唯「うーいー」ゴロゴロ

憂「どうしたの?おねえちゃん」トタトタ

唯「あついよ~あついよ~」

憂「夏だからね。こんなにも天気がいいし」

唯「あ~つ~い~」ゴロゴロ

唯「うーいーあいす~。あいす食べるの~」

憂「はいはい。ちょっとまっててね」

憂「はい。チューペット」

唯「あ~り~が~と~」

唯「おりゃ」ポッキン

唯「ういと半分こ」ニコ

憂「えへへ……ありがとう、お姉ちゃん」


梅雨も明け、お布団を干すのにもってこいな天気になりました。
セミの鳴き声が響き渡り、この声を聞くと……夏だ!と感じさせられますね。

暑くなるとお姉ちゃんは家から殆ど出なくなるので一緒に過ごせて嬉しい気分です。
好きな人と一緒の時間を共有できるのが幸せいっぱいで、ついつい笑顔になってしまいます。

ずっと一緒にいたい。そう思う毎日です。


唯「うーいー」ペロペロ

憂「な~に?」

唯「水浴びしよう!」ガバッ!

憂「み、水浴び?」

唯「そうだよ~。水浴び、冷たくてきもちいいよ~」イエイ

憂「うん、そうだね(笑顔が眩しい……!)」

唯「さっそく準備だね!」


やると決めたら行動は早いようでお姉ちゃんは一目散に3階に駆け上がっていきました。

しばらくして下りてきたお姉ちゃんは
空気の抜けたビニールプールを両手抱え、スクール水着に着替えていました。

唯「よさこい!」

憂「スクール水着持ってたの!?」

唯「この前部室にあったの使って返し忘れてたんだ~」

唯「このビニールプールで遊ぼう!」

唯「ういも早く着替えて遊ぼう~」グイ

憂「うん、ちょっとまっててね」

唯「これに空気入れておくね~」

この歳でビニールプールで遊ぶことになるとは思わなかったけど

お姉ちゃんは楽しそうだし、可愛いからいいかなって思っちゃうね。


憂「お姉ちゃんおまたせ~」

唯「うーいーできたよ~。水入れてみず~」バタバタ

憂「はいはい」シャー

唯「うひょ~冷たい気持ちいい~」

憂「よかったね~」

唯「ういも入った入った」チョイチョイ

憂「うん」

憂「う~冷たい~」プルプル

唯「うーいー」ダキッ

憂「きゃっ」

唯「水に慣れるまでくっついていよう」ペター

憂「う、うん」


後ろから抱きしめられる形になり
冷たいけど暖かい感触が気持ちよくて、しばらくお姉ちゃんの手を握り余韻に浸ります。
水がプールいっぱいになるころ、後ろからかすかな寝息が聞こえてきました。

憂「お姉ちゃん?寝ちゃだめだよ」ユサユサ

唯「ふえ……」

唯「は!気持ちいいから寝ちゃった!ゴメンゴメン」テヘ

唯「水いっぱいになったし、これの出番だ!」ジャーン

憂「あ、水鉄砲」

唯「てっぽう!水入れて~、おりゃ!」ピュー

憂「きゃっ……!もう!」

憂「お返し!めっ!」ピシュ

唯「わっぷ……!」パシャ

唯「指で飛ばすなんて、こっちも負けないよ!」

お水でお姉ちゃんとじゃれあうだけ。
それなのにお姉ちゃんと一緒だと、時間が経つのを忘れて夢中になってしまいますね。

唯「あはは~」キャッキャッ

憂「えへへ~」ニコニコ

唯「う~ん、やっぱビニールプールはちょっと狭いね」

憂「昔は私たち小さかったからね」

唯「もっと大きいのが欲しい~」グデーン

憂「大きいのなら市民プール行った方がいいよ」

唯「市民プール……」ボー

唯「ああ!それがあったね」ガバッ

唯「えへへ、忘れてたよ。今度一緒に行こうね」

憂「うん!」


唯「うーいーおなかすいたよ~」グー

憂「そうだね。ご飯作ろうか。プールも片付けちゃおう」

唯「ほいさ!」

唯「かたづけ~おかたづけ~」フンフン

憂(ノッてるお姉ちゃん可愛い!)


唯「お~な~か~す~い~た~」ゴロゴロ

憂「お姉ちゃん~ご飯できたよ~」

唯「待ってました!」フンス

唯「おー冷麦!おにぎり!」

憂「いっぱいあるからね~」


唯「いただきます!」

憂「いただきます!」

唯「おいひーねー」チュルチュル

憂「うん」ツルツル

唯「ムムム」ピクッ!

憂「どうしたの?」

唯「こ、これは……!赤いのが一本入っている~!」パンパカパーン

唯「今日はいい事がある日だね!」ブイ

憂「よかったね、お姉ちゃん」ニコ

唯「う、うー……。たべすぎた~」ゴロン

憂「お姉ちゃん、お腹で出てるよ~みっともないよ」

唯「えへへ……」

唯「く~る~し~い~」ゴロゴロ


唯「ふう……疲れてお腹いっぱいで眠くなるね」コクコク

憂「お昼寝時間?」

唯「お昼寝タア~イム」

唯「ういーお昼寝しよう」

憂「ん~、私は眠くないからお姉ちゃんだけで寝ていいよ」

唯「え~」ブンブン

憂「寝るまで見ててあげるから」

唯「じゃ~、ずっとここにいてね」

憂「うん」

唯「ふわ~」ベター

唯「……」

唯「うーいー」

憂「どうしたの?」

唯「あついよ~」

憂「う~ん、ちょっとまっててね」

憂「はい、扇いであげる。これで涼しくなるよ~」パタパタ

唯「お~、さすがういだね!」キラーン

憂「えへへ」ニコ

唯「ういー涼しいよ~、そのままそのまま……」

憂「はいはい」パタパタ

憂「……」パタパタ

唯「……」

憂「……」パタパタ

唯「……」

憂「……」パタパタ

唯「……」スー

憂「……」パタパタ

憂「おねーちゃーん?」ボソ

唯「……」ピー

憂「寝ちゃったかぁ」パタパタ

憂「私も横にっと」ゴロン

憂「……」ジーッ

憂「もう少し近くに……」ズイズイ

憂「……」パタパタ

憂「……」

憂「……」


お姉ちゃんの顔をじっと見つめる。
日焼け止めクリームが足りなかったのかな、少し赤くなってるなぁ。

お姉ちゃんと私は顔がソックリとよく言われるけど、ちゃんと違うんだよね。
皆よく見ないから、ちゃんと見れば違いに気づくんだよ。

私のほうが少し輪郭丸いし、目も少し垂れてるかな。
髪はお姉ちゃんの方が少し濃くてふわふわしている……。

あぁ可愛いなぁ……。


憂「……」ジーッ

唯「あいす~」スー

憂「寝言……アイス後でね。いっぱいあるから」

憂「……」

憂「汗が出てきてるね……」

憂「拭いてあげるね……」

憂「ポンポン」

憂「額も、頬も、首も、腕も、お腹も、足も」

唯「う~ん」ムニャムニャ

憂「はい、終わり」

憂「ふ~、私も眠たくなってきたなぁ」パタパタ

憂「う~ん少しお休みなさい」


夢だ……。
お姉ちゃんがギターを弾いている。
はじける笑顔で。

私は側で見ているだけ。
でも見ているだけで満足。
お姉ちゃんの笑顔が私を幸せにしてくれるから。

だから私はお姉ちゃんの側にいる。ずっと一緒にいる。

そんな夢だ。


憂「夢か……」パチ

憂「暑い……」

憂「わぁ……寝汗ですごいことに……」

憂「って、もうこんな時間!お布団しまわないと」

憂「お姉ちゃんまだ寝てるの?涎たれてるよ」

唯「ギー太ぁ……」ムニャムニャ

憂「よく寝るね。お布団しまってご飯の準備しないと」

憂「うーん……」ギュッ

憂「よし、やっちゃおう」


お布団しまって、買い物行って、ご飯の準備。
少しめまぐるしいけど、お姉ちゃんに早くご飯を食べさせてあげるんだ。

あの笑顔を想像するだけでこっちまで笑顔になっちゃうよ。

憂「よし、ご飯できた」

憂「お姉ちゃんは……まだ寝てる」

憂「おねーちゃんー。起きないと~」ユサユサ

唯「う~ん、あいす~」パク

憂「お姉ちゃん。私の手はアイスじゃないよ」

憂「夜だから、ほら起きて~」

唯「う……よ、る……」

唯「は!」ガバッ

唯「あう!あいたた……頭いたーい」

憂「大丈夫?ちょっと寝すぎたかな」

憂「ご飯出来たけど、食べれるかな」

唯「ご飯!?たべるーー!」


唯「う~ん、午後丸々寝てるとは思わなかったよ~」パクパク

憂「疲れちゃったからかな」

唯「もっと遊びたかったのになぁ」

憂「まだ日曜日あるから平気だよ、お姉ちゃん」

唯「そうだね~明日は何しようかな~」


どんな時でもニコニコ笑顔のお姉ちゃん。
また寝汗をかいてたみたいで、額や首元には汗が垂れてるのが見えました。

憂「お姉ちゃん。ご飯食べたらお風呂入れるから入ってね」

唯「うん。今日あつかったからね~。汗いっぱい出ちゃった」ニヘラ

唯「夢でギー太と演奏してて楽しかったんだぁ~」

憂「私も途中で寝ちゃって夢を見たんだぁ。お姉ちゃんが演奏している夢」

唯「わあ、ういも夢を見たんだ。同じ夢かな……さすがうい!」

憂「お姉ちゃん、可愛くて格好よかったよ」

唯「それほどでも~」テレテレ

憂「ほら、お姉ちゃん髪乾かすからこっちに」

唯「うーいーありがとう~」

憂「はーい」ブオーーー

唯「う~ん、気持ちいい」パタパタ

憂「あんまり首動かしちゃダメだよ~」

唯「ほーい」

唯「ふーさっぱり」

憂「はい、アイスだよ~」

唯「ありがと~」シャリシャリ

憂「じゃ、私もう寝るね?」

唯「うん、私もあと少しで寝るよ~、おやすみ~」

憂「うん、おやすみ~」

憂「ふぅ……」ギシィ

憂(今日も一日が終わっちゃった……。寂しいなぁ)

憂(この先どのくらい一緒にいられるのかな……。大学は一緒のところに行くからいいとして、就職がどうなるのかな……)

憂(お姉ちゃんOLになっちゃうのかな。お花屋さん?バスガイド?ウェイトレス?お菓子好きだからパティシエになるのかな)

憂(ミュージシャンになったら……マネージャーになろうかな……)

憂(それいいなぁ……。一日中一緒にいられるから)

憂(何かあっても直ぐ駆けつけて慰めるんだ)

憂(一緒に出かけて、一緒にご飯食べて、一緒に帰れるなぁ……)

憂(う~ん、お姉ちゃん楽しそうだけどプロになりたい訳じゃなさそうだから無理かな)

憂「う~ん」ゴロン

憂「頭の中グルグル回る……」

憂「お昼寝しすぎたかな」

憂「喉も渇いちゃった……」

憂「……」トテトテ

長いこと考えてたみたいで、いつも寝る時間をとっくに過ぎていました。
お姉ちゃんを起こさないようにゆっくり2階へと下りていきます。

リビングが明るい……、まさかお姉ちゃんずっと起きてたのかな……?

憂「おねーちゃーん……?」ソー

唯「あ、うーいー」ブンブン

憂「お姉ちゃん起きてたの?」

唯「いや~、一回寝たけど寝れなくてさっきリビングに来たんだぁ」

憂「そうなんだ、私も寝れなくてね。あ、何か飲み物だすね」

唯「ありがと~。ういも私もお昼寝しすぎちゃったからかな、まだ目がすごく冴えているよ~」

憂「うん、お姉ちゃん今何かしてたの?」

唯「ん~、ただ星を見てただけだよ。晴れてていっぱい見れるよ~」

憂「本当だ……すごいね」トテトテ

憂「はい、オレンジジュース」コト

唯「ありがとう~」

憂「明るい……いっぱいだね」

唯「キレイだよね~」

憂「……」

唯「……」

憂「……」チラ

憂「ねぇお姉ちゃん、そっち行ってもいい?」

唯「いいよいいよ~、隣空いてるから来て来て~」チョイチョイ

憂「えへへ~……」チョコン

唯「ほら、もっとピッタリに」グイ

憂「うん」ピター


隙間もない位ぴったりお姉ちゃんとくっついちゃった……。
お姉ちゃんの肩に頭を乗せる。少し甘えるけどいいよね。

静かなリビングの中でお姉ちゃんの息遣いを感じます。
しばらく無言で星を眺め続けました。


憂「ねぇお姉ちゃん」

唯「ん~?」

憂「この先、進路とか考えている?」

唯「も~、ういまでそんなこと言うの~?」プンプン

憂「ごめんね、気になっちゃって」

唯「う~ん、大学は皆と同じところだしなぁ」

憂「うん、就職はどうなるかなって」

唯「えへへ、まったく分かんないや」テレ

唯「ういはどうするの~?」

憂「私は……」

憂「お姉ちゃんと一緒にいたいなぁ」

唯「私と?」

憂「うん、離れるのは寂しいよ……」

憂「大学だって一緒の所に行く。就職だって……」

憂「離れたくないよ……」


お姉ちゃんはずっと一緒にいてくれると言いました。
自分でもこれが簡単にいかない事は分かっています。

でも一日でも長く一緒にいられるために私は頑張るんだ。
お姉ちゃんが一緒にいるから頑張れるんだ。


唯「うーいーこのままここで寝ちゃおう~」

憂「ここで?部屋に行かないの?」

唯「うん、今はまだ離れたくないんだ」

唯「だからここで一緒にね」

憂「うん……今日はこのままでいいかな」ゴロン

唯「う~ん、程よい眠気になったよ~」ゴロン

憂「私もだよ、お姉ちゃん」


お姉ちゃんの手を握って横になります。
少し汗ばんでいるけど気にしません。
このまま寝たらまた寝汗がすごいことになりそうだけど、今日だけはいいかな……。

横を見ると星の光に照らされて、眩しいほどの笑顔なお姉ちゃん。
少しドキっとしてしまいます。

唯「じゃ……寝ようか、うい?」

憂「うん。おやすみ、お姉ちゃん」

唯「うん。おやすみ、うい」

憂「お姉ちゃん、ずっと一緒にいようね!」


                                            おしまい



最終更新:2010年07月25日 21:25