澪「それで律、今度の合宿のことなんだけどさ、どこ行きたい?」
律「……」
紬「今回はみんなの意見も取り入れたいんだけど…りっちゃん?」
律「……」
梓「律先輩?どうしたんですか?」
律「……」
ガチャ
唯「皆おいーす」
澪「おう唯…なあ、律が変なんだけど…」
唯「うーん…あ、もしかして!」
律(やっぱり…まずいよなあ…)
唯「りっちゃん!おでことおでこを…あわせてでこわせ…なーむー!」ピト
律「!!」
唯「りっちゃん、もしかして熱があるんじゃないの?」
律「あ、あ、あう…え、ええと…ゆ、ゆい…」カアアア
唯「あー顔が赤くなってきた!やっぱり熱が…」
律「な…なにしてんねん!」ゴチン!
唯「い…いたい!なんで関西弁やねん!」
律「うるさいねん!ねんねん!」
律(び、びっくりした…)
澪「まったく…律、あまりボーッとしてんなよ?
今日だって練習身が入ってなかったぞ!」
律「あ、ああ…ごめんごめん」
梓「でも珍しいですね、律先輩が物思いにふけるだなんて」
唯「もしかして恋とか!好きな男の子でもできたの?」
律「ば、ばばばばばか!なわけあるか!」
唯「えー、あーやしい♪」
律(男は…だけど…)
澪「合宿のことは後で決めるとして…今日は解散!律、戸締まり頼むぞ」
梓「お疲れさまです!お先に失礼します!」
紬「お疲れさまみんな♪」
唯「りっちゃん、みんな、お疲れさま!それじゃあね!」
律「ああ、じゃあな」
パタン…
律「……」
律(確かにこれは恋、っていうヤツかも…でも、私が好きなのは男の子、じゃなくて…)
ガチャ
唯「りっちゃん!言い忘れてたんだけど」
律「な、なんだ!?」
唯「もし何か悩んでることがあったら…いつでもメールとか電話してね!」
律「…おう、心配してくれてありがとな!」
唯「うん!じゃあ!」
律(私が好きなのは…唯、お前なんだよ…)
田井中家の風呂
律「はー…」
律(今日は唯に心配かけちゃったかな…明日はしっかりしなくちゃな)
律「……」
律(にしても唯のデコ…妙にあったかかったな…)
律「ふふ…なーむー…っだってさ…おもしろいヤツ…」
律(でも、やっぱりまずいよなあ…親友に、まして女にこういう気持ちになるなんて…)
律「あー!もう!なんかまどろっこしい!」ゴボゴボ…
律(告白…してみるか?でも…)ゴボゴボ…
律「……」ゴボゴボ…ゴ…ボ…
律(わかんねえ…)
聡「おーい姉ちゃん!いつまで風呂入ってんだよ?いい加減に…」
律「……」
聡「姉ちゃん?」
律「あ~…わ~かんね~え…」
聡「ね、姉ちゃん!のぼせてんじゃん!なにやってんだよもう!」
律(ホント…なにやってんだ私…)
~~~
律「ふう!なんか今の演奏すごくよかったな!」
澪「みんなずいぶん上達したな!」
梓「すごく楽しかったです!」
紬「ええ、この調子で頑張りましょう!」
唯「うん!あ、りっちゃん?」
律「ん?なんだ唯」
唯「りっちゃんのドラム、すごく元気で楽しかったよ!私りっちゃんのドラム大好き!」
律「…!うん…」ドキッ
唯「あ、もちろんみんなもだよ!?」
澪「私たちはおまけだよ梓…」
梓「そうですねえ…」
紬「あはは…」
唯「み、みんな起こらないでよう!」
律「唯…」
~~~
律「…はっ!」
律(またあの時の夢見ちゃったな…唯のことが頭から離れない…)
律(大好き…か…)
律「だ、ダメだダメだ!唯は友達!明日っからは普通に接しよう!」
律(そうだ…普通に…あいつは友達なんだ…)
翌日
澪「あ、おはよう律」
紬「おはようりっちゃん♪」
律「おう、おはよ…」
澪「どうした寝不足か?なんか顔色悪いぞ」
律「いや…昨日DVD見てて…」
澪「まったく…ちゃんと寝ろよ?」
律(言えない…唯のこと悶々と考えてて朝になっただなんて言えない…)
唯「おっはよーみんな!」
律「!!」
澪「おう、おはよう唯」
紬「おはよう唯ちゃん♪」
律「お…お…お、オハヨウ」
唯「ん?どしたのりっちゃん?今日も元気にがんばろー!」
律「う…!おう!がんばりょ!」
澪「どういう噛み方だ…」
律(わ、私…どんだけ意識してんだよ…)
唯「あ、澪ちゃんわざわざ来てもらってごめんねえ?」
澪「まったく…今回だけだからな」
律「お、おい、そういえばなんで澪がいるんだ?」
唯「私、今日数学で当てられてるから澪ちゃんに教えてもらおうと思って」
紬「澪ちゃんのクラスは授業進んでるものね」
律「ふ、ふーん…」ズキ
律(あれ、なんだこの感覚…)
律(…唯と澪、昨日メールとかしたのかな…私にはなんも連絡しなかったのに…)
唯「あ、ここなんだけど」
澪「あ、ここはまず代入してだな…」
紬「二人とも仲いいわねえ、あんなに顔近づけちゃって…」
律「……」ムカムカ
律「お、おい唯!」
唯「ん?なあに?」
澪「もう、今教えてるんだから邪魔するなよ」
律「その…す、数学の問題、私が教えてやる!」
唯「え?りっちゃんが?」
澪「律…お前数学苦手だろ?私が教えてやらないとできないじゃないか」
律「う、うるさい!ほら澪は教室帰れ!」
澪「も、もうなんなんだよ律…」
紬「りっちゃんたら、どうしたのかしらねえ」
律(い、勢いで教えるなんて言ってしまった…)
唯「じゃありっちゃん、よろしくね?」
律「お、おう…」
唯「えっと、ここなんだけど…代入してから計算するのがよくわかんなくてえ…」
律(唯…なんかいい匂いがするな…シャンプーかな…あ、まつ毛結構長いんだな…)
唯「ん?りっちゃん?」
律(肌もすべすべだし…くちびるも柔らかそうだな…さ、さわったらどうなるのかな…)
唯「もう!りっちゃん!?」
律「わ、わ、え?な、なんだ?」
唯「どうしたのさっきから私の顔ばっかり見て!なんかついてる?」
律「い、い、い、いや何でもない!数学だな!えっとどれだ?べ、ベクトルか?」
唯「全然違う範囲だよ…おかしなりっちゃん」
律(く、くそ…静まれ心臓!こんなんじゃ頭が働かねえ!)
キーンコーン…
唯「あ、チャイム鳴っちゃった…しょうがない、後で和ちゃんに頼むからいいや」
律「わ、悪い唯…邪魔しちゃって…」
律(き、嫌われただろうな…唯に悪いことしたな…)
唯「あ、でも頑張って教えてくれようとしたんだよね?ありがとうりっちゃん!」
律「……」カアアアア
唯「りっちゃん?顔赤いよ?」
律「な、何でもない…」
律(ちくしょう…普通に接するなんて無理だ…)
放課後
律(今日は唯にありがとうって言われたな…ありがとうか…ありがとう…)
律「えへ、えへへへ…」
紬「ど、どうしたのりっちゃん?」
澪「き、気持ち悪いぞ律…」
律「んも~いいだろ~?あ、と、ところで唯は?」
澪「唯なら梓と一緒に来るって言ってたぞ?」
律「な…」
ガチャ
唯「あ~ずにゃ~ん!い~い~でしょ~う!」
梓「だっだから離してください!暑苦しいです!」
唯「も~そんなこと言わないで~」
澪「相変わらず仲いいなあお前ら…」
紬「べったりくっついちゃって…」
梓「ど、どこが…」
律「どこがだよ!」
唯「へ?」
梓「律先輩?」
澪「なんで律が?」
律「…あ!いや…あ、梓は困ってるし、仲いいとは言えないだろ?」
唯「そんなことないよ~ねえあずにゃん!」
梓「だから暑苦しいです!」
律(うう…うらやましい…)
律「はぁ…」
澪「律、今日もドラムに力なかったな…調子悪いのか?」
唯「りっちゃん…朝からなんかおかしいよ?」
律「そ、そんなことないぞ!ちょっと暑いから体が鈍ってんだよ!」
唯「そう?」
律(このままだとまずいな…演奏に集中できない…)
……
紬「相談したいことってなに?りっちゃん」
律「あ、えっと…弟が悩んでるみたいなんだけどさ」
紬「弟さんが?」
律「うん…あいつ、なんか男が好きになっちゃったらしくて…どうすればいいと思う?」
紬「そうねえ…」
律(悪い聡、ちょっと名誉を傷つけるが…わかってくれ!)
紬「あり得ないわ!」
律「え?」
紬「弟さんには悪いけど…ちょっと男同士なんて理解できないわ…」
律「そ…そうか…」
律(や、やっぱあり得ないのか…)
律「あ、じゃあもし女同士だったら?」
紬「まあ、本人同士がいいなら別にいいんじゃないかしら…」
律「そうか…そうだよな!ありがとうムギ!」
紬「りっちゃん…どうしたのかしら?」
最終更新:2010年07月03日 05:02