さいさい屁の河童ってもんよ」

紬「頼もしいわ~♪」

金糸雀「それからの彼女達はそれはもう必死で練習をしたかしら」

金糸雀「素敵な服と澪の考えた歌詞に負けない位の演奏をしようと…」

神奈川「ボーカルの唯は声を枯らさしたり風邪をひいたりしないように人一倍気を付けてたかしら」

金糸雀「彼女達は練習に練習を重ね、月日が過ぎていったかしら…」

金沢「そしてようやく、当日がやってきたのかしら…!」

金糸雀「……え? なんでカナがナレーションをしてるかって?」

カナダ「特に活躍の場がなかったからかしら」

金糸雀「…え? 何? 名前が変? これはただのバグかしら」



‐‐‐とうじつ!

澪「わぁ…なんか変な感じだな」

律「お、意外と似てるな」

唯「りっちゃんも結構似てるよ~」

紬「ふふっ、こんな服初めてだわ」

梓「髪がくるくるだ…」

律「それにしても意外と皆しっくりくるものかしら!」

唯「! そうねぇ、確かにりっちゃん隊長の言うとおりよぉ。クスクスッ」

紬「うゆ、皆似合ってるのよ」

澪「よし、最後にもう一回だけ練習しとくですぅ」

律「それもそうかしら~」

梓「皆ノリノリd…ノリノリなのだわ」

ジャーンッ

律「ふぅ…バッチリだな!」

唯「りっちゃん、口調口調!」

律「あっ、やっちまったかしら!」

梓「別に強要されてる訳じゃないんだから好きにやればいいのだわ…」

紬「その割りに梓ちゃんも楽しんでるみたいなのー♪」

澪「そういえば…蒼星石の服余っちゃったんだよな」

唯「もったいないわぁ…もったいないおばけが出るわよぉ…」

律「でも、ぴったりな人なんてきっといないかしら…」

紬「友達で誰か…ショートカットで…」

梓「しっかり者の人…」

ガチャッ

和「皆、そろそろ移動だから準備してね」

澪「よし来た!」

和「ちょっと…何脱がせて……あ、ちょ、やめ、マジで…あっ!」

キャアアアアアアアアアァァァ!!


‐‐‐暫くお待ちください‐‐‐


‐‐‐

澪「わ…凄い…っ」

唯「に、似合う!」

和「はぁ…急に着替えさせられるからびっくりしたじゃないの」

律「ごめんね☆」

和「まぁいいわ、さっきも言ったけどそろそろ軽音部の出番よ」

唯「本当? じゃ、行かなきゃねっ」



‐‐‐こうどう!

憂「そろそろかな…」サッ

純「憂、なんでそんなでっかい鏡持ってんの?」

憂「ち、ちょっとお姉ちゃんに頼まれて…」

純「ふぅん…?」

憂(本当はドールの皆が軽音部の演奏を見るためなんだけど…嘘は言ってないよね)


‐‐‐

澪「き、緊張してきた…!」

律「大丈夫だって! 胸張ってやればいいんだよ」

唯「そうそう、いつもどーりだよ」

紬「精一杯出来ればそれでいいのよ」

『次は、軽音部による演奏です』

梓「あ、もう幕が開くみたいです…」


ガーッ

律「1、2、3、4、1、2、3、4」

ジャンッ

唯『まだっ言わない~いで呪文めいたその言葉~』

まだ言わない
呪文めいたその言葉
"愛"なんて羽根のように軽い
囁いて
パパより優しいテノールで
奪う覚悟があるのならば

百万の薔薇の寝台に
埋もれ見る夢よりも
馨しく私は生きてるの

どうすれば醜いものが
はびこったこの世界
汚れずに羽ばたいて行けるのか

ひとり繭の中
学び続けても
水晶の星空は
遠すぎるの

まだ触れないで
その震える指先は
花盗人の甘い躊躇い
触れても良い
この深い胸の奥にまで
届く自信があるのならば

白馬の王子様なんて
信じてるわけじゃない

ひび割れた硝子匣に
飾られた純潔は
滅びゆく天使達の心臓

また明日も目覚めるたびに
百年の年を知る
眠れない魂の茨姫

くい込む冠
一雫の血に
ああ現実が真実と思い知るの

まだ行かないで
月光の結界で
過ちに気付いてしまいそう
安らかなぬくもり抱かれ
壊れたい私は
罪の子なのでしょうか

そっと零れてくる
涙の意味さえわからない

もう言わないで
呪文めいたその言葉
"愛"なんて鎖のように重い
囁いて
パパより優しいテノールで
どんな覚悟もできるならば

さあ誓ってよ
その震える唇で
蜜を摘む狩人のときめき
攫っていい
この深い胸の奥底を
射抜く勇気があるのならば

貴方、捕まえたらけして
逃がさないようにして


唯『…こんちは、放課後ティータイムです!』

唯『私達はこの前、ある6人の少女に出会いました』

唯『彼女達は私達に本当に大切ななにかを教えてくれ、たくさんの笑顔をくれました』

唯『今、この場を借りてお礼をしたいと思っています!』

唯『皆、大好き! 私達のところに来てくれてありがとう!』

唯『…じゃあ次の曲はふわふわ時間です!』


‐‐‐

唯「終わったー!」

律「超たっせいかーん!」

澪「元気だな…」

紬「ふふ、じゃあ紅茶いれるわね」

梓「ムギ先輩も割りと元気ですね」

紬「しゃらんらしゃらんらー♪」

ピカァッ

雛苺「みんなー! お疲れ様なのーっ」

金糸雀「演奏すっごく上手かったかしら!」

翠星石「やい澪! お前翠星石の格好してんじゃねーですぅ!」

蒼星石「僕の格好の人だけいなかった…僕だけ…」

真紅「貴方達、もう少し静かに出来ないの?」

律「皆来てくれたのか!?」

金糸雀「あったりまえかしら。ミーディアムを労るくらいの心使いもローゼンメイデンたるもの当然かしら」

律「うぉー、カナー!」

金糸雀「きゃー! りっちゃんのほっぺが摩擦でマサチューセッツかしらぁ…」

紬「あらあら、あらあら…」ポワン

雛苺「つ、ツムギ?」

唯「……」キョロキョロ

唯「……いないかぁ」

ピカァッ

唯「あ、銀ちゃん!?」

水銀燈「…………唯の歌、嫌いじゃなかったわよ。それだけ」

唯「…!! ぎ、銀ちゃんに認められちゃったー!」ガバッ

水銀燈「ちょ、すぐに抱き付く癖をやめなさぁい!」

梓「あっちも大変だなぁ…」

真紅「梓、いいから早く抱いて頂戴」

澪「やれやれ…なんだかいつもどおりになっちゃったな」

蒼星石「いつもどおり…」

蒼星石(……なんだ、僕の望んでた平和な毎日なんて、もうとっくに叶ってたじゃないか)

蒼星石「…僕、皆に会えて良かったな」

澪「……私も、私もいつもそう思ってるよ。言うのが恥ずかしいだけでさ」

蒼星石「……」

澪「…でも、翠星石はあんまりそう思ってないのかな…」

蒼星石「ううん、翠星石は素直になれないだけで、澪さん達には凄く感謝してると思うよ。本当だよ」

澪「いや、でもそれにしては心の距離が縮んでないような…」

蒼星石「そんな事ない。絶対」

翠星石「おーい、蒼星石、澪! 早くこっち来ないとお菓子なくなっちまうですよー!」

蒼星石「…ほら」

澪「…ほんとだっ」


‐‐‐おしまい!



最終更新:2010年07月22日 22:30